還暦夫婦のバイクライフ 55

ジニー&リン、BSTR2026に参加する その3

 4月29日早朝、目を覚ましたジニーが台所に行くと、リンが起きていた。
「お早うリンさん。寝た?」
「うん。テレビ見ながら寝てた。さっきシャワー浴びたところ」
「寝てたならいいや」
ジニーはコーヒーを淹れる。リンは洗濯物をベランダに持って行って干し始めた。外は明るくなっていたが、雲が厚い。
「雨かなあ」
「天気予報ではずっと曇りだね」
「ジニー合羽どうする?」
「う~ん」
ジニーはスマホのアプリを起動して、雨雲予想を確認する。
「要らないかな。今日は荷物が多いから、いらないものは置いていきたい」
「そうだねえ。砂ざらえで履く靴とか持っていくからねえ」
リンもスマホの天気予報を立ち上げてチェックする。
「まあ、大丈夫かな」
 コーヒーとパンをかじって二人は準備にかかる。車庫からバイクを引っ張り出して、バッグを装着する。ヘルメットを被り、インカムのスイッチを入れる。通話状態を確認してからエンジンを始動した。
「ジニーガソリンは?」
「この前入れた」
「そうでした。じゃあ行こう」
5時50分、二人は家を出発した。
 はなみずき通りを南下して松山道へと向かう。そこから松山道に乗り入れ高速走行に移る。後から箱バンが次々に追い越してゆく。
「早いねえ。みんな仕事車だな」
「あれ、アクセルべた踏みよねきっと。あっという間に見えなくなった」
「急ぎなんだろうねきっと」
二人は走行車線を制限速度で走る。空は相変わらず雲が厚いが、雨の気配はない。川内、西条、新居浜と走り、入野P.Aで休憩する。
「少し寒い。暖かいお茶買ってくる」
ジニーはコンビニで暖かいほうじ茶を買って、リンとシェアした。
「ジニーこれからどう走るの?」
「大野原I.Cで降りて、R11を観音寺方面に走って、県道8号を左に入ってまっすぐ行った所が琴弾公園だ」
「銭形砂絵はそこだった?」
「うん」
「わかった、じゃあ行こうか」
「うん。腹減った」
「公園の近くにコンビニくらいはあるでしょ。そこで何か調達しよう」
7時10分、二人は入野を出発した。本線に戻り、ひた走る。大野原I.Cまで走り、高速から降りる。R11との交差点を右折して、車列の一部となってゆっくりと進む。県道8号との交差点を左折して、観音寺市内に入ってゆく。一の谷川を渡った所でコンビニを見つけて、駐車場にバイクを止めた。
「ごはんごはん」
「何にしょっかな~」
店内に入った二人はお弁当コーナーの前でしばらく悩み、ジニーはおむすび2個、リンはまんぷくおにぎりを1個買った。おまけでお茶を1本もらい、バイクに戻る。
「公園で食べよう」
エンジンを始動して、店を出発する。県道8号を走り、財田川を渡って左折する。そこから案内板に従って進み、琴弾公園に到着した。
「着いた。少し早かったかな。誰も居ないや」
「7時50分か。8時30分集合だったよね。バイク停めておむすび食べよう」
二人は駐車場にバイクを止め、ヘルメットを脱ぐ。ジャケットも脱ぎ、靴も履き替えて身軽になった。
「リンさん、向こうにベンチがあるから、あそこでおむすび食べよう」
公園のグランドの隅にあるベンチに座り、おむすびを食べる。
「そうだ、忘れないうちにスタンプを取っておこう」
ジニーはアプリを起動して、スタンプを獲得した。
「リンさん、取れた」
「私も取ったよ」
「これで8個だ。あと半分だな」
ジニーがスタンプ帳を眺めて獲得スタンプを確認する。
「ところで何人くらい集まるかな」
「BSTRの参加者?ちょっと分からないな」
そこに2台のバイクがグラウンドに入って来た。今日は砂ざらえの参加者のために、グラウンドが駐車場として開放されている。
「あれ、そうじゃないか?」
「そうかもね」
二人はお茶を飲んでから2台のバイクの方に歩く。
 バイクに乗って来たのは、BSTRの運営の人たちだった。
「お早うございます」
「お世話になります」
互いに挨拶をかわし、話をする。そうするうちに何台かのバイクがやって来る。様子を見て集合写真を撮りましょうと言っているうちに、砂ざらえ主催者の集合がかかり、写真を撮る間もなく集合地点に移動する。
