霊能探偵・芥川九郎のXファイル(79)【魔界滞在記・序章編】
第1章 魔界の荒野
霊能探偵・芥川九郎は、魔界をあてもなくさまよっていた。芥川は琵琶湖畔における狂気の霊能探偵・夢野長政との対決により、彼の送還魔法によって魔界に落とされたのだ。
芥川「送還先が海中でなくてよかった。不幸中の幸いか・・・」
魔界の荒野に投げ出された芥川は、水を求めて歩き回り、ようやく川を見つけたばかりだった。
芥川「川沿いを歩いていけば、しばらく命は持つだろう。問題は食料だけど・・・」
幸い、魔獣にはまだ遭遇していない。遭遇したとしても、体力を温存するために逃げるしかないのだが。
しばらく歩くと、誰かが魔獣と戦っている光景に出くわした。
芥川「何だ、あれは?」
よく見ると、暗黒剣士が大型の魔獣と死闘を繰り広げている。
芥川「魔界に来たばかりだから、もうわけが分からない。暗黒剣士が魔獣に襲われているのか?それとも、暗黒剣士が魔獣を襲っているのかな?」
しばらく様子を見ていた芥川は、ようやく意を決してつぶやいた。
芥川「弱い方に味方しよう。強い方が勝って、こちらに気が付いたら大変なことになる。」
芥川は火炎魔法を唱えた。地獄の業火が魔獣を包み込む。
魔獣「グワァアーーー!!!」
魔獣は炎の中で息絶えた。倒れた魔獣の体はなおも燃え続け、しばらすると燃え尽きて炭になった。
第2章 スミス(暗黒剣士)との出会い
芥川に助けられた暗黒剣士は、頭を下げて礼を述べた。
暗黒剣士「どなたか知りませんが、助かりました。魔導師様ですか?」
芥川「いえ。ただの魔法使いです。通りすがりの魔道士です。あなたは?」
暗黒剣士「私は近くの集落の護衛兵で、スミスと申します。」
芥川「あぁ、そうでしたか。私は・・・旅の魔道士・アークライトと申します。」
スミス(暗黒剣士)「アークライト殿。ぜひ我が集落・リバーサイドへ寄っていってください!あなたのように強力な魔法を使える魔法使いがいなくて、困っていたのです。」
アークライト(芥川)「それではせっかくですので、しばらくリバーサイドで逗留させてください。実は、持ってきた食料と水が底をつき、途方に暮れていたのです。」
スミス(暗黒剣士)「そうですか。それなら私の家へ来てください。一人暮らしで部屋が余っております。」
アークライト(芥川)「かたじけない。お世話になります。」
スミス(暗黒剣士)「さぁ、行きましょう。ご案内いたします。リバーサイドはとても良い集落です。きっと気に入りますよ。」
こうしてアークライト(芥川)はスミス(暗黒剣士)と知り合い、しばらくリバーサイドで過ごすこととなった。
第3章 リバーサイドの魔道士
アークライト(芥川)は、スミス(暗黒剣士)の家の空き部屋をあてがわれた。翌日からさっそく、リバーサイドの魔道士として、スミス(暗黒剣士)と共に集落の護衛をすることとなった。
アークライト(芥川)「スミス殿。集落の敵は魔獣だけですか?」
スミス(暗黒剣士)「はい。ほとんど魔獣の類です。知っての通り、ここは辺境の集落です。他の魔族から忘れ去られた村だと、村民たちは自虐して話しております。」
アークライト(芥川)「そうですか。」
アークライト(芥川)は小声でつぶやいた。
アークライト(芥川)「これは運が良かったのか、悪かったのか。吉と出るか、凶と出るか・・・」
スミス(暗黒剣士)「何か気になることでも?」
アークライト(芥川)「いえ。私などがこの集落で、スミス殿のお世話になってしまって・・・なんだか申し訳なくて、悩んでおりました。」
スミス(暗黒剣士)「悩むことはありませんよ。あなたは私の命の恩人です。先日のような魔獣どもに、我が集落の者が何人も犠牲になってきたのです。あなたがいてくださると心強いし、非常に助かります。」
アークライト(芥川)「そう言っていただけると、とてもうれしいです。ありがとう、スミス殿。」
第4章 リバーサイドの村長
スミス(暗黒剣士)とアークライト(芥川)は、集落周辺をパトロールした。
スミス(暗黒剣士)「今日のパトロールが終了した後に、あなたを村長に紹介する予定です。」
アークライト(芥川)「村長様ですか!?こんな旅の魔道士が村長様に・・・」
スミス(暗黒剣士)「昨日のあなたの活躍はすでに報告済みです。田舎の村長による、形ばかりのお目通しです。そんなに緊張する必要はありませんよ。」
こうしてアークライト(芥川)は、リバーサイドの村長・ミラーと面会することとなった。
スミス(暗黒剣士)「ミラー村長。魔道士殿を連れて参りました。」
ミラー村長「うん。ご苦労さま。旅の魔道士殿。スミス君を助けてくださり、ありがとうございました。」
アークライト(芥川)「ありがたきお言葉。リバーサイドに迎えていただき、心から感謝申し上げます。」
ミラー村長「さすが、魔道士殿。魔法だけでなく、いろいろと修行と研鑽を続けてこられたのでしょう。」
アークライト(芥川)「情けないことに、修行の旅の途中で水と食料が底をつき、川の水を飲みながらここまでやって参りました。」
ミラー村長「すばらしい。それも修行です。しばらくこの村に逗留し、スミス君を助けてやってください。あなたにとっても、それが修行となりましょう。」
アークライト(芥川)「ありがとうございます。」
村長との面会を終え、アークライト(芥川)はスミス(暗黒剣士)の家に戻った。
スミス(暗黒剣士)「さすが魔道士殿だ。完璧な受け答えでした。」
アークライト(芥川)「いえいえ。お恥ずかしい。」
これが芥川の、5年に及ぶ魔界滞在記の始まりであった。なお、私(作者)は異世界物語を長々と執筆するつもりはないので、次回で終了する予定です。
霊能探偵・芥川九郎のXファイル(79)【魔界滞在記・序章編】