戦友-回天-脚本

戦友-回天-脚本

『戦友 回天』 
参考資料:wikipedia, 人間魚雷「回天」(ザ・メディアジョン)

登場人物

渡辺幸三

黒木博司
東條英機
昭和天皇
皇后陛下
皇太子
仁科関夫
福田斉
都所静世
村上克巴
上別府宣紀
樋口孝
今西太一
橋口寛
佐藤章
三輪茂義中将
神本教官
板倉光馬少佐
近藤和彦
宇都宮秀一
吉本健太郎
豊住和寿
工藤義彦
折田艦長

中学生時代の博司
黒木博司の父


姉の婿(幸一)
博司の甥

日本政府の役人
近衛文麿
木戸幸一
東郷茂徳
英米大使館の方々
永野修身
杉山元
島田繫太郎
岡田啓介
小磯国昭
山本五十六
高須四郎
ダグラスマッカーサー

山城の乗組員たち
博司の父の部下


森ハルカ(架空の人物)
ハルカの母親
渡辺幸三の父

渡辺家の家政婦 静(架空の人物)

橋口寛の母

祖母

福田斉の父

上別府宣紀の父


仁科関夫の父

兄弟
不思議な猫のみかん
不思議な猫のミルク
不思議な青い鳥

プロローグ
回天の搭乗員目線で美しい海の中を高速で突き進む。

目線は回天から外れ、回天は海の中に行ってしまう。

『戦友❘回天❘』


★博司の中学時代
ブーン。空高く飛んでいる飛行機を、中学生の博司は縁側から眺める。
父「博司、将来の夢は決まったか?」
博司「父ちゃんには関係ない。」
父「関係あるぜよ。しっかり勉強して、父ちゃんの後継いでくれ。」
博司「俺は医者には絶対なりたくない。」
父「なぜそんな事言うんだ?」
博司「俺は血を見るのが苦手だから。」
父「○○!」
父と博司はじゃれ合う。

★姉の結婚
別の日。学校の宿題をする博司に母が話しかける。
母「博司。お姉ちゃんが今度結婚するから、今日、将来の旦那さんが家に来るからね。」
博司「ええ?なんでこんなに突然?俺は何も聞いてないだぞ。」
母「お姉ちゃんの幸せは博司には関係ないの。とにかく、もう少しちゃんとした服着なさい!」


★姉と婿が来て、父と母の隣に座る博司は気まずい時間を過ごす。
婿は医師で父とは昔からの知り合いだった。

★その日の晩ご飯。
博司「父ちゃん、俺さ、やっぱり医者になりたい。」
父「おお、ようやくお前もその気になったのか。」
博司「うん。」
母「だけど博司、幸一さんみたいに、東京大学に行けそうなの?」
博司「うん!俺、今日からたくさん勉強して、父ちゃんみたいに立派な医者になる。」
父「そりゃ楽しみだ。」
一家の団欒。

★第二次世界大戦の経緯(一九三八年まで)

★博司、海軍機関学校へ
家の外で、両親と姉夫婦は博司を見送っている。
父「博司、頑張れよ。」
博司「僕は医者の子供です。だから、人を殺したくありません。命の尊さを他の人たちに教えてきたいと思います。」
父「○○。」
母「博司、百人の人に笑われても一人の正しい人に誉められるよう、百人の人に誉められても一人の正しい人に笑われないようにしなさい。」
博司「はい、お母さん。ありがとうございます。」
家族はお別れをする。

★東條英機
一九四〇年七月二二日から陸軍大臣を務めていた。
一九四一年八月二七日・二八日両日に首相官邸で開催された『第一回総力戦演習総合研究会』に参加し、日本必敗の報告を受ける。
一〇月一四日の閣議で、近衛首相の発言に東條が激怒し、近衛内閣は総辞職する。

★近衛の後任首相については、対米協調派であり皇族軍人である東久邇宮稔彦王を推す声が強かった。
ところが内大臣・木戸幸一は、独断で東條を後継首班に推挙し、昭和天皇の承認を取り付けてしまう。
天皇は木戸の東條推挙の上奏に対し、「虎穴に入らずんば虎児を得ず、だね。」と答えた。

★天皇は首相任命の際、東條に対米戦争回避に力を尽くすように命じる。
天皇への絶対忠信の持ち主の東條は、それまでの開戦派的姿勢を田立に改め、外相に対米協調派の東郷茂徳を据え、一旦、帝国国策遂行要領を白紙に戻す。
東條「和平だっ、和平だっ、聖慮は和平にあらせられるぞっ!」

★開戦へ
東條は最後まで天皇の意思の実現に全力を尽くそうとした。
外相の東郷が甲案・乙案をアメリカが飲む可能性について疑問を言うと、東條は「交渉妥結の可能性は充分にある」と自信有り気だった。
しかし、日本政府側の提案はフランクリン・ルーズベルト政権の強硬な姿勢によって、組閣から約四〇日後には崩れ去ってしまう。

ハルノートを目の前にしたとき、対米協調をあくまで主張してきた東郷でさえ「これは日本への自殺の要求にひとしい」「目がくらむばかりの衝撃にうたれた」といい、東條も「これは最後通牒である」と認めざるを得なかった。

★これによって東條内閣は交渉継続を最終的に断念し、対米開戦を決意するに至る。対米開戦決定を上奏した東條は、戦争回避を希望し続けていた天皇の意思を実現できなかった申し訳なさから上奏中に幾度も涙声になった。

★一九四一年一二月八日。太平洋戦争に突入。
開戦日の未明、東條は首相官邸の自室で一人皇居に向かい号泣しながら天皇に詫びている。

【真珠湾攻撃の映像】

★昭和天皇への真珠湾攻撃の報告
東條英機は昭和天皇への戦況報告を真っ先に指示した。
昭和天皇は遠い目で報告を聴く。

★一一月三日には、海軍軍令部総長・永野修身と陸軍参謀総長・杉山元が昭和天皇に陸海両軍の作戦内容を上奏するため列立して読み上げていた。(回想シーン)


★一二月八日
東條は敵国となった駐日の英米大使館への処置に関して、監視は行うが衣食住などの配慮には最善を尽くす上、「何かご希望があれば、遠慮なく申し出られたし」と相手に配慮した伝言を送っている。

★ しかし、八日夜の総理官邸での食事会を兼ねた打ち合わせの際には、上機嫌で「今回の戦果は物と訓練と精神力との総合した力が発揮した賜物である。」
「予想以上だったね。いよいよルーズベルトも失脚だね」などと発言し、緒戦の勝利に興奮している面もないわけではなかった。

★ 同じ八日の夜には、ラジオを通じて国民に向け、開戦の決意を「大詔を拝し奉りて」という演題で表明した。

★博司、山城へ(ここから大人の博司登場)
一九四〇年一一月一五日、黒木博司は海軍機関学校を卒業し、同一五日付で海軍機関少尉候補生となり、当時旧式だった扶桑型戦艦「山城」乗組を命じられる。

★太平洋戦争の開戦を迎え、博司は分隊士として七〇余名の部下を率いることになる。

★ 日本の戦局の行き詰まり

★ミッドウェー海戦
一九四二年五月下旬から六月上旬のミッドウェー作戦に、博司の乗艦する山城は、連合艦隊司令長官山本五十六大将と第一艦隊司令長官高須四郎中将がひきいる主力部隊として内地を出撃した。

★ ミッドウェー島に向け航行中の六月一日付で博司は海軍機関少尉に任官し、ひきつづき「山城」乗組を命じられた。

★六月五日のミッドウェー海戦で、日本海軍は主力空母四隻を喪失する。
「山城」は全く戦局に寄与できず、燃料を消費しただけで呉にひきあげた。大艦巨砲主義に完全に見切りをつけた博司は、潜水艦勤務を熱望するようになった。

★生き残った兵士は、山本の前に整列した。
山本五十六はゆっくりと兵士たちの顔を見て歩き、博司の前で止まった。
山本「○○!」
山本は大きな声で博司を怒鳴り、博司はうつむく。
博司「申し訳ありませんでした!!」
博司は山本に向かって土下座をする。
山本「○○!」
他の乗組員「○○!」

★帰省
七月一五日、博司は山城乗組を免ぜられ、実家に帰省した。
父は駅まで迎えに出て、人ごみから顔を出し、博司を探したが見つからない。
父「おかしいなぁ。」
父は部下の車に乗り込み、家に戻った。

