霊能探偵・芥川九郎のXファイル(57)【稲武のデビルベア編】
第1章 スネークヘッド(蛇道)
霊能探偵・芥川九郎は、中区の事務所で友人の牧田と話していた。中区にあると言っても、古びたビルの一室に過ぎないのだが。
芥川「稲武町で熊のような魔獣が出たらしいよ。」
牧田「稲武でかい?異常に大きいツキノワグマじゃないの?稲武の山奥なら熊が出たって不思議ではないからね。」
芥川「いや、魔獣だよ。間違いないらしい。大谷代表がつかんだ情報だ。」
バーニング大谷は新興の能力者団体・スネークヘッド(蛇道)の代表である。彼は既得権益やしがらみで不自由な既存の団体を改革するために、スネークヘッドを立ち上げたのだ。
牧田「大谷さんはまだ名古屋にいるのかい?」
芥川「うん。今回は大谷代表が直々に討伐に行くそうだ。僕たちはそのお供だよ。」
牧田「芥川君はスネークヘッドの名古屋支部長だからね。」
芥川「牧田君も僕とともに入会した、スネークヘッド名古屋支部事務局長じゃないか。ちなみに、能年君にも事務局員として働いてもらうからね。」
能年(鎧)はコクッと1回、小さく頷いた。彼は鎧の妖怪である。芥川の助手として、事務所に住み込みで働いている。彼(鎧)は部屋の片隅にある机のイスに座り、二人の会話をメモしている。
牧田「名古屋支部長、事務局長と言ったって、今は名ばかりだろう?」
芥川「そうだけど、形から入ることも大事だよ。雰囲気が出るだろう?」
第2章 豊田市の稲武地区
スネークヘッド事務局員の能年(鎧)が立ち上がり、コーヒーを淹れる準備を始めた。
芥川「そろそろ代表がお見えになる時間だ。」
牧田「やれやれ。今から稲武へ魔熊退治か。」
しばらくすると、スネークヘッド代表のバーニング大谷がやって来た。
大谷「こんにちは!芥川君、牧田君。今日はよろしくな!」
芥川「こんにちは。こちらこそよろしくお願いします。」
牧田「どうぞ、お掛けください。」
大谷「おう!ありがとう。」
大谷は牧田に勧められたイスに腰掛けた。
能年(鎧)が淹れたてのコーヒーを3人分、ゆっくりと運んできた。
芥川「能年君。ありがとう。」
牧田「いただきます。いつも悪いね。」
大谷「君が能年君か。よろしくな!」
能年(鎧)は大谷代表から声をかけられ、感激しているようだ。
大谷「実は、稲武は初めて行くんだよね。」
牧田「稲武町は平成の大合併で豊田市に編入されたんですよね。正式には、豊田市の稲武地区です。」
芥川「熊のような魔獣、目撃者は誰ですか?」
大谷「地元の猟師だよ。一目で魔獣と分かるくらい、大きくて凶悪だったそうだ。一目散で逃げて、通報したらしい。」
芥川「とりあえず、稲武へ行きましょう。牧田君が車を出します。」
牧田「了解。」
大谷「みんなで行けば心強い。みんな、ありがとう!」
第3章 稲武のデビルベア
こうして、スネークヘッド代表・大谷、名古屋支部長・芥川、それに事務局員・能年を乗せた、事務局長・牧田が運転する車は稲武へ向かった。牧田の車は名古屋市を抜けてからひたすら西進し、猿投グリーンロードの力石ICから飯田街道(国道153号)を北上した。一行は2時間弱で稲武に到着した。
芥川「稲武は広いですよ。どの辺ですか、デビルベアが出没したのは。」
大谷「魔力を探知しながら、行けるところまで車で行こう。」
牧田「分かりました。指示してください。」
車は山道をどんどん進んでいった。しばらくすると大谷が指示を出した。
大谷「この辺から山に入ろうか。」
芥川「そうですね。かなり強い魔力です。近くにいますよ。」
牧田は近くにある広い路肩に停車した。一行は車から降り、最寄りの登山道の入口から登っていった。
しばらくすると、先頭の大谷が立ち止まった。
大谷「あそこにいるぞ!間違いない。すごい魔力だ!」
大谷が指差した方向を見ると、大きな黒い魔獣がゆっくりと歩いていた。
牧田「あんな大きくて凶悪そうな魔獣、どうやって退治するんですか?」
大谷「よし!まずは俺が、結界を張ろう!」
大谷は呪文を唱えた。
大谷「電流爆破デス結界、発動!」
大谷が結界を張った瞬間、デビルベアは一行の存在に気が付いた。
デビルベア「ガルルルッ!!」
第4章 電流爆破デス結界
デビルベアは凶悪な唸り声を上げている。今にも襲いかかってきそうな迫力だ。
芥川「大谷さん。私があいつをビックリさせてやりましょう。」
芥川は持ってきたおもちゃの火薬ピストルを連射した。
パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!
デビルベアは火薬ピストルの音に驚き、後方に走り出した。その数秒後である。
ビリ!ビリ!ビリ!ビリ!ビリ!ズッバァアーーーンッ!!!
大谷の結界に触れたデビルベアは感電し、大爆発が起こった。
大谷「ファイヤァアーーーーッ!!!」
爆発に巻き込まれたデビルベアはバラバラになり、その肉片は白い煙を出しながら灰になってしまった。
牧田「すごい!一体、何が起こったんだ!!」
芥川「デビルベアは、大谷さんの張った電流爆破デス結界に触れたんだよ。大谷さんの結界には高圧電流が流れている。おまけに、触れると大爆発が起こるんだ。」
大谷「魔熊は退治した。さぁ、みんな。帰ろうか!」
山を下りた一行は、再び牧田の車に乗り込んだ。
牧田「せっかく稲武まで来たんですから、観光していきますか?」
芥川「道の駅や温泉がありますよ。久しぶりに五平餅を食べたいなぁ。」
大谷「よし!道の駅で何か食ってから、温泉に入ろう!!」
魔獣を退治した一行は、稲武を満喫して帰路に就いた。途中で日は暮れて、名古屋の街には夜の帳が下りていた。
霊能探偵・芥川九郎のXファイル(57)【稲武のデビルベア編】