zoku勇者 マザー2編・45

決戦前の事……編・1

「うええ~、もうオイラ死にそう……、PPがもうないよお~……、
やっぱりスターストーム連発は無理だったかも……、何でオイラは
バトルでもこんなにヘタレ仕様なの……」
 
「ダウド頑張って!もう少しよ!すぐにジャミルが
来てくれるから!」
 
ジャミルが戻るのを待つ他のメンバーはスターマン・センゾとの
バトルを繰り広げていたが……スターマン・センゾのあまりの
嫌らしさと強さに苦戦中。ダウドを励ましているアイシャでさえ
もうPPが後僅かである。
 
「どうしよう……、もうあまり長く持たないわ……、ジャミル
お願い……、早く来て……」
 
「ワルイな、またデタゾ!」
 
「きゃあ!」
 
アイシャとダウドの目の前に更に別のスターマン・センゾが
ぬっと出現し……。残りのスターマン・センゾと輪になって
二人を取り囲みじりじりと追い詰める。
 
「アイシャ、ダウド!早く逃げるんだっ!」
 
別のスターマン・センゾにペンシルロケット5をブチ込んで
いたアルベルトが大声で叫んだ。スーパーバズーカだけでは
きつくなってきた為か、買い溜めしておいたペンシルロケット
攻撃に切り替えたのだったが、アルベルトの方もペンシルロケットの
残りがもう尽きる寸前であった。
 
「アル、駄目よ……、逃げられないわ、これじゃ……」
 
「確か、……輪になってボコろうって言う歌があったよね……、
えへへ、えへ、えへへ……」
 
「そんな歌ないわよっ!あーんもうっ!……いいわっ、もうPPが
無くても強行突破よっ!……やってやるんだからっ!!」
 
天使のフライパンを握りしめアイシャがすっくと立ち上がり、
スターマン・センゾ集団を睨んだ。打撃攻撃に掛ける気である。
しかし、相手は強力なPSIを使いこなす強敵……。スターマン・
センゾは自分を睨んでいるアイシャを見て不気味な笑みを
浮かべるのであった。
 
「……何これっ!……何だか悪寒が……、身体が震えてる……、
どうしよう……、恐い……」
 
さっきまでスターマン・センゾと睨み合っていた彼女だが、
急に身体に戦慄が走り動けなくなってしまったのであった。
アイシャは手に持っていた天使のフライパンを落してしまい
そのまま地べたに座り込んだ……。
 
「アイシャっ!どうしたのさあー!」
 
「分らないの、急に……、何だか怖くなってしまって……」
 
「3、2、……」
 
そして、スターマン・センゾが謎のカウントダウンを始めた。
……PKスターストームΩへのカウントである。
 
「くっ!僕の方もっ!ペンシルロケットがっ!」
 
「オワリか?メガネ……、デハオカエシに、プレゼントシテヤロウ」
 
「……アルうううーーっ!!」
 
ダウドが叫んだ。アルベルトが戦っている方で大爆発が起きる。
スターマン・センゾがPKスターストームαをアルベルトに向け
放ったのであった。
 
「やだ、うそ……、こんな……」
 
「サア、ツギはお前タチのバンだ、サイゴノカウントヲ
レクイエムとシテキケ……」
 
アイシャがダウドが……目を瞑り全てを覚悟した、その時……。
 
「……んなモン聞きたかねえってんだよっ!この野郎!」
 
「……アいて!」
 
誰かがスターマン・センゾの後頭部を後ろから思いきり蹴り倒す。
……ジャミルであった。漸く皆の所に戻って来たのであった。
 
「ジャミルっ!お帰りなさい!」
 
「ひぐっ、……おぞいよおお~、いつもいつも、ほんとにいい~……」
 
アイシャとダウドが目を輝かせた。アルベルトはジャミルに
肩を貸して貰い、支えられている。スターストーム寸前で
ジャミルがテレポートを使い間一髪でアルベルトを救出
したのであった。
 
