自傷癖

自傷癖


もう、どこにもない。
あなたが私につけた傷。
あなたと別れて空いた穴。
あのときあれだけ膿んだ傷口も綺麗に塞がって。

今はもうずっと満たされていて、幸せで。
毎日なんの不安も焦燥もなくて。
常に心は凪いで穏やかで。

なのに私は。

もう見えもしないくらい薄くなった痕を引っ掻いて、抉って。
そうしてできた瘡蓋を、また毟って。

ああ、これでやっと生きていると実感できる。
あなたと過ごしたあの日々が嘘じゃなかったと、
この苦しみをもって証明できる。

ぐじゅぐじゅに膿んだ穴を痛みで埋めて、
今日もまた、幸せな毎日にあなたとの瘡蓋を探す。

自傷癖

こんな不幸せな記憶なんて、
痛いくらいが心地いいと思うの。

ありがとうございました。

自傷癖

  • 自由詩
  • 掌編
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  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-08-14

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