還暦夫婦のバイクライフ 54
ジニー&リン、BSTR2026に参加する
4月12日の朝、リンは昨日の獲得スタンプのチェックを行った。
「ジニー、昨日取れなかった来島海峡天望館のスタンプ、申請していたら押されているよ」
「そうなん?」
ジニーもアプリを立ちあげて確認した。
「本当だ、押されているな」
「ジニー今日は?」
「南予方面に行きますよ。八幡浜と宇和島の道の駅でスタンプ取る」
「お~。朝ごはんはどーや食堂のまかない海鮮丼だね」
どーや食堂では、朝10時までにいけば限定50食でまかない海鮮丼が食べられる。日によって内容が違うので、何が乗っているかはお楽しみである。千円でおつりがある海鮮丼は、なかなか無い。
洗濯物を干して、出発準備をする。バイクを車庫から引っ張り出して、用意する。朝八時、準備を終えた二人は家を出発した。R56を南下して、伊予市向原交差点まで走る。交差点を右折してR378に乗り換える。小さな峠を越えて、海岸線に出る。そこからは海を右手に見ながら上灘、下灘と通過する。
「リンさん、今日は下灘駅に人が居ないや」
「朝からは居ないんじゃない?ここは夕日がきれいだから、夕方まではそんなに人も居ないと思うよ」
「ああ、そうだな」
二台のバイクは長浜を通過してさらに海岸線を走ってゆく。遠くに伊方原発の建屋が見える。いくつかトンネルをくぐり、最後に瞽女トンネルをくぐると、瀬戸内海から分かれて宇和海が見えてくる。保内町を通過してR378から離れ、県道249号へ乗り換える。あわしま堂本社工場の横を通り、海回りで八幡浜に入る。市内を走り、道の駅八幡浜みなっとへ到着した。
「着いた。腹へった」
「まずはスタンプを・・・」
ジニーはアプリを起動して、スタンプを取得する。
「リンさん、取れた」
「私も取ったよ」
「何時?9時か。海鮮丼に行くぞ!」
二人はヘルメットを脱ぎ、バイクに固定してからどーや食堂に向かった。引き戸を開けて中に入る。カウンターに向かうと奥で作業をしていたおじさんがやって来た。
「はい、何にしましょう?」
「まかない海鮮丼二つ」
「はい」
ジニーは二人分1,400円を払い、番号札をもらう。しばらく待って、呼ばれて受け取りに行く。
「リンさん、今日はシラスベースにマグロのネギトロ、はまち、サケ、多分びんなが、鯛が乗ってる」
「いただきます」
たれをかけて、早速食べる。
「うまい」
「おいしいね」
ジニーはがつがつと、あっという間に食べ終わる。
「早!」
「リンさん、ゆっくりどうぞ」
ジニーはお茶を汲んできて、一息つく。
リンも食事を終え、食器を返却棚に返す。アゴラマルシェに移動して、焼き立て塩パンやほかのお土産を買って、バイクに戻る。
「リンさん、次は明浜経由で宇和島に行くよ」
「了解」
9時50分、みなっとを出発して、県道249号経由でR378へ乗る。途中で県道25号、県道26号と乗り換えて、横平トンネルを抜けて三瓶町内に出る。そこで再びR378に乗り、海岸沿いのアップダウンのある狭い道をゆっくりと走ってゆく。
「やっぱりここから見える宇和海は絶景やね。道路整備したら観光道路になると思うけどなあ」
「ジニーそんな事絶対しないよ。こののどかなみかん畑と漁村の住民は、よそから人が押し寄せるのを嫌うと思う」
「そうか。素晴らしい景色だけどなあ」
ジニーはゆっくりと走り、木立の間から見える景色を楽しむ。
「ほら、よそ見してたら崖から落ちるぞ」
リンが後ろから、ふらふら走るジニーに注意する。
あけはまーれまで走って、二人は休憩する。広い駐車場にバイクを止めて、ヘルメットを脱ぐ。海水浴場が目前に広がり、遠くに島が浮かぶ開放的な宇和海の風景を、ベンチに腰を下ろして無心で眺める。そこで30分ほど休憩して、11時20分再び走り始める。
「リンさん、久しぶりに和霊神社にお参りしよう」
「いいよ」
