雑草ダービー

 「……藤原さん」

栗色の髪が、足元でふわふわと揺れている。
僕の前にしゃがむこの少女──藤原さんは、いつもぼうっとしていて何を考えているかわからない。

先ほどから声をかけているが、全く反応しない。そんなに夢中になって見るようなことがあったのか、例えば見たことのない生物がいたとか、何百万円が落ちていたとか。
そう思って藤原さんの足元を見たが、何もない。ただ雑草が生えているだけ。

藤原さんの肩をぽんと軽く叩くと、琥珀色と目が合った。

「鈴木くん」

「藤原さん、何見てるの? 」

どの草がいちばん最強か見極めてる、とワンテンポ遅れて返事をする目の前の彼女に、数秒固まる。

「今日は風が強いから、どの草がいちばん動かないか見てるの」

ああそう……と困惑する僕のことなど全く気にせず、藤原さんはまた草と向き合った。藤原さんはいちばん背の小さい草が一位だろうと語っていた。

 少し気になったので次の日結果を聞くと、四番目に背の高い草が一位だったらしい。藤原さんは意外だったと言っていたが、僕には分からない。

雑草ダービー

雑草ダービー

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-05-21

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