霊能探偵・芥川九郎のXファイル(41)【八咫烏編】

第1章 野鳥観察会

 霊能探偵・芥川九郎は、事務所で友人の牧田と話していた。彼の事務所は中区にあって立地はよいが、古びたビルの一室に過ぎない。
芥川「先日、明智真理さんと野鳥観察会に行ってきたんだ。」
牧田「へえー。真理さんは野鳥に興味があるんだ。」
明智真理は東京の霊能探偵・明智光太郎の娘である。先日、東京から家出して芥川のところに来た際に、能力者として覚醒した。彼女は今、名古屋で一人暮らしをしている。
芥川「職場の友人に誘われたのがきっかけらしい。それ以来、野鳥観察会によく参加しているそうだよ。」
牧田「芥川君は野鳥とか興味あるのかい?」
芥川「ないことはないけど・・・誘われれば行く程度の興味だよ。場所が名城公園だと言うから、たまには名古屋の自然を体感しようと思ってね。」
牧田「なるほど、名城公園か。それで、その観察会で妖怪を見つけたんだって?僕は今日、その話を聞きに来たんだよ。」
芥川「正確に言うと、妖怪ではない。八咫烏という神獣の一種だ。でも、どちらかと言えば、妖怪に近い奴だね。」
牧田「その神獣はどこにいるんだい?」
芥川「さっき、コンビニへお使いに行かせた。酎ハイを2〜3本、買ってくるように言ってある。」
牧田「なんだって?八咫烏がコンビニに現れたら、店員やお客さんが驚くだろう。」
芥川「妖怪みたいな奴でね。普段は人間の姿に化けているんだ。名前は八田硝子さん。」

第2章 八咫烏の能力

 二人がそんな話をしていると、八田硝子がコンビニから帰ってきた。
八田「ただいま戻りました。」
芥川「ご苦労さま。八田さん、紹介するよ。彼は僕の友人の牧田君。」
牧田「牧田です。どうぞよろしく。」
八田「はじめまして。よろしくお願いします。」
八田はそう言ってから、コンビニで買ってきたものを芥川に手渡した。
芥川「八田さん。これは酎ハイじゃないよ。Red Energyはエナジードリンクだ。」
八田「申し訳ありません。」
芥川「まぁまぁ、芥川君。間違いは誰にでもあるさ。」
芥川「昨日、フライドチキンを買いに行かせたら、コロッケを買ってきたんだよ。彼女にお使いは頼めないなぁ。」
牧田「そもそも、八咫烏の八田さんを、なんで芥川君が自分の手下みたいに働かせているんだい?」
芥川「僕が野鳥観察会で彼女を発見し、式神を使って捕縛したんだよ。ただのカラスの妖怪だと思ってその場で始末しようとしたら、命乞いをされて・・・まぁ、そんな経緯さ。」
牧田「そうだったんだ・・・」
芥川「八咫烏様は神獣なんだから、何か特殊な能力があるはずだ。予知能力とかないのかい?」
八田「はい。できます。」
芥川「よし。今から名古屋ケイリンに行こう。きっと大儲けできるぞ。」
牧田「・・・・・・」
こうして三人は名古屋ケイリンに行くことになった。

第3章 名古屋ケイリンの結果

 芥川は激怒して絶叫した。
芥川「八田!どういうことだっ!!お前のせいで大損だぁ!!!」
八田「申し訳ありません。」
芥川「まぁまぁ、芥川君。ギャンブルは時の運だよ。」
芥川「八田!お前・・・予知できるって言ったじゃねーか!!」
八田「あのような場所では、愚かな人間たちの邪な欲望が渦巻いておりまして・・・」
芥川「言い訳すんじゃねーよ!おかげで10万円の大損だ!!お前の言うことなんか聞かずに、自分を信じて賭けていたら、少なくとも100万円になっていたはずなんだ!!!」
牧田「・・・・・・」
芥川「お前・・・コンビニで買い間違えたのも競輪で外したのも、わざとだろう!上等だぁ!!お望み通り、今ここでぶっ殺してやる!!!」
牧田「芥川君、やめるんだ!落ち着いてくれ!!」
 その時、珍しいお客が事務所にやって来た。守屋愛が事務所の入口に立っていた。
守屋「こんにちは。なんだか騒々しいわね。何をしているの?」
牧田「守屋愛!・・・」
芥川「守屋先生!?どうも、こんにちは。どうしたんですか、こんなところへ・・・わざわざご足労を。」
守屋愛は、魔法学会を追放された危険な魔術師である。芥川と彼女の間にはいろいろと因縁があるのだが、今はビジネスパートナーとしてお互いに利用し合っている。
守屋「芥川君が八咫烏を捕らえたと聞いたから、様子を見に来たのよ。案の定、翻弄されているようね。」
芥川「翻弄と言いますか・・・まぁ、よくある行き違いみたいなものです。」
牧田「・・・・・・」

第4章 守屋愛の提案:トレード

 芥川は冷静さを取り戻し、イスに座った。牧田と八田、それに守屋もイスに座った。守屋が連れてきた手下の鬼塚(鬼)は、直立不動で立っている。
芥川「見苦しいところを見られてしまって、お恥ずかしい限りです。」
守屋「今日は芥川君に一つ、提案があります。」
芥川「提案・・・なんでしょうか?」
守屋「トレードよ。私の手下の悪鬼と、あなたの八咫烏を交換しましょう。」
芥川「鬼塚君と八田さんを交換・・・」
牧田「守屋さん。一体、何を企んでいるんですか?八咫烏を手に入れて、何をするつもりなんですか?」
守屋「何も企んでなんかいませんよ。無骨な鬼塚よりも、八田さんの方が秘書としていろいろ使えると思ってね。」
芥川「なるほど。守屋先生のご提案、私に異存はありません。八田さん、どうしますか?」
八田「守屋先生のところで働きたいと思います。」
鬼塚(鬼)「ガルルッ。」
守屋「トレード成立ね。」
牧田「・・・・・・」
 こうして守屋は鬼塚(鬼)を残して、八田を連れて帰っていった。
牧田「芥川君。これでよかったのかい?」
芥川「仕方ないさ。人間には相性というものがあるからね。」
鬼塚(鬼)「ガルルッ。」
牧田「鬼塚君は何を食べるんだろう?」
芥川「彼は鬼だからね。もちろん肉だろう。」
鬼塚(鬼)「ガルルッ。」
芥川はおもむろに腕を組むと、深くため息をつき、何やら考え事をしていた。

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(41)【八咫烏編】

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(41)【八咫烏編】

「お前・・・コンビニで買い間違えたのも競輪で外したのも、わざとだろう!上等だぁ!!お望み通り、今ここでぶっ殺してやる!!!」 霊能探偵・芥川が野鳥観察会で捕獲したのは、なんと神獣の「八咫烏」! 人間の姿に化けた彼女(八田硝子)をさっそく、手下として使い始める芥川だったが、お使いを頼めば買い間違え、予知能力を信じて向かった名古屋ケイリンでは大損を喰らうハメに。 激怒する芥川の前に魔術師・守屋愛が現れて、まさかの「トレード」を持ちかけてきた・・・ オカルトと思いきや、相変わらずのお気楽日常コメディ第41弾!

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-06-13

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  1. 第1章 野鳥観察会
  2. 第2章 八咫烏の能力
  3. 第3章 名古屋ケイリンの結果
  4. 第4章 守屋愛の提案:トレード