とびだせzokuダチの森・3
年少組の平和なスローライフ
「……そう言えば、この間も、ちょこっとえみるちゃん
いなくなったわよね……」
「は、はっ!」
「まさかとは思うけど……、又何か村長の邪魔しに行ったんじゃ……」
「でも、昨日謝りに行ったばかりだし……、流石に2回目はやらないと
思うんだけど……」
はなが困ってさあやとほまれの方をちらちらと。
「わ、私……、ちょっとえみるを探して来ます!」
「ルールーっ!待って、私達も一緒にっ!」
……と、はなが声を掛けようとしたが、既にルールーはもうその場に
いなかった。
……
「シャキーン!愛と正義のスーパーヒーロー!キュアえみ~る参上!
……なのですっ!事故が起こる前に、みんなを守る!キュアえみ~るっ!」
キュアえみ~るは商店街に出現。自作のコスプレヒーロー衣装を身に
纏っている。村民の皆様の平和と安全をお守りしている……つもりらしい。
「ねえ、シャッキーンはボクの特権なんだけど!取らないでよっ!」
「うるさいのです!少しぐらい、いいじゃないですか!シャッキーはっ!
キュアえみ~るは村の皆様の安全をお守り致しますっ!」
「ならボクだって守るよっ!カンフーは世界を救うっ!みんなを守るっ!」
「……ギギギ、ま、真似をしないでくださあ~いっ!」
キュアえみ~るとシャッキー、両者睨み合い……、火花を散らす。
「……ねえ、あなた確かえみるちゃんだったわよね、……何してるの?」
通りがかったのはアイシャ。丁度買い物を終えて帰る処であった。
「ひっ!……あああ、あなたはっ!村長さんの所のっ!アイシャお姉さん!
……ち、違うのですっ!私はえみるではありません!……あ、愛と正義の
スーパーヒーローっ!キュアえみ~るっ!」
「……ヒーロー?」
「そうですっ!キュアえみ~るっ!……なのですっ!」
キュアえみ~るはアイシャの前でもキメポーズを取った。しかし、顔は
どう見てもえみる。アイシャは何処をどう突っ込んでいいのか分からず
困惑する……。
(どうしよう、分からないフリをしてあげた方が……いいのかな……)
「ねえねえ、ヒーローさんが来てるのぉ~?」
商店街に並ぶ店の一つの中から、帽子を被ったナマケモノの店員が出て来た。
彼はレイジ。園芸店を営む。一見ボーっとしていそうだが、村の環境に対する
厳しいチェック、異常な程の清潔症は誰にも引けを取らない。
「はいっ!ヒーローはこの私、キュアえみ~るですっ!」
「いや、このボクっ、シャッキー・チェンだよ!シャッキーン!」
「どっちでもいいんだけどぉ~、じゃあ、是非、ヒーローさん達に
お手伝いして貰いたい事があるんだぁ~」
「「……お任せをっ!!」」
えみ~るとシャッキーが同時に声を合わせた。それを見たレイジは
ニコニコしながら一旦店の奥に引っ込んで行った
「はい、これ使ってねえ~、……軍手とごみ袋のセットだよぉ~」
「はい……?」
……
「あうう~、正義のヒーローが雑草抜きなんて……、情けないのです……」
レイジがえみ~るに押し付けて行ったヒーローの仕事とは。……主に村の
彼方此方に生えている雑草抜きであった。ちなみにシャッキーは腹が
痛くなったと逃走。
「えみるちゃ……、キュアえみ~るさん、私も手伝うから……、ね?」
「るるう~、アイシャお姉さん、ありがとなのです……、本当に
情けないのです……」
「何言ってるの、これだって村の皆の為になるヒーローとしての大切な
お仕事よ、全然情けなくなんかないわよ……」
「……大切な……、お仕事……?」
「そうですよ、えみる……」
「……はい?」
「ふふ……」
「……にょええええーーっ!?」
「♪こらっ!」
いつ来たのか、ルールー登場。いつの間にかえみ~るの側に来て、一緒に
雑草を毟っていた。……ルールーは笑顔でえみ~るの頭を一発ポカリで顔に
青筋ぴきぴき。
「また私を置いていきましたね、……ふふ~!ちょっとお仕置きします……」
「……いはい、いはい、ひーふー、ひはいのふぇす!いはははは!」
ルールーはえみ~るのほっぺたを掴んで左右に伸ばす。何処まで伸びるのか
アイシャはワクワクしながら興味シンシンで眺めている。
「はあ~、ルールーは本当にえみるちゃんの事が心配で、大好きなのね!」
「……はい。」
ルールーはアイシャの方を向いてニコニコと返事をする。しかし、
びょんびょん頬を引っ張るのは止めず。
「……あいふゃおふぇーふぁん、わひゃしふぁはえひりゅでふぁ
ふぁりめへん!」※訳 アイシャお姉さん、私はえみるではありません!
