春色エプロン エピソード4 恭介との出会い
【 ここまでのお話 】
吉田くるみ(36歳)は、商談のミスで勤務していた会社を辞めた。母に生活費を稼げ、と言われて夏のバイトを探す。
「老人の世話で高時給!」を見つけて、葉子おばあちゃん(82歳)の家で、1ヵ月間暮らすことに・・。
ボケ症状のある葉子は、わりと面倒が多く落ち込むくるみであった。だが、葉子の彼氏の、細川 順吉(78歳)と出会ったり、いろいろな人との出会いで、、くるみは、夏の経験をしていくのであった。
【 ここから。。】
吉田くるみ(36歳)が、夏休みに葉子おばあちゃんの家でバイトを始めて、、もう2週間たった。
契約期間は、およそ1ヵ月なので、、あとちょうど半分である。
5日前に、知り合いになったのが『HONEY スーパー』に勤めている配達員の男性である。
こんな片田舎で、「HONEY(ハニー)・・?!」って、どういうことなのーーー?って、くるみは不思議だった。
あとで知ったことだが、スーパーの店長が若い頃に渡米していて、そこでHONEY(ハニー)というブロンドのガールフレンドと付き合っていたからだそうだ。。
結局、その店長はお金が無くなって、日本に帰ってきたみたい・・。
「葉子さん、こんにちは!今日は、新鮮な卵を持ってきましたよ!」
「あらあ、恭ちゃん(きょうちゃん)、、いつ見てもかっこいいね」
葉子おばあちゃんに、「恭ちゃん・・」って呼ばれているのは、くるみと同い年の「町田 恭介(36歳)」さん。どう見ても、、ロン毛が目立ちこの田舎には合わない風貌で、くるみも笑ってしまうのだ。
でも話していくうちに、恭介の気さくさや親しみやすいところが気に入って、友達になってしまう。。。
町田恭介さんは、「たかはしスーパー」の従業員で、歩けない老人の家を回って配達をする優しい男性であった。本人によると、2歳年上の姉がいて、、頭が上がらないそうだ(笑)
また、柔道をやったり書道もたしなみ、なかなかの好青年に見えた。もう、36歳ではあるが・・。
「葉子おばあちゃんも、恭介さんのことを気に入っているわね!」
「ああ、葉子さんは、ああ見えても若い頃は美人だったみたいだよ、町に居る、80代のおじいさんが噂してたよ、」
老人にも人気物である恭介と知り合えて、、くるみは嬉しくなった。
「残りの夏も、、楽しくなるかなーー。3人でスイカでも食べたり、お茶会でもやれば葉子さんも元気になるわよね。。」
くるみは、、脇に居る恭介が頼もしく見えてきたのだ。
ーーけれど、、もちろん、お互いに恋愛感情は、1ミリもないのだ。。(笑)
何回か会ううちに、吉田くるみは恭介の車の隣にのせてもらい、、町の「たかはしスーパー」まで連れていってもらった。
「ははは、くるみちゃんて、前の会社、、、辞めたんだ。もったいなかったね」 恭介はそう言って、チョコレートを渡してくれる。
「ええ、でも、嫌な上司で気も合わなかったし。このバイト代で旅行でも行くつもりなのよ。」と答えるくるみ・・。
恭介は、何を考えているのか、ずーーと黙り込んでいた。
「ん、、くるみちゃん、ちょっと言いにくいんだけど・・」
「葉子おばああちゃんの彼氏っていう、細川順吉さんって、あまり良い噂を聞かないんだよね。。」
恭介の話によると、、彼氏の細川順吉さんは、若い頃に不倫をしていたり、、息子の稼いだ給料を無断で使って、息子が怒鳴ったこともあったそうだ。
ーー くるみは、もらったチョコレートを食べ終えてーーー
「そうね、でも、老いらくの恋だもの、好きにさせてあげれば・・・。」と答えたのだ。
寝る前に、、葉子おばあちゃんが、彼氏の順吉さんのスマホの画像をずーーと見て、、微笑んでいるのを、くるみは偶然に見てしまったのだ。
「この2人の恋は、、応援しなくっちゃ・・」
くるみは固く決意して、恭介の横顔を見つめる。
ーー 2日後ーー
今日は朝から、まったく「嫌になっっちゃう・・!」の連続である。
予定では、葉子おばあちゃんは町にある「工藤クリニック」に行く日だった。
葉子おばあちゃんは軽いボケ(いあゆる、認知症ぎみ?)で最近は日時も分からず、この前、配達員の町田恭介さんに、
「葉子さん、今日は何日ですか?」と聞かれたら、、
