日が傾き始める頃

日が傾き始める頃

建物は幾つも・・そんな住宅街に・・人影を見ることは無いが・・。

一日の中で・・誰もが一息をつく頃。訪れたものたち・・Seriesその一。

 引っ越しをしてきたのは都会ではない、古都で有名な町だった。
 しかし、住んで見れば同じようなモノ。
 陽が出、夕刻には沈む。何事もない・・という形容の表現。
 まあ、中級の住宅街なのだが、不思議な事に年寄りばかりで・・幼い子供の姿を見かける事がないという・・まるで、或る意味ゴーストタウン。
 若い男女の姿も見えず・・そんな事が半年も続いた或る日の事。

 「こんにちは・・」
 如何にも小学校低学年と思われる女の子の声がし・・「こんにちは」と振り返ってみる。
 学校帰りの少女の少し後を・・おそらく友達なのだろう・・。
 兎に角・・珍しい・・そう思い・・それから何か月が過ぎたが同じような子供の姿を見かけることは無かった。

 全国あちこちの街を知っているが・・珍しい。
 中規模の家が居並ぶ・・子供はいないのかも知れない。
 働いて手にした住宅から、きっと、子供達が自立をしていく内にこんな事になったのだろう。

 人影だけではなくTVの音や音楽が聞こえる事もない。
 ところが、車だけは何台も・・至る所に路上駐車をしているという・・都会では信じられない光景。
  
  
 門に設置してあるモニターのチャイムが鳴った。
 部屋のモニター画面に映っているのは・・小学校低学年の少女。
 しかし・・それもおかしい。
 見も知らぬ子どもが私を訪れてくるというのも・・何か奇妙。
 

 その子の家が何処にあるのかはわからないが・・一週間に一度・・モニターに映る・・それが習慣のようになった。
 その少女との関係は未だに続いているが・・親の姿を見ることは無いし・・かと言って子供がいればぴゃもいるのだろうが・・。
 家の中は散らかっているから子供が中に入ることは無い。二人で近所の児童公園まで歩いていく。近くに児童公園はいくつもある・・のだが・・子供が遊んでいる光景を見ることは無い。まったくおかしな住宅街・・そのくせかなりの家が立ち並んでいるのだから・・住民はいるに違いない・・その住民の姿を見かける・・いや、滅多にない・・。
 
 
 不思議な事に、その少女は・・何故か私の家が気に入ったのか・・日を置いては来ている。そして・・少女と何をするのでも無しあたりの景色を見ながら歩きながら話をしたりする。
 私には・・とても楽しい時間であり・・少女といる時は他の事をは忘れてしまうくらい。
 私は、時々北京からMoscowまで行くことがある。モスクワの街は賑やかだ。そして・・少女にあげようと小さなたわいもない土産を買ってくるようになった。
  
 
 短い期間だったが・・少女とどんなふうにして遊んだ等という事も・・私が記録する間もなく・・少女とのお別れがやってきた。
 何をして遊んだのかなど・・どうでも良い事に過ぎない。
 楽しかった事だけは確実に・・記憶に残っている。

 写真は撮らない。
 写真ではなく・・記憶に残すことにしていた。

 私のところを訪問してくるのは・・他にもいる。

 遥かに遠い・・空間からやってくる。

 言葉は交わさないが・・意思は十分通ずる。

 

 ある時・・彼は私にこう言った。
「・・他にも・・来ていいかい・・?」
 勿論・・頷きながら・・その日が楽しみになってきた・・。
 
 

日が傾き始める頃

私には奇妙な変異をする星が見える・・おかしな動き方をする・・人類のつくったものではない・・おそらくは・・不規則に瞬間移動する・・その速度は・・人類では測定できないだろう。

日が傾き始める頃

宇宙空間は・・恐ろしく広い・・そして・・天体の写真なら兎も角・・人類が知りえる事など・・先ずないだろう・・。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-06-04

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