★実家へ
博司「ただいま。」
母「博司?」
博司「うん。」
母「大丈夫?よく帰ってきてくれたわね。」
博司「はい。お母さん、ご心配かけてすみませんでした。」
母「お父さん、博司を迎えに駅まで行ったのよ。会わなかった?」
博司「えっ。僕、全然気がつきませんでした。」
母「きっと今頃どこかで博司を探しているわ。」

★夜。晩御飯を前に父親を待つ博司。
甥「お兄ちゃん!」
博司は甥を抱っこし、姉夫婦に挨拶をする。

晩御飯を前に、姉夫婦と会話をする博司。
そこに父親が戻ってくる。

博司「○○」
父「博司。よく戻ってきてくれたな。」
一家は笑顔で晩御飯を食べる。
父が探しに出た事について、みんなで笑って話す。

★夜、博司は両親と話す。
父「それで、ミッドウェー海戦はどうだったんだ?」
博司「ええと。」
母「少しは戦果をあげられたの?」
博司「いいえ。」
父「それではダメじゃないか。山本大将のお役に立てなかったということか?」
博司「はい。だから僕、山城乗組を免ぜられてしまいました。」
両親「ええ?」
博司「すみません。」
父「どういうことだ?博司、敵を一人も撃てなかったということか?」
博司「・・僕はお父さんの息子です。命を救う人の息子ですから、僕は人を殺す事ができません。」
父「だけどそれではダメじゃないか!お前は兵士になったのだから、敵の命は奪わなきゃあかん!!」
博司はうつむく。
父「○○!」
父は二人を残し、部屋をあとにする。
博司「お母さん、もし僕が死んだらどう思いますか?」
母「○○(日本の大変な状況を教える。)」
母は博司に本当は何がやりたいのかたずね、博司は潜水艦勤務を望んでいることを告げる。

★ 翌日、父が電話をし、博司は海軍潜水学校の普通科学生として採用された。

【海軍潜水学校の授業風景】

★ 海軍潜水学校
晩御飯の時、海軍潜水学校で友達の話を聞く。

★血書
博司は一人で考えにふけり、甲標的搭乗員を熱望するようになる。
最初は普通に手紙を書いたが却下される。次に血書を送った。

★ そして両親に手紙を書いた。(手紙を読む二人)

★ 甲標的講習員となることとなった博司
★甲標的講習員
一九四二年一二月に特殊潜航艇「甲標的」講習員(第六期)となる。倉橋島の特潜訓練基地で訓練や、甲標的の改良に励んだ。

★山本五十六の死
一九四三年四月一八日。山本五十六が戦死する。

山本五十六の死の報告を受ける昭和天皇。
皇后と二人になった時、皇后が話しかける。
皇后「山本さんが亡くなってしまったのですから、もうここでこの戦争は終わりにしましょう。」
天皇「そういうわけにはいかないのだよ。○○(戦争の経緯を説明する)」
ハンカチで涙を拭く皇后陛下。

★ 山本五十六戦死の報告を受ける東條英機。
東條「そ、そうか。や、山本大将までも日本のために命を捨てたのか。次は吾輩の番ではないかな?」
部下「○○」
東條「○○。山本五十六なくして、これから我が国の海軍は不安だね。」
部下「○○」
二人の会話

★山本五十六の戦死について講習員が博司に話しかける。

★仁科関夫の登場
第九期潜水学校普通科学生の教程を終了した仁科関夫少尉は、一九四三年一〇月一五日、甲標的の艇長講習員として赴任。一年先輩の博司の部屋で寝起きする事となった。
関夫「僕は仁科関夫、年は二十歳です。よろしくお願いします!」
博司「あ・・。ええと、俺の名は黒木博司、二十二歳です。よろしくお願いします。」
関夫「はい。」
関夫は少し赤くなった。
博司「そ、そこに布団をしき、右半分は自由にしろ。」
関夫「はい、ありがとうございます。」

★ 訓練や授業の様子。

★夜
博司は一人でノートに何かを書いている。
関夫「博司さん、何をしているんですか?」
博司「ん?君は関わらんでいいよ。命を捨てる覚悟が必要になる。」
関夫「それならもうついています。博司さんが考えている事を僕にも教えてください。」
博司は軍の兵器庫に何百本と眠っている魚雷について話す。
魚雷を改造して、自らが操縦して体当たりする魚雷を完成しようというのである。

関夫「それは名案ですね。僕にも手伝わせてください。」
博司「いいのか?」
関夫「はい!」
博司「ではよろしく。」
二人は握手をする。

★甲標的メンバーで博司の計画について話し合う。

【博司と関夫が部屋で君が代を歌うシーン】

★ 人間魚雷の研究がものになる見込みが立つや、兵器に採用してもらうために設計図と意見書が軍務担当官に届けられた。しかし、「必死」を前提とする兵器は採用できないと却下された。一九四三年一二月二八日、二人は人間魚雷の青写真を携えて上京。軍令・軍務の担当者を説得して回っただけでなく、時の海軍大臣島田繁太郎大将にまで強く訴えた。

★永野修身軍令部長にも嘆願した。
博司「東條英機首相に会わせていただけませんか?」
永野「それはいかんな。○○」
二人は肩を落とし、東京を後にした。

★夜
東條英機に博司と関夫の案が伝えられる。
東條「二十歳そこそこの小僧が考えてもってきたのか?」
部下「○○(博司と関夫について紹介し、博司はミッドウェー海戦に行っていた事を話す。)」
東條「へえ~。ミッドウェーに行ってきたんだ。全然ダメだったね。」
部下「はい。ですが、その作戦についてどう思われますか?」
東條「ダメだと思うよ。まだ我が国はそこまで落ちぶれていないのでね。とりわけ、お上は若い命を無駄にすることを嫌っている。」

★戦況の悪化
一九四四年二月一七日、敵の大機動部隊による日本海軍最大の
基地トラック島への攻撃で、前進根拠地としての機能を喪失した。

★東條英機
トラック島空襲を知った東條はついに陸軍参謀総長兼任を決意する。

★天皇
2月19日に、内大臣・木戸幸一に対し「陸海軍の統帥を一元化して強化するため、陸軍参謀総長を自分が、海軍軍令部総長を嶋田海相が兼任する」と言い天皇に上奏した。
天皇「統帥権の確立に影響はないか。」
東條「政治と統帥は区別するので弊害はありません。」
役人「○○」
背を向けた東條に天皇が話しかける。
天皇「早まるな、友よ。」
東條「え?」
天皇「そろそろ隠居して、楽になったらどうなんだ?」
東條「○○」
天皇「この戦争の責任をとるのは私一人でいい。」
東條「○○」
天皇「○○」
東條「兵士たちはあなたのために戦い、女子供はあなたのために耐えている。あなたは神であればいい。この戦争の指揮官は私です。」

バタンとドアを閉める。

心配そうに見つめる皇太子に会う。東條は笑顔になり、東京の有名和菓子を渡し、皇太子は笑顔で礼を言う。

★夜
東條は部下に聞く。
東條「あの小僧たちが持ってきた作戦、今こそやるべきなんじゃないかな?」
部下「人間魚雷のことですか?」
東條「うん。お上もあんな調子だ。○○」
部下「○○」
東條「ああ、そう伝えておいてくれ。」

★人間魚雷試作
一九四四年二月二六日、仮称「人間魚雷」は、魚雷設計の権威・渡辺清水技術大佐の下、呉海軍工廠魚雷実験部で3艇の試作が極秘裡にすすめられた。

★東條演説事件

★試作命令
試作命令には、二人の考案にはなかった脱出装置の設置が明示されていた。日本海軍では東郷元帥の遺訓を受けて、創設以来、隊員が生還する道のない「必死」の作戦や兵器は認めない、とされていたからである。これには精鋭の技術陣も頭を抱え、試作はハタと行き詰まり、月日だけが過ぎ去った。

★東條英機
行政の責任者である首相、陸軍軍政の長である陸軍大臣、軍令の長である参謀総長の三職を兼任したことは、天皇の統帥権に抵触するおそれがあるとして厳しい批判を受けた。