「何人くらい来た?」
「他の所に止めたバイクにステッカー貼っているのもあったから、7~8人くらいかな?」
「そうか」
ジニーは砂ざらえ主催団体からスコップを受け取り、全体説明を聞く。
「ジニー何人くらいいるんだろう」
「う~ん、見た感じ500~600人くらいかな?」
ボランティアで集まった人たちが、手にスコップや箒を持って、いよいよ砂絵の中に入ってゆく。指示に従ってスコップを振るい、箒で落ち葉を掃き集め、草を毟る。展望台からの指示で動くのだが、残念ながら聞き取りにくく、現場のスタッフの指示を聞きながら作業を進める。気が付くと作業は終盤となり、外円の上の除草を行って砂ざらえは終了した。
「リンさん終わったらしい」
「そうみたいね」
二人はぞろぞろと歩いてゆく人たちについてゆく。最後に集合して終わりの挨拶を聞いて、砂ざらえは終了した。スコップをスタッフに返却してBSTRのグループで集まる。集合写真を何枚か撮影してイベントは終了した。バイクに戻り、靴を履き替える。
「リンさん、ハラ減った。うどん食べに行こう」
「どこに行く?」
「この近所の、手打ちうどんT屋さんに行こう」
「いいねえ。場所憶えてる?」
「よくわからん」
「じゃあ、ナビ様にお願いするか」
「よろしく」
11時丁度、二人は琴弾公園を出発した。リンのナビに従って財田川を渡り、左折して県道21号に入る。しばらく走って交差点を右折して観音寺駅前に出る。そこを左折してさらに左折して県道237号に乗る。そこにうどん屋がある。広い駐車場にバイクを止めてヘルメットを脱ぐ。
「あんまり並んでないね」
「11時10分だからなあ。少し早いんだろう」
それでも10人ほどが並ぶ列の後ろに付く。5分ほどで店内に入り、注文する。ジニーはかけの大、リンは釜上げの大、それぞれ竹輪天ととり天を取り、会計を済ます。開いている席に座り、早速食べる。
「ちょっと多いかな」
「小でも良かったね」
それでも二人とも完食する。
「う~苦しい。食べ過ぎた」
ジニーが腹をなでる。
「さて、次はうたづ臨海公園に行くわよ」
「了解だけど、道が分からん。ゴールドタワーの所だよな?」
「多分ね。まあ、ナビ様の言う通りに行きましょう」
バイクに戻り、出発準備を整える。
「リンさん、出るよ」
「どうぞ」
ジニーは県道に出る。
「ジニー次の次の信号左」
「了解」
ジニーはリンのナビ通りに走ってゆく。
「そのまま直進、川を渡ったT字路を右折」
「了解」
財田川を渡り、右折する。
「しばらく道なり」
「了解」
「その先左折」
「その先・・・あ、行き過ぎた」
「平気、その先にも道有るから」
ナビが新しく選択した道を左折する。
「次右折」
「はい、右折」
二車線の快適な道を、順調に走ってゆく。ナビの指示通りに右折、左折を繰り返し、ジニーはどこを走っているのか分からなくなってきた。
「海岸に出た。あ、あんなところに神社がある」
海岸から離れた小島に、神社があった。岸から島まで橋が架かっている。
「ああ、ジニーあれって、JRがお祭りの2日間だけ臨時で開く駅がある神社だね。名前知らないけど」
「うん、それ昔テレビで見たなそういえば」
二人は海の神社を横目に見ながら通過する。そこから市街地になり、多度津、丸亀を抜けて、道の駅の案内に従って走り、四国水族館正面を横切って道の駅恋人の聖地うたづ臨海公園に到着した。駐輪場を見つけてバイクを止める。
「着いた」
「思ったより早かったね。12時30分だ」
「早速スタンプを取るよ」
二人はアプリを立ち上げて、スタンプを獲得した。それから公園内をうろつく。塩田を再現した展示があったり、野外コンサートもできそうな芝生広場があったりして、多くの人たちが集まり、公園を利用している。
「香川はこういうのにお金がしっかり投入されてる感があるな」
「そうねえ。さて、だいたい見た。ジニー次行くよ」
「次は大串自然公園だな。屋島の向こうか。行ったこと無いエリアだな」
「高松より向こうは、行かないよねえ」
バイクに戻った二人は、エンジンを始動して公園を出発した。
 県道193号~186号と走り、高速道の下をくぐる。
「リンさん、今のうちにガソリン入れるよ」
「わかった」
