霊能探偵・芥川九郎のXファイル(78)【芥川九郎の最期編】

第1章 滋賀県彦根市

 名古屋の霊能探偵・芥川九郎は、友人の牧田と共に彦根へ向かっていた。
芥川「琵琶湖まであと、どれくらいかかるかな?」
牧田「琵琶湖と言っても、ものすごく大きい湖だからね。一概には言えないけど、幸い彦根だから1時間半で行けるよ。余裕を持って、2時間も見とけば大丈夫だ。」
芥川「間に合えばいいけど・・・」
牧田「夢野先生は本当に、巨大な魔界トンネルを開通させてしまったんだね。」
夢野長政は福岡の霊能探偵である。病魔に侵され、死ぬ前に伝説の大魔獣・リヴァイアサンを見たいという夢を実現させるため、各地で魔界トンネルの開通実験を繰り返してきた人物だ。
芥川「滋賀には夏目君がいるから、彼も向かっているはずだ。彼の方が早く着くと思うけど・・・」
夏目半兵衛は滋賀の法術師である。芥川とは松山時代に切磋琢磨した仲だ。
牧田「もし本当にそんな巨大な魔界トンネルが開いていて、おまけに夢野先生が立ちはだかっているなら、夏目先生だけでは手に負えないんじゃないかな?」
芥川「うん。だからできるだけ早く、琵琶湖に行かないと・・・」

第2章 琵琶湖畔

 牧田が運転する車は名古屋高速から名神高速道路へ入り、彦根ICで高速道路を下りた。その後、近江グリーンロード(国道306号)を走り、やがて目的地の琵琶湖畔に到着した。
牧田「意外と早く着いてよかった。」
芥川「夏目君が近くにいるはずだ。」
牧田は最寄りの駐車場に車を停めた。二人は車を降り、琵琶湖の方を見て驚いた。
牧田「本当に巨大な魔界トンネルだ。怪獣・ガジラが出入りできそうな大きさだね。」
芥川「驚いた。あんなに大きな魔界トンネル、見たことないよ。とりあえず、夏目君と合流しよう。」
 芥川と牧田は、夏目が待っている場所へ急いだ。夏目は巨大な魔界トンネルを見ながら、茫然と立ち尽くしていた。
牧田「芥川君!夏目先生があそこにいるよ。」
芥川「夏目君!大丈夫かい?」
夏目は芥川と牧田を見て、微笑んで言った。
夏目「芥川君!来てくれて助かったよ。魔界トンネルを閉じるだけなら僕一人でもできるけど、夢野さんが・・・」
芥川は、夏目が指差した方向を見た。そこには狂気の霊能探偵・夢野が立ちはだかっていた。
夏目「誠心誠意、説得してみたけど、無駄だったよ。」
芥川「分かった。夢野さんの説得は僕がやるから、夏目君は魔界トンネルを閉じてくれ。」
夏目「了解。」

第3章 夢野との対決

 芥川は夢野に話しかけた。
芥川「夢野さん。さすがにこれは、シャレになってないですよ。」
夢野「シャレなんかでこんなこと、できるわけないだろう。」
芥川「申し訳ありませんが、少しの間、大人しくしていてください。」
芥川は夢野に向かって霊丸を発射した。夢野は防御魔法で芥川の霊丸を跳ね返した。
 その時である。
 ズバァアーーーーンッ!!!
 夏目がかなり強力な法術を使ったようだ。魔界トンネルを開通・維持するための条件が崩れたため、トンネルが少しずつ小さくなっていく。
夢野「夏目の仕業か!こしゃくな!!」
芥川「夢野さん!あなたの相手は私ですよ!!」 
芥川は送還魔法を唱えた。夢野の足下に黒い影のような送還ホールが形成され、彼の体は底なし沼に沈むように引きずり込まれていく。
夢野「芥川!人間に向かって送還魔法を・・・正気かっ!?」
芥川「正気を失っているのはあなたの方だ!魔界へ送還してやるから、リヴァイアサンの調査でも何でも、好きなだけやればいい!!」
夢野も送還魔法を唱えた。芥川の足下にも送還ホールが形成され、彼もまた底なし沼に引きずり込まれていく。
夢野「芥川!お前も道連れだ!!」
芥川「くそっ!ハハハッ!!人を呪わば穴二つか・・・」
牧田「芥川君!!!」

第4章 芥川九郎の最期

 魔界トンネルは完全に消滅した。夏目が牧田のところへ駆け寄ってきた。
夏目「牧田さん!大丈夫ですか!!」
牧田「私は大丈夫です。でも、芥川君が・・・」
牧田は涙を流して泣いていた。非能力者の牧田にも、芥川の救出が極めて困難であることは理解できた。
夏目「一体、何があったんですか。」
牧田「芥川君と夢野さんがお互い、送還魔法をかけ合って・・・相討ちです。」
夏目「何てことを・・・」
 夏目は今回の経緯を霊能学会に報告した。牧田は芥川の父・二階堂龍山や叔母・服部夫人、そして関係者に報告した。彼は芥川の事務所を承継し、牧田霊能探偵事務所として活動を継続した。牧田自身に霊能力はないが、芥川のおかげで築くことができた霊能力者との人脈を活用し、怪奇事件を解決した。いつか、伝説の霊能探偵・芥川九郎が戻ってくることを信じて。
 しかし、牧田が現役で活躍している間、芥川が戻ってくることはなかった。

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(78)【芥川九郎の最期編】

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(78)【芥川九郎の最期編】

「芥川!お前も道連れだ!!」 伝説の大魔獣・リヴァイアサンを見るという身勝手な夢のため、琵琶湖畔に超巨大な魔界トンネルを開通した福岡の霊能探偵・夢野。 名古屋の霊能探偵・芥川は、友人・牧田と滋賀の法術師・夏目と共に夢野の暴走を止めようとする。 底なしの闇に引きずり込まれる中、芥川が最期(?)に残した言葉とは・・・ 彼の帰還を信じ続ける牧田の、切なくも熱い友情の物語!

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-07-17

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  1. 第1章 滋賀県彦根市
  2. 第2章 琵琶湖畔
  3. 第3章 夢野との対決
  4. 第4章 芥川九郎の最期