魔法探偵・アークライトと王都の鉄仮面(3)【王都の鉄仮面】

第1章 王都の居酒屋

 魔法探偵・アークライトとその友人である暗黒剣士・スミスは、魔王都の居酒屋で夕食を食べながらビールを飲んでいた。リバーサイドの護衛兵から王都の警備隊に大抜擢された、憧れの大先輩との対面を果たしたスミスは嬉しそうに、アークライトに報告していた。
スミス「リバーサイドの英雄であり、今は王都の警備隊で大活躍する大先輩のお話、本当に楽しかったです。」
アークライト「ハハハッ。スミス君がそんなに喜ぶ姿を見ることができて、それだけで、王都まで来た甲斐があったというものだ。」
スミス「ところで、アークライト殿。その先輩から、すごい情報を仕入れてきましたぞ!」
アークライト「すごい情報・・・一体、何を教えてもらったんだい?」
スミス「この王都では今、鉄仮面やマスクで顔を隠し、要人の命を狙う不届きな一味が暗躍しているそうです。」
アークライト「・・・鉄仮面とその一味。」
スミス「東方で数々の事件を解決してきた魔法探偵・アークライト殿がこの事件を解決すれば、その名は王国中に鳴り響くことでしょう。」
アークライト「・・・スミス君。鉄仮面の事件は関わらない方が身のためだよ。」
スミス「・・・アークライト殿。何かあったのですか?」
アークライト「実は、君が留守の間に王都の魔獣博士様が僕を訪ねてきてね。鉄仮面の事件は非常に危険だから、地方の魔法探偵が首を突っ込まない方がよいと忠告されたんだよ。」

第2章 居酒屋からの帰路

 スミスはビールを一口飲んでから言った。
スミス「なんと!王都の魔獣博士様が、都に到着したばかりのアークライト殿に会いに来たのですか?魔法探偵・アークライトの名はすでに、王都まで鳴り響いていたのですな!!」
アークライトは慌ててスミスに言った。
アークライト「スミス君!声が大きいよ。」
スミスは恥ずかしそうに小声で言った。
スミス「すみません。久しぶりにビールを飲んで、すっかり高揚してしまいました。」
アークライト「・・・鉄仮面の噂は、王都の警備兵まで知っているということか。」
 夕食を終えた二人は、宿泊先である魔導師・オズワルドの屋敷へ向かった。久しぶりのビールで少し酔っ払っている二人は、王都の路地をフラフラ歩いていた。
スミス「少し飲みすぎました。日が暮れて真っ暗な大都市の路地裏・・・道に迷ってしまいましたね。」
アークライト「うん。大通りに引き返して、今いる場所がどこなのかを確認した方がいいね。」
スミス「そうですね。引き返した方が逆に、『急がば回れ』でしょうな・・・」
アークライト「スミス君。あれは・・・」

第3章 鉄仮面の逮捕劇

 スミスは、アークライトが指差す方向に目をやった。
スミス「あれは・・・鉄仮面!アークライト殿。どうしますか?向こうはまだ、こちらに気付いていないようです。こっそり逃げれば・・・」
アークライト「いや。王都の警備兵まで知っている悪党だ。逮捕するべきだろう。」
スミス「しかし、ギバラ博士の忠告は・・・」
スミスは躊躇していたが、アークライトの意はすでに決していた。アークライトはバッグから縄を取り出すと、法印を結んで呪文を唱えた。
 シュルルルルルルルルッ・・・・・・!
 アークライトの縄が、まるで狡猾な蛇のように動き出した。縄は鉄仮面の後ろから忍び寄り、あっという間にその両腕ごと胴体を締め上げた。
鉄仮面「なんだこれは!?くそっ!誰だ!!」
スミス「アークライト殿。お見事です!」
アークライト「鉄仮面一人だけだったからうまくいった。これから仲間と合流するつもりだったのか。それとも一仕事終えて、仲間と別れた後なのか・・・」
スミス「まず鉄仮面を外して、顔を確認しましょうか?」
アークライト「いや。深入りしない方がいい。こいつはこのまま、近くにあるリクリュー様のお屋敷に届けよう。」
スミス「リクリュー様・・・枢軸卿閣下のお屋敷が近くにあるのですか?」
アークライト「うん。多分、近くにあるはずだ。」

