雑草ダービー
「……藤原さん」
栗色の髪が、足元でふわふわと揺れている。 僕の前にしゃがむこの少女──藤原さんは、いつもぼうっとしていて何を考えているかわからない。
先ほどから声をかけているが、全く反応しない。そんなに夢中になって見るようなことがあったのか、例えば見たことのない生物がいたとか、何百万円が落ちていたとか。 そう思って藤原さんの足元を見たが、何もない。ただ雑草が生えているだけ。
藤原さんの肩をぽんと軽く叩くと、琥珀色と目が合った。
「鈴木くん」
「藤原さん、何見てるの? 」
どの草がいちばん最強か見極めてる、とワンテンポ遅れて返事をする目の前の彼女に、数秒固まる。
「今日は風が強いから、どの草がいちばん動かないか見てるの」
ああそう……と困惑する僕のことなど全く気にせず、藤原さんはまた草と向き合った。藤原さんはいちばん背の小さい草が一位だろうと語っていた。
少し気になったので次の日結果を聞くと、四番目に背の高い草が一位だったらしい。藤原さんは意外だったと言っていたが、僕には分からない。
雑草ダービー