霊能探偵・芥川九郎のXファイル(36)【明智光太郎編】

第1章 フランス料理店

 霊能探偵・芥川九郎は友人の牧田と一緒に、明智真理と鬼塚(鬼)を連れてフランス料理店に来ていた。真理は、東京の霊能探偵・明智光太郎の娘である。彼女は父親とケンカして家出中の身だ。
牧田「今回も、フランス料理をおごってもらえるんだね。」
芥川「うん。鬼塚君を預かるお礼として、守屋先生がおごってくれることになったんだ。前にも言ったけど、このお店のオーナーは守屋先生のパトロンの一人だ。」
鬼塚は、魔術師・守屋愛の手下で、恐ろしい形相の悪鬼である。守屋愛は魔法学会から追放された危険な魔術師だ。芥川は過去に彼女といろいろあったが、今はビジネスパートナーとしてお互いに利用し合っている。
真理「私までごちそうになってしまって、いいんでしょうか・・・」
芥川「心配ないよ。守屋先生とお店には事前に連絡したからね。」
 しばらくすると料理が運ばれてきた。4人はコース料理を堪能した。
真理「すごくおいしいです!」
牧田「おしいいね。」
芥川「うん。おいしい。」
鬼塚(鬼)「ガルルッ。」
その時、一人の男性がお店に入ってきた。男は真理に話しかけた。
男性「真理!こんなところにいたのか。」
真理「お父さん!?」

第2章 明智(父)の言い分

 真理は驚きのあまり絶句した。
真理「どうしてお父さんがここに・・・」
芥川「僕が明智先生にも、事前に連絡しておいたんだ。」
明智「芥川先生。ご連絡ありがとうございました。真理、東京に帰るぞ。芥川先生。本当に、ご迷惑をおかけしました。」
真理「いやだ・・・帰りたくない!」
牧田「芥川君。どうするんだい。」
芥川「明智先生。そんなに急いで帰らなくてもいいじゃないですか。まぁ、お座りください。」
明智「・・・そうですね。」
 明智は、空いていた芥川の真向かいの席に座った。
芥川「明智先生にご連絡差し上げたのは、裁判のためです。」
明智「裁判・・・?」
芥川「では、開廷しましょう。事情は真理さんからお聞きしました。あなたは真理さんに、再就職しないなら、大学か専門学校で勉強しろとおっしゃったそうですね。」
明智「はい。お恥ずかしい話です。娘はせっかく就職した会社を退職し・・・」
芥川は明智の話を遮って言った。
芥川「だまらっしゃい!真理さんは19歳で、立派な成人です。あなたにそんなことを、偉そうに一々指図されるいわれはない。」
明智「えっ?芥川先生・・・私は真理の父親なんですよ!」
芥川「そんなことは関係ない!」
真理「・・・・・・」

第3章 芥川の判決

 芥川が突然、おかしなことを言い始めたので明智は席を立った。
明智「芥川君。私は君のわけの分からない説教を聞くために、東京から名古屋まで来たわけじゃないんだよ。」
芥川「・・・・・・」
明智は真理の手を引っ張った。
明智「さぁ、真理。東京に帰るぞ。」
真理「・・・芥川さん。」
芥川は激高して叫んだ。
芥川「東京、東京、東京・・・調子に乗ってんじゃねーぞ!このクソ野郎!!ここは名古屋だ!!!」
芥川はイスから立ち上がり、明智の上半身をテーブルの上に組み伏せた。
芥川「鬼塚!そこのナイフでこいつの指を切断しろ!!これが俺の判決だ!!!」
鬼塚(鬼)「ガルルッ!」
鬼塚(鬼)はテーブルマナー通り、一番外側のナイフを手に取った。
 真理は慌てて立ち上がり、芥川と鬼塚(鬼)を止めに入った。
真理「芥川さん!何やってるんですか!!やめてください!!!」
芥川「うるさいっ!すっこんでろ!!俺はこういう人間だ!!!」
鬼塚(鬼)「ガルルッ!」
明智「誰かっ!助けてくれ!!」
芥川「ハハハッ。東京の霊能探偵の力、見せてみろよ!笑わせんじゃねーぞ、このクソ野郎!!」
真理「やめてぇえーーー!!!」
たまりかねた真理が絶叫した。彼女の中で何かのリミッターが外れたように・・・

第4章 真理の覚醒

 芥川は、彼の事務所で友人の牧田と話していた。事務所は中区にあるが、古びたビルの一室に過ぎない。能年(鎧)がコーヒーを2人分運んできた。彼は鎧の妖怪である。芥川の助手として、彼の事務所に住み込みで働いている。
芥川「能年君、ありがとう。」
牧田「ありがとう、いただきます。」
能年(鎧)はその後、部屋の隅にあるイスに座り、教科書を読み始めた。彼(鎧)は最近、小学校の国語の教科書で文字を勉強しているのだ。
 芥川はコーヒーを一口すすってから言った。
芥川「しかし、まさか真理さんがあのタイミングで、霊能力に目覚めるとは思わなかったよ。」
牧田もコーヒーを一口すすってから言った。
牧田「君と鬼塚君を、同時に弾き飛ばしてしまったからね。すごい能力だよ。あれも霊能力の一種かい?」
芥川「うん。防御魔法の一種だね。本来は敵の物理的な攻撃を跳ね返すための魔法なんだけど・・・」
牧田「真理さんはお父さんを救うために、覚醒した能力を使ったんだね。」
芥川「僕は何も悪いことしてないのに、とんだとばっちりだよ。」
牧田「・・・・・・」
芥川「まぁ、いいさ。親子そろって東京に帰ってくれたからね。」
牧田「真理さんは働きながら、税理士の資格を勉強するそうだよ。」
芥川「へー、そうなのかい。僕はあの一件以来、明智先生とも真理さんとも連絡が取れないんだよ。」
牧田「・・・それは仕方ないよ。」
芥川は残りのコーヒーを飲み干すと、一言つぶやいた。
芥川「明智親子・・・娘の方が侮れないね。」

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(36)【明智光太郎編】

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(36)【明智光太郎編】

「鬼塚!そこのナイフでこいつの指を切断しろ!!これが俺の判決だ!!!」 フランス料理店で、至福のコース料理を堪能する霊能探偵・芥川たち。 しかし、そこへ東京から家出娘・真理の父親である明智光太郎が連れ戻しに現れる。 娘の自由のために「勝手に裁判」を始めた芥川だったが、父親の態度にブチギレてまさかの物理的制裁へ!? 「やめてぇえーーー!!!」 たまりかねた真理の「とんでもない力」が覚醒する! 怒涛の展開とシュールな笑いが詰まった、お気楽クレイジーコメディ第36弾!

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-06-01

CC BY
原著作者の表示の条件で、作品の改変や二次創作などの自由な利用を許可します。

CC BY
  1. 第1章 フランス料理店
  2. 第2章 明智(父)の言い分
  3. 第3章 芥川の判決
  4. 第4章 真理の覚醒