詩
みんな生きている
みんな生まれてきた意味を求めている
誰もが真剣に生きようとしている
後悔のないように生きようとしている
みんな内心では必死なのだ
人のふるまいを笑ってはいけない
安易に断定してはいけない
簡単に決めつけてはいけない
俗悪さの中に崇高さを見出すこと
一介の技術系労働者の愚痴
難解な数式はいらない
仮定をもとに実験を進めるなんてできない
そんな偉いやり方ができるわけないだろう
とにかくまずは手を動かすことだよ
頭で考えてもしかたがない
とにかくやってみて出た結果に意義がある
蓄積したデータを整理して初めてわかってくる
そんなにスマートなものではない
予定調和で進むようなものではない
人よりもモノの方が融通がきかないのかもしれない
こっちの思い通りに動いてはくれない
ちっとも知的なんかじゃない
物理学万歳
数式に自然現象をあてはめるのか
自然現象に数式をあてはめるのか
数式が先か現象が先か
原子を最小単位とするのか
それとも原子の中身も調べるのか
数学の世界は自然と相性がいいらしい
人間と自然をつなぐ架け橋として数学があるらしい
どうしてそんなことが可能なのだろうか
原子の中身にまで入り込み
電子の位置とかどうとか言っているうちに
数式がやたらに難しくなっていったらしい
かけ離れた世界になるほどに数学が幅をきかせる
それでも身体から始まっているはずなのだ
グッドイヤーを讃えて
スニーカーを履いて外を歩く
コンクリートの上をゴムが弾んでいる
発明を成就させるのは欲望でも意志でもなく
狂気でしかないのだろうか
身の回りの製品が狂気によって生じたのだとしたら
都市社会とは狂気が具現化したものだとしたら
創造意欲などというちゃちな言葉ではないだろう
自然を強引にねじまげて利用してきた
環境とはいったいなんのことなのか
人工物が狂気のかたまりだとしたら
詩を書こう
人の悪口を言いたくなったら詩を書こう
呪いの言葉を吐きたくなったら詩を書こう
少しは薄められる
澱んだ感情が溜まっている
長年ため込んできた憎しみと恨みの感情がある
自分はどうも欠陥人間だったようだ
心をしずめるために詩を書こう
穏やかになるために詩を書こう
自分なりに考えるしかない
傷つけることしかできなくても書くしかない
言葉と神
私は科学的思考から始めるしかない
言葉と同一化した思考を信じられない
自ら神と名乗るような僭越なまねはできない
だとすると言葉自体に神が宿るということか
これだけ機械を作ってしまったのだ
言葉と同化する立場を維持するのは難しい
ますます思考のあり方も変わっていく
数理的思考が背後にしのびよってくる
それも私のかんちがいか
おまえが勝手にそう思っているだけだよ
おまえだけはぐれているのだよ
化学万歳
自然界を記号化してしまった
思えばすごいことをやってのけた
すべては記号なのだ
これとこれを組み合わせればあれができる
なんということだ
記号は傾向ごとに列をなしていた
自然自体が列をなすことを好むらしかった
それとも人間がそう考えたがっているだけなのか
人間の思考と現象が異様なほど合致してしまった
ふと思う
どうして自分は犯罪者にならなかったのだろう
これまで娑婆で生きてこれたのはなぜなのだろう
彼らと私はどう違うのだろう
被害者よりも加害者に心が魅かれてしまう
元来そういうどうしようもない人間なのだ
いつも内心では苦しかった
行き場のない孤独に焦燥
緊張や不安がないまぜになっていた
いつも勝手に独りで傷ついていた
勝手に被害者意識を募らせていた
それでいて加害欲も旺盛だった
他罰意識と自罰意識の過剰
疲れた
就活をしましょう
面接をしましょう
しっかりと予定を入れましょう
社会に合わせましょう
さっさと復帰しましょう
働きましょう
がんばりましょう
ちゃんと朝は起きましょう
本当に燃料切れ
面接いきたくない
死にたい
自分の意志って何
背負ってきた矛盾が大きすぎる
心と身体と頭がぐちゃぐちゃで
本当は何も考えたくない
何もしたくない
それでは人生が終わってしまう
そして無理に動こうとする
もうずっと変わらない
詩