Rasy Destiny

普通の小説と違い、セリフメインで独自のスタイルで書いているので、そこはご了承ください。

第1話[シャールとネーラ]

宇宙に存在する数ある惑星のひとつ、ゼウスと呼ばれる星がある。
その星に広がる世界は、ライジングと名付けられていた。
その最西端、海に囲まれた場所に、小さな島国が存在していた。

その島の最西端、小高い丘の上にある「風車村」から、物語は始まる。

風車村・入江 夜明け前

水に足をつけながら、木刀で鍛錬する十六歳の少年がいた。その名はシャール・レイ。

シャール・レイ
「やぁ、とぅ、せぃ、はぁっ‼」

風車村で生まれ育ち、村で行われる武術大会に向けて修行に励んでいる。

ネーラ・オーラル
「ふぁぁ……毎朝こんなに早くから頑張るわね」

シャールの幼なじみで、才色兼備な少女だ。

シャール
「よう、ネーラ。毎朝来なくていいのに」

ネーラ
「もうルーティンになっちゃってるのよ。気にしないで」

しばらくして、東の空が淡く染まり、夜がゆっくりと明けてきている。

シャール
「ふぅ……朝の修行はこんなもんか」

ネーラ
「そういえば、武術大会なのにどうして木刀を使ってるの?」

シャール
「木刀は全身を鍛えられるんだ。鍛冶屋のベル爺に頼んで、修行用にとんでもなく重い木刀を作ってもらったんだよ」

ネーラ
「へぇ、そうなんだ。ちょっと貸し――」

ドシャン、と鈍い音を立てて木刀が地面に落ちた。

ネーラ
「おっも‼ こんなの振ってたの?」

シャール
「おう。最初は俺もちょっと重かったけどな。もう慣れたぜ」

ネーラ
「小さい頃から武術大会に出たいって言ってたよね。去年、初出場で初優勝」

シャール
「修行さえすりゃ出られると思ってたからな。十五歳にならなきゃ出られないなんて知らなかったんだ」

ネーラ
「おかげで少年の部とはいえ、優勝できたわけじゃない」

シャール
「今なら大人相手でも勝てる気がするぜ」

ネーラ
「どうかしら。大人たちは毎日、斧や弓で狩りや伐採をしてるんだよ? それだけでも相当な筋力がついてると思うけど」

シャール 「そこは技術でカバーだ。俺は頭は悪いけど、戦いに関しては自信がある。少年の部で優勝して、そのまま大人にも挑んでやるさ」

ネーラ
「それで去年、首根っこつかまれて場外負けだったよね」

シャール
「あれは油断したんだよ。今年は負けねぇ。あと一週間、みっちりやるぞ」

ネーラ
「昼の手伝いに差し支えないようにしてよー」

シャール
「おうよ」

入江を後にし、二人は丘の上の風車村へと戻っていった。

続く

第2話[シャールの母、クリア・レイ]

シャールの母・クリア・レイ
「おはよう、二人とも。朝ごはんできてるから食べていきなさい🥪」

ネーラ
「じゃあ、また後でね👋」

シャール
「おう」

クリア
「毎朝頑張るわね。でも、入江までの道は急なんだから、気をつけなさいよ」

風車村は丘の上にあるが、島の最西端に位置しているため、その先には断崖絶壁と海が広がっていた。
昔は港まで行かずに済むよう、断崖に道が切り開かれ、入江を作って魚などを獲っていたという。
しかし今では港との往来が盛んになり、その道はほとんど使われなくなっていた。

クリア
「いつ崩れてもおかしくないって」

シャール
「大丈夫だろ、下は海だし🌊」

クリア
「そういう問題じゃないのよ」

シャールは母親と二人暮らしだ。父親は仕事で遠くへ行っていると聞かされている。
シャールが四歳くらいの頃からいなくなっているため、父の記憶はあまり残っていない。

それでも、父が残した言葉だけは、今も心に刻まれていた。

『シャール、強くなれ。お前がこの村のみんなを、母さんやネーラを守るんだぞ』

その言葉を胸に、シャールは強くなるための修行を日々欠かさない。

シャール
「父さんにも、強くなった俺を見てもらいてーな😔」

クリア
「そうね……もう結構経つものね。必ず戻るとは言ってたけど」

シャール
「なんかさ、いつも思うんだけど。“必ず戻る”って意味深じゃないか? 仕事で遠出する人のセリフにしては重いっていうか。まるで戦場に行くみたいな」

クリア
「そうね……でも気にしないで。休みの日にも帰ってこない人のことなんて、気にしなくていいのよ」

そしてシャールやネーラは、潮風に吹かれる風車の手入れや整備を、まるで仕事のように手伝っていた。

続く

第3話[ライバル?その名はテリー]

