ネコといつまでも・みゃー

1

「密漁が問題になってるっス」
 それっぽい。
「問題よね」
 合わせとく。
「問題なんス」
 うんうん。
「ここで問題」
「へ?」
 間抜けな。
「何が問題でしょーか」
 だから。
「密漁……」
「せいかーい」
 馬鹿にしてんのか。
(しかも、バカが)
 二重で。
「というわけで、行くっスよ」
「へ?」
 またも。
「い、い、行く?」
 もしかしなくても。
「ああっ!」
 とっさに。
「持病のシャクが」
「時代劇っスか!」
 バカにツッコまれた。
「時代劇じゃないんス!」
 わかってる。
(悲『劇』)
 そっちの。
「ふぃーーーーーっしゅ!」
「!?」
 ぐぃぃっ!
「釣るのがサカナだけと思ったら大間違いっスよーっ!」
「わーーーっ!」
 子どもかと。いうくらいの。
「イヤだぁーーーーーっ!」

2

(拉致)
 漁船で。
(いや)
 漁船じゃない。
(不審船)
 そもそも船じゃない。
(………………)
 じゃあ。
(何なのよ)
 いまだに。
「うーみーはーひろいーなー、おおきーいーな~♪」
 隣のバカは。
「つーきーはーのぼるーしー、ひはしーずーむ~♪」
 ピタッ。
「海じゃなくたってそうっスよ!」
 その通り。
「最近、ツッコミがブームなんス」
 そのことにツッコみたい。
「い……いいから」
 そんな余裕なんて。
「安全運転で」
 せめて。
「無理っス」
 無理なのかよ!
「運転してないっスから」
「へ?」
 ああ。
「操船」
「船じゃないっス!」
 そうだった。
「そんな、磯野家のお母さんみたいな言い方」
 ボケがわかりづらい!
「むしろ、タマっス」
 まあ。
「ネコっスから!」
「………………」
 ネコ。
「何なの?」
「自分っス!」
 聞いてない。
「ネコよ」
「ネコっス!」
「………………」
 わかってた。
(何も)
 屈辱。
(このままで)
 そんなわけ。
「あの」
 話を戻す。
「運転してないって」
「伏せるっス!」
「!?」
 いきなりの。
「………………」
 何も。
「間違えっス」
「……は?」
 嫌な予感。
「伏せさせるのは」
 ググググゥゥゥゥゥゥゥン!!!
「ぎゃーーーーっ!」
 フリーフォール。

3

「よしよし」
「………………」
 声が。
「お利口なネコっスねー」
 もはや。
「静かにするっス」
 してる。
「ヤツがいるっスよ」
「ヤツ?」
 それって。
「静かに!」
「!?」
「声を出したらダメっス」
 じゃあ、おまえは。
「イヌっス」
「へ?」
 何て。
「イ、イヌ?」
「ネコじゃないっス」
 何なんだ!
「ち、ちょっと待ってよ」
 混乱の。
「待ってるっス」
 それは。
「静かに」
 しー。
(う……)
 いつまで。
「息を止めるっス」
 無茶を。
「すぐそこっスよ」
 何が。
「へ……」
 へ?
「へっくち!」
 !?
「えっ!」
 ファーン、ファーン、ファーーーン!
「見つかったっス!」
「ええっ!?」
「逃げるっスよーっ!」
「!」
 またも。
「うぎゃーーーっ! だ、だから、もうちょっとゆっくりーっ! ソフトにーっ! 頼むからーーーっ!!!」

4

「何を頼むんスか?」
「はぁ……はぁ……」
 いまさら。
「もう……いい」
「どういたしまして」
 どうもいたされない。
「神頼みじゃだめなんスよ!」
「!?」
 いきなり。
「というわけで」
 どういう。
「作戦会議っス」
「………………」
 追いつかない。
「はい、キミ!」
 指さされる。
「何かいい案は!」
 もはや。どこから。
「ない」
「ないんスか!」
 ショック。
「もうダメっス……」
 がっくり。
「……えー」
 もはや。
「まあ」
 思わず。
「次、がんばれば」
「次はないんスよーーーーっ!!!」
 力いっぱい。
「つかまったら終わりなんス!」
 つかまる?
「イヌに」
 それだ。
「イヌって」
 何だ。
(……う……)
 悔しい。まんま聞くのは。
「そ、そうよね」
 合わせて。
「イヌは問題よね」
「問題っス」
 うんうん。
「問題を解決するのがイヌっスから」
「ふぇ?」
 解決?
「……それって」
 思わず。
「いいんじゃない」
「よくないっっっっス!」
 力いっぱい。
「いぃっっっっス!」
 重ねて。
「解決されるのはこっちなんスから」
「ほぇ?」
 もう。
「解決されるの?」
「されるんス」
(……して)
 この状況を。
「では、このあたりで今日のお便り紹介っス!」
 始まった、何かまた!
「って、いまどきお便りはないっスよ!」
 知らん!
「エスオぉぉーエス!」
 はい!?
「来たっス」
 な、何が。
「メッセージ・イン・ア・ボトル」
「えっ」
「海からの贈り物っス」
 何だ、それ。
「暮れの元気なごあいさつ」
 それは違う。
「やつらっス」
 やつら?
「やつらからの」
 真面目な。
「救難信号っス」
「え、えーと」
 急に。それっぽく。
「救難ってことは」
 助けを。
「じゃあ」
「もちろん」
 きっぱり。
「無視するっス」
 がくぅっ!
「ちょちょちょっ」
 いいのか、それで。
「危ないっス」
 そりゃ、向こうは。
「巻き添え食うっス」
「え……」
 どういう。
「イヌっス」
 また。
「イヌに噛みつかれるんスよ」
「………………」
 わからない。
 もうぜんぜんわからない。
「ほら!」
「!?」
 水しぶきが。
 高く。
 遠目にもはっきり。
「噛みつかれたっス」
「か……」
 噛みつかれた?
「何が」
「はぁ?」
 あり得ないと。
「大丈夫っスか」
(く……)
 屈辱。
「密猟ヤローに決まってるじゃないっスか」
「え……」
 そうだ。そもそもが。
「まあ、メローかもっスけど」
 その言い方は。
「噛まれたんスよ」
 密猟者が。
「イヌに」
 って。
(だから、その『イヌ』が)
「来るっス!」
「!?」
「大声で騒ぐから」
 そっちが。
「手遅れっス」
「っ……」
 せめて。
「イヌって」
 知らないままでは。
「そんなの決まってるじゃないっスか」
 きっぱり。
「国家のイヌっスよ!」

