わたしを惑わす蜘蛛
ただ一度の出会いで
わたしは壊された
あなたという存在に
魅せられたの
胸の奥に巣食う
あなたという蜘蛛は
わたしの心臓に潜んで
獲物を狙っている
獲物はわたし
心も体も命も魂も
いつか完全に堕ちるまで
わたしの中に巣食う
決して自らは動かない
それでも
魅せる姿と形で声と視線で
わたしを惑わし虜にするの
想う日々
何も手につかない
泣く日々
ベッドの枕は濡れている
あなたはわたしの中にいるのに
どれほど手を伸ばしても 触れられない
目の前に在るのは幻で
何も手に残らない
ついに我慢が来た
いっそ
手に入らないのならば
わたしを完全に
壊してください
わたしを完全に
食べてください
あなたは初めて
わたしから飛び出して
次の獲物を狙って
どこかへと消えていく
でもね もう安心よ
だってわたしは──
あなたの一部に
なっているのだから
二度と離れない
二度と放さない
わたしを惑わす蜘蛛