シャール
「終わった~😃」

ネーラ
「今日は風車がよく回ってるから、早く終わったね😃」

その帰り道――

村の少年
「よう、シャール、ネーラ💡」

シャール
「おぅ。テリーも終わりか?」

テリー
「シャール、どうだ? 修行するか?」

シャール
「何言ってんだよ。大会当日まで待っとけよ」

テリー
「今年は負けねーからな」

シャール
「今年も俺が勝つ。大人相手にもな」

ネーラ
「まぁまぁ、まだ一週間も先なんだから」

テリー
「じゃあな👋」

シャール
「じゃあな👋」

ネーラ、
「去年の決勝の相手、テリーだったっけ?」

シャール
「そうだよ。一瞬で俺が勝ったから、覚えてなかったんだろ」

ネーラ
「うん、印象にない。確かに、一瞬で終わったなーって思った覚えがある」

――そして、早くも一週間がたち、武術大会当日を迎えた。

少年の部は、村の十五歳から十八歳の子どもたちで行われる。今年の参加者は六人。
試合は順調に進み、シャールとテリーが勝ち残り、決勝が始まる。

シャール
「やっぱ勝ち上がってきたか🙂」

テリー
「見た感じ、まだまだ本気じゃなさそうだな」

シャール
「俺が目指してるのは大人の部優勝だからな。ぬるすぎて、つまんねーんだ」

テリー
「そう言ってられんのも今のうちだ」

続く

第4話[シャール VS テリー]

審判
「両者、構え! ――始め!!」

サッ――!!

次の瞬間、シャールの姿が弾けるように前へ出る。

ドドッ!!

鋭いステップから放たれたワンツージャブが、一直線にテリーへ突き刺さった。

テリー
「ぐおッ……!?」

まともに受け、テリーの体が大きく揺れる。

シャール
「降参したほうがいいぜ」

テリー
「ふざけるな……! こっちだって血のにじむ修行をしてきたんだ! そう簡単に――」

だが、その言葉が終わるより早く。

シュッ――!!

シャールの姿が消えた。

気づけば、テリーの背後。

シャール
「俺の動きに……ついてこれてないよ」

ネーラ「……決まったね」

次の瞬間。

ドサッ――!!

テリーは膝から崩れ落ち、そのまま倒れ込んだ。

静まり返る会場。

そして――

勝者、シャール。

武術大会少年の部優勝

村の大人たち
「みんな、よくやった!」

シャール
「村長、見てただろ? 俺も大人の部に出させてくれよ」

村長
「うーん……でもなぁ😧」

村の大人
「村長、大丈夫だって。今回も余興としてつまみ出してやるからさ」

村長
「また恥をかくはめになるぞ🫩」

シャール
「去年の俺とは違うんだ😬」

そして大人の部。
十九歳以上で腕に自信のある者だけが参加できる。
大人の部では上位三名に栄誉と賞品が与えられるため、毎年およそ十名ほどが参加していた。


続く

第5話[シャール VS ジョーシン]

