霊能探偵・芥川九郎のZファイル(4)【名古屋栄の座敷童子編】
第1章 座敷童子のサッちゃん
霊能探偵・芥川九郎は、事務所で小さな女の子をしかっていた。彼の事務所は中区にあって立地はよいが、古びたビルの一室に過ぎない。
芥川「なにがプリプリキュートだ!そんなものばかり見ていると、頂き女子・ルルちゃんみたいな女になってしまうぞっ!!」
女の子「プリプリキュートはそんなんじゃないもん!パパのバカ!!ケチンボ!!!」
そこへ芥川の相棒・牧田マリアがやって来た。
マリア「芥川先生、こんにちは。小さな女の子がいる。かわいいですね!誰のお子さんですか?まさか、先生の隠し子・・・」
芥川「そんなんじゃないよ。彼女は座敷童子だよ。栄をブラブラ歩いていた時に偶然、見つけたんだ。彼女、次の行き先をまだ決めていないようだったから、とりあえずここへ連れてきた。」
マリア「芥川先生のこと、パパって呼んでましたけど・・・」
芥川「そう呼ばせれば、女子小学生のパパ活みたいで背徳感が出るだろう?」
マリア「・・・ちょっと何言ってるのか分からないんですけど。」
芥川「彼女の名前は福田幸子。僕のネーミングセンスは相変わらず抜群だろう?サッちゃんと呼べばいいよ。」
マリア「サッちゃんは芥川・・・パパとなんでケンカしてたの?」
幸子「プリプリキュートのステッキがほしいの。でも、パパはプリプリキュートが嫌いだから・・・」
第2章 子どもの教育とは?
幸子は着物の袖で涙を拭っている。
マリア「芥川先生!座敷童子を連れてきたなら、責任をもって、オモチャぐらい買ってあげるべきです!!」
芥川「オモチャを買う金が惜しいわけじゃないよ。どうせ買うなら、心身の成長に資するものを買うべきだ。知恵の輪みたいなパズルとか・・・いや。それよりも、図書館で絵本を読ませた方がいい。よし。これから図書館へ行こう!」
幸子「・・・・・・」
幸子は完全にふてくされている。
マリア「先生がどうしても買わないと言うなら、私がサッちゃんに買ってあげます!サッちゃん。お姉さんがプリプリキュート・ステッキを買ってあげるから、一緒にお店へ行こう!」
幸子「うん!お姉さん、ありがとう!!」
芥川「マリアさん。ついでにサッちゃんの服を買ってきてくれないかな?このご時世に着物では目立ってしょうがないよ。」
マリア「分かりました。では行ってきます。」
こうしてマリアと幸子は事務所を出ていった。
第3章 化けアライグマの御手洗君
マリアと幸子が出ていってから、しばらくすると御手洗熊五郎が事務所にやって来た。
御手洗「こんにちは、おじゃまいたします。芥川様、相変わらずお元気そうで。」
芥川「こんにちは。御手洗君も相変わらずだね。」
御手洗は化け猫ならぬ、化けアライグマである。昔、猪高緑地で芥川と牧田(父)によって捕獲・保護されたという経緯がある。ちなみに、御手洗熊五郎という名前も芥川によるネーミングである。
芥川「まだ清掃の仕事をしているんだね。」
御手洗「ヘヘヘッ。他にできる仕事がありませんから。」
芥川「今日は能年君と遊びに行くのかな?能年君。僕のことは気にしなくていいから、御手洗君とゆっくり遊んできなよ。」
能年(鎧)は、部屋の片隅にある机のイスに座っていたがコクッコクッと2回、小さく頷いてから立ち上がった。彼は鎧の妖怪である。芥川の助手として、事務所に住み込みで働いている。
御手洗「それでは、能年君をお借りいたします。能年君、行こう。」
こうして御手洗と能年(鎧)も事務所を出ていった。
第4章 場外舟券発売場・プリボートピア栄
日が傾いて西日が強くなった頃、マリアと幸子が帰ってきた。
マリア「ただいま帰りました。」
幸子は着物の代わりに、今風の子供服を着ている。
芥川「さすがマリアさんだ。服のセンスがいいね。」
マリア「ありがとうございます。」
芥川「プリプリキュートのステッキは買えたみたいだね。」
幸子はプリプリキュートのステッキを両手で、大事そうに握っている。
幸子「マリアお姉さんに買ってもらったの!」
幸子はうれしそうにそう言って、プリプリキュートの変身シーンを再現した。
芥川「よし!これからみんなでプリボートピア栄へ行こう。ナイターレースを楽しめるぞ!」
マリア「サッちゃんを連れてボートレースに行くんですか?」
芥川「その後で、居酒屋で晩ご飯を食べながらお酒を飲もう。サッちゃんも連れていけば、プリボートピア栄や夜の街で思う存分、プリプリキュートごっこができるぞ!うん。我ながらいいアイデアだ!」
芥川の話を聞いて、マリアがとうとう怒り出した。
マリア「芥川先生!くだらない冗談はいい加減にしてください。サッちゃんは私の家に連れて行きます!」
芥川「牧田家でみんな一緒に楽しくディナーか・・・好きにすればいいさ。」
マリア「芥川先生もたまには来ませんか?父も喜びますよ。」
マリアの父・牧田は、芥川の昔の相棒である。
芥川「いや。じきに能年君が帰ってくるだろうから、酒とギャンブルは彼と一緒に行くよ。」
マリア「そうですか。分かりました。」
こうしてマリアは幸子を連れて帰宅した。日は完全に沈んだが外はまだ明るかった。あと1時間もすれば名古屋の街も闇に沈む。芥川は窓の外の景色を眺めながら、一人静かに物思いにふけっていた。
霊能探偵・芥川九郎のZファイル(4)【名古屋栄の座敷童子編】