魔法探偵・アークライトと王都の鉄仮面(2)【魔獣博士の忠告】
第1章 魔獣博士・ギバラ
魔法探偵・アークライトとその友人である暗黒剣士・スミスは、魔王都にある魔導師・オズワルドの屋敷に到着した。オズワルドはキア辺境伯の旧友である。スミスはさっそく、リバーサイドの護衛兵から王都の警備隊に大抜擢された、憧れの大先輩に会いに行った。アークライトは部屋のベッドに寝転がり、いつの間にかうたた寝をしていた。
ウォルター「アークライト様!お客様がお見えですよ。」
屋敷の執事・ウォルターは部屋のドアをノックをしてから、アークライトに向かってそう声をかけた。
アークライト「・・・お客様・・・誰だろう?」
浅い眠りから目覚めたアークライトは起き上がった。
アークライト「お客って・・・私は今日、王都に入城したばかりなんですが、一体、誰でしょうか?」
ウォルター「魔獣博士・ギバラ様です。客間でお会いください。」
アークライト「魔獣博士・・・」
アークライトが客間に行くと、ギバラ博士が立って窓の外の景色を眺めながら、アークライトを待っていた。
アークライト「魔獣博士・ギバラと聞いて、まさかと思いましたが、やはりあなたでしたか。榊原博士。」
ギバラ「はじめまして。アークライト君。それとも、芥川君と呼ぶべきかな?」
第2章 魔獣博士・榊原
魔獣博士・榊原は、魔界で魔獣を研究するために悪魔と契約した狂気の魔獣研究者である。アークライトの正体は、狂気の霊能探偵・夢野との死闘の末に送還魔法で魔界に落ちた、名古屋の霊能探偵・芥川九郎なのだ。
アークライト「どちらでもかまいませんよ。ギバラ先生。今日は何のご用でしょうか?」
ギバラ「魔界で暮らすこととなった、同じ人間族の先輩として、お話しに来たんですよ。」
アークライト「魔獣を研究するために、ギバラ先生が悪魔と契約したという噂は本当だったんですね。」
ギバラ「それについてはノーコメントです。まだお話することはできません。」
アークライト「私からあなたに質問しても、全てノーコメントと回答されそうですね。」
ギバラ「ハハハッ。そんなことはありませんが・・・とりあえず、私からあなたへ、重要なことだけ伝えておきましょう。あなたが王都に来れば、私たちはいつでも会えますから。」
アークライト「・・・ギバラ先生が取り急ぎ、私に伝えなければならない重要事項ですか。」
ギバラ「アークライト君が魔法探偵として、東方の諸都市でいろいろな事件に首を突っ込んできたこと、王都にいる私の耳にも入っています。」
アークライト「はぁ。お恥ずかしい限りです。」
第3章 ギバラ博士の忠告
執事のウォルターが客間のドアをノックしてから、コーヒーを運んできた。
ウォルター「コーヒーをお持ちしました。」
ギバラ「ありがとう。いただきます。」
アークライト「ウォルターさん。ありがとうございます。」
ウォルターはすぐに退室した。二人は淹れたてのコーヒーを一口すすってから、会話を続けた。
アークライト「ギバラ博士は魔法探偵・アークライトに、忠告しに来たわけですか。」
ギバラ「えぇ。いずれあなたの耳に入りますから、最初に忠告しておきます。王都で暗躍する鉄仮面の事件には、決して首を突っ込んではいけません。」
アークライト「王都の鉄仮面・・・ですか。その人物は王都で一体、何をしているんですか?」
ギバラ「要人の暗殺です。彼は恐ろしい男です。地方の魔法探偵が敵う相手ではありません。そんなことに首を突っ込み、命を危険にさらすことはないでしょう。アークライト君の旅には、ちゃんとした目的があるんですから。」
アークライト「はい。アークライトとしての目的は、辺境の村・リバーサイドを守る新たな魔道士を探すためです。芥川としての目的は・・・」
ギバラ「魔界を調査した上で、人間界へ帰還することでしょう。あなたはすでに、人間界へ戻る方法を知っているはずです。」
アークライト「・・・やはり、禁忌の秘術・異界トンネルの開通ですか。」
第4章 枢軸卿・リクリュー
ギバラは魔界の苦いコーヒーを一口飲んでから、話題を変えて言った。
ギバラ「魔界も人限界と一緒です。まず、誰が本当の権力者であるかを知ることです。」
アークライト「東方の辺境においてはキア辺境伯様です。王都においては魔王様でしょう。」
ギバラ「正解です!さすがです。魔法探偵として、東方で名を馳せただけのことはある。」
アークライト「ギバラ先生。見え透いたお世辞はやめてください。先生はそんな簡単なことを私に教えるために、わざわざここまで来たわけではないでしょう。」
ギバラ「・・・いずれあなたの耳に入るでしょうが、最初に私が教えておきます。魔王様は当然として、王都にはもう一人、絶大な権勢を誇る人物がいます。それが、魔王様の懐刀であるリクリュー枢軸卿です。」
アークライト「リクリュー枢軸卿・・・」
ギバラ「あなたが王都、引いてはこの魔界で何をやろうが自由ですが、私の忠告を頭の片隅に置いておくことです。人間界と違って、魔界にはあなたよりも強力な魔法を使う強者が掃いて捨てるほどいるのですから。」
アークライト「ご忠告、ありがとうございます。ところで、ギバラ先生。魔獣研究は順調に進んでいますか?」
ギバラ「ハハハッ。極めて順調ですよ。魔界に生息する魔獣について、何か質問はありますか?」
ギバラは愉快そうに笑いながら、そう言ってアークライトに質問を促すのだった。
魔法探偵・アークライトと王都の鉄仮面(2)【魔獣博士の忠告】