本能寺の変 ヤラセ説(不問3)

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『本能寺の変 ヤラセ説』

信長 一人称わし 旅に出たい 
光秀 一人称私 出家したい 小芝居で女声、熊谷直実役(イケオジ?)あり 
秀吉 一人称それがし 天下取りたい 1台詞小姓の兼ね役あり 小芝居で平敦盛役(美少年)あり


信長:てかさ

光秀:はい

信長:なんかこう……あれだよなー?

光秀:どうなさいました?

信長:飽きた

光秀:は?

信長:天下布武(てんかふぶ)飽きた!

光秀:まためちゃくちゃなことを……

信長:だって飽きたんだもん。 
だってさ、わしがんばったじゃん? 武田でしょ、浅井でしょ? 三好(みよし)でしょ?
徳川とか、長曾我部(ちょうそかべ)とかは同盟結んじゃったし?
ゆうて、ほぼ天下統一できたっぽくない?

光秀:まだですよ、北条とか毛利とかまだ残ってるじゃないですか。ワガママ言わないでください。

信長:だってぇ! あれしたい、あれ、今、流行ってる奴! 
なんだっけ、そう『自分探しの旅』あれに出たい。

光秀:それ、三十路のオナゴがやるやつですよ。そもそも、信長様、しょっちゅう抜け出して城下町で遊んでるじゃないですか。

信長:みっちゃん、遊び付き合ってくれないよねー? ノリわるぅ!

光秀:みっちゃんって呼ばないでください。私の名前は明智光秀です。

信長:いいじゃん、みっちゃんの方がかわいくて。
いやいや、そういうんじゃなくて、わしが行きたいのは南蛮! エゲレスとかイタリとか!

光秀:は? 行けるわけないでしょ、何言ってるんですか。

信長:大丈夫大丈夫。こないだバテレンと合同懇親会した時に「いいなー行ってみたいなー、南蛮―!」って言ったら「え、全然船だすよ?」って言われたし?

光秀:いやいやいや、交通手段の問題ではなくて、あなた……織田信長なんですよ? 

信長:えーダメー? 名前も考えたんだよ? 聞いて聞いて! ジョルダーノ・ブルーノ! 南蛮文字を並べ替えると「オダ ノブナガ」になるの、すごくない?

光秀:……ん?
……ジョルダーノ・ブルーノ……オダ ノブナガ……ジョルダーノ……(手に書いてみる)
これ『a』が足りなくないですか? あと、『r』が2つ余ってますけど?
あと『i』はどっから来たんですか?

信長:もー細かいことはいいじゃん! わし、天文学とかやりたーい! なんかモテそうじゃん?

光秀:あなた十分モテるでしょう。城下では信長様に推し活するオナゴ達がうるさいって、目安箱に苦情が殺到しているんですよ?

信長:うん、わしのかっこよさでこの国は統一したから、今度、海外じゃん? 南蛮のオナゴにもきゃーきゃー言われたいじゃん?

光秀:……いい加減にしてください。

秀吉:お呼びですか、信長様?

信長:おう、サルか、入れ入れ。

秀吉:はっ!

信長:おっすおっす! おそかったじゃん。

秀吉:それが……新人腰元(こしもと)がいたもんで、連絡先聞いてたら……

光秀:何してるんですか……

信長:なんだと! どの子だ!? かわいいのか?

光秀:……信長様?

秀吉:めっちゃ可愛かったんですよ! こう目がきゅるんってしてて……でも、残念ながら、“おね”に見つかりまして……とっちめられてて、遅くなりました。

光秀:……本当に何してるんですか。

信長:うつけだなぁサルは。そういうのはバレないようにやらないと。
そういえば、こないだ“おね”から、旦那の浮気がひどいって愚痴手紙来てたな。

秀吉:ええ、信長様にですか? え、なんて返されたので?

信長:ん? 「うっそぉ? “おね”めっちゃかわいいのにー! あの禿ネズミ、マジありえない、最悪―!」って返事しといた。

秀吉:ちょ、言い方!!!

信長:ははは、まったくサルは女好きよのう。

秀吉:信長様に言われたくないですよぉ!

光秀:2人ともひょうたんの背比べです。醜聞(しゅうぶん)をもみ消すの大変なんですから、いい加減、慎(つつし)んでください。

信長:でさ、話戻るけど、わし南蛮行きたいんだよね。

秀吉:え、南蛮? 