★人間魚雷
海軍大臣島田繁太郎から一度は中止が命じられた。

★マリアナ沖海戦の大敗
一九四四年六月十九日から六月二十日のマリアナ沖海戦で海軍は失態を犯して大敗した。

★東條内閣倒閣運動
岡田啓介・近衛文麿ら重臣グループを中心に激化する。

★東條英機退陣までの流れ

★夜
窮地に追い込まれた東條英機。
東條「私も日本も終わりだね。あと希望となるのは、若者の特攻だけか。」
部下「○○」

★人間魚雷
脱出装置を付けることを前提に製造の許可がおりた。
博司「脱出装置の組み込みは回天の性能を著しく低下させ、実戦部隊が要求する兵器とは程遠いものになる。」
関夫「脱出装置をつけるならば、お付けになって結構です。その代わり、私たちは出撃するとき、そいつを基地に置いて行きますから。」

★一九四四年七月下旬に有人試験航走を実施することとなった。

★七月末日、呉海軍工廠魚雷実験部で開かれた審議会では、最大の難点であった安全潜航深度八十メートルとする問題も潜水艦側の発言で了承された。

★八月一日、⑥金物は制式兵器として採用され、博司の発案により、「回天」と名付けられた。

★福田斉と都所静世と村上克巴(海軍機関学校五十三期)
海軍機関学校に回天の貼り紙が出される。

★三人の会話
三人は川辺を歩く。
斉「死ぬのって怖いかな?
静世「人は皆死ぬ。この戦争でだってすでに何万人も死んでいるんだぜ。」
斉「回天に応募する気があるんだろ?」
静世「もちろん。このまま生き残っていたって何の役にも立てないからな。克巴は?」
克巴「うーん、わからん。」
斉「静世、後悔はないのか?」
静世「あるよ。好きな人もいるし。」
斉と克巴は驚いて静世の顔を見る。
斉「それじゃあ、結婚すればいいんじゃないかな。」
静世「それは無理だ。海軍機関学校に入学した時、普通の幸せをあきらめたんだぜ。」
斉「あきらめる必要ねえよ。俺が静世の分まで戦って死んでやる。」
克巴「斉にはそんな事できねぇだろ!」
斉「バカにすんなよ~。」
静世「○○!」
斉「○○!」
克巴「○○!」
静世と克巴は斉を追いかける。

★上別府宣紀と樋口孝(海軍兵学校七十期)
二人は学校の椅子に座り話している。
上別府「孝さ、兵士にならなければ、何になりたかった?」
孝「航空機のパイロット。うちはお金がなくて、空軍に行けなかったんだ。」
上別府「お金があっても、今は燃料不足で空軍はいけないらしいよ。」
孝「へええ。宣紀こそ、何になりたかったんだ?」
上別府「うーん、オリンペック選手か役者かな。」
孝「オリンペックはもう無理だろう。命を懸けて戦うのと、メダルを懸けて戦うのとでは全然ちがうからな。」
上別府「ふーん、じゃあ、オリンペック選手より兵士の方が偉いということ?」
孝「そうとしか言えんでしょう、こういう状況では。」
上別府「では役者になりたいです。」
孝「それももう無理だろう。」
上別府は芝居を始める。


★渡辺幸三と今西太一(慶応大予備学生)
二人は喫茶店で話している。
幸三「太一、フミさんとはどこで知り合った?」
太一「フミちゃんと俺は幼馴染でさ、いいなずけみたいなものだったんだ。結婚できて幸せだったけど、だからといって、回天に応募することに後悔はない。」
喫茶店の店員(ハルカ)「○○」
幸三「ありがとう。」
飲み物を飲む二人。
幸三「だけど、死ぬのはもったいないな。俺も結婚をしてみたいし。」
太一「回天に応募したからといって死ぬのは決まったわけじゃないさ。それに幸三が結婚してみたいなら、回天に応募するのは止めた方がいいよ。」
幸三「そうですよねぇ・・。」

★幸三の家
幸三の家は名家だった。
家政婦「お坊ちゃま!鞄をお忘れですよ。」
幸三「静!すまん。ありがとう。」
家政婦「いいえ。お気をつけて。」
幸三「行ってきます。」
家政婦「行ってらっしゃいませ。」
幸三は図書館で甲標的に関する本を読んだ。

★ハルカ
帰り道、何気なくポケットのお金を見る幸三。

その時、交通事故があり砂ぼこりが立つ。
幸三「ああっ。」
女性がケガをして血を流している。
幸三「大丈夫ですか?」
ハルカ「○○」
幸三「○○」
幸三はケガの手当をする。
幸三「歩けそう?」

ハルカ「○○。」
幸三「それでは、僕がおぶってあげよう。」
ハルカ「でも、悪いですから。」
幸三「そう遠慮せずに。さあ。」
ハルカ「○○」
幸三はハルカをおぶる。
人力車が通り過ぎてゆく。
幸三「君は、女学生かい?」
ハルカ「いいえ。○○という喫茶店で働いています。」
幸三「そうか、やっぱりな。どうりで見覚えがあると思ったんだ。僕は慶応大の四年でさ、君の喫茶店によく行っているんだよ。僕の名は渡辺幸三。君の名は?」
ハルカ「森ハルカです。」
幸三「ハルカ?良い名だねぇ。」
しばらく幸三はおぶって歩く。
ハルカ「幸三さん、私そろそろ降りるわ。あなたの体が疲れてしまうから。」
幸三「気にしなくていいのに。」
幸三とハルカはベンチに座る。
ハルカ「ありがとう。重かったでしょう。」
幸三「ううん、平気さ。ハルカさんこそ、大丈夫?家はもう近くかい?」
ハルカ「ええ。あと五分ほど行ったところなの。もう平気よ。」
ハルカは立ち上がろうとする。
ハルカ「ああっ。」
幸三「ハルカさん。」
人力車がやってくる。
幸三「あ、そうだ。」
幸三は人力車を呼び止める。
幸三「ハルカさん、人力車に乗って。」
ハルカ「ええっ。」
幸三はハルカを人力車に乗せ、お金を運転手に渡す。
ハルカ「幸三さん、ありがとう。」
幸三「気にしなくていいよ。ハルカさんまた会おう。」
ハルカ「ええ。」

★橋口寛
家でラジオを聞く寛。「うちの女房にゃ髭がある」が流れている。
寛はお茶と和菓子を食べている。

★翌日
『橋口』
家の玄関の前で祖母と両親が見送っている。
祖母「必ずまた戻ってくるんだよ。寛は橋口家の大切な一人息子なんだから。」
寛「はい。おばあさん、僕が戻るまで元気でいてください。」
祖母「○○」

母「私たちは駅まで送りますから、お母さんは家で休んでいてくださいね。」
祖母「○○」

★駅までの道
父は自分にも赤紙がきたことなどを話す。
両親と寛の会話。

足のない日本兵に美しい妻が寄り添っている。

寛「だけどもう、僕は戻れないかもしれません。僕は回天に志願しましたので。」
母「○○」
父「○○」
寛「お母さん、お父さん、これからもお元気でいてください。」
父「○○」
母「○○」
寛「僕は最後の日まで、日本の勝利のために尽くしたいです。この国の勝利のために死ねるのなら悔いはありません。」

★幸三とハルカのデート
ボートをこぐ幸三。
幸三「やっぱりボートは気持ちがいいなあ。ハルカさんはボートに乗るのは初めてなのかい?」
ハルカ「はい。普段はあまり出かけないんです。」
幸三「へえ、そうかあ。僕は大学の仲間とよくボートに乗って遊んでいたんだ。」
ハルカ「そうですか。」
幸三「うん。喫茶店の仕事は大変なのかい?」
ハルカ「仕事を始めた頃は大変でしたけど、今はもう慣れました。」
幸三「そうか。あの喫茶店の○○、美味しいね。」
ハルカ「○○(ハルカはメニューについて説明する)」
談笑する二人。

★ボートから降りる二人。

★デートの続き
二人は道を歩いている。
幸三「ハルカさんのお父さんは何をしている人なんだい?」
ハルカ「○○」
幸三「そうか、大変な仕事をしているんだね。僕の父は○○を経営しているんだ。この戦争のせいでうまくはいっていないけどね。ハルカさんには何か将来やりたい事はあるのかい?」
ハルカ「今はないです。戦争中だから。」
幸三「皆そうさ。戦争で何もかも奪われていく。」
幸三はハルカの手をとる。
ハルカは手を離してしまう。
幸三「ああっ、すまない。」
ハルカ「いいえ。」