5

「警察のイヌっス」
「……!」
「って、それは警察犬っスよ!」
 一人ボケツッコミ。
「警察……国家の」
 つまり。
「取り締まり」
「そうとも言うっス」
 そうとしか。
「じゃあ」
「もちろんっス」
 うなずき。
「密猟者をつかまえに来たんスよ」
 大爆発を見たが。
(とにかく)
 こちらにはもう。
「マズいんス」
 青い顔で。
「いろいろと」
 何だ?
(つまり)
 後ろ暗いことが。
「来るっス!」
「!?」
 あわてて。
「わ、わたしは関係ないし」
「そんな言い逃れが通用すると思ってるんスか」
 事実で!
「認めたらどうなんスか!」
 何を!
「っ」
 言ってる間に。
「きゃあっ」
 衝撃。
「おっと」
 立て直す。
「問答無用っスか」
「ええ!?」
 どういう。
「弱いイヌほどよく吠える」
「……!」
 わかった。
 ようでまったく。
「よ、弱いの?」
「強いっス」
 違うじゃん!
「なんとかしなさいよ!」
「なんとかなるようなら警察はいらないっス」
 もはや。
「警察はいらないっス!」
 力いっぱい。
(い、いやいや……)
 いるんだから。
(あ)
 警察のじゃなくて国家の。
「どっちも同じよーーっ!」
 密猟者以上にマズいということだけは。
「エスオぉぉぉぉぉーエス!」
 無駄だって。
「来たっス!」
「っ……」
 諸共。
「!」
 ドゥゥゥン!
「な……」
 向こうのほうが。
 体当たりを。背後から。
「密漁ヤローっスよ!」
「えっ!?」
 やられていなかったのか。
「海のオトコの意地っス」
 そうなのか。
「漢字の『漢』と書いて『オトコ』っス!」
 そこはどうでも。
「同じ『オトコ』としてぇぇっ!」
「逃げろ」
 いいから。
「くっ……戦略的撤退っス」
 いいから!
「逃げるっスーーーっ!」
 それでいいから!
「はいやーーーっ!」
 一目散。

6

「散っていった仲間に」
 黙祷。
(仲間って)
 どこまで。
「海ではいいやつから早く散っていくっス」
 まだ盛るか。
「とゆーわけで、密漁問題解決っス❤」
 目ピース。
(……い、いいのか)
 あわれに。
「あー」
 それでも。
「結局」
 イヌって。
「南極?」
 言ってない。
「活躍したらしいっスよ、イヌたちが」
 それは。
「ネコも負けてられないっス!」
 勝手に。
「北極っス!」
「は?」
「ネコはコタツで丸くなるっス」
 北極でなくとも。
「ネコは寒いのがニガテっス」
 だから。
「南極は寒いから北極っスよ!」
 そんな。
(……!)
 まさか。
「ほ、北極も寒いし」
「またまたー」
 だめだ。
「行ったことあるんスか」
 ないけど。
「はっきりさせるっス」
「い、いや」
 本気で。
「行くっス」
「!?」
 馬鹿な。
「北極へ行くっスよーーーっ!」
 バカだった!
「ホッキョークへ行きたいかーーーーっ!」
 それっぽく。
「い……」
 行きたいわけ。
「おーーーっ!」
「お、お?」
「おーーーっ!」
「お……」
「おーーーっ!」
「おっ……おーーーーーっ!」
 おかしくなっていた。

ネコといつまでも・みゃー

ネコといつまでも・みゃー

  • 小説
  • 短編
  • アクション
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-10-16

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6