「あはははは……」
「あ、ルールー、えみるーっ!やっと見つけたよーっ!」
「はーぎゅ!」
「はな、さあや、ほまれ、はぐたんも……、探しに来てくれたのですか?」
「はあ、えみるも……、何してるかと思えば……、又その恰好はさあ……」
「……いちち、ほまれさんっ!私はえみるではありませんっ!
キュアえみ~るっ!ふげふげ……」
「♪えみるん伸びるん、びょーんびょーん……」
ルールー、えみるの頬引っ張り、再開……。
「こんにちは、あの……、初めてお会いしますよね?……ルールーと
えみるちゃんからお話は聞いてます、村長さんの所の……、アイシャさん
ですよね?私はさあやです」
「私は……、ほまれです」
ほまれとさあやがアイシャにご挨拶。アイシャも元気に返事を返した。
「こんにちは!アイシャです、女の子同士、こちらこそ宜しくね!」
「あのう~!……わっ、わだじっ!はなですっ!世界一イケてるお姉さんを
目指してますっ!こっちは私達と一緒に住んでる赤ちゃんのはぐたんですっ!」
「♪はーぎゅ、こんちゃ~!」
「おいおいおい……」
「は、はなったら……、もう~!」
はながほまれとさあやを押しのけ、はぐたんを抱いたまま間に強引に
割り込んでくる……。
「あれ?あれれ?はぐたん?」
「はーぎゅ!ちゅき、あいちゃ、ちゅきー!」
「あらら、随分とはぐたん懐いてますね~、初対面なのに……」
「本当、もうお名前も覚えたみたい……」
はぐたんがアイシャに甘えてご挨拶。見ていたほまれとさあやはびっくり。
「えへへ、はぐたん、きゃわたん!」
「♪あーいっ!あいちゃ~!」
「はあ~、それにしても、この雑草の量、……幾ら何でも鬼なのです……」
「……フレフレ!えみる、がんばれっ!」
ルールーがえみるを励ます。……それを見たえみ~るは……、狂った様に
雑草を抜くスピードが倍速になった。
「任せろなのですっ!……どーおーーりゃああああ!!」
「凄いね、えみるちゃん凄すぎ……、よーし私もっ!頑張ってお手伝いっ!」
「おし、私達もやろっか!」
「ええ!」
「よーしっ、やったるでええええーー!」
「はーぎゅ、やりゅでええー!」
アイシャに、ルールー、ほまれ、さあや、はなも加わり、賑やかな
草むしりとなった。雑草は無事抜き終わり、その場には女の子達の
可憐な花が咲いたという。
ジャミルが役場に行っている頃。ダウドがカールの相手を
している頃。そして、アイシャが商店街で買い物をしている頃……。
「あの、こんにちは……」
アルベルトも商店街にある博物館を訪れていた。……エントランスに
いたのは、居眠りをこいているフクロウ、一匹。
「……ふんごごご……」
「あの?もしもし……?」
「ふんごごご……」
「……」
アルベルトは何となく。護身用に持ち歩いているスリッパを取り出した……。
「……はっ!す、すみません!お客様でしたか!いやあ、どうもどうも!
