霊能探偵・芥川九郎のXファイル(38)【胡蝶の夢編】

第1章 鳥居仁菜

 霊能探偵・芥川九郎は一人で、大須商店街を特に目的もなく歩いていた。彼が目的もなく外出するのは珍しいことだった。
芥川「僕は、何でこんなところを歩いているんだろう?」
芥川はそうつぶやいた。もしかすると、最初は何か目的があって外に出たのかもしれない。しかし、今は何も思い出せないのだから、目的の有無など大した意味はない。
芥川「今日の大須商店街は・・・」
いつもの大須商店街だった。しかし、芥川は言いようのない違和感を感じていた。その時である。一人の女性が彼に駆け寄ってきた。
女性「あなた!芥川君ね。」
突然のことに芥川は驚き、その女性に向かって言った。
芥川「・・・そうですが、何か?あなたは誰ですか?」
女性「突然、ごめんなさい。私の名前は鳥居仁菜。あなたを探していたの。」
芥川「鳥居さん・・・私に一体、何の用ですか?」
鳥居「あそこのビルにカフェがあるから、そこで話しましょう。急いで!早くしないとエージェントに見つかるわ。」
芥川「えっ!?あっ、はい・・・エージェント?」
芥川は鳥居に連れられて、古びたビルまで走っていった。ビルの中にはレトロな雰囲気のカフェがあった。

第2章 森井杏奈

 鳥居に連れられてそのままカフェに入った芥川は、彼女からもう一人の女性を紹介された。
鳥居「森井さん。彼を連れてきました。芥川君。彼女が私たちのリーダー・森井杏奈です。」
森井「こんにちは、芥川君。私たちは君を探していた。」
芥川「はぁ、どうも。一体、何の用ですか?」
森井「君はずっと以前から感じていたはずだ。この世界はもしかしたら夢なのではないかと。」
芥川「・・・胡蝶の夢の話ですか?」
鳥居「違うわ、芥川君。現実から目をそらさないで!」
芥川「・・・・・・」
森井「この世界は、コンピュータによって作られた仮想現実だ。」
鳥居「このサトリックスの世界から抜け出して、一緒に戦いましょう!」
芥川「サトリックスって・・・何ですか?」
森井「昔、サトシ・マツモトという天才エンジニアが、ブラックチェーン技術を開発した。サトリックスの根幹は、この技術によって構築されている。」
その時である。突然、重武装の部隊がカフェに乱入してきた。森井、鳥居、そして芥川は、銃を構える部隊に包囲されてしまった。

第3章 エージェント・清水

 部隊に取り囲まれた三人のところへ、黒いスーツの男がゆっくり歩いてきた。
男性「森井と鳥居、お前たちの悪行もここまでだ。全員逮捕する。そこの君、芥川君だね。」
芥川「はい。芥川です。」
男性「私はエージェント・清水です。このサトリックスで、みんなが平穏に生きていくために働いています。彼女たちに騙されてはいけません。」
森井「芥川君。騙されてはいけない。サトリックスは仮想現実だ。」
鳥居「そうよ。芥川君。サトリックスに支配される仮想現実よりも、現実の世界で生きるべきよ!」
芥川「そうか・・・分かったぞ。」
清水「芥川君。ご理解いただけましたか。」
森井「芥川君。エージェントに騙されてはいけない。目を覚ますんだ!」
鳥居「芥川君。目を覚まして!」
芥川「これは全部、夢だ・・・妖魔の見せる夢の中だ!」
芥川は絶叫した。
芥川「稲見!この夢を操る妖魔を退治しろ!!」
稲見陽子は、妖狐が人間の姿に化けた女性である。東三河の霊能探偵・神谷寛志により、その使者として使役されている。
妖魔「ギャアーーー!!!」
妖狐の姿に戻った稲見は、芥川の夢を操っていた妖魔を切り裂いた。

第4章 胡蝶の夢

 芥川は夢から覚めた。彼は事務所で居眠りをしていたのだ。そこには友人の牧田がいた。
牧田「芥川君。お目覚めかい?君がイスに座ったまま居眠りしていたから、起きるのを待っていたんだよ。」
芥川「あぁ、牧田君か。こんにちは。あれ?稲見さんはどこへ行ったんだろう。」
牧田「稲見さんって・・・あの妖狐の稲見さんかい?稲見さんはいないよ。彼女は今日、ここに来る予定なのかい?」
芥川「いや。そんな予定はなかったね。彼女がここにいるはずはない。全部、夢だったのか・・・」
牧田「一体、どんな夢を見ていたんだい?」
芥川「サトリックス・・・あと、夢を操る妖魔・・・」
牧田「サトリックスって一体、何のことだい?夢の中に妖魔が出てきたのかい?」
芥川「ハハハッ。つまらない夢の話はもうやめよう。コーヒーでも飲もうかな。」
牧田「能年君が淹れてくれたコーヒーが残っているよ。」
芥川「じゃあ、それをいただこう。」
能年は鎧の妖怪である。芥川の助手として、彼の事務所に住み込みで働いている。能年(鎧)はコーヒーを入れて芥川に手渡した。
芥川「能年君。ありがとう。」
芥川は熱いコーヒーを一口飲み、ようやく夢から覚めた心地がした。

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(38)【胡蝶の夢編】

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(38)【胡蝶の夢編】

「この世界は、コンピュータによって作られた仮想現実だ。」 目的もなく大須商店街を歩いていた霊能探偵・芥川は、言いようのない違和感に包まれていた。 そんな彼の前に現れた謎の女性たちは、驚くべき真実を告げる・・・ 私たちが生きるこの世界は、仮想現実「サトリックス」であると。 突如乱入する重武装部隊と、黒スーツのエージェント。 「現実の世界へ戻ろう」と迫る女性たちと、「平穏な世界を守る」と語るエージェント。 危機に直面した芥川が、混乱の果てに導き出した驚愕の答えとは!? 某SF名作を彷彿とさせる緊迫の仮想現実バトルと思いきや、いつものお気楽オカルトコメディ第38弾!

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-06-05

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  1. 第1章 鳥居仁菜
  2. 第2章 森井杏奈
  3. 第3章 エージェント・清水
  4. 第4章 胡蝶の夢