霊能探偵・芥川九郎のZファイル(5)【霊能探偵の休日編】
第1章 アミューズメント施設
霊能探偵・芥川九郎は、能年と幸子を連れてゲームセンターに来ていた。能年は鎧の妖怪である。芥川の助手として、彼の事務所に住み込みで働いている。福家幸子は座敷童子である。芥川が栄で見つけて、事務所に連れてきたという経緯がある。
芥川「最初は調子がよかったんだけど・・・このままだとジリ貧だなぁ。」
芥川たちはスロットで遊んでいた。彼のメダルはどんどん減っていき、箱の底が見えてきた。能年と幸子は順調にメダルを増やしている。
芥川「サッちゃん。ちょっとメダルを分けてくれ。」
芥川はそう言うと、幸子の箱からメダルをつかんで自分の箱に入れた。
幸子「・・・・・・」
幸子は何も言わなかったが、不機嫌になったのは明らかだった。
芥川は幸子からもらったメダルのおかげで、調子を持ち直した。
芥川「スロットもあきてきた。そろそろやめよう。ゲームセンターでいくらメダルを出したって、換金できないからね。」
芥川の言葉を聞き、能年(鎧)はコクッと1回、大きく頷いた。幸子は相変わらず、ふてくされている。
芥川「サッちゃんにチョコレートを買ってあげよう。ジュースの方がいいかな?」
芥川は幸子の機嫌を取るために、彼女にお菓子やジュースを買い与えた。
芥川「スロット店ならメダルをお菓子やジュースに換えられるのになぁ・・・」
彼はそうつぶやいてから、小さなため息を吐いた。
第2章 幸せの青い鳥
芥川たちはゲームセンターを出て、彼の事務所へ向かった。
芥川「時間が中途半端だから一旦、事務所に帰ろうか。晩ご飯にはまだ早いからね。」
能年(鎧)はコクッコクッと2回、小さく頷いた。幸子の機嫌は、お菓子とジュースのおかげで直っていた。
幸子「ゲームセンターじゃなくてスロット店だったら、メダルでお菓子やジュースをもらえるの?」
芥川「もちろん、いくらでももらえるよ。でも、大人はお菓子やジュースのために、スロットやパチンコをやっているんじゃないよ。」
幸子「知ってるよ!お金のためでしょ?」
芥川「まぁ、そうなんだけど・・・大人はみんな、幸せの青い鳥を探しているんだよ。」
芥川はそう言うと、缶酎ハイをグビグビ飲んだ。
幸子「大人の人がお酒を飲むのも、幸せのためなんでしょ?」
芥川「ハハハッ。これは大人のジュースだよ。子どもがジュースを飲むと幸せを感じられるのと同じで、大人はお酒を飲むと幸せになれるのさ。」
幸子「でも、お酒を飲まない大人もいるよ?そういう人は幸せになれないね!」
芥川「お酒を飲めなくても、風俗に行くことはできる。そういう人は、女の人の聖水を飲んで幸せになるのさ。」
幸子「・・・???」
能年(鎧)も首を傾げている。芥川は少し酔っ払っていた。
第3章 芥川の事務所
三人が事務所に戻ると、芥川の相棒・牧田マリアが待っていた。芥川の事務所は中区にあって立地はよいが、古びたビルの一室に過ぎない。
マリア「みんなお帰りなさい!サッちゃん。ゲームセンターは楽しかった?」
幸子「うん、楽しかった!スロットで当たると、メダルがたくさん出てきたよ。パパにお菓子とジュースを買ってもらったの。」
ちなみに、芥川は幸子にパパと呼ばせている。
芥川「本当は、スロット店に連れて行きたかったんだけどね。」
マリア「芥川先生。スロットやパチンコに、子どもを連れて行くことはできないんですよ。」
芥川「本当に世知辛い世の中だなぁ。どんどん厳しくなって、息苦しくなっていくね。」
マリア「社会のモラルが向上しているんですよ。」
芥川「いわゆる、社会のホワイト化だね。」
能年(鎧)は朝に淹れたコーヒーの残りを1杯、芥川に手渡した。
芥川「能年君、ありがとう。」
幸子はマリアと話していた。
幸子「大人がスロットをやるのは幸せのためで、お酒を飲むのも幸せのためなんだって。みんな幸せの青い鳥を探しているの!」
マリア「・・・パパがそう言ったの?」
幸子「お酒が飲めない男の人は代わりに、女の人の聖水を飲むために風俗に行くんだよ!」
第4章 マリアの抗議と芥川の言い分
マリアは怒って芥川に抗議した。
マリア「芥川先生!サッちゃんにこれ以上、変なことを教えないでください!!」
芥川「ごめんごめん。つい口が滑ってしまって。お酒を飲むとどうしても、この世の真実を話してしまう。」
マリア「真実って・・・一部の人間の性癖でしょ!」
芥川はコーヒーを一口飲んでから、マリアに言った。
芥川「サッちゃんは座敷童子だから子どもに見えるけど、れっきとした妖怪だよ。妖怪は人間よりもはるかに長寿だ。彼女は僕たちよりも、はるかに年上のはずだよ。」
マリア「そうかもしれませんけど・・・サッちゃんは座敷童子なんだから、れっきとした子どもです!」
芥川「なるほど。マリアさんの意見にも一理あるね。」
マリア「風俗関係の話をしたいなら、同じ趣味の人同士で話してください。」
芥川「別に、そういう趣味があるわけじゃないよ。世の中をより良く理解するためには、いろいろなことを知る必要がある。決して目を背けることなく・・・」
マリアは話題を変えて言った。
マリア「はいはい、そうですね。サッちゃん。今日は私の家で一緒に、晩ご飯を食べましょう。」
幸子「うん!マリアお姉さん。いつもありがとう!」
マリア「芥川先生も来ませんか?」
芥川「今日は遠慮しておくよ。お酒を飲んだし、なんだか疲れてしまった。ちょっと一眠りしたい。」
マリア「そうですか。分かりました。」
芥川は睡魔に襲われていた。部屋の隅でイスに座っている能年(鎧)も、いつの間にか居眠りをしていて、コックリコックリと規則的に舟を漕いでいた。
霊能探偵・芥川九郎のZファイル(5)【霊能探偵の休日編】