光秀:ありえないでしょう? 秀吉殿からも言ってやってくだされ。

秀吉:いいですなー! それがしも連れて行ってくだされ!

光秀:えー!

信長:は? うつけも休み休み言え。お前たち二人には、わしの代わりに天下を治めてもらおうと思ってな。今日呼んだわけ。

光秀:は?

秀吉:なんですと? 信長様が天下を取るんじゃないんですか?

信長:だってぇ、もうやんなっちゃってぇ。わしめちゃくちゃ掲示板で叩かれてるんだもん

光秀:たしかに、叩かれておりますね、瓦版(かわらばん)で。

信長:やっぱ、延暦寺(えんりゃくじ)焼き討ちが炎上しちゃったなぁ。
まあ、あれも天下布武(てんかふぶ)のためにしかたなかったんだけどなぁ。
民衆わかってくんないんだもーん。

秀吉:うーん、天下は欲しいですがぁ。信長様いないと寂しいなぁ?

信長:まあまぁ、聞け。わしの計画はこうよ。
わし、誰かに討たれて死んだことにすればよくない?
その代わり、民衆の反感は全部わしが引き受けるから。あといい感じにやってもろて。

秀吉:ほう、つまり信長様が魔王役の大芝居を打つわけですか? 面白そうですな!

信長:そうそう! かっこいい魔王のわしが、超信頼してた部下に討たれるわけ。
で、その部下が、天下を納めてめでたしめでたし。
どうだ、民衆も喜びそうであろう?

秀吉:なるほど! さすが信長様完璧な計略です! その側近の役、ぜひ、それがしに!

信長:あ、ダメ。

秀吉:なんでですかぁ! 

信長:サル、口軽いもん、絶対しゃべるじゃん。

秀吉:そんなことありません! こう、口に錠前(じょうまえ)を掛けますゆえ!

信長:どうかなぁ? 例えば、蜜罠(みつわな)にでもかかったら……ちょっと、みっちゃん!

光秀:は……(咳払いして女声に)「えー、秀吉さまってぇ、美濃(みの)攻略のときぃー、一晩でお城つくっちゃったって本当ですかぁ?」

秀吉:(デレデレで)えー? うん、まあね?

光秀:「えーうそぉー、すごーい! 尊敬―!」

秀吉:えー? そうかなぁ、照れるなぁ!

光秀:「やーん、かっこいい、好きになっちゃうぅ! ねぇねぇ、今度はぁ、誰を攻め滅ぼすのぉ?」

秀吉:それはねぇ~? 内緒だよぉ? 
なんとなんと、あの信長様を倒して、天下とっちゃおうかなー、なんてねぇ~?

光秀:「えーすごぉい!」

秀吉:……あ、しゃべりますね、それがし。

信長:だろ? というわけで、みっちゃん、わしを討つ役やって。

光秀:え? 嫌ですけど?

信長:え、なんでなんで? わしを討てば天下取れるんだよ、欲しいよね天下?

光秀:いえ、別に? それ責任だけ重くて、仕事増えて、俸禄(ほうろく)はちょっと増えたとしても使う時間ないやつですよね?

信長:ぐぬぬ、令和の若者みたいな事を言いおって……

秀吉:信長様、なんですか、れいわ、って?

光秀:それに、私、出家したいんですよねぇ。

信長:は?

光秀:あ、すみません、ちょっとヒロ子から連絡が……あ、もしもし? うん、ごめん、遅くなって、そう、うん、うん、大丈夫。そっちは大丈夫そ? あ、そうなんだ……いやー信長様がさー……(なにやら話している)

秀吉:……あの、信長様? 今更こんなことを聞くのもなんですが

信長:ん?

秀吉:みっちゃんって誰としゃべってるんですか?

信長:だからー正室のヒロ子殿?

秀吉:ヒロ子殿って……亡くなってますよね?

信長:うん。

秀吉:みっちゃん、いつも何もない空間に向かって話してますよね。

信長:うん

秀吉:え、やばないですか?

信長:やばいよ。

秀吉:うわぁ……

光秀:うんうん……わかった、うん、それでいいと思うよ、ありがと……うん、うん、え、でも……しかたないな、今日も慕(した)ってるよ……じゃ、後でね。
……お待たせいたしました。
どうしたんですか、二人とも、そんなに距離を取って?

秀吉:いや、その、なんとなく?