久々にお客様が来てくれるとは!いやあ、私達は夜行性な物でして、つい、
昼間はうっかりと……、わたくし、この博物館の館長を務めております、
フータと申します!」
危険を感じたのか、館長……、フータはやっと目を覚ました。
「はあ、此方こそどうも……、あの、僕は最近此処に越して来た、
アルベルトと申します、新しく村長に就任した、ジャミルと一緒に
住んでおります」
「おお!村長さんの所の方でしたか!お噂はかねがね、それそれは
何より!お若いのに感心です!ささ、どうぞどうぞ、ごゆっくり
鑑賞なさっていって下さい!」
「はあ……」
何となくアルベルトは不安を抱きつつ、まずは絵画の方から
回ってみる事にした。
「……ふんごごご……」
「……」
アルベルトがその場を離れた後、フータは又眠ってしまう。
「やる気、あるのかなあ……」
で、案の定……。
「あの……」
「……はっ!はい、なんでしょうか!」
アルベルトが再びエントランスに顔を出し、フータが目を覚ます。
しかし、アルベルトの顔が……、明らかに引き攣っている。
「この博物館……、見学も何も……、作品が何も飾ってないの
ですが……」
「……も、申し訳ありませんっ!」
……
「で、特に……、展示する作品もない、でも博物館は経営されていると……」
「はい……」
フータから現状を聞き、アルベルトは呆れてみる……。特にする事が
なければ館長は只管眠っているだけという状態……。
「あの、実に勝手なお願いかとは存じますが……、この博物館の
為に、是非、お力を貸して頂けないでしょうか……」
「はあ?」
「このアホウ村に存在する、魚、虫、、巨匠の名画、恐竜の化石など、
もしもお手に入りましたら、是非ともこの博物館に寄贈して頂ければと
存じます……、とにかく博物館とは名ばかりで、お恥ずかしい……、
誠に勝手ながら……」
「あの、それって、僕らの手で、……セルフサービスにて博物館を
創り上げていって欲しい……と、言う事でしょうか……」
「ま、まあ……、そう言う事になりますかねえ~……、あの、
恐竜の化石などは村の土地に埋まっている事が多いので、
スコップ等で地面を掘り起こしてみて下さい、掘り起こして
頂いた化石はこちらに届けて頂ければ鑑定致します、スコップは
まめつぶ商店にて販売中です、あっ、別にまめつぶ商店のPRを
している訳ではないですよ!……と、いう事で是非是非、お願い
致します!どうか、この村の発展の為にも!是非是非、博物館を
盛り上げて頂きたく思います!」
フータは段々熱くなってきたのか、ベラベラ喋りはじめた。……それに
しても……、と、アルベルトは思う。
「分りました、何所までお力になれるか分かりませんが
出来るだけご協力致します……」
「おお!それは有難い!是非、村長さんにもお伝え下さい!
この博物館にて展示物の寄贈をお待ちしております!」
「はあ、頑張ります……」
……それにしても……、僕らが来るまで、この博物館はただ、
館長が眠っているだけの時の森状態だったのかなと思った。
只管眠るフクロウをジャミル達が揺り起こしに来た様な
モンである。
「……ふんごごご……」
アルベルトが博物館を出た後、フータは又眠り始めた。
「あ、アルー!」
「アイシャ、やあ……、もう買い物は終わったの?」
丁度、帰りの商店街を歩いていると、先に買い物に出掛けた
アイシャと出くわす。
「う~ん、少しまめつぶさんの所を見て来たの、今日はハチさんに
うっかり刺された時の緊急のお薬だけ買ったわ、家具もあったん
だけど、お値段が高いから今日はお見送りだわ」
「そう……」
「あっ、あのね、あのね!まめつぶさんの所でね、面白いお話を
聞いちゃったの!この村の土地にはね、恐竜さんの化石が発掘
出来る事があるんですって、それでね、その恐竜さんの化石、
売ったらかなりのベルになるらしいの!まめつぶさんの所で
スコップが売ってるから、是非購入してほしいだなも~って、
つぶきち君が言ってたわ!」
「アイシャ……、その話なんだけど……」
「?」
アルベルトは先程行って来た博物館の現在の現状など、
アイシャに詳しく伝えた。