第4章 リクリュー枢軸卿のお屋敷

 二人はリクリュー枢軸卿のお屋敷を探し出した。
スミス「枢機卿閣下のお屋敷、本当にありましたね。」
アークライト「うん。鉄仮面を引き渡して、さっさと帰ろう。」
二人は屋敷の門番に事情を説明した。しばらくすると、屋敷の筆頭執事が出てきて、二人にお礼を述べた。
筆頭執事「ご苦労さまでございます。主人に代わり、お礼申し上げます。東方の魔法探偵による、王都におけるさっそくのご活躍、まことに見事な手際でございました。」
アークライト「枢機卿閣下の王都における御威光、魔獣学の師であるギバラー博士から聞き及んでおります。どうぞよろしくお伝えください。」
筆頭執事「さようでございましたか。承知いたしました。その旨しかと閣下へお伝えしておきます。まことにお疲れさまでございました。」
 こうして二人はようやく、宿泊先のオズワルドの屋敷へ帰った。
スミス「噂の鉄仮面、簡単に捕縛できましたね。ギバラー博士の忠告は結局、杞憂で終わりましたな。」
アークライト「いや。鉄仮面の逮捕自体よりも、その後の立ち回りが生死を分けかねない難しい問題だった。」
スミス「はぁ。そういうものですか。」

第5章 新たな旅の始まり

 数日後、二人はリクリュー枢軸卿によって王宮に招かれ、魔王陛下との謁見を許された。スミスはもちろん、アークライトも緊張の連続だった。謁見後、二人はそのままオズワルドの屋敷へ帰ってきた。
スミス「謁見だけだったのに、疲労困憊です。私は緊張の余り、死んでしまうかと思いました。」
アークライト「僕も疲れたよ。でも、リクリュー枢軸卿から通行許可証をもらうことができた。これで王国中を旅できるぞ!」
スミス「王都を旅立つ準備ですか?アークライト殿は本当に、せっかちですなぁ。」
アークライト「リクリュー枢軸卿は噂通り、恐ろしい人物のようだ。命が惜しければ、長居は無用だよ。」
スミス「私は死ぬほど緊張していて、そこまで観察する余裕はありませんでした。」
アークライト「王都に陰謀はつきものだ。旅の者が不用意に首を突っ込むと、命に関わる。ギバラー博士の忠告は的を射ていたんだよ。」
スミス「はぁ。私にはそういう難しい政治の話は、よく分かりませんが。」
アークライト「ハハハッ。君はそれでいいんだよ。スミス君のその人柄のおかげで、僕たちは巻き込まれずに済んだのかもしれないね。」
スミス「よく分かりませんが、ありがとうございます。」
アークライト「僕たちの旅の目的は、魔法探偵として事件を解決することではない。それだけの話さ。」
スミス「心得ております!」
スミスはそう言うと、満面の笑みを浮かべた。

魔法探偵・アークライトと王都の鉄仮面(3)【王都の鉄仮面】

魔法探偵・アークライトと王都の鉄仮面(3)【王都の鉄仮面】

「鉄仮面の逮捕自体よりも、その後の立ち回りが生死を分けかねない難しい問題だった。」 王都の居酒屋で夕食を食べながらビールを飲む、魔法探偵・アークライトとその相棒の暗黒剣士・スミス。 魔獣博士・ギバラーから「危険だから首を突っ込むな」と忠告された矢先、なんと帰りの路地裏で鉄仮面を目撃してしまい・・・ 大金星を挙げた魔法探偵の計算高い立ち回りが印象に残る、魔法探偵とその相棒による王都冒険譚、ここに終幕!

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-07-19

CC BY
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  1. 第1章 王都の居酒屋
  2. 第2章 居酒屋からの帰路
  3. 第3章 鉄仮面の逮捕劇
  4. 第4章 リクリュー枢軸卿のお屋敷
  5. 第5章 新たな旅の始まり