zoku勇者 マザー2編・14
このシリーズでは非常にレアな喧嘩回です。
ドコドコ砂漠編・2
相変わらず、日射病には悩まされているものの、砂漠の
強敵と戦う内に、LVだけはしっかり上がって確実に
強くなっているので、どうにか砂漠を大分遠出出来る
様には辛うじてなってきていた。油断すると、笑いボールで
ドーンで、埋蔵金発掘本部送りだが。それでも懲りずに
出掛けて行くジャミル達を見て埋蔵金調査隊本部の彼らは
段々と逞しくなってきているのを感じ、ショージは嬉しそうに
笑うのであった。
「……大分、砂漠に落ちてたプレゼントボックスも回収したよな……」
「もうLVも上がったし、此処じゃする事もなくなって
きてるんじゃないかな……」
「はあ、そろそろ道路の渋滞も解除される頃じゃないかしら……」
……うん、そうだね、そうかもしれないね……
「……?」
この場には、ジャミル達3人しかいない筈だが……、
何処からかぼそっと……、小さく声が聞こえた。
「ねえ、ジャミル……」
アイシャが不思議そうにジャミルに声を掛けた。
「気の所為だろ、こんなとこ、他に何もいねえよ、
それよりも今日ももう、日も暮れる、本部に戻って
飯でも頂くとすっか!」
「ほんっと、食べる時は元気になるよね、君は……」
「うるっせんだよ、アホベルトっ!」
……これからご飯ですか、いいですね……
「お、おお!?」
「やっぱりっ!この近くで声がするわ!間違いないわよっ!!」
「は、早く……、本部に戻ろうよ……」
冷や汗を搔きながら、アルベルトがずり落ちたメガネを
押し上げる。
「何だよ、お前、恐いのか?」
「……んな事ある訳ないだろっ!ただ……」
やっと今日は本部に戻れそうだと言うのに、単に又、厄介事に
巻き込まれるのが嫌なんである。
「ん?ん?うーんっ!?」
「ジャミルっ!き、君はまたっ、よせよっ!」
アルベルトが慌てる。……どうやらジャミルが何か発見して
しまった様子。こうなると、又騒動に繋がって行くので
あるからして。
「お兄さん、やっとおれを見つけてくれましたね、
こんな砂漠で……、あなた凄く目がいいんですね!」
「自慢じゃないけど……、俺の視力は5・0さ、……やっぱり
お前が喋ってたのかい……」
「はい、おれは黒ゴマです、宜しく……」
喋っていた声の主は……、小さな黒ゴマであった……。
「わあ、可愛い!初めまして、黒ゴマさん、私はアイシャよ、
宜しくね!」
「あああ~、……アイシャまで……、あああーーっ!」
もう確実に騒動に巻き込まれるのは避けられない。
……アルベルトは頭を抱える……。そしてそのまま祈る。
……どうかこれ以上、話が広がらない様に、広がらない
様にと……。
「はあ、おれは一生このままなのかな、……あそこにいる、
干からびた……牛さんの様に……、なっちゃうのかな……」
トリオが正面を向くと、確かに干からびた牛の躯が倒れていた。
「……俺は牛の骨だけど、いつまでもこんな砂漠で独りで
干からびているのはさみしいもんだね」
「……」
未練が残ってるのか何だか分からないが、……躯がぼそっと、
喋った様な……、気がした。
「しかし、よくまあ……、こんな黒ゴマに話掛ける気に
なりましたね」
「まあ、暇だからな……」
(暇じゃないってば!……ジャミルの奴っ!もうー!)
アルベルトは無理矢理にでも、ジャミルを引っ掴んで本部に
連れて帰ろうと思った。しかし……。
「はあ、昔、冷たくした……、白ゴマに……、謝りたい……」
「……」
黒ゴマのぼそっと喋った一言に全員が反応した。
……特にアイシャは……。
「白ゴマさんて……?」
「まあ、昔……、付き合っていた、彼女の様な物です……、
この砂漠の何処かにいるって聞いたんですけど……、もしも
会えるのなら、会って謝りたいなって……」
(うわああーーっ!何で多可がゴマにそんな事情があるんだよーっ!