「そうなの、随分呑気な館長さんなのね……」
「うん、それでね、化石の話はジャミルにはまだ言わないで
欲しいんだ、ダウドにもね、あの馬鹿二人が知ったら鑑定後に
寄贈せず、ストレートにそのまま売ってしまうだろうからね……、
高額ベルになるなんて、特に知ったらね……、……化石の発掘は
僕がやる……」
「そ、そうね……、うーん、ローンのお支払いの助けにも
なるかもだけど……、仕方ないわよね……、残念だけど……」
「うん、……邪魔はさせない、……博物館の発展の為にも……」
「……ア、アル……?」
「うふふ、うふふ、……うふ、うふ~ふ……」
アルベルトが段々腹黒モードになってきた。怖いのでこのまま
刺激しないで突かないでいようとアイシャは思った。
「じゃあ、私、先に戻るね、……スコップはまめつぶさんの
所でね……」
「うん、購入して帰るよ……、じゃあね」
アイシャとアルベルトは一旦別れるが……。アイシャはどうにも
不安になった。
「そもそもジャミルは博物館とか図書館大嫌いだし、近寄りたがら
ないから大丈夫なんじゃないかなあ……とは思うんだけど……、でも、
お金が絡む事になると狂った様になって命掛けるしね、はあ~……」
アイシャもとてとて、又商店街を歩き出した。そんなアイシャの様子を
建物の物陰からこっそり覗っており、話をずっと聞いていた者(ケモノ)
……がいた。
「いいこときいちゃった、……じゃんよ」
最近引っ越して来た、ペンギン娘のレイラである。
「なーに?化石の話は村長さんにナイショなワケ?それじゃ幾ら
何でも村長さんが可哀想!……じゃんよ、よーし、この間落とし穴に
落としちゃったお詫びも含めて、今度、村長さんに会ったら化石の話、
詳しく教えてやる、じゃんよ!」
レイラはうきうき走って行った。このペンギン娘の所為で後に
ジャミルvsアルベルト、化石争奪戦がスタートとなるのである。後に
訪れる事になる南の島での高額ベルの虫の話も後々、知る事になる……。
えみるが又脱走し、ルールーが後を追い掛けて行ってしまった頃。
ドリルうさぎのさあぴょん事、さあやは家の周りに咲いている花に
水やりをしていた。
「アイヤー!村長さああん!待っててねえーー!」
「……待って!ウズメさん、あなた何回言ったら分るの!?」
「アイヤ?」
さあやに呼び止められたゴリラ……、ウズメが立ち止まりさあやの
方を振り返る。
「なあに?アタシこれでも急いでるのよねえ!アイヤ!」
「急いでいるのは分ります、けれどもっとよく足元を見て下さるかしら?
……お花さんを踏んで走らないで下さいな、お花さんが可哀想でしょ!」
「アイヤ~?あらら!アタシったら!ごめんなさいっ!つい、急いで
いたもので……」
「……今度は本当に気を付けて下さいね、お願いしますね……」
「はあ~いっ!それではねーん、アイヤーー!」
しかし、ウズメはさあやに注意された手前から又花を踏みまくり走り出した。
見ていたさあやは……。
「ふふ、……しゃき~ん!」
さあやは護身用に持ち歩いている小型のドリルを取り出す……。アルベルトの
スリッパとタイマンを張れるぐらいのさあや専用のお仕置きアイテムだった。
「……こ、こらっ、さあや!落ち着きなよっ!冷静になれってば!」
家の中からほまれが飛び出し慌ててさあやを止めるのであった……。
「……あ、あら、私ったら、嫌だわあ~!はう~、お恥ずかしい
ですわぁ~……」
「はあ、もう家に入ろうよ……」
「うん、もう少しお花さんにお水をあげてから戻るわね」
「ん、分った……」
ほまれは家の中に戻って行く。さあやは再び花に水やりを始めた。
「♪るんるるる~、……あら?」
「……まーてええー!おれのエモノーー!」
「ニャー!こわいのニャー!」
「あれは……、もうっ!又だわっ!」
遠くの方で、変な茶色いアリクイが白い猫を追い掛け回している
光景が目についた。さあやは小型ドリルを装着。2匹の所まで
急いで走って行く。
「やめなさいっ!あなた確かアルフさんだったかしら!?トロちゃんを
追い掛け回すのはおやめなさいって何回言ったら分るのっ!?」
「うわ!でーたああーー!キョーボードリル女だあーー!こわーーい!
