我ら工場ファクトリーズ 第四話
おはようございます。第四話のお届けです。八騎ら工員を産み続ける排卵母機マザーの秘密とは……。お楽しみに!
第四話
「我ら工場ファクトリーズ」
(第四話)
堀川士朗
♪行くぞ~
我ら工場ファクトリーズ
負けるな
負けるな~
ダイ日本人民共和国~
敵は汚穢(おわい)の~
邪なる進化帝国~
民族浄化を旨とする~
負けるな
負けるな~
ダイ日本人民共和国~
母なるマザーの危機をば
救わんがためにぞ~
今日も作るぞ
明日も作るぞ~
未来を共に創る~
我ら工場ファクトリーズ
夢見て走れ~
ズラリと並んだ作業員たち。
今日も今日とて埼玉第四工場の社歌が流れて作業員全員合唱。
ラジオ体操と朝礼も終わり、作業開始のベルが鳴る。
やあ。
俺は八騎連だ。
今日も工場勤務で忙しい。
俺たちは排卵母機『マザー』から産まれた。
卵の状態で。
『マザー』の産む卵は全て有精卵。
各々の名前はファミリセコンピュータが無作為な漢字の配列で付けたものだ。
そこら辺の情報は別に秘密じゃなくて、俺たちに隠す事なくオープンだった。
保育園と小学校を出るとすぐに俺は工場勤務が決まって、この年になるまで働き詰めの毎日。それでも月に二度、休みがあった。
俺と嵐感と梅坪は同い年だ。
多分、同じマザーから同じ排卵時期で産まれたのだろう。
だからどことなく顔も背丈も似ていた。
が、性格は違うようだ。
個体差ってやつか。
俺たちは兄弟という概念は持ち合わせず育った。
アカの他人だ。
嵐感と梅坪とは埼玉第四工場の寮も同じ部屋で、もう勤続二十年だ。
一日、三十分休憩を二回挟んでの十二時間労働。
年とともに年々しんどくなるが、まだまだ働ける。
働けなくなった者の末路は悲惨だ。
俺は副主任だから給料は良かったが、使い道がない。
色恋街の飲み屋かガールズバーでカネを落とすしかなかった。
俺たちは一度も塀の外には出た事がない。
また、出たいとも思わない。
『出たら、命の保証はない』と小学校で毎日のように習ったからだ。
今日も工場勤務で忙しい。
そろそろ仕事に戻ろう。
続く
我ら工場ファクトリーズ 第四話
ご覧頂きありがとうございました。また来週お会いしましょう。