……ゴマだろっ、ゴマーーっ!)
……何処を突っ込んでいいのか分からず、アルベルト、
腹で絶叫す……。
「可哀想……、ねえ、黒ゴマさん、あなたは白ゴマさんに
会って謝りたいのね?」
「はい……」
「ねえ、ジャミル、アル、私達で、黒ゴマさんを白ゴマさんに
会わせてあげようよ!」
(……うわああーーーっ!!ア、アイシャああーーっ!!
やっぱりキターーっ!!)
やっぱり言うか、遂にアイシャのお節介病、発動す……。
やはり騒動からはもう避けられない模様。しかし、
アルベルトは……。
「ね?ジャミル……、どうかな……」
「う~ん……」
「だ、駄目だよっ!……駄目っ!!」
「アル……?」
いつもはアイシャに甘いアルベルトが……、今日は全力で
アイシャの頼みを拒否する……。
「今日はもう遅いだろ?……アイシャだって疲れてるんだから、
自分の身体をもっと大事にしなくちゃ、本部に戻ろう」
「うん、分かってるわ……、だから、本部に黒ゴマさんを
一緒に連れて行って、明日、一緒に白ゴマさんを探して
あげようと思うの……、ね?」
「駄目っ!!」
「アル……、ど、どうして……?」
「……」
いつもと大分違うアルベルトの態度に……、ジャミルも
びっくりしている様子……。
「……どうしてアイシャはもっと自分の事を考えないの!?
こんな唯でさえ、広い砂漠……、しかも何処にいるかも
分からない小さいゴマなんか……!探すの無理に決まってる
じゃないか!!又無駄に歩き回ったら、それこそ、君の
体調を崩してしまうよ!!それに、僕らだって決して
暇じゃないんだよっ!!」
「いや、先程、このお方が、暇だと……」
黒ゴマの余計な呟きにジャミルが慌てるが、アイシャと
アルベルトが珍しく衝突しそうな雰囲気になり……、
それどころではなくなっていた。
「わ、分かってるわよう……、だけど、酷いわっ、どうして
そんな言い方するのっ!!」
「僕はアイシャの為を思って言っているんだよ、……どうして
分かって貰えないのかな!?」
「やめやめっ!……落ち着け、お前ら頭冷やせ、それより
今日はもう本部に戻ろうや、それから幾らでも言い合い
したっていいだろ、さあ、早く……」
何だか今日は本当におかしい日であり……、仲裁するのも
ジャミルである。……何もかもがいつもと違っている
雰囲気になってしまった……。
「ふんだ、いいわよ、……私一人だって白ゴマさん探すもん……、
ふんだっ!」
「これだけ言っても分からないのなら、僕はもうこれ以上
何も言わないよ……」
「おいおいおい……、って、先行くんじゃねーっ!
……アイシャーーっ!!」
黒ゴマを連れ、一人で本部に戻ろうとするアイシャの後を
ジャミルが慌てて追いかけて行った……。
「……」
本部に戻っても、アイシャとアルベルトは顔をあわせず、
口を聞かない状態が続き……。
「……」
「……」
「おいおい、今日はやけに静かだなあ、ケンカでもしたのかい!」
「お、おっさん……」
空気を読めないショージにジャミルが慌てる……。
「ご馳走さまでした、私、今日はもう休みます……」
アイシャは食事の席を外し、黒ゴマを連れ、個室に入って行った。
「僕も、疲れてますので、……では……」
続いてアルベルトも席を外す。残されたジャミルは頭を抱えた……。
「おいおい、ボーズ、似合わねえことしてんじゃねえよ、ガハハ!」
「いてっ!」
ショージに背中を叩かれ、ジャミルが慌てる……。
「ハア、普段ケンカしねえ二人がケンカしてるからな、
俺もどうしたもんかと……」
「なーにいってんだあ!わけえウチはバンバンケンカしなきゃ
駄目なんだよっ!ダチってのはなあ、言いたい事をいいあってこそ、
ますます仲良くなるモンなんだよっ!遠慮なんかする付き合いは
真のダチじゃねーやっ!……んかー、うめえ……」
「おっさん、酔ってるだろ……」
「ガハハハハ!穴掘りも調子がいいし、この分だとすげえのが
掘れそうだぞ、待ってろーっ!」
「ああ、楽しみにしてるよ……」
酔っ払い親父に呆れつつも、何となく、ショージの言葉に
救われた気がして、ジャミルも個室に入って行った……。
そして、……アイシャは部屋で黒ゴマと……。
「すみません、おれの所為で……、余計な喧嘩を……」
「ううん、黒ゴマさんは悪くないの、悪いのは私よ、
ちゃんとアルとお話しないで、一人で勝手に怒った
私が悪いの、安心して、明日アルに言ってもう一度、
白ゴマさんを探す許可を貰うわ、ね?」
「でも、アルベルトさんの言う通りですよ、お嬢さん、
どうか自分のお身体は本当に大切にして下さい……」
「あら?私、これでもタフなんだから!大丈夫よ、うふふっ!