「アルもっ!無事だったのねっ!」
 
「うん、どうにか……、ジャミルが助けてくれた……」
 
「オノレ、クソッ、……オヤマのタイショウガきたカ……、ダガ……」
 
「うるせーっての!お前ら、隕石のかけらは採ってきたぞ、
急いでサターンバレーに戻るぞ!博士に早いとこスペース
トンネルを作って貰わなきゃな!来い来い、ちこうよれ!」
 
「……ソレハ!……インセキノカケラ!オノれ、ニガスカ!」
 
アイシャとダウドも急いでジャミルの側へ。4人はジャミルの
テレポートβでサターンバレーへと逃走した。消える直前で
ジャミルはスターマン・センゾ達にお土産にアカンベーを
していった。
 
「ニゲラレタか、アノサルコゾウ……、ナンテスバヤイウゴキなノだ、
シンジラレン……」
 
「ワレワレも、モウココニハヨウハナイ、ツギニヤツラガムカう
バショはココロエてイル、イドウスルぞ、ソコデコンドコソヤツラを
ムカエウツ……」
 
「……ラジャ!(了解!)」
 
……オネットの町を制圧していたスターマン集団が次々と
姿を消した。途端に真っ暗だった空が明るくなり、
……青空が戻ったのであった。
 
「どうなってんだい?急に雲が消えた?それに……」
 
「ファラ!お空が明るくなってるよ!お外をウロチョロ
していた変な恐い宇宙人さん達も消えちゃったみたい!
……もう外に出ても平気かなあ?」
 
「トレーシー、まだ油断しちゃ駄目だよ!もう少し様子を
見た方がいい!ちゃんとジャミル達が戻って来るまでね……」
 
「はあ~い……、お兄ちゃん達、大丈夫かなあ~……」
 
「ジャミル……」
 
ファラが窓の外から再び明るくなった空を見上げた。……皆の
無事を祈りながら……。
 
 
……
 
「ただいまっ!」
 
「おお!ジャミル君達!ご苦労であった!どうかね?成果は……」
 
「ああ、隕石のかけらさ!早いとここいつで頼むぜ、博士!」
 
ジャミルが博士に隕石のかけらをほおり投げた。博士は慌てて
かけらをキャッチした。
 
「こ、こら!貴重な材料を……、粗末に扱ってはイカン!」
 
「わり、ちょい慌てちまって!早く皆を治療しねえと!俺が
山頂まで行く間、敵を食い止めててくれたんだよ!」
 
「……アルベルト!」
 
博士が傷だらけの息子を見、珍しく慌て、急いで皆に駆け寄った。
 
「大丈夫か?すまなかったな、……随分と無茶をさせて
しまった様だ……、皆も……」
 
「いえ、これぐらい……、慣れてますから……」
 
「ぷう~、みんなのちりょう、ぼくらがやるです、どせいさんの
めでぃかるせんたーへ、はこぶです!」
 
「ぷう~、ぷう~!」
 
「ぷうう~!」
 
「わ、わりィな、どせいさん……」
 
「ぷう。」
 
どせいさんは集団で傷ついた3人を持ち上げて運んで行った……。
 
「く、すぐったいわああ~……、きゅくく……」
 
「……ふにふにいいーーー!あああーーーっ!!」
 
「は、鼻、どせいさんの鼻が、……オイラの此処、変なとこ当たっ……
うふゃふゃふゃふゃ!!」
 
「……」
 
救急で運ばれて行く3人は、重体の身でありながらも何とも
幸せそうであった……。
 
「さて、皆の治療はどせいさん達に任せるとして、アップル君、
我々も早速、スペーストンネル2の完成を急がねば!もうあまり
時間がない……」
 
「はーいっ!」
 
「おう、博士、おれらも出来る事は手伝うかんよ、どしどし
申し付けてくんない」
 
「ッスー!」
 
ショージとチュージも動きだし、ジャミルが慌てる……。
 
「あ、俺も何か手伝うよ!」
 
「ジャミ公は、いんだよ!休んでろっ!……そそっかしい
お前が入って返って機械を破壊したらこまんべや!さあ、
休んだ休んだ!」
 
ショージは方言連発で、皆を手伝おうとして無理に動こうとした
ジャミルを押しとめようとする。それを見ていた博士もジャミルに
声を掛けた。
 
「そう言う事だ、ジャミル君、休むのも仕事だ……、これから君達は
どんな危険があるか分からない場所に赴くんだ、今のうちにしっかり
身体を休めておきなさい、大事な事であるよ」
 
「ちぇっ、分ったよ……」
 
仕方なしにジャミルは皆のいう事を聞いて大人しく休んでいる事に
したのだった……。

「……」
 
ジャミルは膝を抱えてどせいさんのお店付近で一人蹲っていた。
……表情は不貞腐れデコッパチ状態の面に。其処へどせいさんの
一人が現れる。
 
「じゃみるさん、げんきないですか?」
 
「いや……、なーんか俺だけノケモンみたいでさあ、
フクザツな訳よ、俺はなーんも役に立てねえのかなと
思ったらさ、苛々してきた……」
 
「ぷう、そんなことないですよ、はかせもみんなも、
じゃみるさんつかれちゃうのしんぱいしてますですよ。」
 
「……分ってるよ、皆俺に気を遣ってああ言ってくれたん
だって事ぐらいさ、あーあ、バカだねえ、俺も……、やっぱ
決戦が近づいてるだけあって……、少しでも動いてねえと俺も
気持ちが落ち着かねえのかもな……」
 
