詩
意識
書くことがなくなってきたね
無意識に頼るようになったらおしまいだね
どこまでも意識的でないといけない
過剰に意識を露出させること
そうすることで無意識の領域を掘り出せる
意識的に生きて疲れ果てたときに詩が生まれる
張り詰めた意識が弛緩したときに何かに届く
意識という閉鎖された世界
意識が同じというのだから同じなんだよ
闘争と逃走
性と金と地位
闘争を促してくる
闘争から逃走したいがそうはいかない
闘争に参加しろと圧力がかかる
生きるためには闘わなければいけないらしい
闘争した先に何かを求めるか
逃走した先に何かを求めるか
どちらを選べばいいのだろう
実は闘争も逃走の中に包括されるのだとしたら
いや逃走こそ闘争の一部に過ぎないのだとしたら
闘争しながら逃走しつつ
逃走しながら闘争している
文章と音楽と絵画
音楽と文章はわりと近いところにある
絵画の方が文章から遠い
書き言葉より話し言葉が本流にあるからなのか
言葉はイメージよりリズムに近いのだろう
詩にはリズムがあるのだろうか
今日の時代でも詩が滅びないのはなぜなのか
SNSの時代に詩はどうあり続けるのか
書いて読むことはどう変わっていくのか
私たちの身体は機械社会の中で閉塞され
どうにもならない状況を嘆く気にもならなくなった
今の時代でも詩はリズムを求めているだろうか
平常運転
サブカルチャーと芸術のごった煮
滅茶苦茶な時代に生まれて生きてきた
何もかもが相対化されてしまった
すべてが同じ俎上に乗せられてしまった
オフィスビルや農場より工場に本質があるように思えた
過剰なエネルギー消費はまだ促進するらしい
もう思考は破裂しそうなのだ
精神なんて言葉は時代遅れだ
無慈悲に進んで拡張していく
誰にも止められないという諦念と
もっとアクセルを踏んで速度を上げたいという欲望と
ゲーム音楽を聞きながら
どれだけ衒学ぶっても
どれだけ芸術ぶっても
文学や哲学を論じてみても
自分は本来そんなものとは無縁だった
何かの拍子で衝突してしまった
わけもわからず本を読んでしまった
ゲームをずっとしていた方が幸せだっただろうか
それとももっと冴えない人生を生きていただろうか
傷が大きく開いたときに文学への道が開かれてしまった
とんだ災難だった
ゲームの音楽はやっぱり気楽でいい
クビになりました
もう落ち着いてきた
今の会社もクビになって期間はあと少し
周囲からきもがられて追い出される
失敗すると楽になる
肩の荷が降りた気がする
やっぱりこの道は向いていなかった
だったらどうするのか
気負いがなくなっていく
生きるための張り合いがなくなっていく
これまでの努力はなんだったのだろう
私はたった一人の人間にすぎないけれど
それでも何か普遍的なものとつながっていたい
自分の空虚な人生でも大きな流れと合流できるかもしれない
いい加減なことを言う
どんどんまずい状況に追い込まれているのに
なぜか心は晴れやかになっていく
重い荷を降ろすことができたと思っている
心身が長年の疲れから解放されたがっている
もういやだ、いやだ、寝ていたい
横になってごろごろしたい
本来どうしようもない自堕落な人間だった
怠惰という情念についてまだ誰も考えていない
怠惰という謎を誰も解き明かしていない
宇宙の果てでもなく生命の誕生でもない
壮大な物語でも哲学の思索でもない
だらけているときの感情に潜むとてつもない神秘
治癒の段階
書くことが思い浮かばなくなってきた
それは治癒されてきたとも言える
私はそろそろ外の世界に向けて行動するべきなのか
ようやく自分の内面が整理されたのだろうか
これから前を向いて生きていけるだろうか
しかしそれも幻想だろうか
結局また元の木阿弥に戻るだけなのか
また澱んだ情念の沼に足元を巣食われるのか
またまた日曜の夜
また明日がやってくる
なんであそこにいるのか
あそこで何をやっているのか
また職場を変えて次は何をするのか
そもそも次があるのか
俺にそんな余裕が残されているのか
人生の指針も基軸もなくなっていく
迷妄した中年の泣き言
狂気が深まるほどに
世界を冷めた目で眺めるようになる
疲れた夜に
傷のなめあいがしたい
お互いがんばったねとか
苦しんだねとか
うざったいもたれあいをしたい
いちゃいちゃしたい
お互いの疲労を重ね合いたい
きっと彼方へと届くから
人と人の間に何があるのか誰も知らない
苦しみや痛みを共有したいのだができない
そうしてまた表現崩れのはりぼてができあがる
誰もがいつまでも孤独の中にあるらしい
誰にも心を開いてこなかったことを誰もが知る
どうしてわかってくれないのか
どうして離れていくのか
狂気と冷気はいつでも重ね合わせ
怒り狂っている人が時折見せる冷たい眼差し
どんなときでも理性は捨てきれない
詩