審判
「前回の優勝者ジョーシン! そして今年も大人の部に挑戦するシャール! ジョーシンが軽く相手をする。始め!」

ジョーシン
「少年の部で優勝したくらいで、大人に勝てると思うなよ――」

シャール
「遅いな😏」

一瞬でジョーシンの背後に回りんだシャール。しかし繰り出したパンチは、バシッと音を立てて止められる。

ジョーシン
「一度見られた動きは通じないよ。隠し球は、もっと強い相手のために取っておかなくちゃな」

シャール
「これだよ、これ。そう簡単に勝てちゃ、つまんないからな」

ジョーシン
「それにしても、いい動きだ。子どもだから身が軽いんだな」

シャールが懐に潜り込み、鋭いワンツージャブを叩き込む。
だが、その拳はジョーシンにはまるで効いていない。

ジョーシン
「今回は首根っこ、つかませてくれねえのか?」

ネーラ
「シャール、動けてはいるけど……攻撃も動きも通用してない」

シャール
「ふぅ……やっと本気が出せるぜ」

ジョーシン
「ちょっとは楽しませてくれそうだな」

そのとき、ネーラの父・ウェブが声をかけた。

ウェブ
「よう、ネーラ。来てたのか」

ネーラ
「シャール、勝てるかな」

ウェブ
「無理だろうな。実戦経験のないシャールじゃ、どれだけ修行しても“経験”にはかなわない。
大人は狩りで、ときどき猛獣も相手にする。命のやり取りをしてきた重みが違う」

ネーラ
「でも、お父さんは出ないの?」

ウェブ
「上位に入る自信がないからな。ジョーシンも大人の中じゃ若い方だが、あいつの狩りの腕は目を見張る。
それを武術にも活かしている。器用なやつだよ」

――そして。

ドサッ、とシャールが倒れた。

続く

第6話[武術大会閉幕]

ジョーシン
「もう終わりか?」

シャール
「くそっ……全然当たらねぇ。カウンターばっかりだ……!」

ジョーシン
「わかったか? これが経験の差だ。命懸けで狩りをしてきた俺たちは、ただ強くなるためじゃない。
生きるために強くなるんだ。……今回、俺と戦ったことも糧にしろ」

シャール
「まだ負けてねぇ‼」

渾身のタックルを放つ――しかし、あっさりとかわされる。

ゴツン。

頭にゲンコツが落ちた。

シャール
「いってぇ~……!」

ジョーシン
「いい加減にしろ」

そして――大人の部が始まった。

ネーラ
「最後がゲンコツって、どうなのよ😒」

シャール
「まさか本気で勝てないとはな……😟」

村長
「ほれ、言わんこっちゃない。」

シャール
「……経験、か🤔」

武術大会は、今年もジョーシンの優勝で幕を閉じた。
その夜。大会を祝して盛大な宴が開かれた。

村外れの、海を見渡せる風車小屋の上。
月明かりに照らされた羽根が、ゆっくりと軋みながら回っている。

シャール
「はぁ~……」

ネーラ
「こんなところにいたの? ため息なんてついて。ちゃんと食べた? この調子じゃ、大人たちは朝まで騒ぐつもりよ。」

シャール
「たらふく食ったよ。一応、俺も優勝してるからな。宴じゃずっと持ち上げられてさ。『大人の部に殴り込み』の件で、散々いじられたし。」

ネーラ
「ならいいけど……落ち込んでるの?」

シャール
「いーや。たださ……一年修行したけど、そう簡単に強くなれるもんじゃねぇんだなって思ってさ。」

ネーラは、少しだけ懐かしそうに笑った。

ネーラ
「小さい頃から、ずっと修行してたよね。『母さんとネーラを守るんだー』って。」

シャール
「……そうだったな。俺は、守るために強くなろうとしてたんだ。」

ネーラ
「そう。武術大会で勝つためじゃなくてね。」

シャールは、静かにうなずいた。

シャール
「大事なこと、忘れてたな。ありがとな、ネーラ。」

ネーラ
「ううん。ほら、見て。月がきれい。」

夜空には、雲ひとつない満月。

海面に映る月光が、ゆらゆらと揺れている。

シャール
「ほんとだな。潮風も……気持ちいい。」

遠くから聞こえる宴の笑い声。

けれど、この場所だけは静かだった。
こうして夜通し続いた宴も、やがて終わりを迎えた。

翌日は完全な休息日となり、ゆったりとした時間が村を包む。

そしてまた、平穏な日常が戻ってくる。


――続く。

第一章『風車村のシャール』 完

第7話[商人が来ない、何が起きた?]