「ぷう。」
 
どせいさんは一言、そう言うとジャミルの頭の上にとび乗る。
 
「おい、重いよ……、重いってば……」
 
ジャミルは頭の上のどせいさんを降ろそうとするが、何故か
不貞腐れていた心が……何だか不思議と癒されてくるのであった。
 
「何かどうでもよくなったわ……、何なんだよ、このほっこり
まったり状態は……、畜生」
 
「つかれたら、やすめ、ですよ。」
 
「ぷう。」
 
「ぷうぷう。」
 
「ぷうぷぷう。」
 
「うわ!」
 
気付くと、いつの間にかジャミルの側に大量のどせいさんが
わきゃわきゃ集まってきた。皆でジャミルを励まそうと、
やってきたんである。
 
「はうわ~、……も、もう駄目だ……、力ぬけるううう~……、
はふう~……、顔が……、顔がにやけてしまふ……」
 
其処へ、治療を終えたアイシャ達がやってくる。
 
「あら、ジャミルだわ、何してるのかしら……、あっ、ずるいっ!」
 
……アイシャ、どせいさんに囲まれて倒れているジャミルを
見つけ、自分もとダッシュで駆け出した。
 
「じゃあ、僕も……、あはは……」
 
続いてアルベルトまで……。後ろにいたダウドはまたまた
口を開けてあんぐり。
 
「きゃあああーーっ!はぐぎゅううーーっ!」
 
「鼻、鼻ああああーーっ!……ちょん、あひゃひゃのひゃーーっ!!」
 
「動けねえ……、あっ……、し、幸せって……、こういう事なのかあ~……、
にへらあ~……」
 
「流石にオイラ、あの中には入れない、……こわっ!」
 
こういう事には案外冷静なダウド。ジャミルまでもどせいさん
癒し病に掛ってしまい、少し離れた場所から相当ぶっ壊れた
友人達を落ち着くまでこそっと見守っていた……。
 
「ぎゅうううーっ!」
 
「あひゃーーっ!」
 
「にへら~……」
 
「怖いよおお~……」
 
……そして次の日。ジャミル達4人は博士に呼ばれ、再び広場へ……。
 
「博士!スペーストンネルは!?」
 
「おお、ジャミル君達、来たか!……完成したよ、スペース
トンネル2だ!」
 
「漸くか……、に、しても、相変わらず外観は間抜けだなあ~……」
 
「そんな事ないわっ!可愛いじゃない!」
 
「ぶーぶー!」
 
アイシャとどせいさん集団がジャミルに文句を言う。
 
「……間抜けなモンは間抜けなんだよ……」
 
「博士、……本当に今度こそ大丈夫なんでしょうね……、墜落、
爆発の心配は……」
 
アルベルトがジト目で博士を見るが博士は開き直る。
 
「うむ、あの隕石のかけらの鉱石は雅に凄い金属であった!
これなら大丈夫であるよ!安心して乗り込みなさい、それから
このスペーストンネル2には回復機能も付けてある、……最終
目的……、つまり、ギーグとの戦いが終わらない限り二度と
此処には戻って来れない、必要な物、……準備と覚悟は出来て
いるかね……?」
 
「ああ、大体の物はどせいさんの店で揃えたしな……」
 
「僕もペンシルロケット常備は、ばっちり」
 
昨夜、ジャミルのテレポで手伝って貰って彼方此方回り、
大量に買い占めておいたらしいアルベルト。
 
「……う、うううーーっ!」
 
ダウドだけが困った様に地団駄を踏み、飛び跳ねた……。
ジャミル、アイシャ、アルベルトの3人は静かに頷く。
 
「分ったよお!もうオイラも覚悟決めまっす!……ううう~……」
 
「ぼくも一生懸命お手伝いしました、だから大丈夫ですよ、
アルベルトさん!」
 
「うん、君が手伝ってくれたのならもう墜落の心配はないね、
……アップルキッド、有難う……」
 
「おう、後はおれらに任せて、安心して行ってきないね!いざ、
此処に奴等が攻め込んで来たらおれらもショベルカーに乗って
戦うさね、なあ、チュージ!」
 
「ハイっス、護衛は安心して下さいっス!」
 
「……余計心配になってきたわ……、さてと、いよいよ乗り込むか、
……博士、アップル、ショージとチュージのおっさん、それから
どせいさん達も……、みんな有難うな……、俺達、絶対生きて
此処に又戻って来る、絶対に……」
 