さ、もう休みましょ、ランプの灯り消すわよ……」
「アイシャさん……」
しょっちゅう危険な目に遭っているアイシャが何を言うかと、
ジャミルがこの場にいたら、恐らく怒るであろう、アイシャの
発言であった……。……そして、又朝がやってくる……。
翌朝……
アルベルトはジャミルとアイシャが起きる前に、ほんの
少しでも空気が涼しいうち、頭を冷やして来ようと思い、
外に出た……。
「はあ、昨日は僕も疲れてたから……、アイシャにきつい事を
言い過ぎちゃったかな……、まだ怒ってるだろうな、……それに
しても、特に目が悪くもないのにこんな伊達メガネ掛けてて、
僕、その内、目がこんな……、3 3 になってしまわない
だろうか……」
独りでブツブツ言っていると、岩場の方でごそごそと動いている
怪しい影が見えた。
「……誰だっ!?」
「坊主、騒ぐんじゃねえよ、騒ぐんじゃ……、俺は怪しい武器や
機械を商売で扱ってるモンだ……」
「密売屋……?」
「そうだ、アンタ、機械を扱えるんだろう?……見て分る、
俺はそう言う輩の為に商売をしている、……スリークにも
こっそり滞在していたんだが、気づいて貰えなかったな、
……ぼくちゃん、悲しい……」
モヒカンでアーミータンクトップの男はのそのそアルベルトに
近づいてきた。何だか、ちょっと壊れてきている様であったが、
普通の店では買えないアルベルト専用の武器も取り扱っていると
言う事で、品物をちょっと覗いてみる事にした。
「えーと、お品書きは……、アストロマシンガン、ボム、
ペンシルロケット、さびのもと……、か」
取りあえず、アストロマシンガン、ペンシルロケットを
幾つか買い込む。砂漠のプレゼントボックスに入っていた、
ペンシルロケット5よりは威力が落ちるが、それでも
ペンシルロケットが数個有れば、アルベルトも精神的に
心強い。
「毎度、又どっかでフラフラしてるかも知れんが、
そんときゃ宜しく……」
密売人は何処かへ消えた。どうせこの先も会うんだろうな、
とアルベルトは思う。
「さて、アイシャに謝らないと……、でも……」
「アルーーっ!!」
どう謝ったらいいのか考えていると、小屋から凄い勢いで
ジャミルが慌てて飛び出して来た……。まさか、まさか……、
とは思うが……、アルベルトの脳裏に嫌な想像が駆け巡る……。
「……お前、い、今起きたのかっ!?」
「うん、ついさっきだけど……」
「アイシャが……、一人で出て行っちまった!黒ゴマを連れてよ……!
たく、あのジャジャ馬……!!見ろ、これっ!!」
アイシャが書いていった手紙をアルベルトに見せるジャミル。
……ジャミル、アル、私、やっぱり一人で白ゴマさんを探しに
行って来ます。どうしても黒ゴマさんと白ゴマさんを会わせて
あげたいの。でも絶対に無理はしません。すぐに戻ります。
待ってて下さい……。
アイシャ
「嘘こけ!何が無理しませんだ、アイシャの奴っ……!」
やっぱり、アルベルトの悪い予感は的中してしまったので
あった……。アイシャの方が一枚上手だった。自分が迂闊
過ぎた……。もう少し自分が早く起きていれば、アイシャを
止められたかも知れなかった。しかし、今は悔やんでいる
場合ではない……。
「ジャミル、急いでアイシャを探そう、まだそんなに
遠くへは行かない筈だ!」
「ああ、たくっ、見つけたら又デコピンの刑だっ!!
