ひょんなこと

ひょんなこと

へいしとじゅうぐんいし・・どちらも軍隊には欠かせない名称である・・。

勢いの良いことは・・長くは続かない・・。

 「徒然草」とは、することがなく退屈なさまを意味する「徒然」と、随筆を意味する「草」を組み合わせたタイトルで、「暇な時に心に浮かんだことを気の向くままに書いた随筆・・然しながら・・言の葉とし・・別に・・随筆のみに限られる必要はない・・。
 
 先ずは、有名な「徒然草」を御存じかな?
 作者は吉田兼好(兼好法師)で、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて活躍した随筆家である兼好は公家として朝廷に仕えた後、出家して俗世を離れ、一歩引いた目線で人類社会を眺める・・。

 で・・この「つれずれ」の意とはうえのごとし・・「くさ」とは彼は随筆家であったから随筆と・・しかし、何もそればかりにこだわる必要もなく・・「文章」との意味でもある・・。

 

 なにせ・・太平洋とはいえ・・あまりに遠く遥か南の・・同じアングロサクソン兄弟であるNew Zealandの・・すぐそばには米軍基地もある・・ミッドウエイ海戦におき・・全空母四隻・重巡・兵士三千余名を失った自軍は、米軍の被害は空母一隻・駆逐艦一隻・兵士参百名にくらぶれば・・あまりにダメージが大きすぎ・・これを境に・・制空権・制海権は米軍に移る事となった・・。
 次々に玉砕・・勿論・・大本営は国民にこのような事態を報じる訳はない・・。
 ・・この物語は・・正にそのアッツ島を舞台にした・・ものである・・。


 仮称「大日本帝国陸軍東部方面第三十三部隊、その実、諜報中野・所属・・の自分は・・どういう訳か・・兵士に混じり・・アッツ島における戦いの毎日にあけくれる事となっている・・。
 
 毎日といったは良いが・・時すでに遅し・・自軍は最早・・玉砕寸前である・・。

 見回したところで・・兵士らしき・・といえば・・自分と従軍医師を残し・・敵の猛攻撃で生じた煙で・・周囲の視界・頗る不良・・少なくとも・・双眼鏡を振り回したところで・・人影らしきものは見えず・・。



 従軍医師「・・どうだ・・具合は?」。
 自分「・・はあ・・攻撃を受け銃弾か何かが・・体を突き抜けていくような・・」
 従軍医師「・・それで・・?」
 自分「つまりその・・一瞬・・カメラのレンズがふさがれたかのよう・・何も見えなく・・」
 従軍医師「・・真っ暗になったというわけだな・・?」
 自分「・・それが・・おかしなことに・・空気が抜けていくような・・ス~と気持ちが良くなり・・」
 従軍医師「・・気持ちが良くなった・・?うん・・より具体的に説明を・・」
 自分「・・その・・地面に張り付くように・・いや・・その涼しさが・・心地よく・・」
 従軍医師「・・それで?・・眠りにつける・・と・・?」
 自分「・・それは・・たまらなく・・心地よく・・楽になりました・・」
 従軍医師「・・う~ん・・一歩手前だな・・?」
 自分「・・一歩とは・・?」
 従軍医師「・・そら・・前進前進するうち・・行進が止まる・・立ち止まるだろう・・?」
 自分「・・いえ・・立ち止まるのではなく・・地が心地よく感じられ・・」
 従軍医師「・・だから・・それだ・・もう少しで・・危ないところだった・・」
 自分「・・はあ?・・危ない・・ということは・・?」
 従軍医師「・・君は・・軍人だろう・・あ~?中野は軍人・姿・精神・では無かったかな・・いや、失礼・・」



 中野は・・軍人であるとは絶対に気づかれぬように・・実際・・よく軍将校から罵倒され・・それでも日本人か?・・などは・・仕方がない事であった・・。



 自分「・・ひょっとし・・本来は・・?」
 従軍医師「・・君は・・肺に穴が開いていた・・つまり・・銃弾が体を突き抜けたんだな・・」
 自分「・・肺に穴?・・しかし・・このように・・現実に・・軍医殿とお話をさせていただいておるわけでありますが・・?」


 従軍医師「・・だから・・一歩手前だった・・ということだ・・」
 



 眠気は既におさまっている。
 

 運よく・・か・・悪くか・・死の直前まで行ったが・・息を吹き返した・・という事なのか・・」


 思わず・・破顔・・。


 悪くか?・・というのは・・自軍は全滅のようであり・・薄っすら見えるのは・・近づいてくる・・。 


 自分「・・軍医殿・・いや・・おかげさまで・・」


 従軍医師「・・当然のはからい・義務に過ぎない・・しかし・・」


 その、しかし・・とは・・。



 従軍医師「・・じゅうぐんいし・・とへいし・・」


 自分「・・うん?」


 従軍医師「君は中野だろう・・まあ・・その実・・へいしともいえるわけであり・・」


 自分「・・うん?」


 従軍医師「・・ああ・・双方とも【し】がつく・・その意味は・・聡明な君なら・・理解できるだろう・・?」




 従軍医師「・・俺も心地よい・・既にな・・心地よき二人・・【し】・・という文字は・・【死】・・という意味にも使われるだろう?・・(笑)」 



 それで・・全ての謎は解けた・・。
 周囲には・・米兵しかおらず・・。



 その頃・・遥か離れた内地では・・ラジオから・・大本営の威勢の良い・・報が・・なされており・・それに皆耳を傾けている・・国民の姿が見られた・・。




 うん? 今の日本国と変わらない・・?



 まあ・・そういっちゃ・・自民・維新・国民・大勢さん・・ご案内・・てな事になっちまうだろ?右翼も・・軍国主義も・・全く変わらない・・というに過ぎず・・そして・・大本営のラジオから流れる声を聞いている・・あの頃の国民と・・全く変わらぬ・・諸君・・。



 いや・・まだ程度が悪い・・諸君がそうさせたのだから・・自分は・・何も語らず・・。



「・・あ・・そう・・?」



 それ洒落か?・・あ・そう・・変換すれば・・何?・・亡霊は死なず?・・成程・・そういう事ね・・【あそう】?・・。
 

  
 という事は・・「徒然」・・ならぬ・・【連れ連れ】なる・・「草」・・つまりは・・「物語」・・ということになるわけ・・(笑)。

ひょんなこと

破竹のような勢いだった快進撃も・・「結局は薬局」・・どころか・・。

ひょんなこと

大東亜戦真っ盛りから・・少し・・ずれてきた・・つれづれぐさならぬ・・ずれずれぐさ・・のような・・お話・・。

  • 小説
  • 掌編
  • ホラー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-07-13

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