春色エプロン チャプター7 ~老人の魔の手が忍びよる~
【 ここまであらすじ 】
吉田くるみ(36歳)は、夏のバイトで、葉子おばあちゃんの世話をしている。少し認知症の葉子は、
ボケていたり、病院を拒否したり、思ったより大変な存在であった。
だが、周囲には、葉子おばあちゃんの彼氏である、順吉さんや、相談にのってくれる従妹(いとこ)の、あかねなどが
いて、助けられていた。また、ちょっと恋心を感じている、配達員の町田恭介(36歳)も、気になる。
あと、バイトも2週間をきる。残りの夏は、どんなふうになるのか・・。
【 本編 】
~~ くるみとあかねのお茶会 ~~
今日は、久しぶりに、吉田あかね(22歳)ーーくるみの従妹ーーとの喫茶店のお茶会の日だった・・。
あかねは、葉子おばあちゃんの話を嬉しそうにして、「これ、もらった栗ようかんよ」と自慢そうに見せてくる。
くるみは、自分が「この、若い従妹(いとこ)くらい、要領のいい性格だったら会社も辞めなかったのに、、」と、がっかりである。
あかねとのお茶会はいっつも楽しくて、笑いにあふれ、、くるみは元気をチャージしていたのだ。
栗ようかんを目の前にして、くるみはある思い出を、たどっていた。
~~ くるみの回想シーン ~~
「栗ようかん」と言うと、、、
吉田くるみには、ある思い出があったのだ。。実は、苦い思い出であまり思い出しくないが、フラッシュバックのように、蘇ってくる。
それは ーー 3年前のことーー
くるみの母親が、友人と旅行に行ったとかで上機嫌だったのだ。
くるみにも、温泉町の名物、、「栗ようかん」を買ってきた。
けれど・・その当時、くるみは前の会社の仕事が激務で、帰りも遅く、、とっても疲れてた。
「くるみ、、ほら、栗ようかんよ、食べてね」
「仕事、忙しいの?あとで話を聞くからね」
そういう母親は、少し、酒臭かったのだ・・。
のん気に、旅行の土産を渡す母が急に気にいらなくなり、、、暴言を言ってしまったのだ。
「なに、のん気なこと言っているのよ、お母さんなんて、当てにしてないわよ!」
「女友達と遊んでばかりで、母親づらして、、いいことばかり言わないで・・?!」
それを聞いた母親は、悲しい顔付きになり、2階の部屋にあがってしまったのだ。
くるみは、ストレスがたまると、ついつい暴言を言ってしまう自分が、自己嫌悪だった。
~~ ここまで、~~
会った喫茶店で、
あかねといえば会うや否や、職場の老人の愚痴を吐いているではないか・・。
「まったく、世話をしているのに、早くしろ、、とかうるさいのよね・・。クセがあって困るわ」
あかねはそう言って、、オーダーしたマルゲリータのピザを、もくもくと食べ始めたのだ。
脇には、、冷たそうな、コーラ・・。
「あかねちゃんて、ピザとコーラなんてさすがに若いわね・・。」
吉田くるみは36歳にもなるのに、、自分はバイトしかできなくって、、ちょっと、あかねには頭が上がらなかったのだ。
「はい、チキンピラフです、お待たせしました、」
小柄な可愛いウエイトレスが、、くるみのチキンピラフを運んでくる。
この前の夜の徘徊のことをあかねに相談してみると、こう言ってくれた。
「そんなことは、認知症の老人には当たりまえのこと放っておくのがよくって、刺激を与えないこと。」
ーー 吉田くるみは、昨日の夜のことを思い出してみる。
たしか、、葉子おばあちゃんは、廊下をウロウロとして、
「眠れなくなった、、」
「あの部屋の片隅に、親方がいるんだよ」と、ぶるぶる声を震わせていたっけ。。。
くるみも慣れたが、自分が眠いこともあって、声を荒げていた。
