予期せぬ出来事 27

 ボクが仕事の行き帰りに通っていた赤羽駅ナカには、さまざまな店が並んでいる。
 蕎麦屋、拉麺屋、パスタ屋、カレー屋、丼屋、コンビニ、ケーキ屋など、数え切れないほどの食べ物屋以外にも、本屋や雑貨屋、洋品店などのお店が軒を並べている。
 その店の中には、駅ナカ定番の〝ベッ○ス珈琲〟も当然あるのである。
 そんなある日の、赤羽駅ナカ物語である。 
   *
 会社帰りのボクは、王子駅から乗った京浜東北線のホーム階段を降りて、高崎線に乗り換えるために、いつものルートで、ベッ○ス珈琲の前を通ったんだ。
 店は、周囲がガラス張りになっていて、歩いている構内通路からも店の中が覗けて、混み具合が分かるようになっている。
 ……いつも込んでいる記憶ばかりだ。
 そしてその日は、20代の女性が、通路側カウンター席に座っているのが目に止まったんだ。
 仕事帰りの息抜きで、ちょっと珈琲でも……と立ち寄ったのだろう。
 彼女は、自分の膝の上に乗せた鞄に身体を預け、カウンターテーブルに回した手には、右にスマホ、左にストロー付きにドリンクを握っていた。
 ここまでなら、どこでも見掛けるありふれた光景だ、と誰でも思うだろう。
 でも……今日のその見知らぬ彼女の姿に、ボクの目は釘付けになってしまったのである。
 彼女は眠っていた。
 よっぽど疲れていたのだろう。
 加えて、一日の仕事を終え、気持ちが緩んでいたのだと思う……
 見ると彼女の口からは、ドリンクと同じ色の〝涎〟が垂れていたのでした。
 帰宅時間の、大勢の人たちが行き交う通路に顔を向けて……気持ちよさそうな寝顔だった。
 起こしてやることも出来ずに、彼女を横目で眺めながら、その前を足早に通り過ぎたボクでした。
    *
 あと、こんなこともあった。
 あれは確か202X年11月24日、水曜日のことだ。
 朝、いつもの時間に高崎線を降り、京浜東北線に乗り換えようとしていたときだった。
 歩いているのは、いつものベッ○ス珈琲のある通路である。
 朝から店は混んでいる。
 モーニングセットを急いで頬張っているお客さんたちをよく目にする。
 その丁度真向かいに女子公衆トイレがあるんだ。
 今度もまた、ボクの目は惹きつけられたって言うか、またも釘付けになってしまったのである。
 その日だけ、女子トイレの入口から女性たちが溢れ出て、通路まではみ出して長蛇の列を作っていたんだ。
 これにはさすがにビックリした。
「おっ、何だ?」て声をあげる人もいた。
 毎日こんな長蛇の列だったのかなぁ? 気付かなかったなぁ、と……ボクは思った。
 でもって、翌日の同じ時間に注意してみると、溢れている人はぜんぜん居なかったのである。
 つらつら考えてみるに、前日は個室の何個かが故障していたのではないかと推測したボクなのである。
 普段の何気ない一日でも、色んなことが起こっているんだ、面白いなぁ~と思うボクなのである。
 ……とこうやって文字起こしをしながら
 赤羽駅ナカのエピソードって、シリーズ化出来んじゃねぇ? と思いました。

 おしまい

予期せぬ出来事 27

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予期せぬ出来事 27

赤羽駅ナカ物語

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-08-28

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