カエル

 人は何かしら自分に縁のあるものに出逢い、別れ、それを繰り返し、そうしてだんだん大人になる。


 仙人は解く。『この世は無限の境に苦しむものは、すべてを欲する』



 その言葉のすべてが腑に落ちたわけでは無いが、僕らは、出会うべきものに出会い、会うべき人々に会っていた。その出会いに感謝したい。


 ある日、僕は何の縁か、カエルと遊んでいた。


 稲城のカエル。Vの団地の近くで、カエルを追う。



 カエルは、ぴょんぴょん跳ねている。



 やがて雨が降ってきた。激しい雨だ。



 僕は、カエルを捕まえようとして、うっかり死なせてしまった。



そのことを妹に話した。
「カエル、死んじゃったの。」
「可哀想、埋葬してあげなよ。」


 僕は悲しくなり、カエルを箱に入れて、埋葬した。


 その後に、死んだカエルは出られずに大変な想いをしたらしい。


 カエルは、ひたすら出るために努力した。


ある時、大人になった僕は、カエルが苦しんでいることに気づいた。


僕はその時は、稲城にいなかったのだが、帰ってきて、カエルを自由にさせた。


自由。カエルは自由になり、稲城の里で跳ねているのだろう。

カエル

カエル

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-05-07

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