ふぁーっふぁっふぁっ!」
茶色いアリクイ……?いいえ、宇宙人です……。のアルフは慌てて
商店街の方へと逃げて行った。
「もうー!所ジョージさんみたいな声で喋るんだから!……あっ、
トロちゃん、大丈夫だった?怪我はないかしら?」
「にゃー、さあやおねえさん、ありがとう、♪どうもなのニャ!」
「うふふ、何かあったら直ぐに私の所へ来るのよ、ドリルで頭に穴
開けてあげるからね!」
……真顔で平然と言うさあや。
「ニャ、ニャ?……じゃあ、トロはこれで失礼します、なのニャ!」
「またねー!」
トロを見送った後、さあやは自宅に戻って行き家の中へと入った。
「はあ、疲れますわぁ~……」
「その顔は……、又何かあったっぽいね、……お茶淹れるよ、座って」
「ほまれ、ありがとうございまあ~す……」
「お先に頂いてまあーす!」
「ま~しゅ!」
テーブルにはおやつの泉屋のクッキー。既にはなはもうクッキーに
手を付けている。
「はな、お行儀が悪いわ、ほらほら、口元にクッキーのカスっ!んもうっ!」
「わわわ!」
世話焼きさあや。ハンカチではなの口元を拭いてやる。
「もう!はな、これじゃイケてるお姉さんを目指すなんて当分無理よ!」
「……めちょっくうう~、面目ないっす……」
「はーぎゅ!ふぁーっふぁっふぁぁー!」
「……はぐたん、それは覚えちゃ駄目よ、ね?」
「はぎゅ?」
「お待たせ、さあやの分お茶入ったよ」
ほまれがミントティーを淹れてくれた。ミントのすっきりとした香りに
さあやの表情が思わず綻ぶ。
「頂きます、……うーん、いい香り……」
「はーぎゅ!ちゃんちゃんちゃんちゃん、そりぇ!ちゃーんちゃーん!」
「……」
「うふふ、やっぱりあのアリクイ野郎さん、一度ドリルで頭に穴を
こじ開けた方がいいかしら?はぐたんの教養の為にも……、うふっ!」
「はぎゅ?」
パセリを二つ持って踊り出そうとしたはぐたんを止めるさあや……。
「さあや、心の声、洩れてるよ……、それにしても…、ああ~、やっぱ
はぐたん、……きゃわたん……」
「は~ぎゅ!」
「そ、そうね……、色んなはぐたんが見られるのって……、や、やっぱ
幸せかも……」
「ん~、はぐたああ~ん!ちゅき、ちゅき~!私も大好きっ!ハグっ!」
はぐたんにスリスリを始めてしまうほまれ、さあや、はなの3人……。
「じゃあ、この場合、やっぱおれに感謝すべきなんじゃない?ねえ!」
「ブ……!」
「めちょっくううーー!?」
「はーぎゅ!♪ありゅふゅー!」
突然窓の外から……、アリクイ……、いいえ、宇宙人です。のアルフが
顔を出した。
「出たわね、今此処で成敗して差上げますわ、やっぱりはぐたんの教養の
為にも……、余計な事覚えちゃって……、どうしてくれるのかしら?」
さあや、小型ドリルを構え、椅子から立ち上がった……。
「だから落ち着きなって!マジでそれやったらこの話年齢制限タグ
付いちゃうじゃん!それこそはぐたんの教養の為に良くないだろっ!」
「分ってるわよ、ほまれ、それにこのドリルはね、……実は殴るのよ、
殴る専用なの、……ね?」
……どかっ!ごすっ!がんっ!
