耽溺

雁字搦めの部屋から出られないのが
かえって良くて
奥の方を
締め付けられるたび
どろくさい吐息を垂らしてしまう
ホワイトアウト
予告された不貞行為によって
泡(あぶく)を孕む
斜めの雨
傷んでいる風景
わたしが消滅するのを黙って見ていた
あなたが呼んだから
瞼が開いたのに
既視感は透明でしかないのだと
(みてよさわってよ
(うばいさって
(ころして、あいして、おんがくにして!
黙れよ、天の鐘
異常気象
管弦楽セレナーデ
頸の事切れた肢体が夥しく散乱する
部屋でも
褪せたフィルムのなかでも
ナイフで刺した
胎のなか
あなたの血の海に溺れていたい

耽溺

耽溺

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-05-25

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