★ベンチに座る二人。
幸三「大学に行ったって意味がないんだ。今は勉強ができるヤツよりも、軍人の方が偉い時代だから。わざわざ、兵学校に転入する人だっているんだぜ。」
ハルカ「そうですか。」
幸三「うん。こういう時代にこそ、ハルカのような女性は夢を見続けるべきだと思うよ。好きな事はある?」
ハルカ「まだ分かりません。」
幸三「そうか。」
野球ボールが転がってきて、幸三が投げ返す。
幸三「では苦手な事はあるのかい?」
ハルカ「それは戦争です。」
幸三は一瞬黙る。野球少年たちは帰っていってしまった。

幸三「実はさ、僕は今度、回天という人間魚雷の作戦に応募しようと思っているんだ。」
ハルカ「ええ、そんな。せっかくお知り合いになれたのに。」
幸三「戦争を終わらせるために仕方ないことなんだよ。」

幸三「ハルカさん、もし僕が戻ってきたら結婚してください。」

二人のキスのシルエット。

★B-29
一九四四年七月サイパン島では三万の日本軍守備隊が全滅。八月にはテニアン島、グアム島が連合軍に占領された。アメリカ軍は日本軍が使用していた基地を即座に改修し、大型爆撃機の発着が可能な滑走路の建設を開始した。このことにより北海道を除く日本列島のほぼ全土がB-29の爆撃可能圏内に入り、日本本土空襲が本格化した。

★幸三の見送り(駅)
幸三の父「幸三、必ずまた戻ってこいよ。」
父は札を渡す。
幸三「ええとこれは。」
父「○○」
幸三「いいえ。これはお父さんとお母さんが使ってください。お金は海では役に立ちませんから。」
父「そうか。」
母「じゃあコウちゃん、このお金はコウちゃんの口座に入れておくわね。」
幸三「ええと、ありがとうございます。」
父「○○」
母「○○」
幸三「○○」
幸三は辺りを見渡す。
静「お坊ちゃま、誰かお探しですか?」
幸三「はい。ちょっと僕、結婚の約束をしている人がいるんです。」
両親「○○」
静「お坊ちゃま!」
幸三「○○」
父「○○」
母「○○」
幸三「○○・・・あっ、ハルカさん!」
ハルカは気づいて笑顔で手を振り返す。
母「あら可愛いお嬢さんね。」
父「どこの家の子だ?」
幸三「彼女は森ハルカさん。お父さんは○○で働いているんです。」
父「それは大変だな。」

幸三はハルカの下へと歩み寄る。
幸三「ハルカ、来てくれてありがとう。」
ハルカ「いいえ、幸三さんと会えなくなるのはとても辛いです。」
幸三「僕は死ぬかもしれない。だけど未来でも必ずハルカを守る。」
ハルカ「ありがとう。いつまでも待っています。」
幸三とハルカは握手をする。
家族はハルカに会釈をする。
電車の汽笛が鳴り、電車の入口で幸三と家族は最後の別れを交わす。
幸三「それでは僕行きます。」

幸三は汽車の中まで歩き、窓から顔を出す。
幸三「ハルカ、さようなら。また会う日までずっと元気で。」
ハルカ「はい。幸三さんも。」
汽車は動き出す。

★斉の家
両親と妹と斉は、最後の晩餐を楽しんでいる。
父「父さんの弟のサトルおじちゃんの事、覚えているか?」
斉「はい。」
父「今、精神病院に入院しているんだ。戦争に行ったんだけどな、送り返されてきたんだよ。猫が見えるとか言っちゃって。」
斉「猫なんてそこら中にいるじゃないですか。」
母「斉、サトルおじちゃんには見えないはずの猫が見えるのよ。」
斉「ええ。気持ち悪いです。」
父「斉、死ぬのが嫌になったら、そう言って帰ってこい。」
斉「僕は別に怖くないですけど。」
妹「お兄さん、死んだらどうするの?」
母「そんな事聞いたらダメよ。」
斉「死んだらどうにもならないけど、きっと神様が何か返してくれるさ。父さんの怪我を治してくれるかもしれないし。」
父「それでも、斉には生きて戻ってほしいよ。」
斉「ええ、僕は死んだ方が楽だと思いますが。」
母「斉、命をそんな風に言ってはいけません。」
斉「・・。」
妹「ダメじゃない。命をそんな風に言ったら。」
斉「はい。分かりました。」
かわいい妹を笑う家族。

★翌日
福田家は斉を家の前で見送っている。
父「斉、頑張れよ。」
母「斉、気をつけてね。」
斉「はい。」
妹「お兄さん、これ。」
妹は絵を渡し、斉はそれを眺める。
斉「はい、ありがとう。」

斉「これは返します。」
斉は絵を母に返し、母は妹の手をつなぐ。
妹「どうしてー。」
母「○○」

父「斉、死ぬなよ。」
斉「はい。行ってきます。」
斉は敬礼をする。

★上別府宣紀の見送り
上別府家の立派な神棚の前で正座して手を合わせる宣紀を後ろで華族が見守っている。

宣紀「お父さん、お母さん。今までありがとうございました。」
父「○○」
母「○○」
宣紀「お姉さん、戦争に行った雪彦さんを待つ気持ちを想うとお気の毒に思います。」
姉「○○」
宣紀「僕は先に行くかもしれませんが、雪彦さんは必ず戻るでしょう。」
姉「○○」
父「○○」
宣紀「たしかに死ぬ事は僕の本望ではありませんが、天皇のために僕の命を使うつもりです。」
妹「お兄さんの大切なお命を?」
宣紀「ナオちゃん、僕のことはもう気にしなくていい。あなたはこれからもしっかりと勉強に励み、立派な女性になってください。」
家族「○○!」


★大津島基地
一九四四年九月一日付けで、徳山湾に浮かぶ大津島に「回天」の訓練基地が開設された。

★いよいよ基地へ
基地へ兵士たちが向かっている。
幸三と太一、斉と静世と克巴、宣紀と孝のペア。

幸三「太一、フミさんとの最後の夜はどうだった?」
太一「そういう事は夫婦の秘密だよ。」
幸三「フミさんが身ごもっていたらどうするんだ。」
太一「その時はその時さ。フミちゃんだってまだ若いんだから、別の人を見つけて育てていけばいい。そもそも僕らだって死ぬ事が決定しているわけじゃないんだぜ?」
幸三「そうだねえ・・。」

孝「本当に死ぬ事になるのかな?」
宣紀「それはやっぱり嫌だね。」
孝「うん。家族にも知り合いにも最後のお別れをしっかり告げてこなかった。」
宣紀「○○」
孝「○○」

静世「これからどうなるか不安だよな。死ぬ覚悟はついているんだけど。」
斉「へえ。それで好きな人には好きだと言えたのか?」

太一「好きな人には好きだと言えたのか?」
幸三「言ったよ。」
太一「ええ?」

静世「言えるわけないじゃないか。僕らはもう二度と会えないんだぜ。」

太一「好きだと言えたのか?」
幸三「うん。結婚の約束をしてきた。」
太一「ええ?」

斉「伝えた方がいいぜ。その子に最後に手紙を書けよ。」
静世「どうしようかな?心を傷つける恐れがある。」

太一「心が痛むよな。もし幸三が戦死したら、その子はどうなるんだよ。」
幸三「○○」

搭乗員たちの会話

★基地で
集められた搭乗員は学習机に座る。
前に座っていた黒木博司が鋭い目を新しい人達に向けた。
仁科関夫も新人たちを睨みつける。
宣紀は関夫の隣に座った。
橋口寛もいる。
ガラガラ
三輪長官と神本教官が入ってくる。
三輪「○○」
三輪長官は回天に対する説明を始めた。
三輪「黒木、続きを説明しろ。」
博司「はい。」
博司「○○」
三輪「○○」
回天が絶対必死であることを告げる。
博司「回天搭乗員は全員が死にます。」
関夫「僕は回天で死ぬ覚悟はついています。」
関夫が突然立ち上がり言うので、宣紀はびっくりする。
幸三と太一は『まずい』という表情で目を合わせる。

他の搭乗員も険しい顔をする。

孝「僕も死ぬ覚悟がついてますよ。黒木さん。」
博司「えっ。」
宣紀「た、孝、そんな事言っていなかったじゃないか。」
孝「お前は黙れ。俺はもうこの人たちについていくことを決めたんだ。」
三輪「○○」
搭乗員もざわめく。
神本「○○」
関夫「○○」

