黒狼哭く / Part 3 / "ダイニングにて・1"
#百合 #ファンタジー #ミリタリー #高校生 #ライトノベル
『黒狼哭く』
不定期で断片的に投稿していくので、よろしければ読んでもらえると大変嬉しいです。
【あらすじ】富石県 珠菱市(とみいしけん たまひしし)の高等女学校に通う鳴波 紗桜(なるは さくら)は、当校の、銃装によって標的を倒す『銃術部』に所属するいち生徒である。ちょうど夏休みに入ってすぐ、彼女はある決断をすることになる。
コンコンコンコン――
まな板の上で、人参を切る包丁の音がこだまする。隣ではフライパンがジリジリと、目玉焼きを焼いている弱火の音が静かに響いていた。人参を切り終わったあとは、ピーマンの頭を取り、中から種がらを取る。フライパンを開け、ベーコンを裏返す。
一人の時の料理も、もはや手慣れたものだ。高校生になった時からシングルマザーの母が仕事で忙しくなって家を空ける時間が長くなったが、物理的に一人で家事をし勝手に立つことが長くなると、人は自然と行動を学習し、慣れてくるものなのだ。
ダンダンダンダン
彼女が部屋に入ってくるのを音と気配で察した。
「おはよ、舞香」
私は振り返らずそのまま舞香に挨拶する。
「……おはよ〜、紗桜。あ〜、だるぅ……。疲れて制服で寝ちゃってたよ、あたし。昨日、学校から二人で直行ベッドだったもんね!」
彼女は言いつつ椅子をガタっと引き、スマホを見ているらしい。
「ね〜。手、繋いで、即ベッドイン! だったねえ」
私はフライパンの中の卵を確認しつつ、返事をする。
「も〜、ほとんど記憶ないくらいだったね。そのおかげか、髪がぼさぼさ。スマホで見てもそんな感じかな? ……って、え?」
……ん?
「……なんか、ほっぺたに口紅ついてるんだけど。いや、あたしたち、昨日……ほら『なんやかんや』はしたけれど、ほっぺたにキスは、しなかったような……?」
彼女はもろ恥ずかしがるように、シュンと小さくなってしまったようだ。それを聞いた私も、一気に肌が紅潮してしまった。
「……あっ、ごめ……。それ、私のかも……。今日部屋出る時、我慢できなくて、チュッ、って……」
黒狼哭く / Part 3 / "ダイニングにて・1"
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Bluesky (SNS) @ riribento