園鳴if「ひらく」

原作軸園鳴が口づけをしている話

 どこからともなく虫の鳴き声が響いて、涼やかな風が熱を帯びた皮膚を撫でていく。初夏といえどまだ夜は冷えるので、僕はなんとかヒソーチョが風にさらされないようにと……ここから逃げられないようにと、背中に腕を回す。そしてヒソーチョが僕の足の上に乗るように座らせ、足を腰に回して抱きかかえた。
「ソノ、」
 ヒソーチョの熱を帯びた瞳と、僕以上にほてった身体。色素の薄い美しい瞳に吸い寄せられ、そのままヒソーチョに取り込まれてもいい。そんな幻想を抱きながらも、ひとつの生き物になってしまったらヒソーチョをあっためることはできないし、などと逡巡し、瞼に口付ける。
 ヒソーチョの体温は、冷えた空気の中で際立って脳の芯まで蕩けさせてくれた。
「ヒソーチョ、口、開けて」
「ん」
 ヒソーチョはなぜこんなにも受け入れてくれるのだろうか。好きでいることも潰えることのない欲をぶつけることも、なぜこんなにすべて、すべてを許してくれるのだろう。
 そう思いながらも、ヒソーチョの無防備に開かれた口を犯そうと舌を捩じ込む自分を止めることはできない。
「っ、ん"ん"っ」
 初めて口付けを許してもらえた時から数を重ねるごとに、ヒソーチョは息継ぎの仕方を覚え、意識してか無意識か、こちらの動きに応えようと必死に舌を動かしてくれるようになっていた。
「ん、ヒソーチョ、好き、好き、」
「っか、はっ、ぁ、あ"」
 ちゅ、じゅる、じゅぶ、ぢゅ、水音が腰に響き、熱が集まった下半身は誤魔化しようもないほど張り詰めていた。いや、本当はヒソーチョを抱き締めたときからすでに膨れ上がっていたが。
 ヒソーチョはすっかり全身の力が抜けてしまっているのに、腕だけは僕の背中にしがみついてくれている。好き、好き、脳天を突き抜けていく快楽、唾液の味が全身に染み渡っていく感覚。ああ、おかしくなる、もうおかしくなっているのに、さらにおかしくなる。
「っあ"、あ"あ"、っ、ぐ、ぐふ、」
 舌を食み、歯を、上顎をなぞる。するとヒソーチョが一層身体をびくんと揺らし、その拍子に下半身が強く擦れ合う。
「っ、っ、ソ"ノ"っ、」
「っはーっ、はあっ、は、ヒソーチョ、上顎、イイんですか? イイんですね?」
 ひとときも離れたくないので、すぐに唇を重ね、今度は上顎だけを集中的に責める。つ、つ、筋に沿ってなぞったり、舌を当てがってじゅぶじゅぶ舐め上げると、ヒソーチョはその度に身体を跳ねさせ、僕の肩甲骨に爪を食い込ませた。
 ぐぐ、下半身をさらに押し付けてみる。ヒソーチョの方ももう固くなっていて、いつの間にか僕の背中に絡めた足を、もどかしそうにくねらせていた。
「ぉお"っ、が、は、はあ"っ」
「ヒソーチョ、かわいい、好き、好き、好き」
 本当はすぐにでも褌を暴いて、撫でてしごいて、滲んだ先走りを穴に擦り付けてナカをいっぱいにしたい。でも、今はヒソーチョがこんなに感じてくれている上顎を犯し続けたい。
 上顎だけで、ヒソーチョがどこまでいけるのか見てみたい。
 ヒソーチョは舌で何とか僕を押し返そうとするが、その力も段々抜けて、唾液が口の端から絶えず溢れていく。
 普段は部隊の長として規律正しく振る舞っているヒソーチョのこんなに乱れている様を、僕だけが知っているなんて。本当に僕しか知らないのだ。ヒソーチョが、気持ちいいときにどんな声を出すのか、どんな風にねだって、どんな風に蕩けていくのかを。
 上顎を舐め、とんとん、舌でつつく。
「そ、の、っ、も、もう"っ、へん"っ、へんに、な"っ、る、」
 ヒソーチョは普段より高い、甘く鋭い声を上げながら、背中の皮膚が捲れそうなほど、強く抱き締めてくれる。
「ヒソーチョ、ヒソーチョ、ふ、ふ、変になって? おかひく、なって?」
「あ"っ、イ、イ"っ、イ"っ」
 身体が浮かび上がるほど跳ね、腰が反る。抱き締めていなければ、後ろに倒れてしまっていただろう。
「イったんですね、ああ、ヒソーチョ、嬉しい、好き、好き」
「っ、っ? っ、あ"っ、お"、?」
 何が起きたか把握しきれないというように瞬きし、荒い呼吸を繰り返すヒソーチョ。唇を離すと、唾液が糸を引いてたれていくので、もったいなくてゆっくり舐めとった。
「口の周りがびしょびしょで、綺麗です。よくできましたね」
「あ、ん、ソノ、」
 このままずっと、僕だけに愛されていてほしい。僕しか知らないままで、こんなことを許すのも僕だけのままで。
 気持ちいいことに惹かれているだけであって、僕のことを好きではないのだとしても、ヒソーチョが、僕なしでは気持ちよくなれないようにすればいいのだ。
 そうやってすこしずつ、逃げ場など始めからなかったかのように追い立てていく。ヒソーチョは、それをきっと、許してくれる。……いつか、好きになってもらえるのではないかと、願うことだって、許してくれるだろう。
「次は、奥でイってくださいね?」
「は、っああ、ん、ん」
 軍袴を脱がせ、褌を捲り、白濁液にまみれてきらきら輝くヒソーチョの美しい陰茎をひと撫でする。びくびく震えてすぐにまた勃ち上がるヒソーチョが、今夜はどんな風に僕を締め付けてくれるだろうと想像する。
 上衣を脱ぎ地面に敷きながら、新たに手に入れた弱点をしっかり心に縫い留め、ヒソーチョをゆっくり押し倒した。

園鳴if「ひらく」

園鳴if「ひらく」

原作軸園鳴が口づけをしている話

  • 小説
  • 掌編
  • 成人向け
更新日
登録日
2026-10-17

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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