霊能探偵・芥川九郎のXファイル(49)【北海道のスフィンクス編】

第1章 LCCの飛行機

 霊能探偵・芥川九郎は、セントレア(中部国際空港)から新千歳空港へ行くLCCの飛行機に乗り、隣の座席に座る友人の牧田と話していた。
芥川「牧田君と、北海道旅行をすることになるとは思わなかったよ。」
牧田「今回は守屋先生からの依頼だから、旅行じゃなくて出張だろう?観光で遊びに行く暇はないと思うよ。」
守屋愛は魔法学会から追放された危険な魔術師である。芥川は過去に彼女といろいろ因縁があるのだが、今はビジネスパートナーとしてお互いに利用し合っている。
芥川「仕事と言ったって、大したことないよ。八田さんの北海道旅行に同行するだけだからね。」
八田硝子は芥川に捕縛された八咫烏で、普段は人間の姿に化けて生活している。芥川は守屋の提案により、彼女の手下の悪鬼・鬼塚と八田をトレードしたという経緯がある。
牧田「八田さんが名古屋の専門学校でICTを勉強しているのは知っていたけど、通信制の大学とのダブルスクールだとは知らなかったよ。すごいねぇ。」
八田「ありがとうございます。」
八田は牧田の隣りの窓側の席に、大人しくちょこんと座っている。

第2章 未来の教育論

 牧田は芥川との会話を続けた。
牧田「でも、守屋先生はなんでまた八田さんを、必修科目ではない体育の単位のために、わざわざ北海道本校でのスクーリングに行かせることにしたんだろう?」
芥川「見聞を広めるためだろう。どうやら守屋先生は本当に、八田さんを自分の秘書として徹底的に教育するつもりらしい。」
牧田「守屋先生は案外、使役する妖怪や魔物を大事にしているんだね。」
芥川「彼女は、自分の利益となりそうな使える妖怪や魔物を、その目的のために育成しているだけだろう。魔術師としては一流だけど、教育者としては三流だよ。」
牧田「守屋先生は、八田さんをICTの専門学校へ通わせた上に、通信制の大学で学ばせて学位を取得させるんだ。どこが三流なんだい?」
芥川「現在、AIが急速に進化している。AIを活用すれば、専門学校や大学で学習できる知識や技術を必要とするタスクは、一瞬で解決・処理されてしまう時代が来るだろう。遠い未来ではなく、近い将来にだよ。」
牧田「芥川君のご高説はごもっともだけど・・・じゃあ、これから僕たちは何を学習・教育したらいいんだろう?」
芥川「技能だよ。太平の世になってから活人剣がもてはやされ、殺人剣が忘れられ、葬られようとしている。しかし、剣は本来、凶器であり、剣術は殺人術。どんな綺麗事やお題目を口にしても、それが真実・・・」
牧田「・・・芥川君。話が途中から、『るろうに剣心』のセリフになってるんだけど・・・」
八田「・・・・・・」

第3章 幌平橋の怪獣

 三人が乗る飛行機が新千歳空港に到着した。三人は空港からJR快速エアポートで札幌へ行き、さっそくホテルにチェックインした。その後、八田と芥川・牧田は夕食まで別行動を取ることになった。ホテルを出た八田は八咫烏の姿に戻り、どこかへ飛んでいった。芥川と牧田は、守屋からのもう一つの依頼のために幌平橋へ向かった。
牧田「八田さん、一人で大丈夫かな?」
芥川「彼女はあれでも伝説の神獣・八咫烏様だよ。何の心配もないさ。今頃、優雅に北海道観光を楽しんでいることだろう。僕たちはその間に、札幌の怪獣退治だ。」
牧田「守屋先生のパトロンからの依頼か・・・守屋先生のパトロンは、本当に全国各地にいるんだね。」
芥川「うん。くやしいけど、顔の広さでは彼女に敵わないよ。」
 二人は幌平橋に着いた。
牧田「どんな怪獣なんだろうね?」
芥川「行けば分かよ。アーチ型の歩道橋で出るらしい。妖気を感じるから、今から歩いていけば遭遇するだろう。鉄パイプも用意してあるから準備万端だ。迷わず行けよ、行けばわかるさ。」
牧田「・・・アントニオ猪木の名言はさておき、君は北海道旅行に鉄パイプを持って来たのかい?」
芥川「預け荷物として持ち込んだんだよ。」
左手に鉄パイプを携えた芥川と、荷物を抱えた牧田は、ゆっくりと幌平橋のアーチ型歩道橋を歩いていった。

第4章 スフィンクスのなぞなぞ

 二人がアーチ型歩道橋を歩いていくと、その中央で怪獣・スフィンクと遭遇した。
牧田「・・・この怪獣は、あの有名なスフィンクス?」
芥川「お前が幌平橋に出没する迷惑な怪獣か?」
スフィンク「朝は4本足、昼は2本足、夕方は3本足。この生き物は何か?」
牧田「芥川君、このなぞなぞの答えは・・・」
芥川は牧田の言葉をさえぎって回答した。
芥川「答えは、謎の宇宙生物だ!なぜならば、そんな生物、地球上に存在しないからだ!!」
牧田「・・・・・・」
スフィンク「愚か者め!」
スフィンクスが芥川に襲いかかってきた。しかし、ここまでは想定の範囲内だ。芥川はスフィンクスの機先を制し、その顔面に鉄パイプを打ち込んだ。
芥川「秘剣芥川流・鉄の電撃閃光斬!!」
 ブゥーーーンッ!バキッ!!!
 芥川のフルスイングした鉄パイプが命中し、スフィンクスは顔面を砕かれた。
スフィンク「ギャアーーーッ!!」
スフィンクは前足で顔を覆いながら、大きな翼で飛び上がった。
芥川「しまった!逃げられるとやっかいだ!!」
 その時である。どこからともなく飛んできた八咫烏が手負いのスフィンクスを3本足でつかみ、そのまま急降下して地面に叩きつけた。
 ズバァーーーンッ!!!
 八咫烏は芥川と牧田を一瞥した後に、スフィンクを捨て置いてどこかへ飛んでいってしまった。
牧田「あれは八田さんか・・・」
芥川「守屋先生も八田さんも、本当にしたたかで抜け目のない人たちだ。八田さんの本当に任務は、僕たちの監視だったんだよ。」
牧田「なるほど。今回の旅行、僕たちは八田さんの保護者のつもりでいたけれど、八田さんの方がお目付け役だったわけか。」
芥川「ハハハッ。、まいったな。大したもんだ。」
芥川は守屋と八田に完全に一本取られ、逆に清々しい気持ちだった。

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(49)【北海道のスフィンクス編】

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(49)【北海道のスフィンクス編】

「答えは、謎の宇宙生物だ!なぜならば、そんな生物、地球上に存在しないからだ!!」 霊能探偵・芥川、今回の出張先は北海道! 魔術師・守屋愛の依頼を受け、向かった札幌の幌平橋で待ち受けていたのはナゾナゾ怪獣・スフィンクスだった。 ナゾナゾを全否定し、やっぱり鉄パイプをフルスイングする芥川・・・ サクッと読めてクスッと笑える、相変わらずお気楽なオカルト(?)バトルコメディ第49弾!

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-06-25

CC BY
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  1. 第1章 LCCの飛行機
  2. 第2章 未来の教育論
  3. 第3章 幌平橋の怪獣
  4. 第4章 スフィンクスのなぞなぞ