「えーーと。。はいはい、昭和だよね。。」と、真顔で応えていたのだ。
『えっーーー。昭和、昭和・・?!』そんなはずないじゃない。
くるみは、脳内で思わず、ツッコミを入れている。葉子おばあちゃんって、そんなにボケているのね」と、思わずくるみは落ち込んだくらいなのだ。
ーー庭の駐車場でーー
「嫌よ、行かないからね、、私はもう治らないから私に治療費をかけないで!」
葉子おばあちゃんは、ヒステリックにくるみの手を振り払い、車に乗るのを拒否している。。、
「ああ、まったく、病院の薬は、無くなっちゃうし・・。」
このバイトにきて、早2週間・・。くるみは慣れてきたが、ボケ老人と暮らしたことの無い人には想像も
つかないが、こういった老人は頑固で言いだしたら聞かないのだ。
くるみはあきらめて、作り笑顔でおばあちゃんに話しかけた。
「はいはい、わかったよ、、暑いから、部屋でゆっくりしていてね。」
部屋に入った葉子おばあちゃんは、なぜか、部屋の中をあたふたと動きまわっている。
「ねえ、くるみちゃん、この通帳の残高、減っているけど、、、 もしかして盗んだんじゃないの?」
今度は、くるみを泥棒扱いしてくるのだ。「やばい、やばい、、まず、逃げなくては・・。!」
葉子おばあちゃんは、自分の通帳をじっと見て、、なぜか、イライラしていた。
「あらあら、じゃあ、この家に外国人の盗人でも、入ったのかな?」
「くるみちゃんが、来てから、、この家はダメになっていくばかりだわっ・・?!」
くるみが気付いたことだが、葉子おばあちゃんは誰にも八つ当たりできず、そばに居るくるみにだけ、自分のストレスを、これっとばかりに当ててくるのだ・・。
こんな時、彼氏の順吉さんが、おばあちゃんをなだめてくれたら・・。
くるみは、、順吉の顔を思い浮かべて、、助けを求めたい気持ちだった。
こういう時の、ボケた老人は、何度もしつこく質問してくるのだ・・。くるみは用事を作り、車に飛び乗って町のほうに出かけることにした。
ーー2時間後、、町の喫茶店でーー
町田あかねは、目の前のアイステイーを、ストローでかきまぜながらうなづいている。
「そうそう、老人って頑固なのよね、私が最近見た人も、、息子の自慢とかばかりで嫌になるわよ」
町田あかねは、、くるみの父方のいとこである。
まだ22歳だが、早くに実父が他界してしまい、看護師になって家計を助けている。弟もいて、すごくかわいがっているのだ。老人についてはくるみの先輩で、今日も休みのところを呼び出して、愚痴を聞いてもらっているのだ。
「お待ちどう様でしたーーー!」
新米のような、ウエイトレスが持ってきたのは、、卵と野菜の焼サンドイッチで、くるみがオーダーしたものだ。
「そうなのよね。。葉子さんは彼氏も居て、色恋も盛んだし、、、見ていて、楽しいおばあちゃんなんだけどね。」
「この前は、、お風呂で泳いじゃうし、、 老人も世話がやけるわあ」」
焼サンドイッチをほおばりながら、くるみはバイトの愚痴をこぼすのであった。
あかねは、追加オーダーで、生ビールまで頼んでいる。今日は電車で来たらしく、、、酒豪のあかねは、昼間からビールを飲むらしい。
食べ終えた吉田くるみが、、何気なく、喫茶店の窓の外を見てみると。。。??
「あれっ? もしかして、あそこを歩いているのは、葉子おばあちゃんの彼氏の、順吉さんじゃない・・?」
「へえ、あの人が彼氏なのね。」とあかねも興味深々ようだ。
外を歩いているのは、な、なんと、、老婦人と腕を組んで歩いている順吉だったのだ・・。
その表情は嬉しそうで、、まるで恋人連れに見えてしまう・、
ーーずっと観察していると、
脇にいる老婦人は、順吉に甘えてみたり、外にあるベンチに座り、楽しく雑談しているようだった。
あかねは、、生ビールを、グビっと飲みながら、
「ええー?でも、あのおじいさん、、 彼女がいるみたいよね?」と言っている。
「う、うん、、、あれって、どうみてもップルに見えるわよね??」と、くるみも、内心ハラハラであった。
『あー。。どうしよう、どうしよう・・葉子おばあちゃんが見たら、、悲しむに違いないわ。。』
今まで、老人の恋を応援していたくるみであったがまたまた、波乱が起きそうな予感であったーーー。
春色エプロン エピソード4 恭介との出会い