☔6月に書いたやつまとめ(2026)

Lily of the valley

僕の部屋においで
テレビも何もない部屋に
何もない僕たちを
ありのままここに置こう
一日の終りを告げる夕日のように
どこまでも純粋に
どこまでも淫らに
どこまでも優しく
落ちていくだけさ

明日雨が降れば
この時間はもう少しだけ長く続く
悲しい味のする吐息
ざらついた手が白い肌の上をすべる
こわくはないんだ
不安もないんだ
ただときどき
泣きそうなくらい苦しくなるだけ

僕の部屋においで
静寂と熱病
それ以外何もない部屋に
あまりに脆い僕たちは
壊れるままにここにいる
夜明けのようなあの涙の光は
どれだけの純粋を
どれだけの願いを
どれだけの未来を
焼き尽くしたんだろう

僕の部屋においで
何もない僕の部屋に
何もない僕たちを
何もないままそこに置こう
一日の終りを告げるあの夕日のように
どこまでも優しく
どこまでも美しく
どこまでも哀しく
落ちていくだけさ

灰皿

黒と白とが並んでいる
混ざり合って灰色になる
価値も意味も大してないな
燃やして吸って 吐いた煙

手に取れば簡単に埋められるから
隙間に耐えられない大人になる
何もない子と 何もないことを
今こそ僕に真実の愛を

カラスが鳴いた 飛んでいった
通り過ぎたサイレン
たぶんどうせあいつのところ
結局みんなに忘れられた

黒と白とが混ざり合って
すべてありふれた灰色になる
価値も意味も大してないな
吸って吐いて 生きて生きて

新しい名前

とがった肩
とがった犬歯で
深く噛む
寡黙な男のペットになりたい
新しい名前をあたしにちょーだい
かわいいなんて言葉の意味も
わからないほど下等になるの
愛なんて言葉の意味も
どうだっていいほどあなたが好きなの
ただ好きって気持ちだけで
いのちをささげるけものになるの

「つがいってなあに?」
「夫婦のことだよ」
「ふうふってなあに?」
「仲のいい男と女のこと」
世界でいちばん
宇宙でいちばん
あなたとあたしは仲がいいでしょ?
あなたと同じになりたくて
冷蔵庫開けて
飲み干しました
苦いお水

同じ女の子でもずいぶん違うのね
ほんとはもっとおおきいほうがよかった?
ろくでもないから見るんじゃないと
あなたに言われた黒い箱
きっとこれは魔法の窓ね
安心して あたし
ここから出たりしないから

この部屋でたばこを吸うあなたは
この世のものとは思えないほどきれいで
それととても切なくて
あたし ただただみとれていたの

とがった肩
とがった犬歯で
深く噛む
言葉以外の声を知りたい
新しい名前をあたしにちょーだい
かわいいなんて言葉の意味も
いらないくらいあなたがほしいの
愛なんて言葉の意味も
どうだっていいほどあなたが好きなの
ただ好きって気持ちだけで
いのちをささげるけものになれるの

トワイライト

日曜日の終わりを感じて
焦って君の身体を柔らかく奪う
橙色に染められた部屋の中で
僕の名前を呼んでくれと願った

終わりが見えたら始まりも見えるから
なんだか少し疲れてしまったんだ
橙色に染められた部屋の中で
笑ったり泣いたり 食べたり飲んだりする
君のくちびるはとても小さかったんだ

