カエル
人は何かしら自分に縁のあるものに出逢い、別れ、それを繰り返し、そうしてだんだん大人になる。
仙人は解く。『この世は無限の境に苦しむものは、すべてを欲する』
その言葉のすべてが腑に落ちたわけでは無いが、僕らは、出会うべきものに出会い、会うべき人々に会っていた。その出会いに感謝したい。
ある日、僕は何の縁か、カエルと遊んでいた。
稲城のカエル。Vの団地の近くで、カエルを追う。
カエルは、ぴょんぴょん跳ねている。
やがて雨が降ってきた。激しい雨だ。
僕は、カエルを捕まえようとして、うっかり死なせてしまった。
そのことを妹に話した。
「カエル、死んじゃったの。」
「可哀想、埋葬してあげなよ。」
僕は悲しくなり、カエルを箱に入れて、埋葬した。
その後に、死んだカエルは出られずに大変な想いをしたらしい。
カエルは、ひたすら出るために努力した。
ある時、大人になった僕は、カエルが苦しんでいることに気づいた。
僕はその時は、稲城にいなかったのだが、帰ってきて、カエルを自由にさせた。
自由。カエルは自由になり、稲城の里で跳ねているのだろう。
カエル