雪女

たしか、両親を見送った頃の冬だったと思う
朝、戸口を開けると、薄暗い土間に白い粉雪が音もなく入ってきた
それは、ふわっと僅かな風に乗り、土間の内で白く広がった
まるでそれは生き物のようだった
雪は僅かな時間のなかに、土間の真ん中近くまで来て宙に漂い、ゆっくりと下のコンクリートに落ちていった
私は、私のほかに誰もいなくなった家の内で動くものを見た
白い粉雪が薄暗い土間の内で広がっては消えていった
それは、見知らぬ何かが家の内に入ってきては、私に語りかけたようにも感じられた
戸口から外に出ると、庭は一面の白い雪景色だった

言葉を交わす者もいない、そして長男として跡取りの勤めを果たしたという静けさと、両親のいない寂寥感のなかで白い雪景色を見た
よく、自分の一部が失われたような感じだというのだが、それは愛する者を失った喪失感をよく言い表している




・・・・・・・・・・・・・・・・




ここはどこなの

あなたの美しい時間は終わったの

悲しいでしょ


ふ ふ ・ ・


悲しみを消してあげましょう

さあ・・

行きましょう


もう悲しまなくていいの



あなたは死ぬの



それとも 生きるの



あなたは馬鹿よ



生きるなんて


ふ ふ ・ ・



・ ・



そう・・




・・・・・・・・・・・・




私は、私のほかに誰もいなくなった家の内で動くものを見た
白い粉雪が薄暗い土間の内で広がっては消えていった



雪女は白い雪と共に現れる
あなたはそれでも生きるのと心を確かめる

雪女

雪女

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2026-06-14

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted