zoku勇者 マザー2編・27

4人揃って大冒険開始編・2

「ようこそ、トポロ劇場へ、チケット拝見いたします……」
 
もうトンズラブラザーズはいないが、ジャミル達は支配人には
特別に大目に見られているのでチケット代だけ払うとビーナスの
いる楽屋に直行する。
 
「ちわ!」
 
「あら、あなた達……、お久しぶりね……」
 
ビーナスはジャミル達の姿を見ると直ぐに楽屋へ招き入れた。
 
「うわ、綺麗な人だねえ……」
 
「だろ?フォーサイドの一番人気のトップスターだぜ!」
 
ダウドはビーナスと会うのは初めてだが何だかデレデレしている。
 
「あら、新しい子ね……、私はビーナスです、ふふ、まだトップスターと
まではいかないわよ、大げさねえ……」
 
ビーナスはダウドと握手する。ダウドは噴気し、つい……。
 
「わう!」
 
「……!?」
 
いきなり、犬の姿に戻ってしまったのであった……。
 
「あら?あらあらあら、わんこ……?」
 
「わわわわっ!ちょ、失礼しますっ!」
 
ジャミル達は慌ててダウドを抱きかかえると急いで
一旦楽屋を出た……。
 
「どうしたのっ、ダウド、大丈夫!?」
 
アイシャがダウドを心配する……。ダウドは困った様に
口を開いた。
 
「なんかさあ、興奮したら犬に戻っちゃった……、何か
こんなの初めてなんだよね、おかしいなあ~……、待っててね、
今戻るから……、よっ!」
 
ダウドは急いで人間体に戻った。本人にも原因が良く分からん
らしいが。
 
「おいおいおい、勘弁してくれよな、頼むからさあ~……」
 
「そんな事言ったって……、あっ!」
 
「どうしたのさ、本当に……」
 
アルベルトも心配そうにダウドを見る。しかし、本人は……。
 
「オイラの……、ちん○が、大きくなってる……、多分、
原因は、その……」
 
「やだっ!ダウドったらっ!……も、もう知らないからっ!!」
 
「あっ!おいこらっ!だから勝手にどっか行くんじゃねえっての!
おーいっ!!」
 
ジャミルが慌ててアイシャを追掛けて行く。どうやら原因は……、
ビーナスと握手した時、噴気したのが原因らしかった……以前に
トレーシーが心配していた事もやはり間違いではなかったらしい。
 
「えへへ、お、オイラだって男だからね、その……、あーもう!
仕方ないんだよおお!何かもうバランスがねえ、取れなく
なっちゃってええーー!」
 
「……」
 
赤くなっているダウドをジト目で見つつ、アルベルトが
呆れた……。やがてアイシャをとっ捕まえたジャミルが戻り、
4人は再びビーナスのいる楽屋に入った。
 
「大丈夫?さっきのわんちゃんは……?」
 
「あ、ああ、どっかから迷い込んできたらしくって、
……もう家に帰ったみたいだから大丈夫みたいだ……」
 
「そうなの……、私にはそのオールバックヘアの子が
わんちゃんになった様な気がしたんだけれど、気の
せいかしら……?」
 
「あはは!気の所為、気の所為!な、皆!」
 
「あ、……あははは!」
 
「そう……」
 
ジャミルが必死で笑って誤魔化すと、他のメンバーも無理矢理
引き攣った笑顔を見せた……。
 
「ジャミル、ほ、ほら、……ライスボウルさんに頼まれた……」
 
思い出した様にアルベルトがジャミルを突いた。ジャミルも
此処に訪れた目的を漸く思い出す。急いでサインの交渉を
ビーナスにしてみると、ビーナスはオーケーの返事をした。
 
「いいわよ、では、このバナナでいいかしら……、サラサラサラ……、
はい、どうぞ」
 
ビーナスはバナナにサインをするとジャミルにサイン入り
バナナを渡した。
 
「おおっ!ありがとなっ、助かるよー!これで……」
 
「それから、これはおまけ!ちゅっ!」
 
「!?」
 
「!!!」
 
ビーナスがジャミルのほっぺに軽くキスをする。……ぼけっと
見ていたアルベルトとダウドはあんぐり……。そしてアイシャは
……と、言うと……。
 
「……じいい~……」
 
……睨んでいる、モロにジト目でジャミルを睨んでいる……。
 
「えへへへえ~、……お、おまけ……貰っちまったい……、
俺もう、顔洗うのやめようかなあ~……」
 
「何で君ばっかり……、ずるいなあ~……」
 
「そうだよお!ず、ずるいよおおー!ジャミルっ!!」
 
「今夜の私のステージ、是非見て行って頂戴ね!」
 
「……はああああーーいっ!!」
 
デレデレする男共……。そんな光景を凄まじい顔で見ている
アイシャ……。4人は楽屋を後にする。そして……。
 
「……ジャミルのバカっ!アルとダウドのバカっ!!スケベ
スケベスケベっ!!特にジャミルが一番バカっ!!……もう知らないっ!!」
 
膨れ上がっただらしない股間の男共。……ぷうっと餅の様に
頬を膨らませたアイシャに説教される羽目になったので
あった……。そして、暫くアイシャの機嫌は戻らないまま
夜を迎えた。
 
「もうすぐビーナスさんのステージの時間だね、ソロで歌を
聞くのは初めてだから楽しみだね!」
 
「だよおー!」
 
「うんっ!ドキドキよね!」
 
「なあ~!」
 
「……べええー!」
 
「何だよっ!」
 
アイシャはジャミルにだけはまだ悪態をつく……。さっきのおまけに
相当焼きもちを焼いた様であった。
 
「アイシャも落ち着いて、もうすぐステージ始まるよ……」
 
「……分かってるわよう!」
 
アルベルトがアイシャを宥めるが何となくまだ膨れ気味で不満顔。
 
「たくっ!いつまでもしつけー奴だな!」
 
「何よっ!ジャミルがデレデレするから悪いんでしょっ!!」
 
「だから、二人とも……、落ち着きなよ……」
 
「はあ、こればっかりはね、男のサガなんだものね、しょうが
ないよお~……」
 
何時までも収まりそうにないジャミルとアイシャのケンカを
見ながらダウドが一言溢した。やがてステージの幕が上がり、
漸く4人も大人しくなった。
 
「皆さんこんばんは、ビーナスです、今夜は私のソロステージを
見に来て下さって有難う……、幸せな一時を皆さんに少しでも
お届け出来れば……、と、思います……、どうぞ楽しんで行って
下さいね」
 
客席から大歓声が上がる。それを見ていたアイシャは少し
シュンとなるのだった。
 
(……やっぱり悔しいけど……、私なんかとじゃ月とスッポンよね……、
比べても比べ物にならないんだけど……、ジャミルがデレデレ
するのも当り前じゃない……、そんな事分かってるのよ、でも……)
 
ビーナスの歌唱が始まる……。賑やかだったトンズラブラザーズの
ステージのゲストの時とは又一味違う、美麗で静かな歌声で
あった……。
 
「♪オー、ベイビーベイビーベイビー、おれをそんなに
なかせないでくれよん……」
 
「泣きそうです……、もう興奮して……」
 
「……きゃあああ!?」
 
「!!!ジャミルっ、た、大変っ!!」
 
「何だっ!?」
 
突如、舞台袖からぬっと……、覆面を被った変な男が現れ
ビーナスに近づいていく、……しかも男は下を何も履いておらず……、
変態全開であった。客席も突然のパニックに大騒ぎになる。
 
「ビーナスさんを助けよう!」
 
「オイラも行くー!」
 
「よっしゃ!皆行くぞー!危険なお子様達、出動っ!!」
 
「ラジャーー!!」
 
ビーナス救出の為、4人が一斉にステージに駆け上がる……。
 
「ぬへ、ぬへへ……って、何だい、君達はっ!!」
 
「あなた達…!」
 
「此処は俺達に任せろっ!この変態っ!覚悟しやがれっ!!」
 
「軽くしておいてあげるっ!PKファイアーαっ!」
 
「これぐらいならオイラも余裕!あちょおーーっ!!」
 
「少し反省して下さいっ!!……この糞野郎!!」
 
アイシャのPKファイアー、ダウドのパンチ、容赦しない
アルベルトがスーパーエアガンを変態の股間に打ち込む……。
終いにはジャミルのバット攻撃で男はあっという間に伸びて
ステージに倒れた……。客席からはやんややんやと大歓声が
飛んだ。やがて、男は駆けつけた警備員に取り押さえられ、
連行されていった……。
 
「皆、凄いわ……、助けてくれてありがとう……!!」
 
「えへへへ!」
 
「やったわね、皆!」
 
「……うふ、うふふふふ!」
 
「オイラも頑張ったーっ!」
 
突然のアクシデントで混乱はしたが、4人の機転で何事も無く
ステージは無事終了したのであった。皆と力を併せ、悪者を
撃退出来た事で、アイシャもすっかり機嫌が収まっていた。
 
そして、翌日、再び恐竜博物館……。
 
「おーい、おっさーん!消しゴムじゃねえけど、サイン入りバナナ、
貰って来たぞーっ!……ん?」
 
「……」
 
「おっさん、どうしたんだよ、その頭のコブ……、誰かに
やられたのか?」
 
(うるせー、お前らにやられたんだよ……)「いや、ちょっと外出先でね、
派手に転がったんだよ」
 
ライスボウルは力なくジャミル達を見、ぼそっと口を開いた。
 
「そっかー!齢なんだからさ、身体は大事にしてくれよ!」
 
「うるさいなあ……、それより、そのサイン入りバナナ、確かに頂くよ、
ご苦労様だったね」
 
「なあ、これで凄いモン、見せてくれるのかい?」
 
「約束は約束だからね、じゃあこっちにおいで……」
 
「やったーーっ!!」
 
4人が揃って燥ぐ。その正面で……、もう用が済んだらさっさと
出て行ってくれとライスボウルは心で密かに思うのであった。

ライスボウルはとんでもない物が有るという隣の部屋に
4人を案内する。
 
「はい、ここだよ、この下にあるよ」
 
「……下?」
 
「このマンホールの下の奥の奥に、何だかまぶしい光が
見えまして……、ずっと奥まで進んでみたら、ばかでかい
ネズミを発見したんですよ、この私が!あ、決して自慢
してる訳じゃないですよ、私が許可しますので行ってきて
どうぞ」
 
「マンホール、て事は……、下水道か……?」
 
四人は取りあえず、マンホールの下に降りてみる。やっぱりと
言うか、下水道であった。……下水道の中は大量のゴミや汚物で
溢れ返っている……。
 
「此処通るのか……、まーたクセー思いしなきゃなんねんだな……」
 
アルベルトはダウドが逃げ出す前にしっかりと身体を捕まえている。
 
「で、でも……!行かなくちゃ!重要な場所かも知れないものね!」
 
「だな……、仕方ねえ、行くぞ……」
 
「いやだなあ~、ごくん……、何か深そうなんだけど……、
沈んだらどうすんのさ……、……浮き輪ある?」
 
「沈んだら浮かび上がるしかねえだろが、ダウド!」
 
「あうう~……、無茶苦茶だよお~……」
 
アイシャの言葉に頷き、ジャミルが最初に下水に足を踏み入れ、
後の3人も続く……。幸い下水は泳いで行く程でもなかったが、
それでも水の量は多いので歩くのも遅めになってしまう。
 
「畜生、これでとんでもないモンがもしもどうしようもねえ
場所だったら……、ライスボウルの親父、ブン殴ってやる……」
 
それは昨夜もうすでにやった後である。本人達は気づいていないが。
 
「くさいよお~、嫌だよお~、帰りたいよお~……」
 
一番後ろのダウドが泣き言をいうので、更にジャミルは苛苛……。
 
「う、うわ!?」
 
「ダウド、どうしたっ!?」
 
「きゃあ!……ダウドがっ!!」
 
「ち~ん……」
 
アイシャの悲鳴に後ろを向くと……、後ろから悪臭ゴーストに
襲撃され……、ダウドが天使になっていた……。
 
「ジャミルっ!ダウドにうらカンポーをっ!」
 
アルベルトが叫ぶ、しかし……、正面からも敵がどんどん
集まってきて……、そんな暇はあらず戦わねばならなかった。
まだ低LVのダウドをすぐに復活させたところで、すぐに又
やられてしまう危険もある。だからと言って、LVも上げて
貰わないと苦しい処であり……、考え処でもあった。
 
「……水の中じゃ結構私のPSI攻撃も大変……」
 
「一旦、下水から上がろう!ちょっとこれじゃ不利だよ!」
 
「仕方ねえなあっ、たくっ!」
 
ジャミル達は下水から這い上がり地べたに一旦逃げる。敵はどんどん
追い掛けてくる。
 
「うわっ!!」
 
「きゃあああっ!!」
 
「……アイシャっ!!アルっ!!」
 
下水からどうにか上がったものの、敵に追いつかれアイシャと
アルベルトまで倒され天使になってしまった……。うらカンポーも
もう数が無いので、ジャミルは悔しながらも一旦下水道から
撤退するのであった。それぐらいこの場所の敵は強敵だったのである。
 
「おや?もうお帰りですか?どうでした?」
 
「まだ全然先に進んでねーよっ!ちょっくらこれから病院行くんだよ、
又来るから、マンホール閉めないでくれな!」
 
「……あ、そ、又来るんだね……」
 
つくづく物好きなガキだと思いつつ、ライスボウルは走って行く
ジャミルの背中を眺めていた。
 
「うあああああーーー!!この光景って確かムーンサイドでも
同じ様な目に遭った様な気がーーっ!!」
 
ホスピタルへ向かうジャミルをタクシーが狂暴化した怪物、
マッドタクシーが追い掛けてくる。皆で掛れば何て事の
無い敵だが、やはりジャミル一人だときついらしい……。
ホスピタルへ辿り着いた時には……、ジャミル自身ももう
疲れて天使になりそうであった。漸く、仲間を復活させて
貰ったが……。
 
「ふう、どうやら半端じゃない場所らしいね、今度の所は……」
 
「だからこそ、やっぱり重要な場所なんだわっ!頑張りましょう!」
 
「……だと、いいんだけどなあ~、はあ~……、クセーのだけは
もう嫌だ……」
 
「ううう~、オイラももういやだよお~……、って、いつも臭い
おなら自分でしてる癖に……」
 
「うるっせーな!バカダウドっ!!」
 
それぞれが好き勝手ぶつぶつ呟く……。デパートで回復アイテムを
大量に買い込み、いざ、下水道へと再出発。……の、筈だったが……。
 
 
「今度こそ、ちゃんと奥まで行ってくれたかな……、あのガキ共……、!?」
 
「……ぷわあっ!!」
 
下水道の体臭と……汚れで全身真っ黒のジャミルがマンホールから
顔を出した……。
 
「又駄目かい?そんなにきつい?おかしいなあ~、僕、ちゃんと
奥まで行けたんだよ?この僕が、ちゃんと……、なのにねえ~……、
それに怪物なんかぼくが行った時は見当たらなかったけどなあ~
……???」
 
何回も失敗し、仲間が病院送りになり、その度戻って来るジャミルに
ライスボウルが不思議そうに首を傾げた……。
 
「畜生、……こうなりゃヤケだ!何回だって行ってやるさ!
……おっさん、蓋閉めないでくれよ!」
 
「それはいいけど……、ここも閉店時間があるから……、又、明日に
した方がいいんじゃない?もう夜も遅いし……、それに君、臭いよ……」
 
「う、う……」
 
ライスボウルに言われ、ジャミルが慌てて自分の服の臭いを
クンクン嗅いだ。確かに下水の臭いが染みつき、悪臭と化していた……。
 
「分ったよ、今日はもうやめるよ、……でも、明日又来るから
宜しく……、……畜生、クサクサ生活100パーセントだ……」
 
「やっぱり来るんだね、いいよ、何回でも頑張りなよ、マンホールは
開けておくから、じゃあ……」
 
「……」
 
「けど、ぼくにも昔はあんな頃があったんだな……、何事も
諦め無いしつこさ、馬鹿というか……、嫌らしさ……、羨ましいな……、
若さ……、かな……」
 
決して諦めず何度も立ち向かうジャミルのその姿勢が……、
ライスボウルは何となく、羨ましかった。
 
結局、その日はもう無理せず、ホスピタルで倒れた3人を
復活させたのち、ジャミル達はホテルへと足を運んだのである。
 
そして次の日、懲りない4人組は又下水道へと降りて行った。
 
「はあ、今日は大分進んだねえ!オイラのLVも25になったし!」
 
「油断しないでっ、……って!あのさ……」
 
……悪のネズミのスマッシュ!!ダウドにヒット!!
 
「……ち~ん……」
 
「……ダウドォォォォォ……!!この野郎っ!!」
 
「又だわ……、戻りましょ……」
 
「ふんふふ~ん、おっ、バタバタと騒がしい足音がするなあ!」
 
地上ではライスボウルが楽しそうにお茶を飲みながらマンホールの
穴を覗いていた。彼は、ジャミル達の無謀なチャレンジを見学するのが
段々楽しみになって来ていた。やがて、ジャミルがマンホールから
顔を出す。
 
「ご苦労様、みんなもお茶飲むかい?」
 
「そんな暇ねえよ!病院行かなきゃ!」
 
「ご苦労さまです……」
 
ジャミル達はドタドタ又病院へ走って行った。アイシャとアルベルトは
大分下水道の敵に慣れ、倒れなくなった様だが、ダウドはLVが上がっても
あんまり状況が変わらない様であった。
 
「さて、あと何日で彼らは下水道の奥まで辿り着けるのかな?
……う~ん、ワクワクしちゃうなあ!」
 
ライスボウルはふんふん言いながら4人組の下水チャレンジの
観察記録を付けるのだった。

苦戦しながらも、4人はどうにか下水道の更なる奥へと進む事が
出来たのであった。しかし、顔と身体は汚れで真っ黒、加えて
下水の悪臭で臭い、凄まじいエライ姿になっていた。知らない者が
見ればそれこそ浮浪児の集団に間違えられてもおかしくないぐらいに。
 
「ああ~、腹減ったなあ~……」
 
「はい、ジャミルっ、クロワッサンだよお!さっきゴミ箱の中で
見つけたんだ!美味しいよおー!」
 
「……ほお~、……ならお前が味見してみろっつーんだよっ!!」
 
「……なんだよおお!馬鹿ジャミルっ!!」
 
「やめなさいよっ!二人とも!……ぐうう~、あ……」
 
……下水の中で取っ組み合いを始めたジャミダウコンビを注意する
アイシャのお腹が勢いよく鳴った。此方も大分疲れが出てお腹が
空いてきた様だった。
 
「私も……、お腹鳴っちゃった……、ナポリタン食べたいなあ~……」
 
「俺も、ステーキ食いたい……」
 
「すき焼き食べたいよお~……」
 
「……はあ~……」
 
アルベルト以外のメンバーが声を揃え、揃って溜息をついた……。
 
「……」
 
「アル、どうしたんだ?」
 
黙っていたアルベルトが急に動き出す、そして下水から上がると
キョロキョロと辺りを見回す。
 
「あの小部屋、何かが……、匂いが……」
 
「あっ!おいってばっ!」
 
アルベルトはダッシュで小部屋に入って行き、……数分後何かを
抱えて持ってきた。
 
「これ、壊れてるバズーカだけど、直せばまだ使えると思うから……」
 
「そ、そうか……、?」
 
「うふふ、うふ、うふ、うふふ……」
 
壊れたバズーカを抱えているアルベルトが黒い笑みを浮かべ
笑っている……。こいつ、バズーカを直したらツッコミ用で
毎度お馴染、俺がターゲットでBONされるかもしれないと
ジャミルはちょっと脅えてみる……。
 
