映画『機動警察パトレイバー EZY File2』レビュー

 OVAのメインストーリーの合間に挟まれるような話で構成されたFile2なので、ストーリーとしては迫力に欠けるというのが正直な感想。懐かしさも手伝って私は楽しめたけれど、一般受けするかどうかは完全に好みによると思います。
 物語の見所としては、やはりレイバー戦で主軸となる1号機の操縦士=久我十和と指揮者=天鳥桔平の絆になるでしょうか。猪突猛進で独力解決、無駄をするより失敗しろのメンタルで生きる十和の後ろを半べそかきながら追いかける桔平の関係性は、躓きひとつであっさりと入れ替わる。融通が効くのか効かないのかよく分からないバランスで、支え合うことだけはやめない二人がFile3で直面するであろう事件は、操縦者をAIに移し替えているレイバー業界の主流から吹き出す大問題になりそうで、その舞台となるアララギ計画があのバビロン計画を引き継ぐものと知れば、待ってました!とばかりに期待は高まります。
 穿った見方をすれば、水の化身と伝承される白蛇がシンボリックに絡んでくる『あさき夢みし』でも都市部のインフラのヤバさが劇中で示唆されて見えましたし、目に見えない隠り世=地下空間やデジタル空間と解釈すれば、その広大さに目を向ける意識が未だ十分でない現代社会の危うさに対する危険信号も聞こえてくるようで、十和たち現特車二課の面々が新たなステージにその身を置いているのは確かだと感じざるを得ません。あの後藤さんが「ぼくの出番はないね」とばかりにエール(?)を送ったのも当然といえるでしょう。
 事件解決の重要なファクターになるチームの完成度という点では、『ワインと銃弾』で描かれるとおり、荒ぶる御霊を鎮められないシゲさんを含め非常に不安な現状ではあるのですが、信じられない化学反応を引き起こしそうな可能性に「だけは」満ちている。スクリーンで見る度になぜか好きになってしまう柚木八久万がどデカいマスコットみたいに可愛いので多分、一事が万事で大丈夫。CGで描写されるレイバーヘの信頼度も増すばかりですよ。今回の攻防の舞台となった三軒茶屋は現地をよく知っている分、各アングルからの描写の正確さに感動しますし、記憶から想像できるレイバーの大きさにもワクワクする。そういう意味で、File2はいぶし銀の良さを具に味わうのがベスト。必要な前振りは全部済ませて雪崩れ込むだけのFile3は、本シリーズのクライマックスになること間違いなしです。前回を見逃したという方は、UーNEXTで配信されているのでそちらを是非。『機動警察パトレイバー EZY』、とことん楽しみましょう。

映画『機動警察パトレイバー EZY File2』レビュー

映画『機動警察パトレイバー EZY File2』レビュー

①相当程度のネタバレを含みます。事前情報なしに鑑賞したい方はご注意下さい。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-08-24

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