「ぷうぷうぷう!」
 
「……ぐす、またみんなをハグ出来る日を……楽しみにしてるからね……」
 
アイシャもどせいさん達と涙ながらに別れを交わすのであった。
 
「父さん……」
 
「アルベルト、くれぐれも……、寝小……」
 
「何ですか……?」
 
「い、いや……、お前は本当に凄い、儂はお前が我が息子だという事を
本当に誇りに思っているよ、さあ、もう行きなさい……」
 
「はい、博士……、行って来ます……」
 
アイシャとアルベルトがスペーストンネルに乗り込む。残りは……。
 
「……」
 
「ダウド、いい加減にしとけ、まだ何か未練が残るのか……?」
 
「や、やっぱり止めようって言ったら……あー!ううーーー!!」
 
ジャミル、ぐずり出したダウドを無理矢理スペーストンネルに
押し込む。これでジャミル以外は全員搭乗が完了した。
 
「じゃあな!みんな!ギーグなんかすぐに叩きのめして戻ってくるさ!
少しの間あばよっ!」
 
「絶対死ぬなよーー!ジャミ公達ーー!!」
 
「……ご武運をお祈りしてまッスーー!!」
 
「帰ったら美味しい物、一緒に食べましょうねえーー!御馳走で
パーティですよーー!!」
 
「ぷううううーーー!!」
 
皆に見送られ、遂にスペーストンネルが宙に浮かぶ。……そして
ふっと消えた。ギーグのいる地底国へと旅立ったのである。
 
「頼んだぞ、ジャミル君達……、アルベルト……」
 
 
……
 
「ジャミル、着いたよ、地底国だ……」
 
「ん、着いたのか……、俺、スペーストンネルの衝撃で気絶
しちまってたか……、少々操縦も荒かったからな……」
 
「……いいからっ!ダウドもアイシャも外に出てるよ!」
 
アルベルト、ジャミルの背中を押す……。スペーストンネルの外に
出されると、……其処は……。
 
「此処、地底のずっと奥なんだな……」
 
「うん、以前に僕らが足を踏み入れた地底大陸の……、更に
奥にある場所だよ、普通なら絶対に誰も訪れる事の出来ない
場所だよ……」
 
「……伝説の地底大陸か……」
 
周囲は崖っぷち。気を付けて歩かないと……危険な場所であった。
 
「ジャミルっ、アルーっ!」
 
「おーい!」
 
辺りを見に行って来たらしいアイシャとダウドが戻って来た。
 
「おい、あまりチョロチョロすんなよ……、特に其処の
ジャジャ馬はよ……」
 
「何よっ!何があるか分からないんだからっ!偵察も必要でしょ!」
 
「だからっ、……こういう場合は皆で行くんだよっ!」
 
「キャー!……いったああーーいっ!もうーーっ!」
 
ジャミル、アイシャに一発デコピンする……。
 
「でも、……本当に此処にギーグがいんの?ギーグどころか蟻の子
一匹見えないんだけど……」
 
