君だけに、恋をした
君だけに、恋をした
放課後の教室。
窓から差し込む夕日が、机の上をオレンジ色に染めていた。
「……ゆう、まだ帰らないの?」
声をかけてきたのは、クラスメイトの蓮だった。
「うん。ちょっと宿題やってから帰ろうかなって」
「そっか」
そう言った蓮は、なぜか帰ろうとしなかった。
「……蓮は?」
「俺? ゆうが帰るまで待つ」
「え?」
思わず顔を上げる。
蓮は少し照れたように目をそらした。
「……一人で帰るの嫌だから」
「子どもみたい」
笑いながら言うと、
「じゃあ、ゆうが一緒に帰ってくれる?」
心臓が、どくん、と鳴った。
「……いいよ」
たったそれだけなのに、顔が熱くなる。
、、、
校門を出て、二人で並んで歩く。
いつもなら何気ない帰り道なのに、今日は妙に静かだった。
すると突然、蓮が足を止めた。
「ゆう」
「なに?」
振り返ると、蓮が真っ直ぐこっちを見ていた。
「……俺さ」
「うん」
「最近、ゆうといると変なんだよね」
「変?」
「心臓がうるさい」
「……え?」
蓮が一歩、近づく。
「ゆうが笑ってると嬉しいし、他の男子と話してると嫌になる」
「蓮……?」
「これってさ」
蓮は少しだけ笑って、
「やっぱ、好きってことだよね」
頭が真っ白になった。
「……っ」
何も言えない。
そんな私を見て、蓮は慌てて、
「ごめん、困らせた?」
と一歩下がろうとした。
その瞬間。
私は無意識に、蓮の制服の袖をつかんだ。
「……待って」
「ゆう?」
「……私も」
声が震える。
「私も、蓮といると……心臓うるさい」
蓮が目を見開く。
そして、少しずつ嬉しそうに笑った。
「……それ、期待していい?」
「……うん」
「じゃあ」
蓮はそっと私の手を握った。
「今日から、俺の隣……予約していい?」
「なにそれ……」
恥ずかしくて俯く私。
すると蓮が、握った手に少しだけ力を込めた。
「だって、もう誰にも取られたくないから」
夕焼けの帰り道。
繋いだ手だけが、やけに熱かった。
君だけに、恋をした