二人は狭いR378をゆっくりと走ってゆく。時々大型トラックが走って来るので気を付けなければならない。やがて道は2車線になり、走りやすくなる。野福峠に向かう県道45号入り口を左に見ながら通過して暫く走り、県道271号へと左折する。しばらく走るとR56と交差する。交差点を右折してR56に乗り換え、宇和島を目指す。吉田町を通過して小さな峠を越え、宇和島市内に降りてゆく。道なりに走り、和霊公園の信号を右折して須賀川を渡ると、和霊神社に到着する。川沿いの駐車場にバイクを止め、ヘルメットを脱いだ。
「久しぶりだね」
「そうねえ。今年初かな?」
二人は門をくぐり、手水で清めてから石段を上がる。本殿の前に立ち、参拝してから本殿の周りををぐるっと歩いて回る。
「ジニー今日はおみくじ引かんの?」
「うん、何もお伺いしていないから」
「ふ~ん」
本殿を回り、境内を散策してからバイクに戻る。
「さあ、道の駅きさいやに行くよ」
「道分からん。ジニーよろしく」
「うん。ついてきなさい」
和霊神社を出発して、裏道を走る。5分ほど走って道の駅に到着した。駐輪場にバイクを止め、ヘルメットを脱ぐ。
「さて、早速スタンプを・・・」
ジニーはアプリを立ち上げ、スタンプを獲得した。
「リンさん、取れた?」
「うん、取れたよ。これで6個集めた。あと10個だ」
「よし、今日の目的は果たした。ロイズのソフトクリーム食べて帰ろう」
二人はチョコレートソフトを注文して、出来上がりを受け取って早速食べる。
「ん~まいねえ」
「うん、旨い」
どんどん溶けるソフトクリームを、こぼさないように食べてゆく。
「ごちそうさまでした」
「ジニー早いって」
「ゆっくりどうぞ」
リンは溶けるソフトクリームを上手に食べてゆく。食べ終わった二人は売店をうろつく。野菜や魚、お土産がたくさん並んでいる中をうろつき、じゃこカツを数枚買った。
「さあ、帰りますよ」
二人はバイクに戻り、準備を整える。13時丁度に道の駅を出発して、宇和島朝日I.Cから高速道に乗る。ゆっくりと流れる車列について走り、三間、宇和町と通過する。
「眠い」
リンが眠気と闘い始めた。
「リンさん眠い?」
「むっちゃ眠い」
「内子P.Aで止まるよ」
「そうしてください」
リンがジニーの後ろをふわふわとついてくる。途中のETCゲートをくぐり、大洲I.Cのゲートもくぐる。
「リンさんもう少しだ」
「うう~ガンバル」
内子I.Cを過ぎ、やっとP.Aに到着する。駐輪場にバイクを止め、ヘルメットを脱ぐ。
「ああ~ひどい眠気だ」
リンはベンチまで歩き、そこで仰向けになって眠り始めた。
30分ほど経過して、リンが起き上がる。
「リンさん戻った?」
「うん。マシになった」
ジニーは自販機で買ったパワードリンクを渡す。リンは半分飲んでジニーに返す。ジニーは残りを飲み干し、空き缶を回収箱に放り込む。
「さて、帰るか」
13時50分、内子P.Aを出発する。少し早めの車の流れに乗って、松山I.Cまで走る。高速を降りて市内を走り抜け、14時40分自宅に到着した。バイクを車庫に片付ける。
「お疲れ」
「お疲れ様でした。ジニー次はどこに行く?」
「そうだなあ。四国カルストが一つだけ離れてるんだよなあ。ここをどうするか」
「じゃあ、次の土曜日に行く?何か用事あったっけ?」
「あったな。土曜日はリンさん何か用事があるって言ってた」
「あ、あ~そうだった。う~ん、次行けるとしたら25日か」
「天気次第だね」
「せっかくだから、D屋さんに行くついでにスタンプ取りに行こう」
「D屋さんがメイン?」
「当然よ。もう5カ月も行けてないんだから」
ということで、25日は四国カルストに行くこととなった。
25日の朝、二人は歯医者に行ってから、10時過ぎに家を出発した。いつものスタンドでガソリンを給油しようと行ってみると、工事中休業だった。
「あ~そう言えば、案内出ていたな」