信長:うん、まぁ、いいんだけどね……。
気を取り直して! とにかく、みっちゃん、やってよ、わしを討つ役。

光秀:お断りします。出家したいんで! 
もう戒名(かいみょう)も決めてるんですよ。
天に海と書いて、天海(てんかい)って名乗ろうかと。

秀吉:あ、うん、まあ、ちょっと寺子屋っぽくていいんじゃないかな?

光秀:私は出家して、写経とか連歌とかして過ごしたいんですよ。ヒロ子もそうした方がいいって言ってるし……ふふふ……

信長:こわ……えーどうしてもだめ?

光秀:嫌ったら嫌です。

秀吉:信長様ーそれがしがやりますって! 本当に言いませんからー!

信長:あ、ひらめいた! 信長ひらめいちゃったもんね! じゃあ、こうしよう! 
まず、わしがどっか寺……本能寺がいいかな?で、小姓(こしょう)を数人だけ連れて、茶会でもしてるから、そこをまずはみっちゃんが攻めて……

光秀:ちょっとすみません……あ、もしもし、ヒロ子? ねーどう思う?

信長:ヒロ子殿に判断を仰ぐな。最後まで聞けって、こっからよ、問題は。
わしを討ったみっちゃんは、恩のある主君を裏切った最低野郎ー!みたいに叩かれるじゃん?
で、そのみっちゃんを「主君の仇討ち(あだうち)!」と称してサルが討つの、どうよ?

秀吉:さすが信長様! 名案です!

光秀:うーん? 私、叩かれるんですかー?

信長:具体的な計画としてはー、まず、わしがサルに毛利攻めを命じてー、軍をいっぱい持たせる。
んで、サルがみっちゃんに援軍を要請する。
みっちゃんは援軍に行くフリをして、本能寺にいるわしを討つ!
んで、サルが引き返してきて、みっちゃんを討つと。

秀吉:え、ちょっと待ってください? それがし、備中(びっちゅう)から本能寺まで引き返すんですか? めっちゃ遠いですよー? そんな、大返し(おおがえし)できますかね?

信長:そこは……気合だ。

秀吉:そんなぁ……まあ、頑張りますけどぉ!

光秀:私、うっかり本当に殺されたりしません?

信長:なんかこう……みっちゃんは、横から出てきた百姓に槍で殺されたーとか言っとけばいいじゃん。

秀吉:お任せください! やった! てんかっ! てんかっ!

光秀:うーん、まあ確かに私としても死んだことにした方が身軽にはなりますね。
ほとぼりが冷めたら別人として出家できるしー?
徳川家康殿にでもかくまってもらえるように頼んでみるか……

秀吉:(妄想してぶつぶつと)ふふふ、天下取ったら……まずは農地を全部測量してー、効率的に年貢おさめられるようにして~
そうだ、百姓からは武器取り上げよ。鉄砲とか刀とか持ってると危ないからね!
それから楽市楽座は、美濃(みの)とか近江(おうみ)だけじゃなくて他の所でもやったらいいなって思ってたんだよね、博多とかどうかな?
落ち着いたら派手な城建ててー、大茶会開いたりして、うわー、楽しみー!

信長:わし、どうせなら劇的な最期遂げたいんだよね、かっこよく。
炎の中で舞いを舞いながら死んでいくとかどう?

秀吉:殿の十八番の「敦盛(あつもり)」ですか?

信長:そうそう、いいよね、敦盛。

(敦盛の小芝居)

光秀:(熊谷直実役)「そこなる貴殿(きでん)待ちなされ!
敵に後ろを見せるとは卑怯なり! 馬を返し、私と一騎打ちをせい!」

秀吉:(平敦盛役)「敵に後ろを見せて逃げるは、平家の名折れ。よかろう!」

(一騎打ち)
光秀:はっ!

秀吉:はっ! ……くっ!

(一騎打ちの後、敦盛を組み伏せる直実。敦盛の首をはねようとする)

光秀:「……っ!? なんという……。まだ、幼いではないか。我が息子、小次郎と同じほどの年」

秀吉:「……汝(なんじ)は、何者だ」

光秀:「……武蔵(むさし)の国の住人、熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)と申す。貴殿(きでん)は?」