「葉子さん、、もう寝てくださいね。。私も、疲れてるんですから」
ーー喫茶店で、くるみは、考えことばかりしているようだ。
「く、くるみちゃん、、だいじょうぶ?」
はっと我に返ると、、コーラをストローで飲んでいる、あかねが心配そうに見ている。
「だいじょうぶよ、また、おばあちゃんも元に戻るわ。追加で、コーンピザも頼んでみたわ」
あかねは、豊満なバストのせいか、食べるのも、2人前である。
それから、あかねは、、この前、下のスーパーで恭介さんと言う男性と知り合いになった、と告白してきた。
「ええ?? 恭介さん・・?」と、くるみ・・。
あかねの話によると、帰りにイケメンがいたので、気になり話しかけたそうだ。そうしたら、偶然、葉子おばあちゃんの知人だとわかった。
「そ、それで・・・?」
思わずくるみは、あかねをじっと見る。
「う、うん、、すごくタイプなの、、今度、デートに誘ってみたいわ」
くるみの気持ちをしらずか、、まだ、22歳のあかねは頬を真っ赤にそめて、、恭介への恋心を伝えてきたのだった・・。
ーーその夜、くるみの部屋で ーー
「う~ん、あかねちゃんが、恭介さんを好きですって・・・・?」
なんか、吉田くるみの心にトゲトゲした気持がわいて、、いてもたってもいられなかった。
あかねは、、自立している、
あかねは、、若くてスタイルがいい
あかねは、、男性にもてるタイプである。
。。。。〈≧ ≦〉 泣、 泣、
くるみは、初めて、恭介に心を奪われていたことを感じてしまったのである。
ただ、表面上は、お互いに友人関係で、成り立っていたのだ。
あまり、会う回数は少なかったが、メール交換をして、くだらない話題で盛り上がることもあった。
恭介の、気取らない性格に、男らしさを感じていたくるみであった・・。
部屋で、、ジャスミンテイーを飲んで考えてみた。
『まあ、いいか、、恋愛以外にも、楽しいことはあるわ・・!なりゆき、に任せてみよう。』
わりと楽観的なくるみは、そういってベッドにもぐってしまった。
1週間後の夜のことーー
くるみが、居間でゆっくりコーヒーを飲んでいると、ペタ、ペタ、得た、、、スリッパの音であるーー。
「わあ、-。また、葉子おばあちゃんだわ・・?!」
クルミの顔に、戦慄が走る。。この時間帯に起きてくるってことは、ねぼけているか、徘徊しているパターンだ・・!
葉子おばあちゃんが泣き出すと、、止まらないし、嫌で面倒なことが降りかかってくるのだ・・!
ーー ペタ、ペタ^--
「く、くるみちゃ~ん。 た、す、け、て」
葉子おばあちゃんは、すがるような目つきで、くるみにめがけて歩いてきたーー。
『もう、わたしだって疲れているのに、、やめて・・」
くるみの本心が、心の底から恐怖を感じていたのだ。
--と、その時ーー
葉子おばあちゃんの両手が、くるみの肩にのしかかり、まるで、抱っこしてほしいように甘えてきたーー、
「やめてください、、毎晩、毎晩、いい加減にしてよ」
「こっちだって寝たいのよ、、あんたなんか、あっちに行ってよ・・!!」
くるみは、思わず本音を吐いてしまったのだ。
当の葉子おばあちゃんときたら、何を言われたのか分からないのか、、、ポカーンと、口を開けている。
ーー くるみの心は、不安と狼狽でいっぱいだった
ま、また、、お母さんの時と同じように、突き放してしまったわ、、
葉子おばあちゃん、、傷付いたかしら・・・??
このあと、、どんなことが起こるか予想もできず、ただ、ただ、、固まってしまう、くるみなのであった。
春色エプロン チャプター7 ~老人の魔の手が忍びよる~