暫く走ってスタンドを見つけ、ガソリンを給油する。再び走り始め、県道161号に乗り換えて五色台下を抜けるトンネルをくぐり、高松市街に入る。ゆっくりと流れる車列に捕まり、リンが眠気にとらわれた。
「ふぁあー」
リンが大あくびをする。
「ねむいよ~」
ジニーはどこか止まれるところを探す。市街地では止まれるところが無く、リンの眠気はやまない。
 R11に乗り換え、しばらく行くと、道の駅の案内があった。
「リンさん、この先に道の駅がある、そこに止まるよ」
「おねがいします~」
やがて見えてきた道の駅の駐車場に、バイクを止める。
「あ~危なかった。眠かった~」
ヘルメットを脱ぎ、二人は店を覗く。そこで何点かお土産を買い、シュークリームも見つけて2個買う。外の日蔭のベンチを見つけ、そこに座ってシュークリームを食べる。その後30分ほど休憩して、バイクに戻った。
「あ、ジニー今雨に当たった」
「雨?ああ、本当だ。降り出したな。パラパラだけど」
「急ごう。合羽無いし」
二人はバイクに戻り、調達したお土産をバッグに仕舞う。それからエンジンを始動して、道の駅を出発した。R11を走り、鴨部川にかかる橋を渡ってすぐに左折する。土手道を走り、県道136号との交差点を右折する。しばらく走り、ワインロードへと左折して、小さな峠を越える。県道135号との交差点を右折して、大串自然公園の案内に導かれて半島先端に走ってゆく。
「リンさん、着いた。駐車場に止めるよ」
「了解」
雨は相変わらずパラパラと降っているが、濡れるほどではない。
「急ごう。本降りになる前に雨雲抜けよう」
バイクを止め、二人は早足で展望台に向かった。
「わあ、すごい。いい景色!」
「正面に見えるのは小豆島か。香川にこんな絶景があるのは知らなかった」
「このあたり来ないからねえ。でも、来てよかった」
リンは満足したようだ。
 スタンプを獲得した二人は、早々のうちに大串自然公園を後にした。
「リンさん、来た道戻るよ」
「はいどうぞ」
R11まで来た道を戻り、そこから高松道志度I.Cを目指す。幸い雨は本降りになっていない。県道141号経由で志度I.Cに着き、高松道に上がる。高速道を高松方面に走り、雨雲圏内から抜け出す。西の空が明るくなってきた。雨はもう大丈夫だ。
「あ~、眠い」
「リンさん、大丈夫?」
「ちょっと大変」
「あ~ん~じゃあ、府中湖P.Aに止まります」
「わかった~」
高松中央、高松西と走り抜け、府中湖P.Aに止まる。
「はあ、眠かった」
「リンさん、休憩」
二人は外のベンチに腰掛ける。リンは目をつぶり、ジニーは自販機を物色しに行って、温かいココアを買ってくる。そこで1時間ほどゆっくりと休憩する。
「リンさん、19時くらいから川内周辺で雨が降りそうだ。それまでに帰ろう」
「何時?16時30分か。出ようか」
二人は立ち上がり、バイクに戻る。準備を整えてP.Aを出発した。
 高速道を松山目指して走る。豊浜を過ぎ、三島川之江を過ぎ、新居浜I.Cも通過する。
「リンさん、石鎚S.Aに止まる」
「どしたん」
「トイレ休憩」
「はいはい」
17時30分、石鎚S.Aに寄り道する。トイレを済ませ、休憩所で熱いお茶をもらってゆっくりと飲む。
「さて、帰ろう」
暫く滞在の後、再び走り始める。桜三里を越えて川内I.Cを通過して、松山I.Cで高速を降りる。市内を抜けて18時10分、自宅に到着する。
「お疲れ」
「つかれた~」
バイクを車庫に片付けて、家に入る。
「ジニーこれでスタンプ10個獲得したよ。あと6個だね」
「その6個が手強いんだよね。室戸と足摺だからなあ」
「どっちが先?」
「足摺だな」
「いつ行く?」
「そうだなあ。天気次第だけど、5月2日かな」
「じゃあ、そういう事で」
こうして5月2日は、足摺方面に行くこととなった。

還暦夫婦のバイクライフ 55

還暦夫婦のバイクライフ 55

  • 随筆・エッセイ
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-05-24

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