平穏な毎日を過ごすシャールとネーラは、風車の手入れや掃除、整備をしながら生活していた。

シャール
「俺もそろそろ風車係じゃなくて、狩りに行きたいな。」

ネーラ
「そしたらまた風車係が減っちゃうじゃん。」

シャール
「余ってるだろ? 昼過ぎには終わっちまうくらいだし。」

ネーラ
「そーだけどさー……。」

その日も風車での仕事を終え、帰ろうとしたときだった。
村の入り口で、大人たちが何やら深刻そうに話し合っている。

シャール
「なんかあったの?」

ウェブ
「港町から商人が来るはずなんだが、なかなか来なくてな。朝には着くって連絡があったのに、もう昼過ぎだ。」

ネーラ
「ただ遅れてるだけじゃないの?」

大人たち
「それが、連絡もないんだ。」
「こっちから連絡してもつながらなくてな。」
「だから誰か様子を見に行こうって話してたところだ。」

シャール
「だったら俺が行くよ。ちょうど風車の整備も終わったとこだし。」

ウェブ
「モンスターが出るぞ。」

シャール
「どうせ、でかい蛇とカエルだろ?」

ネーラ
「“でかい”って、大人くらいのも出るらしいじゃない。」

シャール
「それを食料にしてるのは俺たちだろ?」

大人たち
「それは狩りに慣れた大人の仕事だ。シャールにはまだ早い。」

ウェブは腕を組み、二人を見比べた。

ウェブ
「……だが、教えるにはいい機会かもしれんな。二人とも、もう十六だ。」

シャール
「そうこなくっちゃな。」

ネーラ
「私は遠慮する。そういうのは男の仕事でしょ。」

シャール
「びびってんのか? 俺が守ってやるよ。」

ネーラ
「びびってないわよ。」

ウェブ
「ネーラはどうする?」

ネーラ
「父さんも守ってくれる?」

ウェブは小さく笑った。

ウェブ
「当たり前だ。日が暮れる前に戻れば、それほど危険でもない。」

シャール
「やっぱびびってんじゃねーか。」

ネーラ
「うるさい!」

こうしてウェブとその友人ガミガは斧を手に取り、シャールは自作の木刀を握った。

港へ続く街道に出るには、丘を下り、その途中に広がる森を抜けなければならない。
その森こそが、村の狩り場だった。

続く

第8話[忍び寄るなにか]

ネーラ
「いつも修行だって言って、木刀を振り回してるじゃない。」

シャール
「その修行の成果を、モンスター相手に見せてやるぜ。」

ガミガ
「木刀じゃ、とどめは刺せんぞ。生け捕りなんて無理だ。普通の蛇や蛙とは違う。モンスターに属する蛇や蛙だ。さらに猪や熊でも出たら、たまったもんじゃない。」

ウェブ
「カミガは村一番の狩人だ。」

ガミガ
「村の中で一番狩りがうまかっただけだ。勝手に狩人にするなって。」

ウェブ
「でも名誉の傷があるよな。大熊を仕留めたときの。」

ガミガ
「これな。」

服を脱ぐと、背中には大熊の爪で抉られた深い傷跡が走っていた。

シャール
「おおっ、すっげぇ……。」

ネーラ
「痛そう……。いつもお父さんと酔ったときに話してたけど、初めて見た。」

シャール
「よく生きてたな……。」

――ガサガサッ。

突然、脇道の茂みから物音が響いた。

ウェブ
「もうすぐ街道だ。ダッシュで駆け抜けるか?」

ガミガ
「いや、下手に動くな。様子を見ながらゆっくり進め。後ろは俺が見る。」

ウェブを先頭に、街道へ進む。

茂みに潜む何かは、一定の距離を保ちながら姿を見せず追ってくる。

ガミガ
「いったい何者だ……? むやみに襲ってこないところを見ると、知性があるな。」

ウェブ
「どうする?」

ガミガとウェブがアイコンタクトを交わす。

ガミガ
「ウェブ、斧を構えろ!」

ウェブ
「シャールとネーラは街道へ走れ!」

ガミガとウェブは茂みを警戒し続ける。

一方、街道へひた走るシャールとネーラ。

街道の入口が見えた、そのとき――。


続く

Rasy Destiny

制作中

Rasy Destiny

RPG好きが書いた物語。

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 恋愛
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-06-10

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. 第1話[シャールとネーラ]
  2. 第2話[シャールの母、クリア・レイ]
  3. 第3話[ライバル?その名はテリー]
  4. 第4話[シャール VS テリー]
  5. 第5話[シャール VS ジョーシン]
  6. 第6話[武術大会閉幕]
  7. 第7話[商人が来ない、何が起きた?]
  8. 第8話[忍び寄るなにか]