誰よりもずるくて
誰よりも無垢だったよ
何よりも無価値で
何よりも大事だったよ
僕よりずっと綺麗で
僕にはあまりにも眩しくて

トワイライト
始まりには必ず終わりがあるから
なんだか少し安心してしまったんだ
トワイライト
終わりがないんだ
この部屋に限っては
橙色に染められた部屋の中に
笑ったり泣いたり 眠ったり着替えたりする
君がまだ あまりにも鮮明に

lost time

見ていたいのに忘れるし
愛したいのに冷めていくし
好きだった 本当に好きだったからこそ
愛し続けることできなかった

焦りとかないのかなこの人
返事だけはいっちょまえだな
心の中で見下していたんだ
だけど笑って だけど脱いで

怖いよ 明日を迎えるのが
怖いよ これから生きていくのが
好きだった 本当に好きだったのに
資格がないだなんて逃げた

見ていたいのに忘れるし
愛したいのに冷めていくし
怖いよ 明日を迎えるのが
怖いよ 生きていける気がしないよ

好きだった 本当に好きだったからこそ
愛し続けることができなかった
好きだった 本当に好きだったからこそ
隣にいる自分が許せなくなった

紙の孤島

あてもなくページをめくる
置いていかれたんだ 思い出に
君がペンを走らせる音を聞いていた
僕は画面に目を落として

「最近流行ってるんだって」
決まって「知らない」と君は言った
君は荒れた孤島にいる
あるいは晴れた草原にいる

はじっこの落書きまで 僕は見なければ
呪いの言葉まで見なければ
でたらめにページをめくる
閉じ込められた気分だ

錠前に銃口を向けて
うち放つのはありったけの花言葉
君は紙の孤島にいる
あるいは晴れ渡る空のかなた

あてもなくページをめくる
置いていかれたんだ 思い出に
隅から隅まで
探さなくては

Imitation rain

朝に起きたことを知らない
7+7は14
それで全部どうでもよくなった
今朝、雨が降ったことを、僕は知らない

黒い画面と偽物の雨
永遠に続く14秒
終わりのないものを僕は知らない
今朝、撃ち落とされた鳥のことを、僕は知らない

手が少し冷たいね
しばらくこのままでいようか
乾ききったものが潤されたら
きっとまた歩き出せるさ

何も分からないまま触れられて
失ったものは取り戻せないさ
乾ききったものが潤されたら
今すぐ僕と走り出すのさ

黒い鳥が雨を浴びてる
飛べない鳥が空を見上げる
乾ききったものが潤されたら
きっと君は走り出すのさ

僕のすべて

ベッドの上 陽光が差し込む中
虚空を見つめる君が小鳥みたい
手紙の届かない終のすみか
それが僕たちのすべて

羽をなくした天使の肩甲骨
ブラジャーのホックは一番奥
震える脚が僕の白杖
何も感じないの 薄情な人ね

麻酔を飲み干すコマーシャル
あなたを包み込む煙はまるで
悪魔のように言われている
何も感じないの 白状すると

聖職者の目を盗んで
獣のような声を出して
今僕らは新たな未来を紡いでいる
ストロベリームーン
見つめていたんだ
少し赤くなった眼で

窓際の鉢植え 陽光が差し込む中
瞳を閉じる君は少女のまま
オイル切れのライター
パンパンのサニタリーボックス
ビールのついでに買ってくるよ

声をなくした人魚の頚動脈
過去を語らないネックレス
のたうつヒレが僕の心臓
痛いだけじゃないんだ このキスは

一度言ったら
二度と交わせない
一回いったら
すぐ中にあげる
おぞましいけど離れがたいんだ
怖いくらい愛してると
言ってしまいそうになるんだ

ベッドの上 陽光が差し込む中
子どもみたいに眠る君はまだあたたかくて
それが僕のすべて
それだけが僕のすべて

☔6月に書いたやつまとめ(2026)

☔6月に書いたやつまとめ(2026)

気になるタイトルがあれば見ていってね。↓ Lily of the valley・灰皿・新しい名前・トワイライト・lost time・紙の孤島・Imitation rain・僕のすべて

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2026-06-24

Copyrighted
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Copyrighted
  1. Lily of the valley
  2. 灰皿
  3. 新しい名前
  4. トワイライト
  5. lost time
  6. 紙の孤島
  7. Imitation rain
  8. 僕のすべて