無茶ばっかしやがってからに!!」
(……アイシャを傷つけたのは僕だ……、もっとちゃんと
心を落ち着けて話をするべきだったんだ……、だけど、
どうしてあの子は……、例え自分が傷ついても……、
誰かの為にあんなに頑張れるんだろうか……)
アルベルトはアイシャが独りで歩いて行ったであろう、
広い砂漠を見つめながら……、物思いにふけるのであった……。
そして、困った家出?娘チャンのアイシャSiDE……
「アイシャさん、どうか無理なさらないで下さい……、
今は早朝であまり怪物と出くわさないとは言え……、
決して出てこない訳ではないので……やっぱり危険です……」
「大丈夫!私、炎と氷のPKが使えるんだから!全然
平気よっ!絶対に白ゴマさんに会わせてあげるからね!」
「……アイシャさん、すみません、おれの為に……」
黒ゴマが心配そうな顔でアイシャを見つめるが、アイシャは
いつもと変わらぬ笑顔を振りまく。
……たく、ホントに無茶ばっかしやがってからにっ!
こりゃデコピンだけじゃ仕置きが足んねえな!+マジック
ハンド尻叩きも追加したろか!アル、作ってくれや!
ジャミル……、とにかく、今はアイシャを探そう、又
日が昇ってきたら、日射病の率も高くなってしまうからね……
「あ、……ジャミル、アル……」
アイシャの心に……、ジャミルとアルベルトの声がテレパシーを
通じ、聞こえてきた。直ぐ近くまで二人が来てくれているのだ。
「な、何よぉ~……、マジックハンド尻叩きって……、ジャミルの
えっちっ!バカっ!!」
けれどアイシャの手が嬉しくて震える……。本当は独りで
淋しかった癖に、意地を張っていたのであった。
「アイシャさん、やっぱり一旦お二人の処に戻りましょう……、
お願いです……」
「黒ゴマさん……」
黒ゴマに言われ、アイシャの心が揺らいだ……。そして、
二人の声が聴こえる方向に足を向けようとするのだが……。
「……あ、ああっ!?」
アイシャの前に、敵が出現し、行く手を妨害する……。
笑いボール、トサカラン、……加えて、バッファローに
デザートウルフまでいる……。アイシャ一人ではどうにも
太刀打ち出来ない強敵ばかりであった。
「……何よ、あんた達なんか……、恐くないわよっ!あ、
あっち行きなさいったらっ!!私一人だって……、だ、
大丈夫なんだからっ!!」
口では勇ましく言うが、やはりアイシャの足は微かに
震えている……。そんなアイシャの状態を見た黒ゴマは
慌ててアイシャに声を掛けた。
「アイシャさん、此処は危険です、逃げましょう!!」
「……黒ゴマさんっ!!うんっ!!」
アイシャは黒ゴマを肩に乗せ、一目散に走り出す……。
逃げれば逃げるほど……、ジャミルとアルベルト、
二人の声が……どんどん遠ざかって聞こえなくなり……、
アイシャは心細くなって行く……。そして、敵も素早い
スピードでどんどんアイシャ達を追掛ける……。
「あっ……!きゃあああーーっ!!」
追い付いてきたバッファローに身体を突き飛ばされ、
よろけたアイシャは砂漠にぽっかり空いていた大きな
穴の中へ転落した……。其処で彼女の意識は途切れ……、
気を失ってしまったのであった……。
そして、困った家出娘チャンを探すジャミル達は……。
「たく、あんにゃろめー!一体何処行きやがったっ!?」
「そろそろ……、又暑くなってきたね……、一刻も早く……」
「アル……?」
「う、あああ……」
アルベルト、又日射病に倒れる……。ジャミルは急いで
ヒーリングβをアルベルトに掛けた。
「ごめん、ジャミル……、何度も何度も……」
「仕方ねえよ、こればっかはな……、はあ、せめて少しは
雨でも降ってくれりゃあな……、ま、無理だけどな……」
と、ジャミルが快晴の青空を見上げると……。
……ねえ、あなたたち……、どうして日射病で倒れるまで
こんな砂漠をわざわざフラフラしているの……?ちょっと
命知らず野郎なのかしら?
