魔術師・守屋愛と夢幻鉄道の旅(3)【新城駅】
第1章 東三河の鬼
西三河のご当地アイドルグープ・みそ娘の忍は、謎の魔術師・守屋愛と一緒に夢幻鉄道で旅をしている。
忍「次の停車駅はどこですかね?」
守屋「さぁ・・・岡崎から蒲郡まで来たから、次は豊橋か豊川かな?」
忍「一応、西から東へ、順番に停車していますね。」
守屋「でも、どの駅で停車するかは分からない。」
忍「列車が減速しました。そろそろ停車しますね。」
守屋「どうやら新城駅みたいね。」
列車は新城駅に停車した。
忍「駅に着きましたけど、下りてどこかに行きますか?」
守屋はしばらく考え込んでいたが、やがて口を開いた。
守屋「そうね。ここで下りましょう。」
忍「何かありそうなんですか?」
守屋「分からないけど・・・何かを感じるわ。」
二人は列車を下りて、駅から歩き出した。
忍「どこへ行きましょう?」
守屋「新城から奥の東三河は、鬼が出るから気を付けましょう。」
忍「鬼?!」
守屋「ここら辺はまだ大丈夫でしょう。東栄町なんかは町民がみんな鬼に食われてしまったそうよ。」
忍は守屋の話に驚いた。
忍「町民がみんな食われたって・・・とんでもないことじゃないですか。」
守屋「フフフッ。ここは夢幻世界なんだから、何が起きたって不思議ではないでしょう。」
第2章 湯谷温泉
忍「じゃあ、東栄町には鬼しかいないんですか?」
守屋「えぇ。鬼たちは毎晩、どこかで調達した肉を肴に酒を飲み、大きな焚火の前で踊り狂っているそうよ。」
忍「恐ろしい話ですね。」
守屋「東栄町の温泉に入りたかったんだけど、そこまで行くのは危険だから新城の温泉で我慢しましょう。」
忍「新城にも温泉があるんですね。」
守屋「新城と言っても、平成の市町村合併で3つの市町村が合併し、とても広くなったの。鳳来地区の湯谷温泉へ行きましょう。」
忍「鳳来地区・・・旧鳳来町ですか。」
二人は鳳来地区の湯谷温泉に向かった。時々、凶悪な鬼が出没したが、守屋が魔法で瞬殺した。そうして、ようやく湯谷温泉にたどり着いた。
忍「やっと着きましたね。」
守屋「意外と鬼がいたわね。」
忍「守屋さんがいなかったら、鬼に食われていましたよ。」
二人は温泉に入った。
忍「いい湯ですねぇ。気持ちいい!生き返ります。」
守屋「本当にそうね。」
忍は守屋の体を観察して言った。
忍「守屋さんのお肌、ピチピチですね。私、25歳なんですけど、守屋さんももしかして20代ですか?」
守屋「ウフフフッ。さぁ、どうでしょう。」
忍「守屋さん、とても落ち着いた雰囲気だから、もっと年上だと思ってました。」
守屋「年齢は秘密よ。」
第3章 夢現鏡と霊能探偵
忍「そろそろ、名古屋で何があったのか教えてくれませんか?私も夢幻世界に迷い込み、守屋さんと旅をする当事者なんですから。」
守屋「そうね。話しましょう。とある事件で狡猾な霊能探偵と出くわしてね。」
忍「霊能探偵ですか?」
守屋「その霊能探偵が夢現鏡という、やっかいな呪具を使ったのよ。」
忍「夢現鏡・・・名前からなんとなく想像がつきます。現実世界から夢幻世界へ飛ばされたんですね。」
守屋「これが大まかな経緯よ。そろそろ出ましょうか。」
忍「そうですね。のぼせてきました。」
二人は温泉から上がり、食堂で軽食をとることにした。
忍「ここの五平餅、おいしいですね。」
守屋「五平餅は、岐阜とか愛知とか長野とか、中部地方の山間部に伝わる郷土料理よ。」
忍「地域によって形やタレが違うんですよね。」
二人がそんな話をしていると、男性がゆっくりと歩いてきた。
男性「さすが私の倍は生きておられる守屋さんだ。物知りですね。」
男に話しかけられた守屋は一瞬、驚きの表情を浮かべた。しかし、その表情はみるみる険しくなっていった。
守屋「芥川・・・とうとう現れたか!」
忍「守屋さんのお知り合いですか?まさか・・・例の霊能探偵?!」
第4章 岡崎公園
芥川「忍さん。守屋さんに何を吹き込まれたのか知りませんが、彼女の話を信じてはいけませんよ。彼女は稀代の魔術師ですからね。」
守屋「フンッ!御託はいいから、さっさと私たちをこの夢幻世界から出しておくれ。」
芥川「あなたではなく忍さんを救出しに来たんですが・・・残念なことに忍さんだけ救出することはできない。あなたの計算通りですね。本当に狡猾な魔術師だ。」
芥川はそう言うと、夢現鏡による封印を解いた。
気が付くと、そこは岡崎公園だった。
忍「ここは・・・岡崎!?」
芥川「忍さん、気が付きましたか。よかった。」
忍「あれ?守屋さんは・・・」
芥川「あの魔術師は夢現鏡を持って、どこかに姿をくらましました。」
忍「どうしてこんなことに・・・?」
芥川「私はとある事件で、あの魔術師と対決することになりましてね。奴が夢現鏡を使ったので、私は反射魔法でそれを奴に向かって跳ね返したんです。ところが、奴は夢幻世界に飛ばされる直前に、近くを歩いていたあなたに自分の魔力を及ぼし、あなたを巻き添えにしたんです。」
忍「私は確か、岡崎駅で・・・」
芥川「実際は、あなたは駅に着く前に、夢幻世界に迷い込んでいたんですよ。」
夢から覚めた忍は、岡崎公園を見渡した。公園の桜はほとんど散っていた。これから新緑の美しい季節がやって来るだろう。
魔術師・守屋愛と夢幻鉄道の旅(3)【新城駅】