さあやはそう言うと、手当たり次第に家の中にあった家具を
ドリルで振り回し、手当たり次第にゴスゴスと……。
「めちょっくううーーー!!」
「さあやーーー!私もめちょっくううーーー!!」
ほまれとはなのW変顔めちょっく。
「あーい!しゃあやー!しゅてきー!」
「うふふ、はぐたん、ありがとう!それにね、このドリルはね、
万が一相手の頭に穴を開けてもすぐに穴が塞がるのよ、凄く
便利なのよ!」
「わ、分ったからっ!……もうそれ仕舞いな、オシマイダー!
はいはいっ!」
「私はとことん戦うわー!はぐたんを守る為にっ!いえい!」
……さあや。天使の様な可憐な美少女。表面的には……。
「うわーーー!やっぱり凶悪ドリル女だああーー!!めちょっ
くううーーー!!でも、構うとな~んか面白いのね、……ふぁーっ
ふぁっふぁっふぁっ!おれまーた来るかんねーー!!」
さあやvsアルフ、戦いは続く……?かも知れない。
ダウドがカールの相手をし、アイシャとアルベルトが商店街に
いたその頃。ジャミ公は役場にてしずえから村の条例の説明を
受けていた。
「ええと、本日はこの条例の制定についてなんですが……」
「……ごごごご……」
「村長っ!ジャミルさんっ、まだ何も説明してませんよ!
起きて下さいな!」
「……はっ!わ、わりィ、……何かここ座るとさ、居心地が良くてさ、
つい寝ちまうんだよ……」
「まあ……」
ジャミルは頭をかきかき、照れながらしずえの方を見る。
「ふふ、本当に面白い方ですね、ジャミルさんて、いいですよ、
少し休憩をしましょうか、貰った美味しいお煎餅がありますので!」
「おお!わりィねえ!」
……しずえが性格的にもこんな調子なので、役場とは言ってもギスギスした
雰囲気ではなく、ジャミルもリラックス感覚で色々な仕事の説明をまったり
受けていた。役場と言うより……、もう雑談所、休憩場の様な感じに……。
しずえとジャミ公はお茶を飲みながらすっかり話込んでしまい、気付いた
時には午後16時半を回っていた……。
「あ、あらら!もうこんな時間になってしまいました!申し訳ありません!」
「いいよ、いいよ、明日もあるんだしさ、ゆっくりやろうや!……んじゃ
今日は俺、帰るわ、煎餅美味かったよ、ごちそうさん!」
「そうですね、では、明日もお待ちしております!あ、これ、お土産です、
私の故郷から送って来て貰ったりんごなんですよ」
しずえは帰り際にジャミルにりんご3個を編み篭に入れて持たせてくれた。
土に埋めて増やしてよし、お腹が空いたら食べてよし、売ってお小遣いに
換えてよし、の、お得なアイテムだそう。
「ふふーん、いいもん貰っちまった、しずちゃんマジ天使!……お?うわ!」
「……がんふー!ふごごごご……」
役場から出ると、何故かウズメが倒れていた……。ジャミルは知らないが、
村長さんにスズメバチを渡そうとずっと役場の前で待ち伏せし、そのまま
寝てしまったらしい状態。
「よくねてんなあ、何やってたのか知らねえけど……、このまま
起こさないでおこう……、俺の平和の為に……」
薄情ジャミル、……ウズメを置いてそのまま逃走。
「腹減ったなあ、りんご1つ、……貰って食うかな……」
そう思って、編み籠から1個りんごを取り出す。すると……。
「……あのう……」
「おうわ!?」
突然ジャミルの目の前に突き出された白くて長い鼻……。麻呂顔の
アリクイのみやびである。
「び、びっくりした、何だい……」
鼻が長く、顔に当りそうなので、ジャミルはみやびから少し距離を置き
口を開く。鼻も凄いが、顔も強烈で、……少し怖い。
「私、お腹がすいてしまって……、みずみずしい新鮮なリンゴが
食べたいんです、あのう、ジャミルさん、差支えなければ私に一つ
りんごを取って来て頂けないでしょうか?」
