霊能探偵・芥川九郎のXファイル(9)【S資金編】
第1章 S資金
霊能探偵・芥川九郎は、事務所で友人の牧田と話していた。事務所と言っても、古びたビルの一室に過ぎない。
芥川「牧田君はS資金を知っているかい?」
牧田「S資金って・・・あのS資金かい?どこかの国の諜報機関の秘密財産が、今も日本のどこかに隠されているという都市伝説だろ。」
芥川「昔々、某国の諜報機関が工作活動のために、秘密裏に巨額の財産をプールしていた。ある工作員が組織を裏切り、その一部を持ち出して日本のどこかに隠した。しかし、その工作員は逃亡中に不慮の事故で死亡してしまった。」
牧田「その工作員が隠した現金や金塊、総額数億円の秘密財産、いわゆるS資金は、今も日本のどこかに埋蔵されたままになっている。」
芥川「どう思う?」
牧田「いや、そんな話を今時、信じている人なんていないだろう?」
芥川「それがいるんだよ。そんな奇特なトレジャーハンター様が、もうすぐ当事務所に来所される予定なんだ。」
牧田「なるほど、トレジャーハンターか。でも、そんな御仁がなんでまた、霊能探偵の事務所に来るんだい?」
芥川「彼が言うにはだよ、S資金を回収するために、某国の超能力部隊が暗躍しているらしいんだ。」
牧田「それは何ていう名前のSF小説だい?」
芥川「当人は本気なんだよ。」
第2章 トレジャーハンター・金田
牧田「トレジャーハンターと宝探しか。」
芥川「前回は沖縄まで一緒に行ったんだ。」
牧田「S資金のためにかい?」
芥川「そう。僕もうかつだった。沖縄旅行に行けると喜んで付いていったんだ。」
牧田「それでS資金は見つかったのかい?」
芥川「そんなわけないだろう。よそ者がやって来て山に入っておかしなことをしていると、地元住民に通報されてね。」
牧田「警察が来たのかい?」
芥川「うん。彼は金田というんだけど、金田さんが警察官に、正直に事情を説明したんだよ。」
牧田「正直にって・・・S資金の話をかい?」
芥川「S資金と、それを回収するために暗躍している某国の超能力部隊の話だよ。」
牧田「それでどうなったんだい?」
芥川「あきれられて、説教されて、沖縄観光もせずにそのまま帰ってきた。」
牧田「そうなるだろうね。」
芥川「金田さんがそろそろ来るから、とりあえず話だけ聞いてみよう。S資金に関する重要な情報を聞けるかもしれない。」
牧田「ハハハッ。分かったよ。」
第3章 岐阜市
しばらくすると金田がやって来た。
金田「芥川君、久しぶりだね。元気にしていたかい?」
芥川「お久しぶりです、金田さん。沖縄以来ですね。こちらは私の友人の牧田君です。」
牧田「牧田と申します。よろしくお願いします。」
芥川「今回はどんな情報をつかんだんですか?」
金田「さすが、芥川君だ。察しがいいね。例の資金に関する極秘情報を入手したんだ。今回は岐阜だよ。」
牧田「S資金が岐阜のどこかに埋められているんですか?」
金田「牧田君、声が大きいよ。誰かに聞かれたら大変だ。」
牧田「すいません。」
芥川「金田さんのことだから、具体的な場所まで特定されたのでしょう。だからここに来たんですね。」
金田「ご名答!君たちにも手伝ってもらいたい。例の財産が見つかったら報酬は弾むよ。」
牧田「・・・・・・」
芥川「分かりました。岐阜は名古屋から近いですしね。たまには岐阜に行くのもいいでしょう。」
金田「ハハハッ。ありがとう。でも、遊びに行くんじゃないよ。」
こうして金田と芥川・牧田は出発した。金田の車で岐阜に行くことになった。
牧田「金田さん、岐阜と言っても広いですよ。どこに行くんですか。」
金田「岐阜市の郊外にある古民家だよ。今は空き家でね。土地建物の所有者とは話をつけてあるから心配ないさ。」
芥川「そうですか。よかったです。」
第4章 霊気満ちる井戸
金田の車は名古屋を出て、県境を通過し、やがて岐阜市に入った。しばらく郊外の田舎道を走り、目的地の古民家に到着した。三人は車を下りて準備を始めた。
金田「あそこの井戸の中だ。私が井戸に入るから、牧田君は上から私のサポートをしてくれ。芥川君は超能力部隊が来ないか、見張りをしていてくれ。」
牧田「分かりました。」
金田は丈夫なロープを下ろし、井戸の中へ降りていった。
芥川「牧田君は気付いているかな?」
牧田「うん。この井戸、あの呪いのDVDに出てきた井戸とそっくりだ。」
芥川「間違いない。ものすごい霊気を感じる。鳥肌が立つくらいだよ。」
しばらくすると、井戸の底から悲鳴が聞こえてきた。
金田「ギャアーーーーー!!!!」
芥川「あの女の死体でも見つかったのかな?」
牧田「金田さん!どうしたんですか!!」
金田「白骨死体だ!!人間のだよっ!!!」
牧田「どうしよう?」
芥川「どうしようも何も、警察に通報するしかないだろう。」
牧田「なんて説明するんだい?S資金とか某国の超能力部隊とか。」
芥川「そんなもん、金田さんに説明させればいいんだよ。僕たちは警察官が来たら、金田さんの横で頷いてりゃいいのさ。」
牧田はスマホを取り出して警察に電話した。
牧田「もしもし・・・事件です。死体を、白骨死体を発見しました・・・」
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