「忘れてたねえ。ジニーどこ行く?」
「はなみずき通りのスタンドに寄ろう。通り道だし」
「わかった」
二人ははなみずき通りを走り、いつもと違うスタンドで給油する。
「少し高いな。3円くらい」
「しょうがないね。急ごうジニー、時間が無い」
「大丈夫。D屋さんの予約は13時30分だし、今10時40分だから」
「大丈夫?ほんとうに?」
「そう言われると、少し不安」
スタンドを出て、はなみずき通りから中央高校の前を通り、R33に出る。重信川を渡り、砥部町を通過して三坂峠を上がる。バイパスを走って久万高原町に入り、街並みを抜けて先に進む。道の駅美川を通り過ぎて、R440とのT字交差点を左折し、ループ橋を駆け上がる。R440をどんどん走っていき、地芳トンネル手前で県道36号へと右折する。その先で県道383号に乗り換えて、地芳峠に向かう狭い道を駆けあがってゆく。峠で左折して、姫鶴平に向かう。4か所ある落差のあるヘアピンカーブをクリアして、姫鶴平に到着した。バイクを道端に止めて、ヘルメットを脱ぐ。
「相変わらずバイクがいっぱいおるねえ。ジニースタンプ取れた?」
ジニーがスマホを操作しているのを見て、リンがのぞき込む。
「・・・取れたよ」
「じゃあ私も」
リンもスマホを取り出して、スタンプを取る。そこで何枚か写真を撮り、スマホを片付ける。
「ジニーあと1時間だ。急ごう」
二人はすぐにバイクを始動した。
姫鶴平から天狗高原へと走ってゆく。いつもの撮影ポイントは素通りし、星降るブィレッジTENGUも通過して、幹線林道を駆け下る。県道304号との交差点を右折して、R440目指して川沿いに高度を下げてゆく。集落を抜けて、R440との交差点を左折して梼原町へと向かう。町内に入り、街の駅の交差点を右折して裏道を走り、県道2号を谷沿いに上流へ走ってゆく。さらにスタンドの先のT字路を右折してさらに谷を詰めると、目的のD屋がある。
「よし着いた。13時15分だ」
「間に合ったね。途中の工事迂回も無くて、思ったより早く着いた」
二人は駐車場にバイクを止める。ジニーはここから見上げる源氏ヶ駄の景色がお気に入りで、ここに来るたびいつも写真を撮っている。
「今日は緑一色だね」
一通り撮影してから、お店に向かう。店内に入り、予約のジニーですと告げる。先に二組のお客が居て、ジニーたちが席に着くと、それで満席となった。
しばらくメニューを見て、ジニーはイノシシのハンバーグコース、リンは日替わりパスタコースをオーダーする。しばらく待って、サラダがやって来た。
「お待たせしました」
おばちゃんがサラダをテーブルに置いた。早速二人は得物を取り、サラダを食べる。
「ん~、うまいなあ」
「これは、キジの肝のペーストだって。ジニー大丈夫?」
「うん。食べれるよ」
相変わらずジニーはあっという間に皿を空にする。
二人は次々に運ばれてくる料理を堪能して、最後にデザートとコーヒーをゆっくりと味わった。
「今日の日替わりパスタは、春菊のクリームソースだったね。見たときはどうなん?と思ったけど、おいしかったよ」
「うん。初めて見たけど、旨かった」
「さてジニー、これからどうする?」
「城川廻りで帰る?」
「う~ん、ちょっと気が乗らないかな。R439回りで帰らない?たぬきのいる方で」
「あ、それなら吾北のケーキ屋さん、は・・無理か。今から行ったら17時だな。暮れにシュトーレン送ってもらったお礼がまだ言えてないから、行きたいけどまた今度だな」
「そうね」
二人は食事を終えて、パンとシュークリームを買ってからD屋さんを出る。
「さて、R439回って帰るよ」
「オッケーなんだけど、檮原の道の駅に寄ってかない?」
「温泉の所だっけ」
「そう」
「わかった」
D屋さんを出発して県道2号を戻る。途中県道26号に乗り換えて梼原の街並みを抜け、R197に出て須崎方面に走る。少し行くと、右手に雲の上の温泉が見えてきた。二人は駐車場にバイクを乗り入れ、止めた。