秀吉:「汝(なんじ)には名乗らん。
ただ、私の首を取って誰かに見せよ。必ずや知っている者がおろう。
……さあ、早く討て。汝の手柄にせよ」

光秀:「……くっ。私が一人、貴殿を逃したところで、戦況に変わりはない。
……行かれよ。今ならまだ、船に間に合おう」

秀吉:「黙れ! 武人(ぶじん)に情けは無用! 疾(と)く討て!」

光秀:「……はっ! あちらから押し寄せてくるは、源氏の軍勢。私が逃したとて、彼らの手にかかるか……」

秀吉:「……案ずるな。名も知らぬ者よりも、志ある汝の手に掛かりたい。
……見ろ、我が味方の船はもうあんなに遠い」

光秀:「(泣きながら)……せめて、せめて私の手で……御免(ごめん)!」

秀吉:「……ぐぁ、く……(絶命)」

光秀:「許せ……せめて何か形見の物を……(遺品をさぐる)
これは、笛……?
我が陣にも聴こえていた、あの美しい音色を奏でていたのは、この御仁(ごじん)だったか……なんと……おいたわしや
武家の家に生まれ、弓矢を取ることがなければ、こんな憂き目をみることもなかったろうに」

信長:(適当に節を付けて歌ってください)人間五十年 下天(げてん)のうちを比(くら)ぶれば 夢幻(むげん)の如くなり~♪

秀吉:(信長を無視して二人で会話を始める)あ、そうだみっちゃん、遠征の時さ、雨で道がぬかるんでる時ってどうしてる? 

光秀:あー、確かに困りものですね。現地の農民から砂利や木の板を分けてもらって対策していますが、限度がありますゆえ。

秀吉:だよねぇ、こないだなんてさ……

信長:って、おい! 今わしが舞ってるでしょ! かっこよく! なんで見ないの!

光秀:(棒読み気味に)もうしわけございません。

秀吉:だって信長様そればっかり舞うんですもん。いい加減飽きますよー。
てか、毎回前座で小芝居やらせないでください、長いです。疲れます。

信長:なんでだよーいいじゃん! 尊いじゃん! 敦盛きゅんー!

秀吉:それがし、少年愛には興味ありませぬゆえ。

信長:なんで秀吉、わかってくんないのかなー? 一回、小姓茶屋行こ? 一回ハマったら、もう癖になるから!

秀吉:嫌です! 腰元茶屋の方がいいに決まってます!

信長:いやいやいや、小姓でしか得られない栄養あるんだよ!?

光秀:ちょっと二人ともいい加減に……ん、どうしたのヒロ子? あ、ごめんごめん、ちょっと、うつけ二人の相手しててさ……うん、うん……そうなんだ、じゃあ……

秀吉:腰元です!

信長:小姓!

光秀:え、そうなの、それは知らなかった。わかったなるべく早く帰れるようにするから……え、うん、それは大丈夫……わかった、わかった……はははは……

(揉める信長と秀吉、ヒロ子と話しているらしい光秀)
(場面転換 本能寺の変当日)

光秀:信長め、老いの坂を超えたか。馬には轡(くつわ)をかませ、火縄(ひなわ)に火をつけよ。
我らが向かうは備中(びっちゅう)にあらず。
敵は本能寺にあり!

信長:謀反だと!? どこの手の者か!

秀吉:(小姓の兼ね役)はっ! 水色桔梗(みずいろききょう)の紋! 日向守殿(ひゅうがのかみどの)の軍かと!

信長:なんだと!? 光秀か! 是非(ぜひ)に及ばず! 槍を持て! 

(間)

光秀:(ナレーション)1582年、明智光秀は謀反を起こし、本能寺に滞在していた主君、織田信長を討ちました。
その真相については諸説あり、その一つに、信長は外国に逃れた、とされるものがあります。
イタリアの哲学者で天文学者、ジョルダーノ・ブルーノ(Giordano Bruno)
彼の肖像画は織田信長にとてもよく似ていると言われています。

(間)

信長:いやーホント! 地面が動いてるんだって! 
え、地動説支持してるのバレたら焼かれる?
えーわし、また炎上すんのー?
聞いてないよーそんなのー!
是非に及ばずだなぁ、また死んだフリするかー!
今度はどこいこっかなー?

【完】

本能寺の変 ヤラセ説(不問3)

本能寺の変 ヤラセ説(不問3)

本能寺の変はヤラセだった!? 信長「天下布武飽きた。南蛮に行きたい」 光秀「まためちゃくちゃなことを……」 秀吉「いいですな! それがしも連れて行ってくだされ!」 旅に出たい信長、出家したい光秀、天下が欲しい秀吉 実は仲良しな3人が考えた計画とは……? ※劇中劇(というか小芝居)あり 上演時間20分

  • 小説
  • 短編
  • 時代・歴史
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-05-20

CC BY-NC-ND
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