・・・記念すべからざる第一次宇宙憲法(ケシスタン聖典 青星の章)・・・


第1条 誰も彼も地球人にあらず

地球人という大きな括りを擁することなかれ。
人類は誰もが土地や国や風土に基いたり根づいて居る上での存在であり、その何れにも基かない者はその者自身の人生に基いて居る。
皆そうした「小さなもの」や「身近にあるものの中では大きなもの」に依拠するのであり、決して地球に依拠することはない。
地球という大きな単位で一心同体になり得たかのような人類は、必ずや内紛を招き分裂するだけでなく、その破綻さえも丸で豫期して居ない計算外の出来事かのように捉えるようになってしまおう。
どれほど遠くへと進出し進歩しようとも、人類は一つではない。地球という惑星の出来映えと壮大さに惑わされてはならない。誰も彼も、より小さくて根源的なそれぞれである。
つまり様々な権利やその各者たちの生活活動その他すべては、その者自身のその存在に与えられた自由ではなく、その依拠する根拠地風土の結果に過ぎない。産物に過ぎず、それ以外の何ものでもない。
これは幾重もの景勝闘争を乗り越え克服し理智と人命をその上に包含した人類の或る決定的な到達点たること、認められよう。



第2条 よって非地球人や宇宙市民などという区別はなし

地球人が存在しないということは、然うでない者という区別も存在しない。
地球であれ宇宙であれ各そこに依拠する者はその自らの小さな、身近な根拠地に基く各小さな偉大なる人類市民である。区別はその各小さな根拠地ごとに対してのみ行われる。地球を基準として内外の区別をつけんとする者は治安を乱し各景勝を侵し尚且つ人類文明の顛覆を目論む暴徒として裁かれ、制される。



第3条 宇宙に自由なし

宇宙に於ける人類には自由はない。そして人命があり、そのための国際的なあるいは国家的なあるいはその他組織的な徹底された人命擁護共同体制が充実し維持される。
宇宙にてはその環境と共助そのものこそが人類ひとりびとりにとっての自由であり、宇宙に在る人間としての生れながら持ち合せて居る権利である。一切の危機がなく自らの私的な時間を確保し満喫して居るそのときを自由と謂うことができようとも、それは終始、尚も危険を伴う宇宙という空間に於ての人命的な時間である。よってそれらは何時も容易に奪われ得るものなるが故、この認識を共有すべし。



第4条 宇宙に国家なし、但し宇宙に景勝あり

地球法上の国家としては、宇宙に然様のものは存在せず。すべては地球諸国家の代理としての各活動機関が存在するのみとする。
但し宇宙各所の或る根拠地及び活動範囲を自らの景勝と主張することはまた一切も妨げられてはならない。そして更にその景勝が地球法上の国家に等しいかのように主張しそのように仕向けんとするすべての行動活動言動等は本条及びその他各法規則を以て徹底的に否定されなければならない。



第5条 宇宙に軍事なし、宇宙に警察あり

宇宙には攻撃という概念が存在しない。すべての実力組織その他すべての官民組織は各その自らの安全利益のためのみならず宇宙安保作用に携わるすべての人命及び能力供給力の浪費犠牲を可能な限り抑制し各その安全性安定性を確保するために意識的に自他のために防衛意思を第一に有し続け内外に誓い続ける義務が課され、その義務は唯一の宇宙統一警察組織たる宇宙同盟警察に対してのみ果され続けるものである。



第6条 宇宙に公議なし

地球にあらざるところに於ける公的決定はすべて、対面会議によってのみ調整され行われる。
宇宙各所に於ても対面ならざる議は存在しようとも、それらはどれも正式な且つ公的影響力を有する議事とは認められず、宇宙に於ける公的決定に対しては当該国際機関の権能責任のみが効力を発するとし、それを具現化したものこそが宇宙同盟会議である。



第7条 地球外に宇宙法あり、宇宙船内に宇宙規則あり

地球外すなわち所定の宇宙空間に於ける国際宇宙法制はその当該範囲領域にて国際最高法規たるものなれども、宇宙同盟会議が議して決するところの宇宙規則は国際宇宙法制下にあるすべての宇宙船内に於ける国際共通法としてのその効力が充分に認められ、国際宇宙法制の諸法は当然にその各宇宙規則の施行運用を補助し擁護し補完するための必要な定改正を行わなければならない。



第8条 地球外に宗教なし

宗教とは地球に於けるあらゆる風土情景歴史生活などのあらゆる地球的要素の上に現在進行的に形作られ、形作られて居るものであり、それらの外にあると言わざるを得ない宇宙領域にあっては一般に宗教及び信心などと表現される性質のものはすべて各人間ひとりびとりのその内心のみに存在する。
よって宇宙に於ける社会秩序はいわゆる宗教というものそのものを否定するものにあらず。宇宙での生活活動は地球に於けるそれよりも更に信仰にとって有意義なものであり時間であるということを国際社会はともに同意し認めざるを得ないこととした。
よってこの定めは、思想統制を目的として居ない。宇宙各所にて宗教的表現や振舞いなどをした者をただちに取締り罰せんとし引き締めを行うことはなく、寧ろこれは宇宙に生けるすべての人員に意思責任があることを賛美し推奨するものである。



第9条 宇宙に労働なし

宇宙に於ける労働は労働ではない。生存権の一部である。すべては各人命をつなぎ止め次へと継ぎ渡すための大切な生存作業である。
すなわち何者も宇宙では労働に従事することがその人命の前提とされ、宇宙に於て人命を乞うということは自ら常に意識的に労働を課されることをどうしても求めて居ることとすることができる。
すなわち宇宙での労働について異議を申し立てるなどする者は、その命の存続や存在価値に関する外的扱いの是非を問うて居るに等しいということである。



第10条 宇宙に通貨なし

宇宙に於て地球とは異なる独自の通貨その他貨幣類の創出普及等はすべて禁止されるのみならず、地球内上に実在運用される通貨その他貨幣類を利用した取引決済及び資産運用等を宇宙空間に於て行うことの一切もが禁止される。
宇宙各所に於ける各当該経済財務活動作用はすべて地球上より遠隔に、または地球上にて事前事後に行われなければならない。
仮に宇宙にて経済取引が成り立つ場合、それは実物交換によるもののみであるが、国際社会はこれを忌避し、国際法制によって著しく制限されるものであると考え同調して居る。



第11条 審判は自動なれども、結審は地球に行う

宇宙各所現場に於ける裁判調停については、その緊急性や悪質性などに関らずすべて宇宙同盟会議の指定する統一自動知盤に宇宙領域に於けるその暫定的な裁決を託さなければならない。
その裁決の更なる是非は可能な限り最速を以て地球上の宇宙同盟司法機構へ移し託され、当該最終判決やその後の上訴等はすべてそこに於て処理され行われる。



第12条 宇宙に財産なし

いかなる宇宙の地空領域及び自然物質及び残留人工物もいかなる個人団体の保有財産たることを得ない。
また宇宙に於て新たに発生した地球法上の財産に相当する物はすべて速やかに地球法上にて処理され各種財産と認められなければならず、然様の手続を経た後にあっても当該財産は宇宙に存在し続ける限り宇宙に於ては各当該宇宙活動本部の管理下に置かれて居るものと見做される。

・・・記念すべからざる第一次宇宙憲法(ケシスタン聖典 青星の章)・・・

・・・記念すべからざる第一次宇宙憲法(ケシスタン聖典 青星の章)・・・

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-07-30

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