霊能探偵・芥川九郎のXファイル(13)【コドモドラゴン編】
第1章 ツチノコ
霊能探偵・芥川九郎は、中区にある彼の事務所で友人の牧田と話していた。中区の事務所と言っても、古びたビルの一室に過ぎないのだが。
芥川「牧田君はツチノコを知っているかい?」
牧田「なんだい。突然、UMAの話題かい。ツチノコは、日本に古くから伝わる未確認生物だ。一見、ヘビに似ているけど、姿形がちょっと変わっている。なぜか分からないけど、日本では昔から人気があるUMAだよね。」
芥川「そう、そのツチノコ。岐阜の東白川村では毎年、つちのこフェスタが開催されている。ツチノコを捕獲したら懸賞金をもらえるらしいよ。」
牧田「日本各地に目撃情報があって、時々そんなイベントが開催される。高額な懸賞金を掲げるものもあったりして、たまに話題になるよね。芥川君、まさか、ツチノコを探しに行くつもりかい?」
芥川「僕じゃないよ。あのトレジャーハンターだよ。」
牧田「トレジャーハンターって・・・僕たちの知っているトレジャーハンターはあの人しかいないけど、あの人かい?」
芥川「うん、そう。金田さんに誘われてね。ツチノコ探しに行くことになった。」
牧田「金田さんはツチノコも探すのか。」
芥川「金田さんは日本各地の伝承・伝説に詳しいからね。彼はその手の本を執筆していて、何冊か出版までしている方なんだよ。」
牧田「そうなんだ。怪しい情報に飛びついて、手当たり次第に探索しているだけじゃないんだね。」
芥川「ハハハッ。トレジャーハンターを自称するような人だからね。人並みの行動力ではないんだよ。」
牧田「いつ行くんだい?」
芥川「今日さ。金田さんがそろそろ、ここに来所される予定だよ。」
第2章 トレジャーハンター・金田
芥川と牧田がそんな話をしていると、噂のトレジャーハンター・金田がやって来た。
金田「やあ、芥川君。元気かい?牧田君も手伝ってくれるのかい?悪いね、ありがとう。」
芥川「どうも、金田さん。岐阜以来ですね。」
牧田「こんにちは。今日はよろしくお願いします。」
芥川「今日はツチノコ探しですよね。今回の冒険の舞台はどこですか?」
金田「ハハハッ。今回は美濃市だよ。」
牧田「確かに、美濃市でもツチノコの目撃情報がありますね。」
金田「牧田君、ツチノコに詳しいね。そうなんだよ。僕は随分前から、美濃市にいるんじゃないかと思っていたんだ。」
芥川「金田さん。どんな情報をつかんだのか知りませんが、僕たちが捜索しても見つかるとは限らないでしょう。」
金田「いや、今回の目撃情報はね、かなり具体的で信憑性があるんだ。さぁ、さっそく行こうか。早く行って早く探さないと。日が暮れる前にね。」
こうして三人は出発した。前回同様、金田が運転する車で岐阜方面に向かった。
牧田「金田さん、美濃市のどこに行くんですか。」
金田「美濃市の中心市街地から少し離れた山の集落だよ。今日はとある古民家の裏山を捜索する。そこは空き家で、土地建物の所有者と周辺の住民の了解は得てあるから安心してくれ。」
芥川「そうですか。よかったです。」
第3章 コドモドラゴン
金田の車は名古屋から県境を通過し、岐阜県に入った。しばらく車を走らせるとやがて美濃市内に入り、それから山道を越え、目的地の古民家に到着した。三人は車を下りて、ツチノコの捜索を開始した。
牧田「やっと着きましたね!」
芥川「なかなかいい所だ。たまにはハイキングも悪くないね。」
金田「ハハハッ。芥川君、遊びに来たんじゃないぞ。しっかり探してもらうからね。」
三人は裏山の山道を登っていった。
金田「大した山ではないから、危なくはないけど、みんな気を付けてくれよ。」
牧田「はい、分かりました。」
三人は裏山を歩き回ったが、ツチノコは見つからない。
牧田「やっぱり、いないねぇ。もう大分、日が傾いてきたよ。」
芥川「そんな簡単に見つかるはずないだろう。今日見つからなければ、古民家に一泊して明日も探そう。」
金田「しっ・・・静かに。あそこに何かいるぞ・・・」
金田に言われて、芥川と牧田は目を凝らした。確かに、大きなトカゲのような生き物がいる。
芥川「本当だ・・・ヘビにしては大きいし、まさか本当にツチノコかな・・・」
牧田「逃がさないように、回り込んで捕獲しましょう・・・」
金田、芥川、牧田はそれぞれ、別の方向から回り込んだ。人の気配に気付いた大トカゲは、素早く逃げ出した。そこを金田が、大きな網で捕獲した。
金田「やった!捕ったぞぉ!!ツチノコだぁあ!!!」
網の中の大トカゲを見た牧田が言った。
牧田「金田さん。これツチノコじゃないですよ。足があります。」
金田「えぇっ?!」
芥川「本当だ。足だけじゃなくて背中に翼のような・・・」
芥川は、ヘビでもツチノコでも大トカゲでもない生物を凝視したまま、絶句している。牧田は芥川に聞いた。
牧田「芥川君、どうしたんだい?」
金田は意気消沈している。
金田「なんだぁ・・・ツチノコじゃなかったのか。」
第4章 ドラゴンとの死闘
その時である。空が急に暗くなり、上空から獣の咆哮が鳴り響いた。三人が空を見上げると、そこには恐ろしいドラゴンがいた。
芥川「やはりドラゴンか!こいつは子どものドラゴンで、あいつが親ドラゴンだ!!」
金田「なんだってぇ!?」
親ドラゴンは上空から急降下し、金田に襲いかかった。
金田「ワァアーーー!!」
芥川は金田から網を分捕り、彼を思いっきり突き飛ばした。金田がいた所の地面に、親ドラゴンの爪がめり込んだ。金田は間一髪、助かった。親ドラゴンがものすごい咆哮を上げた。
グワァアアーーーー!!!
芥川は網ごと子どもドラゴンを親ドラゴンに向かって投げつけると、送還魔法を唱えた。
芥川「送還魔法、発動!凶悪なる魔獣どもよ!!魔界に帰れ!!!」
子どもドラゴンをくわえた親ドラゴンの足下に、大きな円い影のような送還ホールが形成された。
芥川「牧田君!送還ホールに吸い込まれないように、近くの木にしがみつけ!!」
ドラゴンは親子共々、送還ホールに吸い込まれていく。牧田は近くの木にしがみつき、歯を食いしばって踏ん張っている。やがてドラゴンが完全に吸い込まれてしまうと、送還ホールは消滅した。
牧田「たっ・・・助かった・・・」
芥川「ツチノコじゃなくて、コドモドラゴンだったようだね。」
牧田「芥川君の霊能力を久しぶりに見たよ。ドラゴンを魔界に送還したんだね。」
芥川「送還魔法がベストだろう。ここでドラゴンと派手にやり合って、山や古民家に損害が生じたら、所有者に申し開きのしようがない。」
牧田「確かに・・・そう言えば、金田さんは大丈夫かな?」
芥川「あぁ、そうだ。思いっきり突き飛ばしたから、下に転げ落ちてしまったみたいだけど・・・」
芥川と牧田は、金田を助けに行った。幸い、金田にケガはなく、手の擦り傷だけで済んだようだった。
霊能探偵・芥川九郎のXファイル(13)【コドモドラゴン編】