ダウドが不安そうに辺りを見回す。アイシャも彼方此方
キョロキョロと落ち着かず……。
 
「とにかく先に進んでみようや……、もう後戻りは出来ねん
だからよ……」
 
4人は伝説の地底の地を……、最後の決戦へと向かい、
歩き出したのであった。

「あ!あーあああー……」
 
後ろを歩いていたダウドが早速やらかす。足を滑らせて
崖から落ちたのである。
 
「ダウドっ!何やって……」
 
しかしすぐにダウドは突如出現した竜巻によって救い上げられ
どうにか地上に上がってきた。
 
「間に合いましたな、王子……、お気を付けなされ……」
 
「……ま、まぼろし老人さん……?」
 
「ダウドっ!」
 
ジャミル達は慌ててダウドに駆け寄る。ダウドは何だかまだ
夢見心地の様であった。
 
「全くっ!気を付けろよ、オメーは!」
 
「にゃふう~……」
 
「儂が此処に訪れたのは、王子、あなたに最後の力を
伝授する為です、ささ、こっちへ……」
 
「オイラの?最後の力……?」
 
「そうです、あなたにお伝えする最強のPSI、PK
スターストームΩです」
 
ダウドはまだワケ分らんと言った何が起きているのか分らない
表情をしていたが静かにまぼろし老人の側に寄る。……そして、
PKスターストームΩを授けて貰う。
 
「おお、スゲーじゃん、ダウド!」
 
「良かったわね!」
 
「……でも、これもPPの消費凄いんだろうなあ……、はう~……」
 
「しかしよくぞまあ此処まで辿り着かれました!あなた方は
本当にご立派な少年達です!本当に後少しですぞ!……では、
儂はこれで、急いでおりますので、失礼!」
 
まぼろし老人は竜巻に乗って姿を消した。その様子を4人は唖然と
して眺めていた。
 
「さて、先に進むか、マジで良かったなダウド、貰ったPSI
びしびし活用してくれよ……、もう最後なんだしよ……」
 
「あううう~……無理いわないでえ~……」
 
「でも、この先……、道がないみたいだけど……?……ん?」
 
「何かいるわ……、あっ、ああっ!?」
 
アルベルトがメガネを光らせ、アイシャが思わず駆け出す。
ジャミル達は慌てて後を追うが……。
 
「ぷう~、ぼく、さらわれちゃったよ。ぷう~?」
 
「……どせいさんっ!」
 
行き止まりの通路には壊れた機械、そしてどせいさん。恐らくブタに
拉致られたというどせいさんであろう。アイシャは力いっぱい
どせいさんをハグする。
 
「そっか、確か捕まったっていうどせいさんがいたの忘れてたな……、
どうすっか、一旦サターンバレーに戻らないと……、俺がテレポートで
送っていければいいんだけどもう此処からじゃ無理だろうな……、
ギーグ倒さねえ事には戻れねえしよ……」
 