「ここに止まるのは初めてだ」
「何があるかな?」
バイクを降りて、店内に入る。中はこじんまりとしていて、地元の農産品や加工品が並んでいた。リンは気になったものを3点ほど取り上げて、購入する。
「大体様子もわかった。ジニー行こう。帰りが暗くなっちゃう」
時計を見ると、15時20分になっていた。二人はバイクに戻り、買ったものをバッグに収める。
「行くよ~」
「どうぞ」
道の駅梼原を出発して須崎方面に走ってゆく。新しい峠のトンネルをくぐり、どんどん下ってゆく。しばらく走り、津野町手前のブラインドの左カーブにあるT字路交差点を左折して、R439に入る。
「ここはいつも通り過ぎそうになるな」
「行き過ぎたら津野町の街の中から行けるけどね」
「まあね」
道は広く、2車線の快走路を少し早いペースで走ってゆく。白龍湖の所にあるヨサク狸を右手に見ながら通過し、天狗高原に上がる県道48号入り口を左手に見ながら先に進む。そこから少し走ると、道は狭くなる。対向車に注意しながら進み、矢筈峠の長いトンネルをくぐる。そこから道は下りとなる。相変わらず狭い下り道をゆっくりと進み、つづら折れを過ぎると集落がある。そこから道は広くなり、快走路となる。鳥形山から石灰石を下ろすベルトコンベアの下を通り、ペースを上げながら走ってゆく。
「鳥形山から須崎の港まで、ベルトコンベアで石灰石下ろすって、信じられんな」
「ほとんどトンネルで通しているみたいよ」
「土木工事、恐るべしだな」
R439は仁淀川を渡り、R33と合流する。その交差点を左折して、松山方面へと走る。たちまち遅い車列に詰まり、ペースが落ちる。
「ふぁあ~」
リンがあくびを始める。
「眠い!眠いぞ!」
リンと眠気の戦いが始まった。
「リンさん、どれくらい眠い?」
「かなりヤバい」
「この先の休憩所に止まろうか?」
「いや、あそこは嫌だ」
「じゃあ、美川の道の駅かな。10Kmくらい先だよ」
「それくらいなら大丈夫」
リンは眠い眠いといいながら、ジニーの後をついてゆく。大きなあくびをするので、ジニーは気が気じゃなかった。
「りんさん、あと2Kmだ」
「なるはやで~」
のんびりと走る車列の一部となって、二人は走ってゆく。やっとのことで道の駅美川に到着する。バイクを駐車場に止めて、ヘルメットを脱ぐ。
「やっと着いた。ジニートイレに行ってくる」
リンはトイレに行き、ジニーは自販機でパワードリンクを買う。いつものベンチはふさがっていたので、立ったまま休憩する。リンが帰って来たので、ドリンクを手渡した。
「ありがとう」
「あ、ベンチ空いた」
ジニーはリンと並んでベンチに腰掛けて、そのまま目を閉じる。
「ジニーそろそろ動こう。寒くなりそう」
リンに起こされ、ジニーは目を開けた。
「何時?」
「17時15分」
「30分くらい寝ていたのか」
ジニーが周囲を見回すと、何台も止まっていたバイクが一台も居なかった。
「リンさん眠くない?」
「多分大丈夫」
「じゃあ、家まで走ろう」
二人はバイクを始動して、道の駅美川を出発した。少し早い流れの車列に付き、R33を走ってゆく。久万高原町を走り抜け、三坂バイパスを下ってゆく。砥部の街を通過して重信川を渡り、市内を抜けて18時15分家に着いた。
「お疲れ」
「お疲れさん」
バイクを車庫に仕舞い、家に入る。荷物を下ろしてヘルメットを脱ぐ。
「これでスタンプ7個取った。あと9個だね。ジニー次はどこに行く?」
「う~ん、香川か足摺かどっちに行こうか」
「そう言えば、BSTRの運営から、29日に銭形砂絵の砂ざらえに参加しませんかって来てたよ」
「うん、見た。そうだな、29日は砂ざらえに参加して、その後香川を回ろうか」
「そうしましょう」
こうして次の予定は、29日に香川エリアのスタンプを取りに行くこととなった。
還暦夫婦のバイクライフ 54