夏蝶
夏蝶の羽根白かりし森のなか
(紋白蝶)
夏蝶の影 諸精霊の影ひとつ
(黒揚羽)
遠い日の思い出語る小さき蝶
(チャバネセセリ)
茶色なる板に茶色の蛾の止まり
(雀蛾)
茣蓙に座りつ 夏蝶の舞ひ見てをりし
水害に遭って片付けをしていた時、納屋のなかに座って休んでいた時に、少し大きな蝶が目の前に円を描くように飛んで
そして庭のなかに消えていった
その蝶の羽根は青く、その飛ぶ姿をただ茫然と見ていた
心の空白に舞う青い夏蝶
(アオスジアゲハ)
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蝶の姿はいずれも超現実的な姿となって心に刻まれている
それらは感性の知るがままに美しく、不思議な魅力をたたえている
自分の中の別世界のようでもあり、また忘れ難い小さな世界の出来事のようでもある
私にとって、蝶は心の真空ともいうべき虚無感の内を飛んでいる
現れては消えてゆく蝶の姿は、自分が今いるこの世界を振り返ってみるように問いかけている
知る働きと事実は釣り合っている
知る働き以上の事実を知る事はできない
たとえ事実が無限であろうとも、知る働きの範囲内でしか事実を知る事ができない
しかし、稀に知る働き以上の事実を知らされてしまう事があるかもしれない
それは直観的な感性の働きのなせる技なのかもしれない
意識外の自由な直観の働きがあるとするならば、それを自由な蝶の姿と重ねてみる事は間違っているだろうか
夏蝶