霊能探偵・芥川九郎のXファイル(45)【魔人69面相の正体編】

第1章 真理に忍び寄るストーカー

 霊能探偵・芥川九郎は、事務所で友人の牧田と話していた。彼の事務所は中区にあって立地はよいが、古びたビルの一室に過ぎない。
芥川「真理さんが最近、ストーカーされているんだ。」
牧田「なんだって!?それは大変だ。それで彼女はもう、ちゃんと警察に相談したのかい?」
明智真理は、東京の霊能探偵・明智光太郎の娘である。彼女は家出して東京から芥川のところに来た際に、能力者として覚醒した。現在、名古屋で一人暮らしをしている。
芥川「いや。相手は非常に狡猾で、普通の人間には感知できないような奴らしい。」
牧田「普通の人間には・・・悪霊の類かな?真理さんも能力者だから、気付くことができたということか。」
芥川「正確に言うと、悪霊ではないんだけどね。」
牧田「いずれにしても、父親の明智先生が聞いたらさぞかし心配するだろう。もちろん、明智先生にはもう連絡したんだよね?」
芥川「・・・今日、真理さんがここに来るから、一緒に話をしよう。」
 二人がそんな話をしていると、真理が事務所にやって来た。
真理「こんにちは、芥川先生。牧田さんもいらっしゃったんですね。」
芥川「こんにちは。」
牧田「真理さん、こんにちは。ストーカーの話、芥川君から聞いたよ。大変な目に遭いましたね。」
真理「そうなんです。今日はその件でお話があると、芥川先生から連絡があってここに来たんです。」

第2章 ストーカーの正体

 真理は牧田に勧められイスに座った。能年(鎧)がコーヒーを3人分、運んできた。
芥川「能年君、ありがとう。」
牧田「ありがとう。いつも悪いね。」
真理「能年さん、ありがとうございます。いただきます。」
能年は鎧の妖怪である。芥川の助手として、彼の事務所に住み込みで働いている。芥川はコーヒーを一口すすってから、おもむろに口を開いた。
芥川「真理さんにつきまとっていたストーカー、もう捕まえたよ。」
真理「えっ!もう捕まえたんですか?」
牧田「そうだったのか!芥川君も人が悪い。もったいつけないで早く教えてくれよ。」
芥川「鬼塚君!」
芥川が大きな声でそう呼ぶと、奥の部屋のドアが開き、体の大きな鬼塚(鬼)が出てきた。
鬼塚(鬼)「ガルルッ!」
鬼塚は恐ろしい形相の悪鬼である。もともと守屋愛の手下だったがトレードの結果、今は芥川の助手として働いている。ちなみに、守屋愛は魔法学会を追放された危険な魔術師だ。
 芥川は鬼塚(鬼)に指示した。
芥川「奴を連れてきてくれ!」
鬼塚(鬼)「ガルルッ。」
鬼塚(鬼)は奥の部屋から、黒いマントに見を包んだ魔人を引きずり出した。
牧田「芥川君、コレは・・・」
芥川「東京で暗躍する噂の魔物・魔人69面相だよ。」
真理「えっ!なんで魔人69面相が私を・・・」

第3章 魔人69面相の正体

 芥川はコーヒーを一口飲んでから言った。
芥川「まぁ、順に話すよ。」
牧田と真理もコーヒーを一口飲んでから、それぞれうなずいた。
芥川「まず、真理さんからストーカーの相談を受けて、僕は式神に真理さんを監視させたんだ。式神の報告で、ストーカーの正体が魔人69面相だと分かった。それで僕は、真理さんを遠巻きに監視する彼を捕縛した。式神を使ってね。」
牧田と真理は感心して言った。
牧田「芥川君がちゃんと霊能力を使って、事件を解決するとは・・・驚いたなぁ。」
真理「さすがですね、芥川先生。」
芥川「僕は一応、名古屋で活躍する霊能探偵だよ。さて、これでようやく、魔人69面相の正体が判明するね。」
 芥川はおもむろに立ち上がると、あっけにとられている二人の前で破邪の法術を使った。
芥川「東京で暗躍する魔人69面相・・・正体を現せ!」
芥川の法術により、魔人69面相がとうとう、その正体を現した。
牧田「この人は・・・」
真理「・・・お父さん!?」
なんと、魔人69面相の正体は、東京の霊能探偵・明智光太郎だった。
牧田「芥川君。これは一体、どういうことなんだい?」
芥川「東京で起こった一連の魔人69面相事件は、明智先生の自作自演、マッチポンプだったんだよ。」

第4章 明智光太郎の苦悩

 縄を解かれた明智光太郎はイスに座り、茫然としている。芥川は明智に言った。
芥川「確信はありませんでしたが、多分こんなことだろうと思っていました。」
明智「いずれ誰かにこの秘密を暴かれるだろうと思っていたけど・・・やはり君だったか。」
真理「・・・・・・」
牧田「芥川君はいつから、明智先生を疑っていたんだい?」
芥川「東京にも能力者がたくさんいる。少なくとも名古屋より大勢いるんだ。いろいろな能力者がいて、みんなが追っているのに捕まらない。そんなこと普通、ありえないだろう。」
牧田「君は最初から明智先生を疑っていたのか。」
芥川「いや。漠然とした疑問が確信に変わったのは、先日の石焼きビビンバ事件の時だよ。東京の魔物がはるばる名古屋に来て、わざわざ僕の石焼きビビンバだけを盗むなんて、どう考えたっておかしいだろう。」
石焼きビビンバ事件とは、芥川たちが行った焼肉・牛魔王で起こった不可解な事件である。ラストオーダーで注文した石焼きビビンバが、芥川の分だけ魔人69面相に盗まれたのだ。
 牧田は明智を問い質した。
牧田「明智先生、どういうことですか?」
明智「芥川君の言うとおり、東京には能力者が大勢いる。私よりも頭脳明晰な者、強力な法術を使う者・・・そんな連中がいる中で、どうすれば名声を得られるか、私は考えた。」
芥川「その結果が魔人69面相だ。明智先生の自作自演だから事件は無事解決し、誰にも被害は生じない。しかし、犯人の魔人69面相は捕まらない。そんな魔物を相手に活躍する明智先生の人気と名声は、どんどん高まっていく。」
真理「お父さん。なんてことを・・・」
牧田「真理さんを監視していたのは、名古屋で一人暮らしをする娘が心配だったからか。」
芥川「東京に興味はない。このことは誰にも話さないから、親子の話し合いが終わったら、さっさと東京に帰ってくれ。」
芥川にそう言われ、明智親子はとぼとぼと事務所を出ていった。牧田は心配そうに、真理とその父親を見送った。

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(45)【魔人69面相の正体編】

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(45)【魔人69面相の正体編】

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-06-18

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  1. 第1章 真理に忍び寄るストーカー
  2. 第2章 ストーカーの正体
  3. 第3章 魔人69面相の正体
  4. 第4章 明智光太郎の苦悩