「このままオイラ達と一緒に連れて行くしかないんじゃない?」
 
「……駄目よ、危険すぎるわよっ!」
 
「けどなあ……」
 
「他に方法ないよお……」
 
「……やっぱりこれはスペーストンネルの残骸みたいだ、一番最初に
博士が製作したやつだと思う、……じゃあ、どせいさんを拉致して
乗って行ったという張本人のブタは何処へ行ったんだろう……」
 
ジャミル達が揉める横でアルベルトがスペーストンネルの
残骸を調べ捲る。これ以上は先に進める道も無く4人は
お手上げ状態であったが……。
 
「さらわれたよ、ぼく。いっちゃったよ、わるいやつ。どこへ?
むかしへ。ぷうー。」
 
「昔……?それはどういうこった?」
 
「どせいさん?あなたもしかして、あなたを捕まえたブタさんが
何処に行ったか知ってるの?」
 
「ぷうー……」
 
「……!うわわわわ!な、何だよおお!」
 
「!?」
 
ダウドがジャミルに飛びついた。……突如、謎の物体が光と
共に4人の前に姿を現す……。
 
「あっという間にスペーストンネル3が完成したぞ!どせいさん達の
科学技術は本当に凄いぞ!」
 
「おい……」
 
スペーストンネルの中から現れたのは……、つい数時間前に
盛大な別れを交わした筈のアンドーナッツ博士とアップル
キッドであった。
 
「わしらもきたです。ぽえーん。」
 
「ぷううーー!」
 
更にスペーストンネル3の中からどせいさんが。拉致られた
どせいさんは迎えに来たどせいさんに駆け寄り、再会と喜びの
鼻突っつきぷーぷーをしたのであった。
 
「良かった、……これでどせいさんの方はもう心配ないわね……」
 
「ああ……」
 
再会を喜び合うどせいさん達の姿をアイシャは何となく
淋しそうに見つめていた。
 
「さて、もうあまり時間がないぞ、儂らが此処に来たのは……、
君達に大事な事を伝える為だ……」
 
「……」
 
アンドーナッツ博士は何時になく、真剣な表情で4人を見つめている。
アップルキッドも。
 
「言いにくい事なのだが……」
 
博士は尚も表情を曇らせている。相当伝えにくい事の様であったが……。
 
「何だい?俺らもう何も怖いモンなんかねえよ、何でも言ってくれよ……」
 
「うわああああ!……ノ、ノーノーノー!ワテ、勘弁勘弁デース!」
 
が、約1名……、叫びだしたアホがいた。ジャミルは混乱しだした
ダウドの頭を抑え付け、再び博士達の表情を覗う。
 
「ギーグはこの同じ場所からつまり、過去にワープし、
過去のこの場所から攻撃を仕掛けているんだ……」
 
博士は再び口を噤んでしまう。その後にぼそっとアップルキッドも
喋り出す……。
 
「このスペーストンネル3でワープして過去で戦わなくては
ならないんです、……でも、それは……」
 
今度はアップルキッドも俯いて黙ってしまった。一体何を
伝えたいのか……、4人は段々不安になってきたが……。
 
「ジャミル君……!」
 
「は、はいい!?」
 
遂に博士が覚悟を決めた様にジャミルの肩を掴んだ。そして
話すのを躊躇っていた全てを語り出すのであった……。
 
「過去から攻撃を仕掛けてくるギーグを倒すには君達も過去に
ワープしなければならん、このスペーストンネル3でならそれが
可能だ、しかし……、この装置は生き物を……、生命体を送る事は
出来ない……、ワープのプロセスで生命体は消え去ってしまう……、
君達を完全に過去に送れる方法は唯一つだけだ……」
 
