雪女
たしか、両親を見送った頃の冬だったと思う
朝、戸口を開けると、薄暗い土間に白い粉雪が音もなく入ってきた
それは、ふわっと僅かな風に乗り、土間の内で白く広がった
まるでそれは生き物のようだった
雪は僅かな時間のなかに、土間の真ん中近くまで来て宙に漂い、ゆっくりと下のコンクリートに落ちていった
私は、私のほかに誰もいなくなった家の内で動くものを見た
白い粉雪が薄暗い土間の内で広がっては消えていった
それは、見知らぬ何かが家の内に入ってきては、私に語りかけたようにも感じられた
戸口から外に出ると、庭は一面の白い雪景色だった
言葉を交わす者もいない、そして長男として跡取りの勤めを果たしたという静けさと、両親のいない寂寥感のなかで白い雪景色を見た
よく、自分の一部が失われたような感じだというのだが、それは愛する者を失った喪失感をよく言い表している
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ここはどこなの
あなたの美しい時間は終わったの
悲しいでしょ
ふ ふ ・ ・
悲しみを消してあげましょう
さあ・・
行きましょう
もう悲しまなくていいの
あなたは死ぬの
それとも 生きるの
あなたは馬鹿よ
生きるなんて
ふ ふ ・ ・
・ ・
そう・・
・・・・・・・・・・・・
私は、私のほかに誰もいなくなった家の内で動くものを見た
白い粉雪が薄暗い土間の内で広がっては消えていった
雪女は白い雪と共に現れる
あなたはそれでも生きるのと心を確かめる
雪女