★搭乗員の初めての食事の様子

★初めての就寝の様子

★初めての訓練
三輪「○○」
神本「○○」
三輪長官と神本教官が指示をする。

博司と関夫も回天について説明をする。
克巴が口を開いた。
克巴「だけどこの作戦、本当に意味があるんですか?」
博司「あります。○○」
克巴「だけどこの回天が僕ら全員を殺すっていうわけだ。」
孝「んだと、こら!」
博司「嫌ならやめてください。」
克巴「やめねえよ、やめないけども、俺は本当に死ぬと思って来たんじゃないんだぜ。それにさ、○○(回天の問題点を指摘する。)」
関夫「○○!」
太一「だけど、俺も克巴の言う通りだと思うよ。○○」
孝「お前ら黙れよ。せっかく博司さんと関夫さんが考えてくれた作戦だぞ。嫌ならやめろ。」
幸三は太一の顔を見る。
斉と静世も克巴の顔を見る。
三輪「○○!嫌ならすぐに国に帰れ!」
搭乗員「・・。」

上別府「僕は、早く回天に乗りたいです。」
神本教官は少し安心した顔をする。
真っ先に博司と一緒に回天に乗った。

★訓練の後
幸三が太一に言う。
幸三「さっきどうしたんだよ、あんな風に言うなんて。死ぬ覚悟がついているんだろう?」
太一「○○(回天作戦の不安さとフミちゃんへの想いを告げる)」

斉「克巴、迷惑かけんなよ!」
静世「克巴、死ぬのが怖くなったのか?」
克巴「もともと俺は死ぬつもりで来てねえよ。」
斉「へええ。誰よりも強い克巴君が?死ぬのを恐れて帰るんですか?」
克巴「いや。回天に乗るなんて、度胸がいると思うぜ。・・上別府、よく回天に乗れたな。」
斉「そうだ、上別府。回天はどうだった?」
上別府「○○」
静世「○○」
静世は考え込む。
太一や他の搭乗員も上別府の話を聞く。
遅れて関夫が来る。
克巴「仁科さん、さっきはすまなかった。」
関夫「いや。無理しないでいいですから。」
搭乗員たちでいろいろと話す。

★夜
孝が博司に話しかける。
孝「博司さん、この回天作戦を遂行するまでに多くの困難があったことを聞きました。僕は最後まであなたについていきます。」
博司「いや、本当はこんなに多くの若い人を殺してしまうことを恐れているんだ。俺は人を殺したことがないから。」
孝「僕だってありませんよ。皆がそれぞれ選んで決めることですから、博司さんが悩む必要はありません。」
博司「ありがとう。よければ、明日一緒に回天に乗ってみないか?」
孝「ええっ俺と?」
博司「うん。」
孝「ぜひそうさせてください。」
博司「よし、じゃあ明日」
孝「はい。」
二人はこぶしをぶつけ合う。

★訓練二日目
一九四四年九月四日、空は爽やかに晴れ渡っていた。
しかし、次第に風が吹き始め、朝方は穏やかだった海面に白波が立ち始めていた。
三輪「○○!」
関夫が操縦し、上別府が同乗する三号的が発進。湾口では波が高く、潜入時には飛沫を高く上げていた。


午後になると風はますます強くなり、白波ばかりか、うねりも大きくなった。危険だと判断した大津島指揮官の板倉光馬少佐は訓練の中止を決断。
板倉「○○」
博司「大丈夫です!」(博司は鋭くつめよる)
関夫「今日はやめた方がいいでしょう。私のときも湾口で波にたたかれ危なかった。」
博司「しかし、天候が悪いからといって、敵は待ってはくれない。」
孝「やらせてください!」
上別府「ダメだ。今日はやめた方がいい。」
博司「大丈夫です。お願いします、やらせてください。」
三輪「そこまで言うならやらせよう。」

★発進
午後五時四十分、孝を乗せた一号的は指導官の博司を乗せ、逆風をついて発進し、その後方を二隻の艇が追尾した。
板倉少佐が乗った艇は折からのうねりに突っ込み、浸水によりエンジン停止に陥った。
関夫が乗った高速艇も一号的を見失ったまま発射場に戻った。

ズドン
回天は海底に沈んで、止まった。
まさか死ぬことになるとは思わず、二人は心臓の鼓動が早くなった。

★消息不明
幸三「博司さんは?」
関夫「・・。」
克巴「何かあったんですか?」
三輪「うねりが酷くて見失った。」
克巴「ええ?」
搭乗員たちも困惑する。

関夫「すぐに捜索しましょう。今からならまだ間に合います。」
三輪「そうしよう。○○!」

★回天の中の様子
博司と孝は必死で応急処置をする。
孝「すみません、俺のせいで。」
博司「いや、いいよ。そもそも誘ったのは俺の方だし。○○」

★捜索
関夫「博司さん!博司さん!」
みんなで博司の捜索をする。

博司「早く迎えに来ないかなあ?」
孝「・・。」
博司「・・。」
孝「早くしてくれ。苦しくて死にそうだ。」

【捜索の様子】

★辞世
二人の会話やメモを書く様子。

博司「辞世書く?」
孝「え?いや、いいです。」
博司「俺は書くよ。」
孝「・・。」

孝「敵を一人も殺せず死ぬなんて。」
博司「・・。」

★捜索困難

★君が代
二人はぐったりとしている。
博司は自分の辞世をちらりと見た。
満足のいくものが書けた。
孝はもう苦しくて声が出ない。
孝『陛下もこの作戦を知っていたのかな?』
博司『わからない。』
孝『東条も知っていたかな?』
博司『知らない。』
孝『俺たち、最初に戦死するんだぜ。それってすごいことだよな。』

博司「孝、人を殺さずに死ねる事はすごい事なんだぜ。最後に君が代を一緒に歌わないか?」
孝は動かない。
博司は一人で君が代を歌いだした。
すると、孝も声を出した。
君が代を歌い終わると、二人は安らかに眠りについた。
博司「ありがとな、孝。」

★翌朝
また捜索に来た搭乗員たち。
わずかな気泡を発見する。
関夫「あそこだ!まだ生きているかもしれない。」
二人を発見する様子。

★亡骸
二人の亡骸を前に、泣き崩れる搭乗員たち。

★夜
東条英機の下にも博司の死の連絡が入る。
部下「○○」
東条「○○」

東条「笑っちゃうよな。作戦を考えたヤツが最初に死ぬなんて。それも訓練中にさ!!」

★小磯内閣
小磯国昭首相にも連絡が入る。


★天皇
天皇陛下にも連絡が入る。天皇はそれを聞くと、口を押えて顔をゆがめた。

★黒木家
泣いている甥っ子。
木箱を前にしている。
父「博司~!!」
父は博司の骨が入った箱を抱き、泣き崩れた。
家族はみんな泣いている。
父「○○」
母「○○」
幸一「(博司が誰も殺さず亡くなったことを言う)」


★橋口寛
皆、苦しい思いをしながら食事をしている。
関夫はふと橋口寛を見るが、すぐに目をそらす。
上別府「橋口寛、お前が博司さんと同じ名前だからと言って、まわりまで嫌な気分にさせるなよ。」
寛「嫌な気分になんてさせていないよ。それにひろしなんてよくある名前じゃないか。俺のお爺さんも同じ名前だったんだぜ。」
上別府「お前のお爺さんもひろしという名前だったのか?」
寛「うん。」

寛「黒木さんが亡くなったからと言って、いつまでも落ち込まない方がいいよ。敵はすぐそこまで迫ってきていて、いつ侵略されるかわからない。俺たちは訓練を精一杯やり、国のために命をかけようじゃないか。」

一人の搭乗員が海ゆかばを歌い始め、皆が歌いだすが、寛はため息をつく。
寛「俺この歌やだ。おもしろくない。」
和寿「えー、なんで?」
寛「好きじゃないんだよ。あ、和寿、あの歌を歌っておくれよ。」
和寿「あの歌ってどんな歌だよ。」
寛「俺の女房にゃ髭がある♪」
和寿「俺、その歌の歌詞覚えてねぇよ。」

和寿はふるさとを歌いだす。


斉「これからは空気を読むように。」
寛「ええ、空気って読めるのか?空気は吸うものだろう。福田君、大丈夫かい?」
「○○。」

★訓練
搭乗員たちは血相を変えて訓練に挑む。
橋口寛の操縦は抜群だった。寛は皆に操縦を教え、関夫にもアドバイスをする。
上別府が失敗をしそうになり、寛が注意をする。

★寛の移動
操縦が上手い寛は基地の移動を命じられる。

上別府『死ね。』
寛「その言い方はあんまりじゃないか。僕らは皆、もうすぐ死ぬことになるのに。」
上別府「何も言っていない。」
寛「今、聞こえたよ。」
寛は耳を指さす。

克巴「橋口君、いろいろとありがとう。むこうでも頑張ってくれ。」
寛「克巴君も。」
二人は握手をする。
搭乗員たちは寛を囲んで会話をする。

★東条英機暗殺計画

★訓練の様子
斉は回天の操縦がうまくいかず、三輪に怒鳴られる。

★追い込まれる斉
克巴「斉、気にするな。」
斉「・・・。」
静世「いつまでも落ち込むなよ。○○」

ニャー
斉はハッとして振り向く。
克巴「どうしたんだよ。」
斉「今、猫の鳴き声がしなかったか?」
克巴「聞こえなかったけど。」
静世「斉、大丈夫か?」
斉「うん。」

★夕食

★就寝

★夜の血文字
便所に起きた斉は、便所の血文字を発見する。
驚いて腰をぬかした斉は、血文字を眺める。
そして、涙目になりながら、雑巾を探し、血文字を拭こうとする。
ニャー
振り向くと三毛猫が座っていた。
斉「○○!」
猫「ニャー」
斉「○○!」
猫は壁をカリカリする。

ガタン
便所に来た幸三は斉と血文字を見つける。
幸三「福田君?」
斉「幸三。俺が便所に来たらこれが書かれていたんだ。」
幸三「え?これは酷いな。・・なんて情けないんだ。皆が見たら傷つくだろう。俺も一緒に消すよ。」
二人は汚い雑巾を手にとり、血文字を消していく。

★朝
訓練に向かう搭乗員の手を確認する斉。
克巴「手に傷をつけたかはわからないぜ。」
斉「えっ。」
克巴「幸三から聞いたよ。昨日便所に血文字があったんだろ。」
静世「そういう時はすぐに俺たちを呼べよな。」
斉「うん・・。」

斉「あ、おはよう。」
幸三「おはよう。誰だろうな、犯人はさ。」
(犯人は幸三という設定。)



★訓練
訓練が始まる中、斉は昨日の猫を発見する。
斉「あっ。」
三輪は気をそらしている斉に気づく。
斉は訓練に挑むが、失敗して三輪に怒鳴られる。
下を向く斉。
三輪が搭乗員たちに嫌味を言うと、上別府は切れる。
上別府「○○!○○!長官が先に死ね!」
神本「馬鹿野郎!」
板倉「○○!」
板倉少佐は上別府に平手打ちをする。
目をそらす搭乗員たち。

★便所
斉「なんでこんな目にあって、死ななければならないんだよ。」
斉は便所で涙をぬぐう。
ニャー
斉は便所から出て、三毛猫を追いかけ、外に出る。
ついに猫を捕まえる。

★猫
斉「逃げるな、こら。」
猫「ああ~、捕まってしまった。」
斉「わぁ!」
斉は猫を離し、腰をぬかす。
猫「斉、しゃべる猫は初めてだろう?」
斉「俺の名を知っているのか?」
猫「以前から君を知っている。俺の名はみかん。」
斉「みかん?猫にしては珍しい名だ。・・なぜみかんは話すことができるんだ?」
みかん「俺はおばけだからさ。」
斉「おばけぇ?本当にいるんだ。」
みかん「うん。斉、そんなに苦しまなくていい。」
斉「だけど辛くなるよ。○○。」
みかん「大丈夫さ。」
雌猫「人は必ず死ぬわ。」
斉「えっ?」
みかん「ニャー。」
みかん「俺のいいなずけだよ。」
雌猫「私の名は牛乳。」
斉「牛乳?珍しい名だねぇ。」
ミルク「本当の名はミルクだけど、英語を聞くとあなたは嫌な気持ちになるでしょ?」
斉「○○」
みかん「斉、死を恐れることはないよ。」
ミルク「ええ。それに、いつか生まれ変わることがあるわ。そして、すぐに幸せになるの。」

★鍋
家族が鍋を囲んでいる。幼い子供は鍋をおいしそうにすすった。

★関夫
その両親は回天のことをののしっている。鍋の子供は関夫だった。
大人の関夫は何も言わず、罵る両親をただ睨みつけた。
母「戦争はいやだねぇ。」

★ハルカ
幸三は夢の中でハルカに会う。
幸三「ハルカ。」
ハルカ「幸三さんっ。」
幸三「ただいま。俺だけ特攻に行かずにすんだよ。」
ハルカ「よかった。ずっと待っていたの。」

二人はしばらく歩く。
幸三「戦争が終わってよかったね。」
ハルカ「ええ?幸三さん、今はまだ戦争中よ。本当に回天に戻らなくていいの?」
幸三「いいんだ。二人で東京に家を建てよう。それから俺たち、子供を作ってさ、幸せな家族になろうよ。」
ハルカ「ええ、でも。」
ドカン
爆撃の音で暗くなる。

★真夜中
幸三「ハッ。」
いびきの音。
太一「フミちゃん・・。」
幸三「夢か。」

★朝
幸三はすっきりと目覚め、寝ぐせがついた太一は呆然と目覚める。
幸三「太一、夢でフミさんの名を呼んでいたよ。」
太一はふっと笑う。
太一「俺たちが幸せなのは夢の中だけさ。」

★訓練
上別府は三輪に丁寧に指導してもらう。

★搭乗員近藤和彦のつぶやき
和彦「だけどこれは俺たちが死ぬための訓練なんだぜ。」
上別府はちらりと見る。
関夫は厳しい顔で和彦の前に立とうとする。
克巴が仲介に入る。

宇都宮秀一が和彦の隣に行く。
秀一「どうしたんだよ。覚悟がついたんじゃないのか?」
和彦「ちがう、死んだらミミズになるのかって思っただけだよ。」
秀一「ミミズになんかなるわけないだろ。」

幸三「秀一。和彦の言うことはまちがっていないよ。死んだら天国なんて行かれないぜ。俺たちは泡となって消えるだけだ。」
太一は幸三を心配そうに見る。
秀一「なんでそんなことが言えるんだよ。」
幸三と太一は肩を組み、慶応大の歌を歌う。

和彦「あの二人、慶応大だってさ。すごいよな。」

★満月
夜、上別府は満月が見える場所に行く。
上別府「俺、もうこんなのヤダ。もう逃げ出してやる。」

上別府「孝!なんで先に死んだんだよ!」
満月『よしのり。』
上別府は満月を見て、下を向いた。

上別府「お月さん、俺がもし死んでも、またこの顔に戻してね。」
上別府は芝居を始める。

そこに斉が現れる。
斉はみかんとミルクを抱いているが、それは誰にも見えない。
斉「こんばんは。」
上別府「あ、どうも。」

斉「きれいな月ですね。」
上別府「はい。」
斉「こんな夜はぐっすりに眠れそうだ。上別府君さ、この前俺の布団に入ってきたかい?」
上別府「俺はやっていないよ。」
斉「そうか。それならよかった。俺は血文字の犯人を君だと思っていたから。」
上別府「俺は何もしていない。」
斉「うん。俺はあの事件以来、何かにとりつかれているんだ。」

上別府「俺たちさ、同じ日に死ねたらいいな。」
斉は上別府を見る。
斉「仲間だと思っているのか。」
上別府「うん。」
斉は笑う。
上別府「ダメなのか?」
斉「いや。一緒に死を迎えよう。」

★猫
斉は猫二匹との世界に入る。
みかん「ヨシノリと一緒に死ぬことになっちゃったね。心配だな。」
斉「うん。」
ミルク「斉、死を恐れる必要ないわ。このご時世ですもの。誰もがなくなっているわ。」
斉「○○」
猫の会話。