「!?な、あんだっ、誰の声だっ……!?」
「ジャミル、……あそこ……」
アルベルトがキラリと眼鏡を光らせ砂漠の土の一点を
見つめた……。今度はこちらが何か……、見つけた様であった。
「お?おおおおっ!ゴマ、……もしかして、お前、白ゴマかっ!?」
「!!」
「あら、私を見つけるなんて……、あなた、随分目がいいのね……」
ジャミルとアルベルトは……、等々、白ゴマを発見したのであった。
一方、バッファローに突き飛ばされ、謎の穴に落とされた
アイシャは……
「アイシャさん、大丈夫ですか……?」
「黒ゴマさん……、此処、何処……?」
「分りません、ただ、何処かの穴に落とされたみたいです……」
「そっか、……あ、いたた!」
身体を起こそうと足を動かした瞬間、右足に激痛が走った。
慌てて自分の足を擦り確認してみるが、辛うじて折れては
いないらしい。
「平気ですか!?」
「うん、大丈夫……、打撲みたい、時間が立てば……、
でも、早く此処から出ないと……、困ったわ……」
途方に暮れていると……、何者かが近づいて来た。
「な、何……!?」
思わず身構えるが、やって来たのは何と……。
「キャッキャ!」
「お猿さん……?」
可愛いお猿さんであった。
「キッキキッキ!クックキッキ!キッキクック!
キッククッキ!」
「な、何て言ってるのか分らないわ……、困ったなあ……」
「えーと、……ようこそ、穴の中はぼくらの楽園!偉大で
やさしいタライ・ジャブ様が何でも知ってるタライ・ジャブ様が
ぼくらのために作ってくれた地下室なのです!……と、言ってます」
アイシャが困っていると、黒ゴマが丁寧にお猿さんの
言葉を翻訳した。お猿さんはそうだよ!と、言う様に
ジャンプした。
「黒ゴマさん有難う、凄いわ!あなた、お猿さんの言葉が
分るのね!えーと、私の言葉はお猿さんに通じるかしら……?
私はアイシャです、こんにちは……」
「キャキャキャキャ!」
「大丈夫です、分っているようです……」
「……ほっ……」
アイシャは安心して一呼吸おく……。しかし、今は一刻も
早くこの穴から出なければならなかった。
「アイシャさん、折角ですから、その、お猿さんの言う
偉大なる……、タライ・ジャブ様とやらに会いに行って
みませんか?おれは興味があります……、それにまだ、
アイシャさんの足も痛みが激しい様ですし、無理しては
駄目です、少し此処で休ませて貰いましょう……」
「黒ゴマさん、ありがとう……、そうね……」
「キャキャキャ!」
「タライジャブ様はこっちだよ!……と、言ってます、
会わせてくれるみたいですよ……、でも、アイシャさん、
何とか歩けますか?」
「少しぐらいなら平気よ、えーと、本当にお邪魔じゃ
ないかしらね……」
「キャッキャキャキャッキャキャキャキャキャ、
キャピキャピ!」
「タライ・ジャブ様は、ただいま断食と無言の行と、
禁酒、禁煙をなさっておられます、それらを邪魔
なさらなければ大丈夫……、と言ってます」
「まあ……、ジャミルも修行すればいいのに……、くすっ!」
アイシャは笑いながらお猿の後に続き、タライ・ジャブが
修行しているという場まで案内して貰い、ゆっくりと歩いて
穴の奥に進んで行った。
「キャキャ!」
「……」
「この方が……、タライ・ジャブ様……、なのかしら?」
「そうみたいですね……」
穴の奥に……、座禅しふわふわ宙に浮いたまま動かない、
変な老人がいた。恐らくタライ・ジャブであろう。しかし、
お猿が言った通り、修業中の身の為かアイシャ達が訪れても
全く無反応である。
「はあ、これ以上此処にいても修行のお邪魔になっちゃうわね……、
黒ゴマさん、もう私の足も痛みが引けたから大丈夫よ、地上に
出ましょう、お猿さんも有難うね!」