「ファッ!?」
何でいきなり……と、ジャミルは思う。確かに今、貰ったりんごは
手元にあるが、それにしちゃ幾ら何でも唐突過ぎやしませんかーと。
まるで狙っていた様な……。
「……じゅるり」
「わーったよ、ほれっ!食いな!」
「♪ありがとうございます!」
ジャミルはみやびの顔に押され……、仕方なしにりんごを一つ渡した。
みやびはツバを飛ばしながらりんごにしゃくしゃく貪りついている。
「……」
「ああ、美味しかった!あ、これ、お礼です!♪私が今着ている
デンジャラスなお洋服、お譲り致します!」
「い、いや、ついさっきまで本人が着てた生服なんか……、いらね……」
「では、失礼いたします!」
みやびは服を脱いで、無理矢理ジャミルの頭に中途半端に被せると
行ってしまった。
「この服、ノミが集ってんだけど……、おい……、しかも汗臭え……」
……貰った洋服をどう処理するか考えていると……、向こう側から
丸髭の生えたカエルのカールが走って来た。カールには!マークが出ている。
これは大概、住人の何かくれくれの合図である。まれに公共事業の提案を
してくれる事もあるが大概はイヤらしいおねだりなので判別が難しい。
ジャミルはこれ以上りんごを取られまいと、……単純な思い付きで
りんごを咄嗟に服の中に隠す。
「……あ~、ジャミルくんだぁ~、ぼく、ついさっき、村長さんのお家に
お邪魔してたんだよぉ~!」
「そ、そうか、それは何より……」
「あれえ?ジャミルくんてー、女の子だったっけー?ずいぶんおっぱい
大きいんだねえー!」
「……あ、あああ!」
ジャミルはりんごを二つ、無理矢理服の中に押し込んだ為、胸が
膨らんだ状態に……。
「ねえ、ちょっとさわっていい?ぼく、興味があるんだぁ!よいしょ……」
「何の興味だっ!あ、あああっ!」
「……あれぇ~?ジャミルくん、お胸……、かたいんだねえ~……」
当たりめえだろっ、俺は元々男だっての!……と、彼は思うが、
カールは更に胸を擦って確めようとする……。
「……やめろってのっ!このセクハラガエルっ!……あ、あっ、
あああーっ!あはあっ!……あんっ!」
「ちょっとっ!カール君てばっ!何してんのよォォォ!……アタシの
村長さんにィー!アイヤーー!!」
「うわ、ウズメだっ!や、やべっ!」
怒り狂ったウズメがカールに焼きもちを焼いたらしくこちらに
向かって突撃してくる。
「あのう、ごかいだよぉ~、ぼくはねえ~、ジャミル君は男の子なのに
急におむねが大きくなってたから心配で……」
「何言ってんだか分かんないわよぉ~、アイヤ!どう見てもアンタ、
アタシのジャミル君にセクハラしようとしてたんじゃないのっ!
アイヤーー!!」
「いつから俺はオメーのモンになったんだよっ!……ってか、この隙に……」
ジャミル、ウズメとカールが揉めている隙に逃走。服に無理矢理隠した
ボインりんごをゆさゆさ揺らしながら……。
「……ああっ!ジャミル君、帰っちゃったじゃないの!アイヤーー!!
アタシは諦めないわよっ!アタシだっていつかジャミル君にセクハラして
やるんだからっ!」
「はああ~、だよぉ~……、ウズメちゃん、怒るとこわいよぉ~……」
怒らなくても充分怖い。どさくさに紛れ、恐ろしい事を口走るウズメ。
彼女の秘めた野望らしい。……そして。つい、そのままの状態のまま
自宅にうっかり入ってしまい……。
「……ジャミルのバカーーっ!!此処でも女装しようとしたのね!
……信じらんないっ!」
「おい、誤解だ誤解っ!これはりんごだよっ!」
……このりんごボイン事件の件は、村の掲示板にまで記載されてしまい、
ジャミルは暫く恥を掻く羽目になる。……犯人は……。こいつ、レイラ。
「ん~?話広めたの、ウチとちゃうよ、ホントホント、じゃんよ!」
とびだせzokuダチの森・3