「一つ……?」
 
4人共息を飲みこんで博士の表情を見た……。
 
「君達の頭脳プログラムをロボットに移植し過去に送る……、
それしか方法は無い……」
 
「!!!」
 
漸く博士が重い口を開き、伝えてくれた大切な事……、しかしその
あまりの話の重さに4人は衝撃を受けた……。博士は4人から顔を
背け、また押し黙ってしまった……。
 
「うそ、私達……、機械の身体になるの……?」
 
「……冗談だよな、なあ、博士……、嘘だろ?……なあ……」
 
最初は何でも言ってくれと博士に言ったジャミルも余りにショックが
大きかったらしく、何度も何度も博士の表情を覗おうとするので
あったが……。
 
「冗談でこんな事が言えるか、それとも、君達はこんな真剣な
話を……、儂がわざわざ此処まで追い掛けて来てまでジョークで
済ますと思っているのかね……?」
 
「はい、普段のあなたのおちゃらけた言動からはとても……、
僕も本当は嘘だと言って欲しいんです……」
 
「わ、儂……、そんなに暴けてるかしら……、とにかくだ……、
話を進めよう……」
 
アルベルトも絶望に満ちた顔つきで沈み込む。ダウドに至っては……、
もうショック過ぎて立ち直れず言葉も出ない様子……。博士は4人から
顔を背けたまま、崖っぷちに立つと再び重い口を開き始めた。
 
「君達のスピリットは機械の方に行ってしまう……、その間、
君達の身体はからっぽの器になる訳だ……、過去での戦いが
終わっても君達のスピリットが身体に戻れるという保証もない……、
それでも……、行ってくれるか……?もう二度と……、元の姿に
戻れないかも知れないぞ……」
 
博士が再びジャミルの方を振り向いた。……ジャミルは唯黙って
静かに頷くのであった。
 
「ああ、元に戻れる保証はないんだな、けど、元に戻れるかも
知れないって可能性も残されてるって事だろ、だったら俺は
後者に掛けてやる、此処まで来たんだ、もう只管進むしか道は
ねえって事だ、……お前らはどうだ?」
 
「わ、私もよっ!……やるわ!絶対にギーグを倒すのよっ!!
恐くなんかないんだから!!」
 
「うん、僕らは選ばれた地球を救うお子様達なんだ……、
その使命を果たすのみさ!!」
 
「あうう~、オイラ何とも言えない、本音は嫌だ、恐いよ、
逃げたいよ……、だけど……、逃げてばっかじゃ駄目なんだって事、
……皆が、この旅が教えてくれたよお、だからオイラも戦う!
(でも、この話無事に終わったらまたヘタレに戻りますけど……、ぼそ)」
 
「ダウド……、よしっ!博士、この通りだ!俺らの覚悟はもう
決まってるぜ!後は博士に全て任せるだけさ!さあ一思いに
改造してくれ!!」
 
「ジャミル君、……皆……、君達は本当に何という強いお子様達だ……、
儂は君達の様な勇気ある子供達に出会えて本当に嬉しいよ……、
アップル君、スタンバイの準備をしよう、手伝っておくれ……」
 
「はい、博士……」
 
黙って話を聞いていたアップルキッドが立ち上がった。……涙を拭いて。
 
「ジャミル君、君の帽子を貸しておくれ……」
 
「あ、うん、いいけど……、ほい……」
 
博士もジャミルから受け取った帽子をじっと見つめ、歩き出した。
……博士の目からもキラリと光る物が流れていた。

zoku勇者 マザー2編・45

zoku勇者 マザー2編・45

SFC版ロマサガ1 マザー2 クロスオーバー 年齢変更 ジャミル×アイシャ カオス ギャグ 下ネタ

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-08-15

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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