「キャキャキャ!」
アイシャがお猿の頭を撫でると、お猿は嬉しそうに返事を返した。
「……酒、たばこ……、ぼそ……」
「え?ええ?」
「アイシャさん、どうかしましたか……?」
「あ、黒ゴマさん、な、何でもないわ……」
(おかしいわ、確かにさっき……、異様な呟きが……、
気の所為かしら……)
タライ・ジャブの方を気にしつつも、アイシャは
元来た道に戻り、お猿さんに力を貸して貰い、漸く
穴から脱出する事が出来たのであった。
……そして、漸く白ゴマを見つけたジャミルの方は……
「黒ゴマに……、会ったのね……?」
「ああ、会ったちゅーか、俺らの仲間が今、一緒に連れ
回してんだ、あんたと会わせてやりたくってさ、だから
仲間に会えたら、黒ゴマとも会えるぜ、良かったな!」
「そう……、黒ゴマが……、でも……」
「?」
喜ぶかと思いきや……、白ゴマがあまり嬉しそうでないのに
ジャミルは違和感を感じた……。
「どうしたんだよ……、嫌なのかい?確か、黒ゴマがあんたに
冷たくしたって言ってたけど……、それは黒ゴマも反省してんだよ、
あんたにあったらちゃんと謝りたいって言ってたんだ」
「いいえ、黒ゴマが私に冷たくなったのは、私が原因よ……、
私は別の……、茶ゴマに気を引かれてしまったのよ……、私は
黙っていたけれど、彼は薄々気づいていたのよ……」
「……ゴ、ゴマの世界も……、複雑なんだね……」
アルベルトがジャミルの方を見ながら冷や汗を搔く……。
「……んで、あんたはどうなんだい?」
「え……?」
「もう、黒ゴマの方には完全に気がねえのか……、それとも
まだ……、どっちかはっきりしろって言ってんだよ!今は
茶ゴマさんとやらと付き合ってんのか……?」
「ジャ、ジャミルっ!」
「……アルは黙ってろ!」
アルベルトが慌て始める……。段々、ジャミルの機嫌が
悪くなってきたのが分るからである……。
「好きよ、今でも……、会ってちゃんと謝りたかったの、
彼がこの砂漠にいるって聞いて探しに来たのよ、本当に
好きじゃなければ……、こんな小さな私が危険を犯してまで
探しに来たりしないわ、私、どれだけ彼が本当に好きだったか、
やっと分ったの、でも今更遅すぎるわね、虫が良すぎるわよ……、
けれど、今でも白ゴマは世界一、黒ゴマを愛してるわ……、本当よ……」
「遅すぎないわよっ!」
「……?ア、アイシャっ!!」
声に振り向くと……、黒ゴマを連れたアイシャが戻って来ていた……。
「アイシャ……!良かった、無事で!本当に……、僕、君に
酷い事を……、でも、本当にアイシャの事が心配だったんだよ……」
「分かってるわ、アルの気持ち……、有難う、私の方こそ……、
アル、本当にごめんなさい……」
アイシャがアルベルトの手を取って微笑んだ。……どうやら仲直りが
出来た様であった。
「おい、アイシャ……」
「ジャミル……?えーと、あはは……、た、ただいまあ~……」
アイシャがおそるおそる、後ろを向くと……、腕を組んで
ニヤニヤ意地悪く笑い、地面を蹴るジャミルが突っ立っていた……。
「話は後だ、……後でたーっぷり、……デコピンすっからな、
……覚悟しとけ……」
「ふえーん、意地悪っ!……ぐすう~……」
「自業自得だっつーの!……それよりも、黒ゴマを早く白ゴマと
会わせてやってゆっくり話させてやれよ!」
「うん、さあ……、黒ゴマさん、良かったね、早く
白ゴマさんの処に……」
「アイシャさん、でも……」
アイシャが急いで黒ゴマを肩から降ろす。しかし、黒ゴマは
まだ戸惑っている様子。
「ちゃんとお話ししないと始まらないよ……?大切な言葉は
ちゃんと伝えなくちゃ……、勇気を出して、黒ゴマさん……」
「分りました……」
アイシャの言葉に……、黒ゴマは漸く決意を固め、白ゴマに