「あの……、オイラ……、さっきから異様にくすぐったいんだけど……、
顔に何かついてるかい?」
 
「……きゃあああーーっ!!」
 
「うわあああーーっ!!」
 
顔と身体中に……、 ゛あのあれ゛ に集られた悍ましい姿の
ダウドが……。皆一時騒然となり、大パニックになったので
あった……。
 
 
「……もうやだっ!オイラ帰るっ!!」
 
「い、一応、除菌はしたから……、もう大丈夫だと思うんだけど……」
 
そしていつもの如く始まるダウドのいじけと不貞腐れ。
必死でダウドを慰め、対応するアルベルト……。
 
「そうか、じゃあ帰っていいよ、無事探索が済んだらサマーズに
戻ってさ、ストレス解消に又高級レストランにでも行くかなと
思ったけど、残念だな、じゃあな……」
 
「や、やっぱりやめますっ!」
 
「んだよ!帰るって言ったろう!?」
 
(……やっぱり、すぐ食べ物で買収される処は似てるのかな、
……似た者、親友同士というか……)
 
「何だ!?アルっ!!」
 
「別にー?です」
 
「あら……?光よ……、奥の方から……」
 
「ホ、ホントかっ!?」
 
アイシャが言った方向を見ると微かに奥の方から光が漏れている、
4人は漸く下水地獄を抜けられそうであった。
 
「鼠っ!……大きいネズミだよよお!!」
 
光が指す方向に……、確かに巨大なネズミの姿がちらほら
見えた。どうやらこのネズミがライスボウルの言っていた
巨大ネズミらしかった。ネズミは此方を見ていた様な感じ
だったがぱっと姿を消した。
 
「あの、有名な国の……、ハハっ!あうううっ!!」
 
「そ、それ言ったら消されるよっ、ダウドっ!!」
 
禁句発言を口に出しそうになったダウドを慌てて
アルベルトが止めた……。4人は出口までもうひと頑張り
下水を駆け抜ける……。そして、下水道出口近くに
光のオブジェが。オブジェは光を放つと巨大ネズミへと
姿を変えた。
 
…よく来たな、此処は5番目のお前の場所だ……、しかし今は
私の場所だ、奪い返してみるがいい……、奪い返せる物なら……
 
「音の石の場所だったのか……、よしっ!」
 
4人は戦闘態勢を整える。この世界でダウドにとっては初めての
ボス戦だったので……いつも通り……、あっちこっち、おたおた
オロオロしていた。
 
「しっかり頑張ってくれよな、ダウド……」
 
「ま、まあ……、オイラも大分PSI習得したし、大丈夫……、
だと思う、多分……」
 
「多分~……?どうしても語尾が余計なんだよな、おめーはよ……」
 
「だあってええ~……」
 
「油断しないでっ!PKフリーズγ!」
 
ジャミルとダウドに爪攻撃を喰らわそうとする巨大ネズミを
アイシャが率先して止める。巨大ネズミは固まり、動けなく
なってしまった。
 
「わりィなアイシャ!よし、こん畜生、シールド張っておくか!」
 
ジャミルがダメージ軽減用に防御シールドを張り、その間に
アルベルトもペンシルロケットを巨大ネズミに発射。
やがて氷の呪縛から解放された巨大ネズミが再び4人に
鋭い爪を向ける。
 
「……うふふ、脳天ばあ~ん……、はあー、気持ちいいなあ~……」
 
何を考えているのか……、今日は一段とアルベルトが腹黒い……、
様な気がジャミルにはしていた。下水道コース続きでストレスが
また一段と溜まってきていたのかも知れなかったが。
 