★上別府の回想シーン
昨日会った女子について考える十八歳くらいのヨシノリ。

家族との食事で父親にからかわれたヨシノリは、父親を箸でつつく。

★ハチマキ
日の丸のハチマキをしめた上別府はしっかりとした表情で歩く。
搭乗員たちは興味ありげに上別府を見た。
搭乗員「○○」
上別府「悪いか?」

搭乗員「○○」
関夫が上別府を見て、少し笑う。


★訓練
訓練のシーン。皆の顔が険しくなってくる。

★休憩
休憩の時、幸三と太一は出撃について話す。
話していた二人は斉に声をかける。
太一「斉。ちょっとこっち。」
斉「うん。」
太一「斉と関夫君と俺と幸三で、初めての突撃に行こうぜ。」
斉「えっ。」
幸三「○○」
斉「でも俺、ヨシノリに一緒に死のうって言われてるから。」
太一「なんだよ、それ。」
幸三「○○」
三人は仲間と話している上別府を見る。
太一「あいつはダメだ。おそらく多重人格じゃないか。」


★上別府
上別府は内心、突撃の恐怖でおびえていた。
三輪長官が上別府たちを指名し、喝を入れる想像をする。

★上別府
訓練に向かう搭乗員たちの中で、突然上別府は大声を上げる。
上別府「○○!お前らは甘い!○○!○○!」
神本教官が来て、上別府に平手打ちをする。

★訓練
泣いた後の上別府を搭乗員たちは怪訝そうに見る。

★三輪長官
訓練のあと、皆の前で三輪長官は上別府に声をかける。
三輪「(ヨシノリは最初に突撃したがっていることを言う。)」
上別府「はい・・。」
上別府は内心ちがうと感じるが、返事をする。
神本教官「そうだったのか?」
上別府「うん。」
三輪「教官に向かってうんとはなんだ。こんなところで子供みたいにふるまってはいかんぞ。」
上別府「はい、すみません。」
三輪「○○」
上別府「○○」
神本教官「○○」

★関夫
博司の遺骨が入った白い箱に手を合わせ、祈る関夫。

★運命の日
最初の突撃のメンバーが発表される。
訓練の後、一人ずつ呼ばれて、搭乗員たちの前に立たされた。
菊水隊である。
関夫、幸三、佐藤章、斉(第47潜水艦)上別府、克巴、宇都宮、近藤和彦(第37潜水艦)、第36潜水艦 太一、吉本、豊住、工藤

★搭乗員たち
胸をなでおろす幸三と太一。
太一「○○」
幸三「○○」
佐藤章に挨拶をする。

斉は上別府に話しかける。
斉「ヨシノリ、潜水艦は違うけど同じ日に死ねるぜ。」
上別府「うん。○○」
克巴「○○」
宇都宮と和彦も来る。

幸三と太一は関夫に話しかける。

★父からの手紙
幸三には父から手紙が届いており、そこには母が病気だと嘘をついて帰ってくるように書かれていた。しかし仲間の顔色をうかがい、その手紙をしまってしまう。

★橋口寛
寛が再び大津島基地に赴任する。
寛「○○。再びお世話になります。」
三輪が寛に出撃が決まったことを告げる。
寛「○○」
搭乗員たちに激励の言葉を述べる。

★訓練

★関夫の夢
関夫は博司の夢を見る。
関夫「博司さん!」
博司「関夫君。やっぱり回天作戦は中止にしたら?前に俺たちがやったようにさ、今度は日本を敗戦させて、戦争を終わりにするんだ。」
関夫「何言ってるんですか。○○!」
博司「○○」
関夫「大日本帝国を守るために敵をつぶすこと。それが僕の本当の夢です。」

★むすんでひらいて(戦闘歌)
むすんでひらいては戦争中、戦闘歌として歌われていた。
小学生たちが戦闘歌に合わせてふりつけをする様子。
(搭乗員たちはこういう教育を受けて大人になったという演出)

★幸三の夢
幸三はハルカの夢を見る。
幸三「ハルカ。僕はもうすぐ出撃します。いつまで忘れないでいてくれる?」
ハルカ「はい、もちろん。」
幸三「ありがとう。この体がとけて消えても、僕は君の下に行きます。」

幸三「キスしてもいい?」
二人はキスをする。

★幸三の遺書が読まれる。

★斉が遺書を残す様子。

★太一の遺書が読まれる。

★佐藤章の遺書が読まれる。

★関夫の遺書
関夫『嗚呼彼遂に帰らず。徳山湾の鬼と化す。回天隊員よ奮起せよ。日本国民よ覚醒せよ。訓練開始に当り三割の犠牲を覚悟に猛訓練を近ひし仲なれど黒木少佐の今日の姿を見んとは。』

★上別府
神本教官の机の前に来た上別府。
神本「ヨシノリ、どうしたんだ。」
上別府「・・。」
神本「もしかして、怖い?」
上別府「はい。」
神本「大丈夫、俺も最後までお前と一緒に行くよ。」
上別府「ありがとうございます。」
寛が来る。

寛「上別府君、俺が変わってやろうか?」
神本「○○」
上別府「○○」

★短刀伝達式

★最後の夜

★出発

★潜水艦の中

★天皇に報告
天皇に回天作戦が始まったことが伝えられる。
天皇はもう出発したことを聞き、遠い目をして考える。
出撃の日を聞く。

★首相に報告

★東條英機に報告
東條「うまくいくといいね。」
そう言うと、眼鏡をはずしてうつむいて考える。
博司が亡くなったことを話す。

★潜水艦の中
作戦会議をしたり、花札をしている。
斉は呆然と窓から美しい海を眺めた。

ニャー
振り返る斉。
斉「みかん。ついてきたのか。」
みかん「俺たちはおばけだから、どこにでも現れる。」
ミルクが顔を見せる。
ミルク「最後の時まで斉のそばにいるわ。」
斉「どうして俺だけについてくれるんですか?」
みかん「斉には不思議な力がある。だから俺たちのことがわかるんだよ。」

幸三が来る。
幸三「大丈夫?」
斉「うん。」
章「こっち来いよ。作戦会議しようぜ。」
斉「いいです、俺は一人で海を見たいんで。」
幸三「どうせ海と一緒になるんだぜ。」
斉『敵とも一緒になる。殺れたらだけど。』
章「○○」
幸三「○○」
関夫が来て、おどけてみせる。今まで見せなかった普通の青年の顔を見せる。

★海の中の映像

★第37潜水艦
顔を見合わせる四人の会話。
克巴は最後に太陽の光が見たいことを告げる。

神本教官は疲れ切っていた。
神本は四人の願いを受け入れ、十一月十九日午前八時五十八分、パラオ諸島コッソル水道の西口で浮上する。
しかし、敵の設網艦に発見され、その日の午後から駆逐艦二隻によるソナー探知で爆雷攻撃を受けた。

上別府「神本教官、操縦変わる?」
神本「いい、お前にはできないだろうが。」

上別府「最後の覚悟をしよう。」
上別府は告げる。
ハチマキをつけ、祈る搭乗員たち。
午後五時、海中近くで爆発が起きる。
強く目をつぶり、振動に耐える搭乗員たち。
バーン
爆発の様子。

★第47潜水艦
ドーン
ウルシー島の西方50カイリの海面に忍び寄っていた潜水艦の中で、爆発音を聞き、そのことについて話す。

★第36潜水艦
第36潜水艦のメンバーも爆発音を聞いていた。太一以外のメンバーは不安そうにしている。
和寿「なんだろう、今の爆発音。」
四人はそれについて話し合う。

★第47潜水艦
折田艦長「艦隊や船団がうじゃうじゃいるぞ!」
四人は声を押し殺して歓声を上げる。
この時は、四人も鬼の目に代わって、表情を変えていた。(人殺しの表情)

★潜水艦の動き

★潜行進撃開始


二十日午前0時三十分、47潜水艦は回天3・4号艇に佐藤・幸三を乗り込ませ、潜行進撃を開始した。

【幸三の頭の中】
幸三は家族と静と共に過ごした時間を振り返る。
ハルカのことを思い出す。
幸三「ごめんね、ハルカ。」

午前三時。
折田艦長「1,2号艇、乗艇準備!」
ハチマキをしめた関夫と斉が発令所に入った。
関夫は博司の遺骨が入った白い小箱を首に吊るしての出撃だった。

関夫「お世話になりました。ありがとうございました。」
関夫は全乗組員に感謝の意を伝える。


【回天の中でお弁当を食べる搭乗員たち】

アイスクリームを食べると、搭乗員たちは少し暗い表情をし、幸三は子供のころの夏の日を思い出す。
電話がなる。
折田艦長「アイスクリームはうまかったか?」
幸三「ああ、はい。うまかったです。」
会話
幸三「今まで、ありがとうございました。」