近寄って行った。
「白ゴマ……」
「黒ゴマ……」
……其処から先は、ジャミル達は場を外し、後は当人の
ゴマ同士に任せる事にした。きっと、大丈夫……、
いい結果になる事を祈りながら……。
……そして……
「また、薄暗くなって来たな、今日の砂漠の探索も
終りにすっか……、暴走家出娘も漸くとっ捕まえた事だし……」
「もうーっ!ジャミルのバカーっ!!……おでこ腫れちゃった
じゃないのっ!……ぐす……」
アイシャがジャミルにデコピン仕置きされ、赤くなった
デコを抑えた……。
「ジャミルさん、アイシャさん、アルベルトさん……」
「お?」
黒ゴマと白ゴマがちょこちょこと……、トリオの側に
寄ってきた。もう少し景色が真っ暗になったら、全然
姿が分からなくなる処であった。
「色々とお世話になりました、おれら、もう一度
やり直してみようと思います……」
「これからどうなるか分かりませんけど……」
「そっか、良かったな、頑張れよ……」
「はい、皆さん、本当にお世話になりました……」
「彼となら、何だって乗り越えられるわ、乗り越えてみせる……」
……どうやら、月ゴマトレンディードラマ?が始まってしまった模様。
「くせえ……、い、いてっ!」
「コホン……」
アルベルトが咳払いしながら、ジャミルの尻を抓った。
……アルベルト本人もこっぱずかしいらしく、対応に
困っている様であったが。
「さようなら、黒ゴマさん、白ゴマさん、……お幸せにね……」
「アイシャさんも……、どうかお元気で……」
「さようなら……」
アイシャが頷いて静かに手を振った。……トリオに見送られながら、
ゴマ達は砂漠から姿を消すのであった……。
ゴマ達を無事見送り、発掘本部へ帰省したジャミル達に
朗報が待っていた。
「ただいまー!」
「おう、お帰り!お前ら、いい知らせが入ったぞ!」
椅子に座って踏ん反り返っていたショージがジャミル達に
気づいて声を掛けた。
「何だい!?もしかして、埋蔵金発掘出来たのかい!?」
「うーん、残念ながら……、そっちの方はまだ時間が
掛かりそうなんスけどね……、フォーサイドへの道路の
渋滞が解除されたらしいス!」
「チュージさん、本当ですか!?」
「じゃあ、バスも又、通れるのね……」
アルベルトとアイシャも思わず、チュージの側に寄った。
「そういうこった!埋蔵金の方は、引き続き掘っとくからよ、
お前らは安心してフォーサイドへ行ってきな!」
「また、用事が済んだら、お手数ですけど此処に戻って来て
みて下さい、埋蔵金、渡せるかも知れないスからね!」
「わ、わりィねえ、……んじゃ、明日はフォーサイドへ向けて
再度出発するかっ!」
「おーーっ!」
トリオが拳を突き上げ、エイエイオーする。そんな子供らの
様子をみ、ショージは相変わらず豪快に笑うのであった。
「ガハハ!大分逞しくなったな、あいつら……、真っ黒に
日焼けしやがって、こりゃますます頼もしいな!」
……そんな賑やかな様子とは裏腹に……、大都会フォーサイドでは……、
ある怪しい組織と人物が動き出していたのである。
「ポーキー君……、間もなく……、君の知り合いの意地悪な
お友達が此処に訪れる事は間違いないんだね……?」
「はい、奴らは必ず来る筈です……、馬鹿な奴らですよ、
本当に……、ウンコ臭くてどうしようもない変な奴らです、
手に負えないんですよ……、何せ履いたパンツを一週間
履き替えない様な奴らですからねえ」
「有難う、ポーキー君、やはり君は頼もしい優秀な部下だよ、
フフフフフ……」
……見ていろ、例え誰であろうと……、ギーグ様の邪魔をする奴は……、
必ず始末してやる……
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