「ダウド、一緒にPSI攻撃よ!呼吸を合わせてっ!」
 
「うんっ、オイラだってやる時はやるよ!いこう、アイシャっ!!」
 
「ダブル・PKフリーズっ!!」
 
アイシャとダウドの連携PKフリーズが再び巨大ネズミの身体を
凍り付かせた。珍しくダウドが真面目に戦ってくれているので
取りあえずジャミルも一安心。巨大ネズミを粉砕出来るのも
後わずかだった。
 
「珍しいって何さ!いつもオイラが何もしてないみたいじゃないか!」
 
「うるっさい!とにかく止めっ!!はああーーっ!!
……SMAAAASH!!」
 
「やったわっ!!」
 
シメのジャミルのスマッシュ攻撃ヒットで今回も漸くケリが付いた。
 
4人はハシゴを登り出口へと急ぐ。出口の先はフォーサイドに
ひっそりと佇む普通は誰も訪れる事の出来ない場所。以前に壁に
張り付いていた変な兄さんが高い壁を乗り越えようとしていた
その先であった。
 
「……こんな所に……、それにしても……」
 
ジャミルは近くにぽつんと置いてあった不思議な
金属塊に触れる……。すると頭の中に又記憶が
流れ込んでくる……。
 
「また……、なのか……?、今度は……」
 
 
ねえ、君の名前は……?
 
俺は……
 
そう……、僕は……
 
笑顔で会話を交わす二人の少年、前の記憶で見た雨の中で
一人佇む孤独な冷たい表情の少年が……、今度は笑顔を
向けている……、もう一人の少年に……。
 
 
「…もしかしたら、これは……、この記憶……、いや……」
 
 
「ジャミル、大丈夫……?」
 
「アイシャ、ああ、大丈夫だよ……、又いつもの変な映像だ、
心配ねえよ……」
 
頭の中に流れて来た記憶を振り払おうとジャミルが音の石を
握りしめた。
 
「この場所も、漸く終わりだ……」
 
音の石がマグネットヒルの音の記録をしみ込ませた。
下水で汚れてしまった4人の姿もあっという間に綺麗に
なり傷も癒される。
 
「ねえ、玉手箱があったよお、中からほら、ニンジン!
ほわわわわって湯気が立ってる!」
 
深刻な場面をぶち壊す様に、ダウドが変な物を突然持って来た。
 
「何なんだよっ!訳わかんねーモン見つけてくんなっての!」
 
「これ、ランマ国の秘宝だよお!ランマに黒いウサギの像が
立ち塞がってる変な場所があってさ、絶対通れないんだ、でも、
うさぎごのみニンジンをウサギに使うと通れるらしいんだよ、
ピンククラウドって言う場所!特定の人間を呼ぶ不思議な
場所なんだってさ!」
 
「……特定の人間?もしかしたら、其処もジャミルだけの
場所じゃないのかな……?」
 
「またか?……もしもそうなら……、連続で行く事になるのか、
音の石の場所へ……」
 
「ジャミル……」
 
アイシャがジャミルを心配する。この処、音の場所を訪れる度、
ジャミルが複雑そうな表情をするので……、アイシャも気に
なってきている様であった。
 
「分った、行ってみるか……、そのニンジンを使えば通れるんだろ、
ダウド、ランマまでテレポートで頼む、連れて行ってくれ……」
 
複雑な気持ちを堪え、ジャミルが口を開くとダウドが嬉しそうに
返事を返した。
 
「おっけー!それじゃ行きますよおー!テレポート……」
 
「あっ、ちょ、ちょっと待てっつーんだよっ!!おい、場所がっ!!」
 
……ジャミルが注意する間も無く……、4人はぐるぐる回転しだし、
金属塊にモロごつんと間抜けにぶつかったのであった。

zoku勇者 マザー2編・27

zoku勇者 マザー2編・27

SFC版ロマサガ1 マザー2 クロスオーバー 年齢変更 ジャミル×アイシャ カオス ギャグ 下ネタ

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-06-13

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二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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