★出撃
折田艦長「一号艇、発進はじめっ!」
関夫「一号艇、発進はじめよしっ!」
折田艦長「一号艇、発進!」
関夫「後を頼みます、出発します。」
ガリガリッ

章と幸三が発進する。
残りは斉だけ。
斉は猫をなでていた。
みかん「最後の時まで一緒にいるよ。」
斉「ありがとう。」

斉「俺は、死んだふりをしたいと何度思ったことだろう。」
ミルク「もうすぐ死ぬわ。大丈夫よ。」
斉「でも、こういう死に方はやっぱり怖いです。」
みかん「みんな発進したよ。残るはお前だけだ。」
ミルク「本当に怖いなら、まだ戻ることができるわ。」

電話が鳴る。
折田艦長「○○」
斉「○○」
折田艦長「(心配する)」
斉「大丈夫です。ちょっと最後の点検をしていました。」
折田艦長「そうか。」
一瞬の沈黙
折田艦長「二号艇、発進!」
斉は唇をぎゅっと結ぶ。
みかん「斉、最後の時はこう言うんだ。」
みかん「○○」

斉「バンザァイ!!」

★第36潜水艇
おびえる三人と太一の会話。
太一だけが発進することになる。

太一の回天は47潜水艇の後を追うように消えていく。

★攻撃
回天が油送船ミシシネワを攻撃する様子。
最後の痛みを感じながら、突撃する様子。

★炎上するミシシネワ

★朝日に向かって祈る天皇陛下

★炎上後
海には油が流れ出し、多数の死傷者が海に浮いている。
回天の残骸や日の丸を映す。
浮いている日本兵の腕。
海の中・・。
章、太一、幸三、斉、そして最後に関夫の亡骸。

★大津島基地
ミシシネワを撃沈させたことが報告される。

★搭乗員たちの様子
和寿「俺はくたばればいいわ。」
搭乗員たちは会話をする。

★訓練
その後の訓練では死者も出る。

★正月
搭乗員たち「いただきます。」
白米を食べている。

★出撃
徐々に出撃していく搭乗員たち。

★東京大空襲
一九四五年三月十日、東京大空襲が起きる。
逃げる渡辺家の映像。
逃げる森家。ハルカの姿も。
焼かれる東京。

★避難所
翌朝、ハルカは避難所で目を覚ます。
モンペを着た汚い姿の隣に可哀想な母親。
避難所の入り口に美しい幸三が現れる。
ハルカ「幸三さん。」
幸三「ハルカ、迎えに来たんだ。一緒に来て。」
ハルカは幸三の手を取る。

★夢
母親「ハルカ。」
ハルカは目を覚ます。
母親「大丈夫?私たち助かってよかったわね。」
ハルカ「うん。」

★渡辺家とハルカ
防空頭巾をかぶったハルカは母親と一緒に闇市を歩く。
そこで背広を着た幸三の父親と着物姿の母親に出会う。
挨拶をかわし、幸三が戦士したことを告げられる。

★原爆
だんだんと人数が少なくなった搭乗員たち。
皆を集め、三輪長官が広島に原爆が落とされたことを報告する。

八月九日の晩、就寝時にラジオで原爆のニュースを聞く搭乗員たち(正座)

★終戦
皆が遺書を書いた場所で終戦のラジオを聞く搭乗員たち。
三輪長官たちは立ったままで聞いている。(こぶしを強く握り、うつむいている背中を搭乗員たちに向けて。)

★夜
生き残った者たちで話し合う様子。

★寛の自決
仲間と酒を飲んでいた寛は便所とウソをつき、席を立った。
一人で星空を眺めて言う。
寛「この回天作戦は意味がなかったってことですよねぇ?」

寛「結局さ、最初に行った関夫たちしかはっきりとした戦果をあげらなかったじゃないか。」

寛「そんなことない?嘘だ。全部俺のせいだよ。」

寛は部屋に戻り、第二種軍曹に着替えて部屋から出てくる。

仲間が来ると影に隠れる。
搭乗員「寛?」
寛「いないよ。」
寛は走り出す。
搭乗員「おそらく酔っているんだ。」
搭乗員「○○」

寛は回天の場所までくる。
ここでみかんとミルクの姿。

神本「寛!」
寛「え?」
姿までは見えないが、神本教官の声がする。
神本「死ぬのはやめてくれ。」(神本教官の姿が現れる)
寛「やめたくありません。出撃させてください。」
神本「もうすべて終わったんだよ。もっと早くこの戦争を終わらせるべきだったんだ。」

寛「そんなことはない。○○」
寛は暗い中、一人でセリフを言い、その間に神本教官の姿は消えている。
回天に乗り込む寛。
ミルク「待って。まだ死ぬのは早いわ。」
みかん「戦争が終わったって、寛が終わったわけじゃないんだ。」
みかんは回天に上り、特眼鏡から中をのぞく。
凍り付くみかん。

★寛の亡骸
搭乗員たちが寛を探しに来る。
みかんとミルクの姿。
搭乗員「嘘だろ。」
搭乗員「○○!」
慌てる搭乗員たち。
運び出される寛。

★東條英機
捕まった東條は部屋でラジオを聞く。
新しい歌詞になったむすんでひらいてを聞き、一緒にふりつけをする。
むすんでひらいては敗戦の歌だったのだ。


★東條英機の最後の晩
一九四八年十二月二十二日。東條英機の最後の晩の様子。
和洋折衷なディナーで笑顔を見せる東條。

★東條英機の処刑
歩いてくるダグラスマッカーサー。
処刑台に向かう東條。
最後に君が代を聴くのか聞かれる。
東條「いいえ。」
最後に天皇に残す言葉を尋ねられる。
東條「ありません。」
そう言って残念な顔を見せる東條。

東條「最後の歌を聴いてください。」
東條は辞世を歌う。
さらばなり 有為の奥山 今日越えて 
 弥陀のみもとに 行くぞ嬉しき
明日よりは 誰にはばかる ところなく
 弥陀のみもとで のびのびと寝ん
日も月も 蛍の光 さながらに
 ゆく手に弥陀の 光輝く
我ゆくも またこの土地に かへり来ん
国に酬ゆる ことの足らねば
さらばなり 苔の下にて われ待たん
大和島根に 花薫るとき

★オルゴール
オルゴールが終わる。
天皇「友よ。」

★闇市
闇市を歩くハルカ。
ハルカは男に助けられる。
ハルカが礼を言い去ると、男に幸三が乗り移って、幸三の姿となる。

★ハッピーバースデー
ハッピーバースデーを歌う天皇両陛下。
天皇「あきひと~♪」
皇后「あきひとさ~ん♪」(最後の部分)
ろうそくを吹き消す明仁様。
天皇「アンドメリークリスマス。一日早いけどな。」
明仁様「はい、ありがとうございます。」
後ろでは消火器を抱えた部下がいる。

ディナーが始まる。
天皇家の会話。
暗い顔をする天皇に何があったのか聞く。
そして、東條が処刑されたことが告げられる。
ナイフとフォークをガチャンと置く明仁様。
会話。
明仁様は部屋を飛び出して行ってしまう。
天皇皇后の会話。

★再会
久しぶりに車に乗り、民衆の前に姿を見せた天皇皇后両陛下。
東条英機に似た人物が現れる。
東条「陛下!陛下!」
天皇は運転手に声をかけ、車を止めた。
なんと、東条英機は死刑をまぬがれ民間人として生きていたのだ。

★死刑をまぬがれた時の回想
東条英機の歌を聴き、うなだれるダグラスマッカーサー。

★別れ
東条英機は敬礼をし、天皇も敬礼をする。
天皇は運転手に合図をし、車を発進させた。
(もちろん皇后は民衆側の窓側にいる。)
天皇「もう二度と会えないのかな?」
手を振り続ける皇后。
皇后「二度会えないなんて事は生きている限りありえませんわ。」

窓の外から
皇后「私には陛下をお守りする義務があります。」


★海の中の映像
回天の残骸はまだ海に沈んでいた。

End


【I miss you】
【My lover】
By Song River

戦友-回天-脚本

戦友-回天-脚本

  • 小説
  • 短編
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-08-21

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