逆さまのスー
スーは、空を走るバスに乗っている。
スーは、逆さまの世界で生きている。
灯台のてっぺんで毎日空を見ている人がいる。その人はスーから見ると逆さまで、つまり逆さまではない世界に生きている。
スーは思う。あの人の手を取り、空にぶらぶらさせて、そして自分の元に引き寄せて、逆さまにしたいな。
スーはでも、そんなことはだめだと気持ちを改める。愛は、そんなことをしてはいけないと鳴いている。愛されてばかりのスーは、近頃そんなんじゃだめだと思うようになった。そんなんじゃ、かっこいい女にはなれない。愛するをしないと。
スーは手紙を書くことにした。
逆さまのあなたへ
私はむかし、一輪の花をこちらへ連れてきたことがあります。窓から手を伸ばし引き抜いた逆さまの花です。土は空に落ち、あげた水も空に落ち、花はすぐに枯れました。あの花を生き返らすことはできません。いつも考えます。あの花から許される方法は何だろうな。でもそんなのないです。
愛ってどうやるんだろうと考えています。やり方は人によって違うのでしょうか。
空を大切にしようと思います。
あなたはいつも空を見ていますね。
スー
スーはバスの窓を開け、手紙を握った腕を外に出した。少しのあいだ、手紙を風に踊らせた。そして手をはなした。
逆さまのスー