霊能探偵・芥川九郎のXファイル(65)【広瀬川宮姉妹の晩餐編】
第1章 守屋愛からの依頼
霊能探偵・芥川九郎は、事務所で友人の牧田と話していた。彼の事務所は中区にあって立地はよいが、古びたビルの一室に過ぎない。
芥川「守屋先生から、広瀬川宮姉妹の接待を頼まれてしまった。どうなることやら・・・」
牧田「広瀬川宮姉妹って、誰なんだい?」
守屋愛は魔法学会から追放された危険な魔術師である。芥川は彼女と過去にいろいろと因縁があるのだが、今はビジネスパートナーとしてお互いに利用し合っている。
芥川「広瀬川宮というのは、いわゆる歴史上の宮家だよ。よって広瀬川宮姉妹は、大昔に存在した宮家の末裔ということだ。」
牧田「すごいじゃないか!宮家の末裔様のご接待か。」
芥川「いや、それが全然すごくないんだよ。彼女たちが本当に、広瀬川宮の末裔かどうか・・・眉唾だ。自称・広瀬川宮姉妹様と呼んでやりたいくらいさ。」
牧田「そうなんだ・・・でも、守屋先生が接待するくらいだから、ただ者ではないんだろう?」
芥川「うん。彼女たちは能力者だ。これも怪しい与太話だけど、広瀬川宮姉妹の家系は、遠い昔に祖先が獣人と交雑したという伝説があるんだ。」
牧田「獣人・・・魔族の類かな?」
芥川「そうそう。いずれにせよ、気位の高い姉妹だよ。」
第2章 スペイン料理店
芥川と牧田は、名古屋市内のとあるスペイン料理店に来ていた。
牧田「いよいよ広瀬川宮姉妹とご対面だね。」
芥川「ハハハッ。そんなに緊張することはないよ。姉の涼子さんは少し高飛車な感じだけど、妹の美和子さんは優しい女性だよ。」
しばらくすると、ゴージャスな姉妹が歩いてきた。噂の広瀬川宮姉妹である。
涼子「芥川先生。ごきげんよう。」
美和子「こんばんは、芥川先生。相変わらずお元気そうですね。」
芥川「こんばんは。お久しぶりです。こちらは私の友人の牧田です。」
牧田「はじめまして。牧田です。よろしくお願いします。」
涼子「牧田さん。こちらこそよろしくお願いします。」
芥川「とりあえず、テーブルに付きましょう。」
店員に案内され、四人はテーブルのイスに座った。
牧田「芥川君は、涼子さんや美和子さんと顔見知りなんだね。」
芥川「うん。直近だと、確かいつぞやの魔獣学会でお会いしましたよね。」
涼子「えぇ。芥川先生は本当に、いろいろな学会に顔を出し、勉強熱心で感心ですわ。」
芥川「いえ。私は下手の横好きで、どの分野も中途半端だと、口の悪い連中に言われているんです。」
美和子「そんな誹謗中傷、気にすることはありませんよ。彼らはきっと、芥川先生のお力を恐れているんです。」
第3章 広瀬川宮姉妹の晩餐
四人がそんな雑談をしていると、スペイン料理が運ばれてきた。まずは前菜、スープである。そして、いよいよメイン料理の大きなロブスターだ。
牧田「芥川君。大きなロブスターだねぇ。」
芥川「うん。こんなに大きなロブスター、見たことないよ。」
美和子「お姉様。おいしそうなロブスターですね。」
涼子「えぇ、本当に。美和子さん。さっそく、いただきましょう。」
そう言うと、涼子は右手でロブスターを鷲掴みして、頭から固い殻ごと食べ始めた。
美和子「いただきます。」
そう言うと、美和子も姉と同じようにロブスターの頭から、固い殻ごと食べ始めた。
バリッ!ガリッ!バリッ!ガリッ!バリッ!ガリッ!
バリッ!ガリッ!バリッ!ガリッ!バリッ!ガリッ!
驚いた牧田が、思わず口を滑らせた。
牧田「殻ごと食べて大丈夫なんですか?」
牧田の問いに、涼子はすました顔で答えた。
涼子「何かを食べるとは、命をいただくことです。そういう感謝の思いがあれば、殻を残すなんてふざけたこと、できないはずです。」
あっけにとられた牧田が、芥川に小声で言った。
牧田「芥川君。どうしよう・・・」
第4章 アナルフィラキシーショック
芥川は適当な嘘をつくことにした。
芥川「実は私たち、アレルギーでロブスターを食べられないんです。食べるとアナルフィラキシーショックで、お尻から血が出てしまいます。」
美和子「そうなんですか。お気の毒ですね。」
涼子「食べ物を粗末にすることはできません。私たちで彼らのロブスターを食べましょう。」
そう言うと、姉は芥川、妹は牧田のロブスターを鷲掴みして、そのまま平らげてしまった。
芥川の適当な嘘でその場を乗り切り、四人で談笑していると、やがてパエリヤが運ばれてきた。
牧田「おいしそうなパエリヤだねぇ。」
芥川「うん。いわゆるシーフードパエリアだね。」
美和子「お姉様。本当においしそうですね。」
涼子「えぇ。美和子さん。さっそく、いただきましょう。」
そう言って涼子はパエリヤを、エビ、ムール貝やアサリを殻ごと食べ始めた。
美和子「いただきます。」
そう言って美和子も姉と同じように、エビ、ムール貝やアサリを固い殻ごと食べている。
第5章 晩餐後のカップラーメン
牧田が、芥川に小声で言った。
牧田「芥川君。どうしよう・・・」
芥川は再度、適当な嘘をついた。
芥川「実は私たち、アレルギーでエビや貝が食べられないんです。食べるとアナルフィラキシーショックで、お尻から・・・」
美和子「そうなんですか。お気の毒ですね。」
涼子「食べ物を粗末にすることはできません。私たちで彼らのパエリヤを食べましょう。」
そう言うと、姉は芥川、妹は牧田のパエリヤを食べ始めた。
ガリッ!ガリッ!ガリッ!ガリッ!ガリッ!ガリッ!
ガリッ!ガリッ!ガリッ!ガリッ!ガリッ!ガリッ!
こうして、スペイン・コース料理は終了した。広瀬川宮姉妹はご機嫌で帰っていったから、接待は成功である。
牧田「なんと言えばいいんだろう・・・なんだか、すごい姉妹だったね。」
芥川「うん。僕もさすがに、彼女たちの食に対するこだわりまでは知らなかった。」
牧田「なんか知らないけど、お腹が空いたね。」
芥川「うん。確かに小腹が空いた。」
牧田「ラーメンでも食べに行くかい?」
芥川「いや。そんな気分にならないなぁ・・・」
牧田「じゃあ、そこのコンビニでカップラーメンでも買っていこうか?」
芥川「うん。そうしよう。」
二人はコンビニでカップラーメンを物色した。とっくに日は暮れて夜中だが、コンビニの店内は昼間のように明るかった。
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