リプレイス

背中に、手垢がべったりとつけられて
体をまさぐり
奥へ、奥へと、侵入り込んでくる
汗が噴き出して
過ぎ去った後に涙があふれる
駅のホームには
わたしだけが取り残されていた

折り目のついたブラウスも
シミがついたように
古ぼけてみえて
赤いリボンは
ありもしない純潔を誇っている

炎天下の蜃気楼のなかで
熱に浮かされて
学校までの道のりは見慣れないものとなり
友達の話は
まったく耳に入ってこない
他人事のようだ
今日あった出来事について話してみたけど
夢でも見たのだと言われてしまった

(それは炎罪よ。離婚をする夫婦が、喉を掻きむしって抉り出す呪いの言葉。見えないものは存在しない。考えたって仕方がないの)

でもその日から
誰かが電車のなかに来るようになった
調べてみると
ネットでわたしのことが書かれていた
OK娘?
不思議の国の……ありすのせかい?
置換されて
別のなにかに変わったってこと

まっしろな
フラッシュバックと
生臭い制服に絡め取られる

いつも振り向いても誰もいないのに
ぞわぞわと神経を撫でられる
電車から降りても
乾いた靴音はどこまでもついてくる
家でも
放課後の校舎でも
そうしてトイレのなかに逃げ込んで
蹲って身を抱えていると
ふいに扉をノックする音が聞こえた
ゆっくりと
開かないはずの扉が開かれて
その隙間から
真っ暗な影が差し込んでくる

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-05-28

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