記憶のページが閉じたあと

 インターネットの古いホームページ
 ひっそりとそのページは存在する

 あなたのブログも趣味のサイトも削除してしまったのに
 なぜかそのページだけは存在する

 旅行に行った時の私とあなたの写真が載っている

 もう一度ここへ戻ってくればあなたに会える
 そんな気がするのです

 私は歳を重ね
 あなたの表情も声も仕草でさえも もうおぼろげで
 ぼんやりとあなたという形だけが浮かび上がる

 それでもそのページに向かえば
 なぜかあなたを鮮明に思い出せるのです

 久しぶりにページへアクセスしたら
 すべて消えていました

 あぁついに削除されてしまった……

 心臓を鷲掴みにされるような、冷たい針を飲むような
 驚きと緊張と、信じられない思い
 すべてが綯い交ぜとなる感情は爆ぜる前に
 ふっとやわらいで遠くなっていき……
 静かに私の心から消えていきました

 いつか消えるだろうと思っていましたから
 これだけ長く残っていたことが奇跡だったのです

 そして私はもう、あなたを思い出す必要はないのです
 だってもうすぐ、本当のあなたに会えるのですから

 きっと天国の入り口で待ちわびていることでしょう

記憶のページが閉じたあと

記憶のページが閉じたあと

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-10-01

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